コラム

賞味期限延長の方法とTOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」導入事例

食品の賞味期限延長は、消費者にとっても企業にとっても多くのメリットをもたらします。しかし、その背景には法的規制や技術的な課題が存在します。

本記事では、賞味期限とその延長の重要性から、最新のパッケージング技術と保存方法について詳しく解説します。特に、TOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」の導入事例を通じて、賞味期限延長の実際の効果をご紹介します。


賞味期限延長の重要性

賞味期限延長は、食品ロスの削減や販売機会の拡大に直結する重要なテーマです。ここでは、賞味期限の基本的な意味から、その延長がもたらすメリット、さらには法的な側面についても詳しく探っていきます。

賞味期限とは?

日本における「賞味期限」は食品の品質が維持される期限を指します。この期限は、指定された保存方法で保管した場合に適用され、主にスナック菓子や缶詰、インスタント食品などに表示されます。賞味期限が過ぎても、消費期限(※)とは異なり、すぐに食べられなくなるわけではありません。ただし、開封後は早めに消費することが推奨されます。

また、3か月以上品質が保たれる食品では「年月」表示が許されています。賞味期限は食品の安全性を保証するものではなく、品質と風味の保証に関するものです。この期限は、科学的な品質試験に基づいて設定されます。

総じて、賞味期限は食品の品質と風味を保証する期限であり、開封後は保存状態が変わるため、早めに消費することが重要です。

※消費期限とは、食品や医薬品などが安全かつ効果的に使用できる最終日を指す日付のことです。

賞味期限延長のメリット

賞味期限延長が販売企業にもたらすメリットは多岐にわたります。

◆食品ロス削減
賞味期限の延長により、廃棄物が減少し、食品ロスが削減されます。
平成30年に京都市が実施した社会実験で廃棄点数ベースの廃棄量が約32%削減された例(出典*1)もあり、効果が高いとされています。

◆売上維持・向上
賞味期限の延長分、商品を長く販売できるため、売上が維持されます。平成30年に実施した社会実験では、売上数量、金額ともに約2%向上した例(出典*1)があります。

◆コスト削減
廃棄コストが減少するだけでなく、配送回数も減るため、物流コストも削減されます。

◆消費者にとっての価値向上
賞味期限が長い商品を提供できるため、消費者は購入後も安心して消費できます。購入後日持ちするため消費者が購入の際に商品を選ぶきっかけにもなります。

◆社会的評価の向上
食品ロス削減に貢献することで、企業の社会的評価が向上します。SDGsへの貢献もアピールできます。

以上の点から、賞味期限延長は販売企業にとって多くの利点があり、消費者ニーズに応える積極的な取り組みが求められています。

賞味期限延長に関する法律と規制

賞味期限延長に関する法律と規制をまとめました。(出典*2)

