コラム

車の窓ガラスのトレンドは?
“調光フィルム”がサンルーフやリアウインドウで大活躍の予感

調光フィルムを車に!(車内からみたサンルーフ)

自動車業界のトレンドはEV!

2023年現在カーボンニュートラルの実現が重要視される中、自動車業界のトレンドといえば電気自動車(EV)が挙げられます。
ガソリン車からハイブリッド車、そしてEVへとトレンドがシフトしていく中で、各国政府・自治体からの補助金交付や異業種のEV分野参入といったニュースを耳に挟むことも多くなりました。

EVはこれまでの車の歴史的変遷において、様々な面で飛躍的な変化をもたらしています。
例えば、車の動力がガソリンから電気に代わったことにより車に必要とされる部品・素材、そして車体デザインまでもが変わっています。
車載関連の各素材・部品メーカーやOEMが技術設計や開発などで対応を進めるほか、半導体業界でも将来の”完全自動運転”化まで見据えた半導体の高機能化に向けて研究が進んでおりEV化による産業への影響は少なくありません。

また、変化の一つとして自動車の役割が「交通手段」から「過ごす場所」へと変わりつつあることも挙げられます。

EVが起こした変化  “車内の快適さへの意識改革”

“完全自動運転”が実現した世界では、車内は居住空間としての意味合いが強くなりIoTを活用した環境整備や快適に過ごせる内装仕様への意識が高まっていくと予想できます。
既にIoTを活用したサービスは各社から生まれており、乗車前から車内のエアコンを遠隔操作し快適な温度に調節できたり、動画配信サービスを見れるようになるなど、車内を快適に過ごせるようなものが多く提供され始めています。
一方で、内装仕様という点では車両の構成要素のうち大きな面積を占める「窓」に求められる役割が変わってきています。

車内の快適さにおける窓の役割

車内が居住空間となったとき、窓はより一層プライバシーを守る装備として求められることとなります。しかし、サイドウィンドウ、サンルーフといった窓すべてをブラインドやカーテンなどの機械式にすると、広い面積を覆う可動部品を搭載することになり、車内の居住スペースを奪うだけでなく車両重量も増加してしまいます。
この重量の増加は、航続距離の延長や車体重量の軽量化が重要な課題となっている次世代の自動車づくりの大きなデメリットとなります。

調光フィルムができること

このような課題の解決策のひとつとして調光フィルムがあります。
調光フィルムは「透明」と「白濁色」を電気のON/OFFで瞬時に切り替えることができる商品であり、車の窓ガラスだけでなくオフィスの会議室の窓ガラスや劇場などで幅広く採用されています。
導入することで下記のようなメリットが考えられます。
 ・リモコンで切り替えが出来、手軽にプライバシーと開放感の演出が叶う
 ・プロジェクタースクリーンとしても活躍
 ・掃除が簡単、洗濯の手間が不要(カーテンやブラインドと比較)
 ・ガラスへの後付けが可能かつ、レールの設置も不要(機械式のカーテンやブラインドと比較)

なお、高級な質感のデザインにマッチする「黒色」モデルは技術的難易度の高さから製品化が困難でしたが、このたびTOPPANでは電源OFF時には95%の可視光線を遮蔽する「黒色」となり、電源ON時には43%の可視光線を通す半透明のライトグレー色となる新グレード「LC MAGIC™ ノーマルブラック」を開発しました。

TOPPANの新商品(ブラック)紹介

① 電源OFF時は透過率5%の「透けない黒色」
 層構造内に色素をランダムに配置させることで、電源OFF時に可視光線透過率5%(透過率0%は、
 光を全く通さない真っ暗な状態)を実現しました(特許出願中)。これにより、本製品を自動車の
 リアサイドガラスに組み込んだ場合、電源OFF時には屋外から車内の様子を覗き見ることはでき
 ません。
 サンルーフに適用した場合には晴天の日中であっても頭上からの光を遮ることが可能です。

② 電源ON時に市販車の標準リアガラスと同等の透過率
 電源ON時には、色素があらかじめ設定された向きに整列するため、可視光線を最大43%通します。
 これは、一般の乗用車のリアガラスの、標準仕様での透過率と同等であり、外から車内の人物を
 視認できる程度の明るさとなります。

③ 独自設計のUVカット層が色素の退色を防止
 TOPPAN独自のUVカット機能を持つ層構造と材料選定により、長時間屋外で使用しても変色せず、
 電源OFF時の可視光線透過率に影響を与えません。

調光フィルムを車に!(ブラックモード)

また、フィルム内で液晶が動かない構造で自由な形状に加工できるため、
発注する際の形状の制限がないといった特長も「LC MAGIC™」独自のものです。

調光フィルムを車に!(調光フィルムは自由加工が可能)

LC MAGICではPDLC 方式を採用

LC MAGICでは電圧をかけることで透明度の調節が可能なPDLC 方式を採用しています。
電圧をかけない状態では液晶分子の向きがばらばらな為フィルムが不透明ですが、
電圧をかけると液晶分子が整列して光を通すことでフィルムが透明になります。
このPDLC 方式によって窓ガラスなどの透明度をスイッチひとつで自在にコントロールする
ことが可能となっています。

今後の目標
TOPPANは、今回開発した液晶調光フィルム「LC MAGIC™」の新グレード「ノーマルブラック」の量産化技術を2023年度末までに確立し、2024年度からの量産と自動車を始め、航空機や鉄道などモビリティ業界向けのサンプル出荷を開始します。

まとめ

本コラムでは自動車業界のトレンドの概要や車内の快適性向上に貢献できる調光フィルム「LC MAGIC™」について紹介いたしました。
LC MAGICをご検討いただける企業様は下記よりカタログを無料ダウンロードいただくか、
お問い合わせフォームよりご相談ください。

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2024.04.03

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