ファクトブックとは?
活用方法や作成のポイントをご紹介
企業の広報・PR部門が、メディア関係者向けに作成した資料の中に「ファクトブック」と呼ばれるものがあります。
メディア関係者向けの資料といえば、プレスリリースを思い浮かべる方が多いと思いますが、両者の違いは、記されている情報の密度と深度です。目を通せば、短時間でその企業の「いま」を知ることができるツール、それがファストブックなのです。
今回は、ファクトブックの概要やメリットと活用方法、そして、作成時に付随して生じる社内資料のデータ化の課題解決策まで、一挙にご紹介します。
ファクトブックとは?
ファクトブックは、企業や団体がメディア・報道関係者や投資家向けに作成するPR資料の一つです。
企業を取り巻く事実やデータを網羅的にまとめて記載するのが一般的で、事業内容、沿革、業績、製品・サービスに関する情報とともに、業界トレンドや市況、売れ行き状況、お客さまからの声などのデータを掲載します。
沿革に言及する過程で企業の歴史・過去の社内外広報資料を掲載する場合もあり、企業の過去から現在、そして見据える未来について知り得ることのできる資料ともいえます。
●ファクトブックの基本的な内容
基本的に、ファクトブックには、次のような内容を記載します。
・事業内容、商品・サービスの情報
・事業や商品を通じて解決したい社会課題
・業界におけるポジション、差別化ポイント
・客観的データ(事業にまつわるデータや商品別の売上高・シェア・販売数など)
・創業・設立の経緯、代表者の経歴
・従業員数などの社内情報
沿革や過去の製品の情報などについては、社内で保管されている資料、例えば会社案内やプレスリリース、社史などを活用して情報に厚みを持たせます。
●従来のPR資料やプレスリリースとの違い
PR資料の代表としてのプレスリリースは、企業活動や商品などの最新情報を告知するのが目的ですが、ファクトブックはプレスリリースなどで示された情報の背景やトレンドなど、より深い情報を掲載して企業活動や商品などのファクト(事実)を整理してまとめたものなので、プレスリリースを補完する役割も果たします。
会社の歴史を載せることからも社史と似ているように思われますが、目的や読者対象が異なる分、編集方針や掲載すべき情報も変わります。メディアが取り扱いやすいような、企業活動や商品にまつわる数的根拠や事実を元に情報をまとめた資料と捉えると理解しやすいのではないでしょうか。
●ファクトブックの作成が進んでいる背景
「ファストブックなんて本当に必要なの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。事実、これまでもそうだったように、企業によっては既存のパンフレットや営業用の会社案内をメディアへの説明資料として使用しているケースも少なくはありません。ご想像の通り、広報PR用のファクトブックを作成するには多くの時間と労力を必要とします。既存の資料で済ませられるのなら、それに越したことはないでしょう。
しかし、客観的なデータとともに自社を紹介するファクトブックによって取材される機会が増えて、深掘りされた記事が世に出る。そのことによって売上が上がり、優秀な人財の獲得につながった―というような競合他社の情報が耳に入れば、広報担当としては「私たちも作らなければ……」となるわけです。
また、昨今では自社の従業員がSNSなどのオウンドメディア運営を管理するというケースも増えています。その際、ファストブックが手元にあれば、業務がスムーズに回り、引継ぎなどを行う際にも役立ちます。
企業にとって攻めの情報発信が重要視されている時代の流れの中、ファストブックが重宝されるようになってきたのだと考えられます。
ファクトブックを作成するメリットと活用方法
次に、ファクトブックを作成する際のメリットと活用方法をご紹介します。
●自社の社員がメディア記者からの取材にスムーズに対応できる
メディアから一般的な記事の取材依頼を受けた際、自社の歴史や商品の開発秘話などの詳しい情報の提供を求められることがあります。そのようなときに、ファクトブックが役立ちます。もしファクトブックの用意がなければ、過去のプレスリリースや社内資料を集める必要性が生じ、情報不足が生じたり、データの精査などに手間取ったりしてしまいます。その点、ファクトブックがあれば、そうした煩わしさが一掃され、取材もスムーズにいくでしょう。
また、ファクトブックには、プレスリリースなどにはない、差別化ポイントや開発秘話なども掲載されているため、自社や商品のさらなる価値を見出してもらえる可能性があります。
●メディアを訪問するときの資料として活用できる
企業が自社のPRを行いたい場合には、「メディアキャラバン」と呼ばれる、自らメディアを訪問して、自社の情報を伝える機会を設けることがあります。
メディアキャラバンの際にも、ファクトブックは役立ちます。
●投資家向けには価値や透明性・信頼性向上が期待できる
ファクトブックは、投資家に配布されることもあります。この場合、投資の客観的資料として役立つことでしょう。自社の価値を再発見・発掘してもらえる可能性もあります。
●社内資料を見直すきっかけとなる
先述の通り、ファクトブックの作成時には社内資料を活用することになりますが、活用するためには「いまどんな資料があるのか」「どれが使えるのか」などを精査することが必要です。膨大に蓄積された社内資料全体を見直すきっかけにもなり得るのです。
ファクトブックの作り方のポイント
ファクトブックを作成する際には、ぜひ次のポイントを押さえることをおすすめします。
●根拠、信頼性のあるデータを利用する
ファクトブックの大きな特徴は、客観的事実やデータが網羅的に掲載されていることです。そのため根拠と信頼性のあるデータを元にしなければなりません。