賞味期限延長に関する法律と規制

項目 説明

法的基準

食品の賞味期限は食品衛生法に基づき、科学的・合理的な根拠で設定する必要があります。消費者庁がガイドラインを定めています。

延長の条件

賞味期限を延長する場合も、科学的データに基づいて品質試験等を実施し、その根拠を示す必要があります。

不当な延長

賞味期限を不当に長く設定することは認められておらず、適切な期限設定が求められています。

表示方法

賞味期限は年月日または年月で表示する必要があります。年だけの表示は認められていません。

JANコードの取扱い

食品ロス削減の観点から変更しないケースもあります。

賞味期限延長には科学的な根拠が必要で、不当な延長は許されません。包装や保存方法の改良により、適切な延長が可能です。表示には年月日または年月が必要です。


賞味期限延長の方法

賞味期限延長の方法は多岐にわたりますが、主にパッケージング技術の進歩について詳しく解説し、賞味期限を効果的に延長する手段をご紹介します。

パッケージング技術の進歩

パッケージ技術の進歩は賞味期限延長に重要な役割を果たしています。

◆パッケージ材料の改良
酸素、風味、水分のバリア性が高いフィルムを使用することで、それぞれ酸化、風味劣化、乾燥を防ぎ、賞味期限を延長できます。

◆パッケージ構造の工夫
多層構造のフィルムや酸素吸収剤、脱酸素剤の使用、真空パックの採用などにより、ガスバリア性を高め、酸化を抑制できます。

◆効果
これらのパッケージ技術により、賞味期限を2~3倍に延長できるケースがあります。食品ロスの低減と商品の鮮度・価値の長期維持が可能です。

パッケージ技術の進歩は、科学的根拠に基づく賞味期限の適切な設定と食品ロス削減に大いに貢献しています。

バリアフィルムとは

バリアフィルムは、水蒸気や酸素から内容物を守る特殊なフィルムです。

◆代表的な材料
アルミ箔や、PET、OPP、CPPなどのプラスチックフィルムにアルミナやシリカを蒸着させたものが一般的です。蒸着フィルムの種類には以下のようなものがあります。

アルミ蒸着フィルム

PET等の基材フィルムにアルミを蒸着したフィルム。金属光沢があり不透明。

アルミナ蒸着フィルム

PET等の基材フィルムにアルミナを蒸着したフィルム。透明性に優れる透明蒸着バリアフィルム。

シリカ蒸着フィルム

PET等の基材フィルムにシリカ(酸化ケイ素)を蒸着したフィルム。透明性に優れる透明蒸着バリアフィルム。

◆用途
主に食品、医薬品、電子部品の包装に使用され、最近では紙パックの内袋としても利用されています。環境負荷を低減する素材として、今後の需要増加が期待されています。

バリアフィルムの特徴

バリアフィルムには、次のような特徴があります。

・ガスバリア性能が高く、酸化や乾燥を効果的に防ぎます。一部の製品はアルミ箔と同等の性能を持っています。
・透明性が高い(アルミ箔やアルミ蒸着フィルム以外は透明性が高い)ため、内容物が確認でき、誤使用を防げます。
・印刷やラミネートなどの加工が容易です。
・レトルト処理にも対応した製品があり、長期保存が可能です。
・アルミ箔の代わりとしても使用でき、資源の節約に貢献します。

バリアフィルムは種類によって透明性、強度、加工性などの特徴が異なり、用途に応じて使い分けられています。以下の表に、各バリアフィルムの特徴をまとめました。

透明蒸着バリアフィルムは各項目において優れた性質を持ちます。

透明バリア 不透明バリア
EVOH PVA PVDC MXD-6 透明蒸着 アルミ蒸着 アルミ箔
酸素バリア性

防湿性 × × ×
温度・湿度の影響 あり あり あり あり 少ない 少ない 無し
保香性 ×
レトルト適性 × ×
電子レンジ適性 × ×

注1:MXD-6は一般的にバリアNYまたは共押出NYといわれるものが該当
注2:上記透明蒸着はPETタイプの場合


TOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」の導入事例

TOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」は多くの企業で導入され、賞味期限延長に効果を発揮しています。こちらでは、GL BARRIERの特徴と具体的な導入事例、その効果について詳しくご紹介します。

GL BARRIERの特徴

TOPPANの高機能バリアフィルム「GL BARRIER」は多面的な特徴を持っています。
世界最高水準のバリア性能を誇り、酸素や水蒸気の透過を効果的に抑制します。これにより、内容物の酸化や乾燥を防ぎ、鮮度を長期間保持できます。透明性も高く、印刷適性にも優れています。

さらに、さまざまな用途に合わせたグレードを用意しており、食品から産業資材まで幅広い用途で利用できます。アルミからの置き換えが可能なため資源を節約でき、環境負荷の低減にも貢献できます。このように、GL BARRIERは高いバリア性能と多くの優れた特性を持つ製品です。

導入実績も多数!安心して任せることができる

GL BARRIERは多くの企業で導入されており、多くの実績があります。具体的な導入事例を通じて、その多様な用途と効果を詳しくご紹介します。安心してご利用いただける理由がここにあります。

