食品ロスは容器包装で減らせる!エコを考えて取り組むためにできること
SDGsの目標にも該当する食品ロス削減の取り組みは、世界中で関心が高まっています。しかし、自社において何から取り組めばよいかわからないというケースも多いでしょう。そこで今回は、包装で食品ロスを減らす仕組みについて詳しく解説します。
食品ロスとは?
食べられるのに捨てられてしまう食品を「食品ロス」といいます。食品ロスには、食品の食べ残しだけでなく、規格外品や返品されたもの、手つかずのもの、売れ残ってしまったものなども含みます。単に「もったいない」というだけではなく、廃棄や処理のために多額のコストと燃料が必要であり、環境負荷をはじめとする深刻な社会問題になっています。
日本の食品ロスは年間約522万トン!一人あたり毎日お茶碗一杯弱を捨てていることに
農林水産省の発表によると、日本の食品ロスの量は年間522万tにも及びます。日本の食品ロスを国民1人あたりに換算すると、1年で約41kgの食品ロスを出していることになります。これは、毎日茶碗1杯分弱のご飯を捨てている計算になります(*1)。
食品ロスの分類
食品ロスを大きく分類すると、事業活動で出た「事業系食品ロス」と、各家庭から出た「家庭系食品ロス」に分けられます。事業系食品ロスは、業種によってさらに4つに分類できます。日本の年間食品ロス522万tのうち、事業系食品ロスは275万t、家庭系食品ロスは247万tとなっており、事業系食品ロスの量の方が若干上回っている状態です。事業系ロスの各業種による食品ロスの内訳は以下のとおりです(*2)。
世界では食品包装に関する規制もできてきている
日本はもとより世界でも食品ロスは深刻な社会問題となっており、国連や各国政府が食品ロス削減に向けて具体的な数値目標を掲げるなど、効果的な方法を探っている状態です。2015年の国連サミットでは、2030年までに達成すべき目標としてSDGsが掲げられ、17のゴールと169のターゲットが示されました。日本では「2030年には2000年に比べて事業系食品ロスを半減させる」という目標を設定しています。また、世界では、食品のプラ包装禁止や使い捨てプラスチックの使用禁止などに関する規制も出てきており、食品ロスだけではなく食品包装に関しても環境に配慮する取り組みが行われるようになっています。
食品包装(パッケージ)の工夫でできる食品ロス削減方法
近年は、食品包装(パッケージ)の機能も高まり、鮮度を保ったり損傷を軽減したりすることで、食品ロス削減にもつながっています。こちらでは、食品包装(パッケージ)の工夫による食品ロス削減方法について詳しく解説します。
鮮度保持をして長持ちするようにする
食品は空気に触れると酸化・乾燥が進み、食感や風味が損なわれていきます。さらに、微生物が繁殖してしまうと食品は腐敗します。しかし、鮮度を保持できる食品包装を使用すれば、食品を長持ちさせられるようになり、長期間保存や賞味期限の延長にも対応できるようになるでしょう。食品が食べられる期間が延びることで、食品ロスの可能性を減らすことにつながります。
食べきれる量で包装する
食べきれる量で包装することも食品ロスの削減につながります。例えば、調味料や加工食品、惣菜などが1袋に多く入っている場合、1度に使い切ることができず、輪ゴムなどで封をするケースがあります。その結果、しけて風味が損なわれ、結局捨ててしまうこともあるでしょう。食べきれる量を包装すれば、食べ残しや開封後の劣化を防ぐことができ、家庭からの食品廃棄を減らすことが可能になります。
輸送時の食品の損傷を防ぐ
食品を輸送する際にパッケージに傷が入ったり中身が損傷したりすると、売り物にならず廃棄してしまうことがあります。食品包装を変えることで、崩れやすいものや割れやすいものを守れるようになり、結果として廃棄される量の削減につながります。
無駄なく中身を取り出せるような包装
パッケージに中身が付いたまま捨てることで、結果的に食品ロスにつながってしまいます。例えば、ヨーグルトのフタに付くヨーグルトや、レトルト食品のパッケージ内に付いたカレーなどは、食品ロスになりがちです。近年では、容器に中身が付きにくいヨーグルトのフタや撥液パウチが開発され、食品ロスの低減に貢献しています。
企業が食品ロスの削減に取り組むメリット
企業は食品ロスの削減に取り組むことによって、以下のようなメリットを得ることができます。
SDGsに取り組むことができる(目標12)
SDGsの17の目標の目標12「つくる責任つかう責任」には「持続可能な生産消費形態を確保する」というテーマがあり、11個のターゲットで形成されています。ターゲットの中では食品ロスの削減についても述べられているため、企業が食品ロスの削減に取り組むことは、SDGsに貢献していることにもなります。
