コラム

工場における液漏れセンサー導入の
メリットと活用事例の紹介

配管などからの液漏れを自動で検知することを目指し、
e-Platchのラインナップとして水・薬品、油に対応した液漏れセンサーを、
2024年9月より新たに提供開始いたしました。
今回は、漏液の検知漏れによるリスク、
それらのリスクを低減する液漏れセンサーの概要と導入効果、
実証試験の様子についてご紹介いたします。


◎◎

<目次>
■工場における漏液のリスク
■様々な液体の漏れを検知する手段
■液漏れセンサーの導入効果
■東洋インキ株式会社での実証試験
■まとめ


■工場における漏液のリスク

近年、設備の老朽化に伴い漏液のリスクは年々増加しており、
特に薬品漏れや油漏れは環境汚染などの重大事故につながる恐れもあるため、
早期の発見が求められています。

しかし、このような課題に対応するためには、
水だけではなく薬品や油といった様々な液体を検知できることに加えて、
現場への導入に際して、手軽に広範囲をカバーできる必要もあるため、
一般的に高いハードルがあります。


■様々な液体の漏れを検知する手段

このような課題を解決するために、
TOPPANは新たに液漏れセンサーを提供開始しました。

液漏れセンサーは、TOPPANグループの持つ印刷技術の強みを生かした検知帯※と、
どんな場所でもネットワークが構築できるZETA通信のかけ合わせにより、
場所を選ばす様々な用途でお使いいただける点が特徴です。

液漏れセンサー

特徴① テープ状の検知帯による様々な液体漏れの検知

液漏れセンサーの検知帯はテープ状のフィルムに2本の導線が印刷されています。
この導線上や導線間に液体が付着すると、
回路に電気的な変化が発生して液漏れを検知します。
本センサーはこのようなテープ状の検知帯のため、広範囲への設置が可能です。

また、検知帯は検知したい液体の種類によって2つのタイプがあります。

・水・薬品漏れ検知
一般的な水や導電性を持つ薬品の液漏れを検知するための検知帯です。
水・薬品の付着により導線間が短絡するため、
その変化を読み取って液漏れを検知します。

検知実績のある液体の例としては、
苛性ソーダ、アンモニア水、塩酸、硫酸、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、
ポリ塩化アルミニウム、重亜硫酸ソーダ等があります。

・油漏れ検知
絶縁性を持つ油を検知するための検知帯です。
油の付着で断線する特殊な導線を使用しているため、
その情報を読み取って液漏れを検知します。

検知実績のある油としては、
原油、A重油、C重油、軽油、絶縁油、制御油、潤滑油等があります。

検知したい薬品、油について上記例に記載がない場合でも対応可能性がございます。
TOPPANで対応可否の確認をさせていただきますので、
ぜひお気軽にお問い合わせください。

検知帯の外観:水・薬品漏れ用(左) 油漏れ用(右) 

特徴② 設置場所を選ばない設計

液漏れセンサーは電池稼働のため、電源を確保しにくい場所へも設置可能です。

また、検知帯は必要な長さに切って使用することができるため、
設置したい場所や用途に応じて調整が可能で、
人が確認することが難しい配管内等の狭いスペースに設置して
液漏れを監視することも可能です。

一度液漏れを検知した後も簡単に検知帯のつけ直しができますので、
設置場所の変更が発生した場合なども簡単に作業できます。


■液漏れセンサーの導入効果

液漏れセンサーの導入により下記3項目の業務改善が実現可能です。

1.液漏れ点検業務の負荷軽減

従来は人手で確認していた作業がなくなることで、
より効率的な点検が可能となります。

点検作業に特化したe-Platchのアプリにより、
インターネットが使える場所であれば、
どこからでもデータが確認可能なうえ、
漏液時は通知先に登録したアドレス宛に通知を飛ばすことも可能なため、
定期的な現場点検の必要性がなくなります。

