公共サービス・地方創生

医療機関で音声翻訳サービス「VoiceBiz®」を使ってみました!

トッパンが手がける音声翻訳サービス「VoiceBiz®」は、日常生活やビジネスシーンにおいて翻訳が必要なシーンで便利に活用できます。そのVoiceBiz®を実際に、診療所で使用してみました。果たして、外国人の英語は、診療所の受付できちんと翻訳されたのでしょうか?早速、見ていきましょう。


音声翻訳サービス「VoiceBiz®」とは?

VoiceBiz®は、医療機関や学校・公的機関向けの音声翻訳アプリです。手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリをインストールするだけで、手軽に音声翻訳を利用することができます。対応言語は英語・中国語・韓国語をはじめとした12言語、テキスト翻訳は30言語に対応しています。

急増する訪日外国人や在留外国人との多言語コミュニケーション。翻訳サイトや無料ツールなどいろいろな手段がありますが、表現の誤りが重大なミスに繋がる可能性のある医療機関や各種住民サービス、学校などの現場においてはより精度の高い翻訳ツールが求められます。

「VoiceBiz®」は自然で高精度な翻訳と専門用語のプリセット・追加登録などで、外国人の医療機関受診や市役所の手続きといった場面での、オーラルコミュニケーションを円滑化をサポートしております。
詳細は「VoiceBiz®」のサービスページをご覧ください。

「VoiceBiz®」はこんなところで便利に使える!

次のような場所とシーンで、ご活用いただけます。

・市役所の窓口まで手続きに訪れた外国人対応
・ホテル、病院での外国人対応
・学校での外国人の保護者や生徒、留学生への対応
・建設現場、工場、農業、漁業等の外国人労働者とのコミュニケーション
・会社の総務と外国人労働者との事務関係コミュニケーション

すでに様々な自治体や教育機関、企業に数多く導入いただいており、この他にも利用シーンは幅広くあります。

実際に「VoiceBiz®」で外国人対応を試してみました!

VoiceBiz®で外国人対応を行う際、うまく翻訳され、意思疎通ができるのでしょうか?
実際に、診療所と英語を話す外国人男性の役者さんにご協力をいただき、VoiceBiz®を
2つのシーンで試してみました。

診療所に訪れた腰痛の外国人患者

診療所の受付女性:「今日はどうされましたか?」

外国人患者:(受付にあるタブレット端末のVoiceBiz®に対して英語で話しかける)

VoiceBiz:「今朝起きたら、近くに整形外科があって背中が痛いんです」

――あら…なんとなくのニュアンスは伝わるけれど誤訳。外国人患者さんは、もう一度英語で話します。

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「今朝から腰痛があるのですが、近くの整形外科を紹介してください」

――今度は伝わる文章になりました。音声でしゃべったものが翻訳されて音声で出力されるので、相手にも伝わりやすいですね。

診療所の受付女性:「この近くに、整形外科クリニックがあります。保険証を今日はお持ちですか?」

VoiceBiz:(英語で翻訳)

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「すみません、健康保険証を忘れてしまったのですが」

――今度は一度で正しく翻訳されたようです。

診療所の受付女性:「後日、保険証を持って行くことはできますか?」

VoiceBiz:(英語に翻訳)

――ここで、診療所の受付女性は「なんかちょっと違う」とつぶやきました。画面上に表示された逆翻訳文に少し違和感を持ったようです。翻訳結果で出た外国語を再度、逆に日本語に翻訳する機能があるので、相手にどう伝わっているかがわかるのです。
今度は言い方を変えて試してみます。

診療所の受付女性:「別の日に健康保険証を持って行くことはできますか?」

VoiceBiz:(英語に翻訳)