世界ではSDGsに対する理解が進んでおり、SDGs推進に取り組む企業が増えました。日本でも自社サイトなどで、SDGsへの取り組みを紹介する企業が増えています。SDGsに関する企業の意識調査(2022年)によると、SDGsに積極的な企業は2021年の調査より増加し、5割を超えました。(*3)
さらに、SDGsに取り組んだ効果として「企業イメージの向上」や「従業員のモチベーションの向上」が得られたという回答もありました。(*3)SDGsを経営方針に盛り込むことによって、企業は信頼や安心感を獲得できます。SDGsへの取り組みは、ビジネス開発やイノベーションの可能性が広がるため、新たなビジネスチャンスの創出にもつながるでしょう。
物流・在庫・廃棄コストなど企業が負担する費用を削減できる
事業系食品ロスの削減は、食品メーカー・卸・小売など、フードチェーン全体での取り組みが必要です。農林水産省では、製造業・卸売業・小売業における食品ロス削減のための取り組みを支援しています。賞味期間の3分の1までに小売に納品するという商慣習上の期限とされていた「3分の1ルール」を2分の1に緩和することや賞味期限を「年月日」で記載することから「年月」に変更するなどのルールが見直されました。ルールを見直し、納品期限が伸びたり、店頭在庫の処分期限が伸びたりした結果、物流・在庫・廃棄コストなど企業が負担する費用も削減されています。また、ルールの見直しだけではなく、商品を工夫することで賞味期限が伸ばせた場合も、物流・在庫・廃棄コストを削減できます。
消費者に価値を感じてもらえる商品になる
消費者にとって、まだ食べられる食品を捨てることは、食品を無駄にするだけではなく、罪悪感を生むことにもつながります。賞味期限が延長される、小分け包装になっている、中身が取り出しやすいなど、工夫された食品包装を採用している商品は、消費者にとっても有益です。価値を感じられる商品として、選ばれやすくなるでしょう。
食品ロスが減らせる「包装」にはどんなものがある?
包装を変更することによって、食品ロス削減にもつながることがわかりました。こちらでは、前に述べた包装の工夫のなかでも「鮮度を保持して長持ちさせ、食品ロスを減らせる」と注目されている包装を3つご紹介します。
真空包装
真空包装とは、包装内の空気を吸引することによって、内部を真空に近い状態で密封する包装です。一般的に、食品は空気に触れることによってカビが生育されるため、酸素がない真空状態はカビの予防につながります。酸素を取り除くことによって、食品の変質を防止でき、日持ちしやすくなります。
ガス置換包装
ガス置換包装とは、密閉したプラスチックなどの包装内を不活性ガスで置換し、包装内の空気を除去する包装です。空気を除去することによって食品の酸化を防ぎ、微生物の繁殖を抑制したり静菌・殺菌などを行ったりできます。
スキンパック包装
スキンパックとは、商品と台紙をすき間なく熱で圧着して空気を抜き、完全に密封する包装です。完全密封されているため、食品から出る水分(ドリップ)を抑制できます。縦にしても形が崩れにくいため、輸送や商品陳列もしやすくなる包装です。ヨーロッパを中心とした海外では一般的な包装方法であり、アメリカやアジアでも拡大しています。
食品ロスが減らせる「包材」も増えてきている
近年、食品ロスを減らせる包材の開発が進み、種類も増加中です。食品に適した包材を選ぶことによって、消費者に中身の鮮度を維持して長持ちする食品を届けることが可能になります。こちらでは、食品ロスを減らせる包材として注目されているものをご紹介します。
バリアフィルム
バリアフィルムは、水蒸気や酸素など食品の品質低下を招く外部要因を遮断する能力が高い包材です。劣化を招く水分や酸素の侵入を遮断することによって変質、乾燥、しけ、カビを防ぎます。近年では、レトルト食品を安心・安全に電子レンジでそのまま温められるバリアフィルムも登場し、消費者の利便性向上にも貢献しています。
MA包装
青果物向けの鮮度保持包材としてよく使われるのがMA包装です。MAとはModified Atmosphere(ガス置換)を意味し、包装内のガス環境を最適化することで、食品の品質を保持する仕組みです。MA包装によって、食品の鮮度を保った状態で保管・運搬ができます。パッケージ内には貫通孔を開けていないため、外部からの異物混入も防げます。
鮮度保持剤の使用
鮮度保持剤は酸素吸収の機能をもち、内容物の酸化を防いでカビや細菌の繁殖を抑制し、鮮度や品質を保持します。包材ではありませんが、パッケージの中に封入することで鮮度を保つことができます。しっとりした食品や、酸化すると風味が損なわれる食品によく使われます。
食品ロスを減らす包装はトッパンのGL BARRIERにお任せ!
