働き方改革

医薬翻訳のコツ!
英語の論文を和訳するときに未経験者・初心者が知りたい訳し方のポイント

医薬論文の翻訳が苦手な方も多いのではないでしょうか。英語・日本語の語学力だけでなく、医薬の専門知識も必要な作業です。苦手なのも理解できます。今回は医薬翻訳の基本的なノウハウをまとめました。医薬翻訳が少しでも上達するように、参考にしながら勉強してみてください。

[注]本記事を作成するにあたり、下記の文献を参考にいたしました。とくに引用した例文や表現には*を付けています。『英語医薬論文の読みかた・訳しかた 新訂版』(鈴木伸二,薬事日報社,2021年2月5日第2刷)


医薬翻訳のみならず英語論文を和訳するときの基本

医薬翻訳にかぎらず、英語の論文を和訳するときは基本をまずおさえましょう。

■誰が読んでも誤解を招かない表現にする
「先生は学級委員長である太郎くんが呼んだ」

英語を読む力よりも、日本語を書く力が和訳では重要といえます。上の文章を流し読みして、「先生が太郎くんを呼んだ」と誤読した人もいるかもしれません。落ち着いて読めば、呼んだのは太郎くんで先生は呼ばれた方だとわかりますが、表現を以下のように変えて誤読を減らしましょう。

「学級委員長である太郎くんが先生を呼んだ」

■意訳をする(日本語に訳すのと日本文に訳すのは違う)
「私は速く走ることができる」

英語の授業や教科書では上記のような表現が出てきます。単語一つひとつに対応した日本語を並べて訳す「逐語訳」による文章で、「翻訳文体」の代表的な表現です。「be able to 〜」をそのまま訳したのがわかります。下記のようにシンプルに意訳すれば冗長的にならずに済むでしょう。英語をそのまま日本語に置き換えるだけではなく、日本文に直すのを意識してみてください。

「私は速く走れる」

■普段から日本語の読み書きを練習する
読み書きの練習をして普段から日本語の上達に努めましょう。普段から読んでいるニュース記事にまぎらわしい表現がないか注意したり、日頃から意識して“書く習慣”をつけたりしてください。また一度書いた文章は時間を置いて読み直すと不明瞭な点や誤字などが発見できます。単に書くだけでなく、推敲するところまでを“書く作業”として考えて練習しましょう。

医薬翻訳のときに注意したい基本

つづいて医薬翻訳をするときに注意したい基本事項もチェックしておきましょう。

■医薬系の言葉を学び、原文の理解に努める
原文に英語で書かれている内容を翻訳者が理解できていないと、日本語訳も不正確になります。たとえば「exophytic growth of tumour」*を「腫瘍の外長性増殖」*などと訳すケースがありますが、“exophytic”はGoogleの翻訳機能を使っても適切な日本語訳が出てきません。また「外長性」もよりわかりやすい表現ができないか検討の余地があります。医薬系独特の言葉を学び、理解に努めてください。

■辞典や添付文書を参照する(辞書の表記を鵜呑みにしないのも重要)
日頃から辞典や添付文書を参考にしながら医薬翻訳の練習をしましょう。ただし辞典などの日本語を鵜呑みにしないのも重要です。たとえば「SSRIs (Selective serotonin reuptake inhibitors)」*は、「選択的セロトニン再取り組み阻害物質」*と化学物質そのものと訳す場合だけでなく、服薬しやすいように製剤化された「阻害剤」*と治験や臨床試験論文などでは訳す場合があります。臨機応変に正しく書き分ける力が必要です。

医薬翻訳のときに理解しておきたい日本語の特性

日本語の特性を理解しておくと、医薬翻訳のときに誤解が生じない正しい文章を書けるようになるでしょう。たとえば下記のような特性に注意してみてください。

■主語がなくても通用する
主語がなくても通用するのは日本語の特性です。川端康成の『雪国』の書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」をご存知の人も多いかもしれません。この文には主語がないため、物語の主人公の視点だと語る人もいれば、トンネルを進む列車が主語だと語る人もいるでしょう。

■日本語表現の曖昧さ
日本語の曖昧さを表す代表として「友達」が挙げられますが、男性か女性かがわかるように言葉が変わる言語があるのです。例外的に英語でも「friend」と日本語と同じような言葉を使いますが、ドイツ語では男性の友達を「Freund」・女性の友達を「Freundin」と呼びます。

■単数・複数の概念がない
上の延長になりますが、イタリア語で友達を示すときは性別だけでなく単数・複数で言葉が変わります。男性単数は「amico」・女性単数は「amica」・男性複数は「amici」・女性複数は「amiche」です。英語でも複数形を示すときには、「s」や「es」などを語尾に付けたりそもそものスペルが不規則に変わったりします。日本語には単数・複数の概念がないため特性として理解しましょう。

■日本語独特の表現
日本語独特の表現は具体的に挙げだせばキリがありません。ことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語として知られる言葉などが該当します。英語や医薬系の言葉だけでなく、日本語の表現の理解にも努めましょう。

医薬翻訳における表現レベルでの注意点

基本事項はすでに紹介しましたが、医薬翻訳の具体的な注意点も紹介します。ただし下記にまとめたのは一例に過ぎません。文献やネットを参考にしながら、ご自身でもさまざまなテクニックを身につけていってください。

■boy/girlの性別の区別を検討する
性別の区別がつけられているときは、訳に落とし込むかを検討しましょう。たとえば「boy」と「girl」はかならず区別するのが基本です。また単に「子ども」とするのではなく「新生児」や「乳幼児」とするとしっくりきます。逆に「妊婦」の場合は「女性患者」などと性別を表現する必要はありません。

■単数・複数の区別は機械的に行わずにケースバイケースで考える
医薬翻訳のときは単数・複数の扱いに細心の注意を払ってください。たとえば「eye」や「eyes」を単純に「目」と訳すと、両目・片目、右目・左目の区別ができなくなってしまいます。反対に、「the indications of this drus are …」*のような文章では、あとに疾患名や症状が複数つらなりますが、「本剤の適応症は…」*だけで単数・複数の区別をしない場合もあります。「本剤の複数の適応症は…」*や「本剤の適応症(複数)は…」*などとわざわざ表記はしないのです。機械的にすべての表現を統一するのではなく、ケースバイケースで考えましょう。

■行政機関や研究所の名前は日本にある該当機関名を参考にする
行政機関や研究所の名前を訳すときは、正しい表記を検討してください。日本での該当機関名を借用したり、日本にある別機関の名称を参考にしながら考案して記載したあとに原文をカッコ書きしたりするのがよいでしょう。

■カタカナの表記も辞典・関連書籍で確認
医薬の用語をカタカナにするのは簡単そうに思えるかもしれません。しかし「insulin」*は、以前は「インシュリン」*と表記されていましたが、現在では「インスリン」*とするのが一般的です。また医薬品名の場合は、日本語表記に一貫性がない場合もあります。辞典や関連書籍で確認するようにしましょう。

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2022.03.24

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