――診療所の受付女性は、今度は「主語が違う」ことに気付きました。すると外国人患者のほうから質問がありました。

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「次回来たときに、カードを提出するということですか?」

診療所の受付女性:「そうです」

――意思疎通ができました! その後、受付の女性は整形外科へ電話し、予約を取って外国人患者を無事送り出すことができました。

診療所に訪れた咳と熱がある外国人患者

診療所の受付女性:「今日はどうされましたか?」

外国人患者:(英語で受付にあるタブレット端末のVoiceBiz®に対して話しかける)

VoiceBiz:「今朝から、車があって、それからもしかしたら熱があるかもしれません」

――咳は英語で「Cough(カフ)」と言いますが、車の「Car(カー)」と誤認識されてしまったようです。外国人患者は言葉を選んでゆっくりと言い直します。

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「今朝から、咳が出るので、熱があるような気がします」

――正しく翻訳されました。

診療所の受付女性:「家で熱は測りましたか?」

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「いいえ、体温計は持っていません」

診療所の受付女性:「今、測ってみましょう」

その後、体温を測った外国人患者は、38度の熱があることがわかり、喉が痛くめまいもするので、新型コロナウイルス感染症が疑われました。

診療所の受付女性:「この診療所では検査や受診ができません」

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「神戸の試験はどこで受けられますか?」

――今度は「Covid(コロナ)」と「神戸」が誤って認識されてしまったようです。外国人患者は、すぐさま言い直しました。

外国人患者:(英語)

VoiceBiz:「コロナウイルスの検査はどこで受けられるのですか?」

――その後、診療所の受付女性は、住んでいる地域で案内を受けるように患者に説明し、連絡先を伝えることができました。


やってみた結果、ほとんどの会話がうまくいきましたが、誤認識による誤訳もいくつかありました。ただ、「自分の言いたいことと違う」と感じても、音声認識結果、翻訳結果、その逆翻訳した文章が表示されるので、どこが違うのかをチェックして、正しく言い直すことで、意思疎通がうまくいくことがわかりました。

感想を聞いてみました!精度はどのくらい?改善点は?

終わった後、診療所の受付女性と外国人役の方に、感想を伺いました。その一部をご紹介します。

●診療所の受付女性
「短い文章になるように話す必要がありますが、慣れれば使い勝手はいいです。実際に患者さんが話す英語を聞き取りながらも、VoiceBiz®が補ってくれるので、あったほうが安心します。自分が言いたいことを伝えられるので嬉しいです」

「翻訳の精度的にはかなり高いと思います。強いて言うなら、翻訳が『ここだけ違う』と感じた部分を、一部だけ指摘できるともっといいと思いました。そうすると、少しは時間短縮になると思います」

※VoiceBiz®は、音声認識が間違っている箇所を手入力でテキスト修正することで、本来伝えたかった正しい文章を翻訳することができます。

●外国人患者役の男性
「使いやすいと思いました。翻訳の速度は非常に速い。精度に関しては、発音に応じて誤認識されますが、翻訳されたテキストが出るので、言い直したり打ち替えたりできるのはいいと思います」

「病院にVoiceBiz®があったら、外国人としては非常に嬉しいです。他に銀行口座の開設や、自治体の手続きなどの際に利用できたらいいですね」

「他にも、例えば発音ミスで誤訳された場合、『もしかしたら』と別候補を表示できる機能があればいいと思います。また、いまはコロナ禍なので、ウイルス対策として非接触で、音声だけでコントロールできればいいかもしれません。一台ずつ自分の端末を持つのもいいですね」

まとめ

今回、VoiceBiz®を試してみた結果、その翻訳精度の高さから、おおむねうまくコミュニケーションが取れることがわかりました。
上手に使うには、ある程度、慣れや工夫が必要です。コツは「滑舌よくしゃべる」「短い文章にする」「主語をきちんと言う」こと。また、すべてを会話で行うのではなく、例えば他の病院を案内したい場合、地図を用いて指し示したり、他の病院とのやりとりの仕方を紙に描いて示したりするなど、紙のツールも併用するなどの工夫でよりスムーズなコミュニケーションを行うことができるでしょう。

2022.03.31

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