食品ロスを削減できるというだけではなく、環境へ配慮した資材としても注目されているのがトッパンのGL BARRIERです。こちらでは、GL BARRIERの魅力や導入実績について、詳しくご紹介します。
GL BARRIERであれば鮮度保持と賞味期限の延長を実現可能
GL BARRIERは、透明蒸着バリアフィルムにおいて、世界トップシェア(トッパン調べ)を誇っているバリアフィルムです。酸素や水蒸気といった気体の通しにくさを「ガスバリア性」といいますが、GL BARRIERは世界最高水準のバリア性能があります。
トッパン独自の「透明蒸着加工技術」と「コーティング技術」を活用することによって、内容物を吸湿・乾燥・腐敗などから保護します。商品の鮮度保持や賞味期限の延長が実現することから、食品ロス削減にも寄与する注目の包装です。環境配慮や省資源化などSDGsの推進に向けても、ガスバリア性の高い包装を選択する価値が高まっており、食品業界だけではなく、医薬品や工業部品などの分野でも幅広い用途で利用されています。
GL BARRIERはさまざまな包装に使用できる
ガスバリア性に優れたGL BARRIERは、さまざまな包装に使用できるため包装方法を変更しなくても、現状の包装に使用しているフィルムをGL BARRIERに変更するだけで、賞味期限の延長ができます。アルミ箔を使用しているパッケージの場合、GL BARRIERをアルミ箔の代替として使用すれば、製造時に発生するCO2排出量の削減も可能です。
また、GL BARRIERは先にご紹介した「真空包装」「ガス置換包装」「スキンパック包装」にも使用できます。スキンパックにおいては、台紙の方にGL BARRIERを使用します。台紙を紙素材に置き換えてGL BARRIERと組み合わせた「グリーンフラット」を採用することで、プラスチックの使用量を大幅に削減することも可能です。賞味期限の延長と環境負荷の低減の両方が叶います。
導入実績も多数!安心して任せることができる
ここからは、トッパンのGL BARRIERの導入事例をご紹介します。
明治16年創業の老舗菓子舗「株式会社一六」様の看板商品「一六タルト」は、四国銘菓として長く親しまれています。2020年3月にパッケージをリニューアルした際、包装フィルムをトッパンの透明バリアフィルムGL BARRIERに変更したことで、1〜2週間程度の賞味期限延長が可能になり、お土産として選ばれやすくなりました。販売可能日数を超過するために廃棄される食品ロスの削減も期待できます。
「高級食パン専門店嵜本」様がプロデュースする栄養補助食パンの「KICHINTO BREAD」の個包装パッケージにも、トッパンのGL BARRIERが採用されています。脱酸素剤と併用することで、賞味期限を3週間にすることができ、店頭販売だけでなく通信販売の展開も可能となりました。
スターゼン株式会社様では、SDGsの取り組みとして、精肉の賞味期限延長によるフードロス削減を目指していました。バリア性を付与した紙製トレー「グリーンフラット」を採用したことで、一般的な包装時の賞味期限「4日」から「11日以上」という大幅な賞味期限延長が実現しています。
まとめ
食品ロスは世界中で取り組むべき深刻な社会問題です。ご紹介したとおり、企業も食品ロスの削減に取り組めばさまざまなメリットが得られます。特に食品業界においては、包装や包材を変更するだけで食品ロス削減に貢献することも可能です。今回は、食品ロスを削減できる包装としてだけではなく、環境への配慮や消費者の利便性向上にもつながるトッパンのGL BARRIERについてもご紹介しました。GL BARRIERに関するお問い合わせや資料請求はトッパンのホームページから可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
出典
2023.12.20