このように遠隔監視を実現することで
労働環境の改善、労働災害の事前防止にもつながります。

2.人為的なミスの防止

データの自動収集により、
人による作業では防ぎにくい点検ミス、点検忘れ等を防止します。

信頼性の高い点検手段の確立は、
長期的な目線で安定した点検体制を構築するうえで非常に重要です。

3.重大事故発生リスクの低減

近年環境問題への対策が厳しく求められるようになってきており、
薬品漏れや油漏れをいち早く察知して対処する重要性が増してきています。

人手での確認作業と比較して漏液の早期発見が可能となりますので、
重大事故に発展する前に対処可能です。


■東洋インキ株式会社における実証試験

本製品のリリースに際して、
東洋インキ株式会社埼玉製造所にて液漏れセンサーの実証試験を実施しました。
その実施内容について紹介いたします。

東洋インキ株式会社 埼玉製造所

東洋インキ株式会社は印刷インキ事業を中心とした化学メーカーで、
液漏れセンサーの検知帯に印字されている導線のインキを提供いただいています。
多数の薬品類の取扱いもあることから本製品の有用性に共感いただき、
今回ご協力をいただく運びとなりました。

下記が実際に液漏れセンサーを設置した現場の様子です。
1か所目は棚付近にあるタンクからの水溢れ対策として
保管棚の下の床に検知帯を設置しました。

設置現場 保管棚の下の床

2か所目はポンプからの水漏れ対策としてポンプ脇の溝に
検知帯を設置して検証を実施しました。

設置現場 ポンプ脇の溝

検証期間中、台風の到来や敷地内の工事等もあり、
設置前は想定していなかった実際の水漏れの検知にも成功し、
液漏れセンサーの有用性を確認することができました。

水漏れした現場の様子

実証後、東洋インキ株式会社の針山様に
液漏れセンサーを運用して感じた点についてコメントをいただきました。

東洋インキ株式会社 埼玉製造所 針山様

ー検証にご協力いただいての率直なご感想をお聞かせください。

針山様:
今回の検証を通して、液漏れセンサ―の有効性を確認できました。
漏液時の即時発報により想定していなかった
異常の早期発見が可能となり速やかな対応を図ることができました。
収集したデータを読み解くことで、
漏液パターンや原因の特定にも役立つツールとして活用が見込めます。

また、人の目視確認がPC等での遠隔管理に置き換わることで
点検の効率化につながります。

―TOPPAN製液漏れセンサーの強みと感じる部分はありますか。

針山様:
既存の設備に後から変更を加えたり、機能を拡張するためには、
コストと時間が掛かります。
この液漏れセンサーであれば、
ミニマムコストで始めることができ、設置も容易なため、
様々な位置に設置して検証が可能となるはずです。

この様な検証の中で漏液リスク抽出から恒久対策が実現できると考えており、
「先ずは検証から」を手軽に実施できる
この液漏れセンサーは設備トラブル未然防止の強い味方になると考えます。

―今後どういったユースケースでの活用が想定できそうですか。

針山様:
今回の設置検証は目に付きやすい場所で行いましたが、
普段から目の届かない場所への設置に特に力を発揮すると感じました。
特に配管の敷き詰められた箇所、
高所や暗所などの簡単に目視確認が出来ない箇所では、
知らず知らずのうちに被害が大きくなってしまうケースがあります。
このような場所での異常の早期発見への有用性を実感できました


■まとめ

今回はe-Platchの新規ラインナップとして追加された液漏れセンサーの概要と、
実際に使用していただいた検証結果についてご紹介いたしました。

人による液漏れの点検では早期発見が難しく、見落としも発生しますが、
液漏れセンサーを活用することで
漏液の早期発見および重大事故の防止につなげることが可能です。

e-Platchは液漏れ以外にも、
工場、ビル、インフラ施設など様々な場所の様々な点検項目の遠隔監視により、
効率的な点検業務の実現をサポートします。
液漏れセンサー、およびe-Platchに興味をお持ちの方は是非ご相談ください。

2024.11.01

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