事例1:株式会社一六様

株式会社一六は、愛媛県松山市に拠点を持つ明治16年創業の老舗菓子舗です。その看板商品「一六タルト」は、愛媛県産の柚子と白双糖を加えたこしあんを柔らかなスポンジで巻いたお菓子で、四国地方で長らく愛されています。

2020年3月に、この一六タルトのパッケージがリニューアルされました。新しいパッケージには、TOPPANの透明バリアフィルム「GL BARRIER」が採用されています。このフィルムの採用により、賞味期限が1~2週間程度延長されました。

「GL BARRIER」は、酸素透過度や水蒸気透過度などの特性が異なる多様なバリエーションを持つ透明バリアフィルムです。一六タルトのさまざまな味や大きさに合わせて、最適なフィルムが選定されました。

事例2:高級食パン専門店嵜本様

「KICHINTO BREAD」は、フジサニーフーズの原料供給先であるドロキア・オラシイタが展開する栄養補助食パンです。この食パンは高級食パン専門店嵜本がプロデュースしており、1枚ずつ個包装されています。TOPPANの透明バリアフィルム「GL BARRIER」がこの食パンの個包装に採用されました。

採用の背景には、通信販売の展開を考慮した新商品KICHINTO BREADの賞味期限延長があります。通常、賞味期限が短い食パンは通販での販売が難しいですが、GL BARRIERと脱酸素剤を併用することで、賞味期限を3週間に延長することができました。

この製品は「第61回 2022年 ジャパンパッケージングコンペティション(JPC)」で「健康食品部門賞」を受賞しています。GL BARRIERの採用により、賞味期限の延長だけでなく、店頭での商品訴求も可能になっています。

事例3:スターゼン株式会社様

スターゼン株式会社はSDGsの一環として、精肉の賞味期限延長とフードロス削減を目指しています。この目的に合致する形で、TOPPANの透明バリアフィルム「GL BARRIER」を用いた紙製トレー「グリーンフラット」が採用されました。

この新しいパッケージは、食品の鮮度保持と賞味期限延長を実現し、特にスターゼン株式会社の精肉製品においては賞味期限が4日から11日以上に延長されました。

「グリーンフラット」は、完全密封によるドリップ抑制とバリアフィルムによる内容物保護が可能です。また、店頭での「吊り下げ陳列」が可能となり、陳列効率が向上します。さらに、プラスチック使用量も約15%削減されています。

この製品は「第60回2021年ジャパンパッケージングコンペティション(JPC)」で「一般社団法人日本印刷産業連合会会長賞」を受賞しています。

GL BARRIERを利用した賞味期限延長の効果

TOPPANの透明バリアフィルム「GL BARRIER」は、賞味期限延長に優れた効果を持っています。

・株式会社一六の「一六タルト」では、このフィルムの採用により賞味期限が1~2週間程度延長できました。
・高級食パン専門店嵜本の「KICHINTO BREAD」では、賞味期限を3週間に延長できました。
・スターゼン株式会社の精肉製品では、賞味期限が4日から11日以上に延長できました。

これらの事例から、GL BARRIERは食品の鮮度を保ち、賞味期限を有意に延長することが確認されています。


まとめ

食品の賞味期限延長は、消費者と企業双方に多くの利点をもたらします。この記事では、賞味期限とその延長の重要性、法的規制、そして最新のパッケージング技術について詳細に解説してきました。

特に注目すべきは、TOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」です。このフィルムは多くの企業で導入され、賞味期限延長に効果を発揮しています。具体的な導入事例を通じて、食品の鮮度保持と賞味期限延長についてもご紹介しました。

賞味期限延長は食品ロス削減、売上維持・向上、コスト削減、消費者にとっての価値の向上、そして企業の社会的評価向上に寄与します。
このように、賞味期限延長は多面的な利点を有しており、企業にとっては積極的な取り組みが求められています。
詳細な情報や導入事例に興味を持たれた方は、資料請求やお問い合わせをお願いします。

出典
*1 平成30年度 販売期限の延長等による食品ロス削減効果に関する調査・社会実験 報告資料https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000258/258131/FY30report_final.pdf

*2 食品の期限表示に関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/expiration_date/

2023.11.27

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