コラム

食品メーカー注目の「簡便調理」:電子レンジで手軽&環境配慮

近年、電子レンジを使って調理できる商品が増えています。あらかじめ調味料が入ったパウチに野菜や肉、魚などの具材を入れて電子レンジにかけるだけで調理ができ、出来立ての一品が楽しめます。高齢の方や、単身世帯や共働き世帯の方で、手間や時間をかけず簡便に調理ができて美味しい食事をとりたいと思う方にもおすすめです。本コラムでは、簡便調理の背景や特徴についてご紹介します。


簡便調理品が求められる背景

生活者が簡便調理品を求める背景は、やはり「料理に関する手間を減らしたい」というニーズです。料理で大変なことは、「献立を考えること」と「後片付け」という調査結果があります(*1)。さらに、約9割の方が料理に関する家事を時短したいと思っているという調査もあります(*2)。
一方で、時短をしても大切にしたい(妥協したくない)ことの第一位として「美味しさ」が挙げられています(*2)。

このような調査結果から、生活者は、献立悩みや後片付けの手間を解消したく、時短と美味しさの両立を求めていることがわかります。そのような中、電子レンジを使って簡単に調理ができる簡便調理品は市場を伸ばしています。


電子レンジ調理品の購入金額の推移

ここでは電子レンジを使って調理ができる簡便調理品の市場をみていきます。

電子レンジを活用する食品の市場は拡大傾向にあります。QPR/マクロミルのデータによると、2020年に比べて2023年は電子レンジ調理品の購入金額は20%伸長しています。
(単位:100人あたりの購入金額)

レンジ調理品の購入金額推移(調査データ:QPR/株式会社マクロミル、集計期間:2020年1月~2023年9月)QPRをもとに当社にて試算

食品メーカー各社が、スープ、カレー、おかず、肉料理、魚料理、卵料理などさまざまな領域で電子レンジ調理品を発売しています。スーパーの棚でも見かけることが多くなってきました。

また、電子レンジを使って調理する「レンジ調理品」と、フライパンでの調理に使う「合わせ調味料品」を比較すると、購買層が異なっていることがわかります。某食品メーカーの合わせ調味料品シリーズとレンジ調理品シリーズの購買層を比べると、合わせ調味料品よりもレンジ調理品の方が40代女性や20代男性の購入割合が高くなっています。(金額ベース)

購買層の違い(調査対象:某食品メーカーの合わせ調味料品・レンジ調理品、調査データ:QPR/株式会社マクロミル)

このことから、合わせ調味料品に加えて、レンジ調理品のラインアップを展開することで、食品メーカーは、従来とは異なる顧客層を獲得することが可能になるといえます。


環境にもやさしい電子レンジによる簡便調理品

電子レンジを使った簡便調理は、生活者の調理に関する悩みを解決するだけではなく、環境にもやさしいという特長もあります。電子レンジを使った簡便調理は、調理過程でのCO₂排出量や水の使用量を削減することができます。また、商品のパッケージの素材の面でもCO₂排出量の削減に繋がります。

調理工程

調理工程において、例えば、レトルトのパスタソースを湯せんで温める場合と、電子レンジで温める場合を比較すると、電子レンジで温める方が調理時のCO₂排出量が約87.5%削減されるという商品もあります(*3)。湯せんで温める場合は水を沸騰させるエネルギーが必要なためです。
また、電子レンジだけでパスタが作れる商品ではパスタをゆでる大量のお湯がいらないので、使用する水の量を約95%削減できるといわれています(*4)。

パッケージの素材

パッケージの素材の点では、電子レンジ調理に対応するためにパッケージにアルミを使用していないという特徴があります。アルミは製造工程で高い電力消費を伴うことから環境負荷が高いといわれています。電子レンジ対応パッケージはアルミを使用せず、当社のGL FILMのような透明バリアフィルムを活用しているので、必要なバリア性能を維持しつつ、環境にやさしいパッケージともいえます。

調理条件やパッケージの仕様にもよりますが、このように、電子レンジを使用する簡便調理の商品によって環境負荷削減も可能です。


TOPPANの電子レンジ対応パッケージ

TOPPANには多様な電子レンジ対応パッケージのラインアップと実績があります。ここでは事例を紹介します。お気軽にお問い合わせください。

袋のまま電子レンジで温められるパッケージ

電子レンジ対応パッケージ「蒸できシリーズ」は、ハンバーグやカレーなど惣菜のパッケージとして採用されており、アルミを使っていないため開封せずにパッケージそのまま電子レンジで温めることができます。また、電子レンジで加熱した際に、蒸気が抜ける機能があります。パッケージの形態は、平パウチ、ピロータイプ、自立性のあるスタンディングパウチ、そのまま器代わりになるものなど、多様なラインアップをご用意しています。
TOPPANでは、アルミを使用した構成と比較して、調理工程も含めたCO₂排出量を約40%削減した事例があります。

電子レンジで調理ができるパッケージ「スマデリバッグ」

スマデリバッグは、電子レンジで簡単に調理ができるパッケージです。あらかじめ調味料や具材が入ったスマデリバッグに、食材を加えて電子レンジで加熱するだけで、誰でも簡単に美味しく本格的な料理を作ることができ、電子レンジで温めるレトルト食品よりも手作り感がある出来立ての料理を楽しめます。


まとめ

生活者のニーズが高まり市場拡大中の簡便調理についてご紹介しました。電子レンジを使う簡便調理は、生活者の調理の手間を減らしたいという悩みを解決し、環境負荷削減にも貢献します。TOPPANはパッケージや充填のご相談を承ります。ぜひお気軽にお問い合わせください。


出典
(*1)クロスマーケティング 「料理に関する調査」(2021年)https://www.cross-m.co.jp/report/life/20210317cooking/
(*2)スナップディッシュ「料理に関する家事の時短」についての調査(2020年)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000007310.html
(*3)Haconese ハコネーゼ パウチのまんまリゾット | 創味食品レシピサイト さしすせそうみのごちそうさま
https://www.somi.jp/haconese/risotto/
(*4)パキット 作り方感動級のパスタソース|商品ブランド|永谷園
https://www.nagatanien.co.jp/brand/pakitto/

2024.02.16