社内資料を精査する際、会社案内やパンフレット、過去のプレスリリース、社史などは、すでに公的に発信された内容なので、利用しやすいと考えられます。情報の精査とともに、隅々まで使えるデータを見つけ出すためにも、一度、社内資料全体を洗い出して整理することをおすすめします。
●自社だけでなく業界情報も盛り込む
ファクトブックは会社案内とは異なります。メディア関係者などの読み手には、自社が業界のどのポジションにあり、どのような強みを持っているのかなど、「業界や市場の中の一企業」という観点で捉えてもらうことが重要です。そのため、業界全体の最新トレンドや市場ニーズなどの情報も盛り込んで、記者がすぐに記事の執筆に着手できるように工夫してみましょう。
●展開にストーリー性を持たせる
ファクトブックは、ただのデータの羅列資料ではなく、PRのための資料です。そのため、メディア関係者が目を通したときに、興味を引くような構成や展開であるとより一層、効果的と考えられます。よくいわれるのは、展開にストーリー性を持たせることです。
まずは、業界や自社の課題を明確に示し、それに対し、自社がどのようなアプローチで解決や社会貢献に臨んでいるのかを解説します。そして、今後の展望などで締めるなどすれば、より印象深い資料になるでしょう。
●専門家(人)に語らせる
確かな情報を紡ぐことに加え、例えば、業界に通じた専門家や有識者、商品開発のリーダー的役割を果たした担当者などのインタビューを掲載するのも有用です。そうした企画記事を挿入することで信頼性や話題性が高まり、メディアに取り上げられやすくなる可能性があります。
ファクトブック作成 5つのステップ
メディアや投資家へ自社の価値を正しく伝える「ファクトブック」。企業の信頼性を高めるには、客観的事実に基づいた論理的な構成が不可欠です。この章ではファクトブック作成の流れを5つのステップに整理して解説します。
●目的とターゲットの明確化(企画・設計)
まずはこのファクトブックで「誰に」「何を」「何のために」伝えるのかを定義します。メディア向けならニュース性や社会的意義、投資家向けなら成長戦略や市場優位性を重視するなど、読み手のニーズに合わせてコンセプトを設計しましょう。
ここでファクトブックの目的と構成の全体像を描き、企業理念、ビジネスモデル、市場環境、競合優位性、代表者略歴などの掲載すべき必須要素を詳細に洗い出しておきます。
●情報収集とエビデンスの確保
設計に基づき、社内外から客観的な事実(ファクト)を徹底的に収集します。
先述のポイントでも挙げたように、社内にある過去のプレスリリースや社史、パンフレットなどは信頼性が高い資料です。そのほか、社内インタビューによる開発秘話やビジョン、公的機関の統計データ、市場調査レポートなど、信頼性の高い情報も、構成に合わせて集めていきます。
ここで重要なのは「主観的なアピール」ではなく、「客観的な数値・根拠」に基づいていることです。情報の鮮度にも細心の注意を払い、最新かつ正確なデータを揃える作業が、ファクトブックの信頼性を決定づけます。
●構成案の作成とライティング
収集した情報を整理し、論理的でストーリー性のあるファクトブックの構成案を作成します。
目次を決定してから執筆に入りますが、多忙な記者が要点を瞬時に把握できるよう「結論先行」を意識しましょう。専門用語の多用は避け、業界外の人が読んでも理解できる平易な表現を心がけます。
単なるデータの羅列に終わらせず、ファクトブックを読んだ人に企業の強みや社会的価値が自然と伝わるような構成・文脈を意識してみてください。
●デザインと情報の可視化
テキストだけでは伝わりにくい情報を、グラフ、図解、写真を活用して視覚的に表現します。売上推移やシェアなどの数値データはグラフ化し、複雑なビジネスモデルはインフォグラフィックで解説するなど、直感的な理解を促す工夫を凝らします。
ファクトブックは企業の顔になります。企業のブランドイメージに合わせた配色やフォントを選定し、適度な余白を活かしたレイアウトで見やすさを確保することで、読み手の負担を減らし、活用しやすい資料に仕上げます。
●校正・承認と更新サイクルの確立
誤字脱字のチェックに加え、数値やデータの出典・正確性を厳密に校正します。必要に応じて法務確認や広報・経営陣の承認を得て完成させます。
しかし、ファクトブックは一度作って終わりではありません。決算発表や新サービス開始、市場環境の変化に合わせて定期的に情報を更新する必要があります。常に最新の状態を保つことが、メディアやステークホルダーとの長期的な信頼構築に繋がります。
今回の作成フローを記録に残す、定期的なコンテンツ更新を業務として組み込むなどの仕組みづくり・運用ルールも定めておきましょう。
ファクトブック作成の課題〜紙資料のデータ化は高精度OCRで解決
ファクトブックを作成するに当たっては、社内の紙資料を掘り起こす作業を行うのが一般的です。その際、次のような課題を前にして逡巡してしまうのではないでしょうか。
●「利活用しづらい紙資料」という課題
社内に蓄積された膨大な紙資料は、確かにファクトブックの貴重な資料になり得ますが、そのままの状態では必要な情報に素早くたどり着けず、活用するには手入力でのテキスト化が必要になり、膨大な手間と時間がかかります。
この課題は、効率的にテキスト化することで解決できます。
●高精度OCRならテキスト化が容易に
昨今、紙資料のテキスト化には「OCR(光学文字認識)」が利用されるようになりました。紙の書類をスキャナやカメラで撮影した画像データから文字情報(テキストデータ)を抽出する技術です。
ファクトブックの参照元となるプレスリリースや社史などの社内資料は、高精度なOCRによってテキスト化することをおすすめします。検索性が上がり、データとして取り扱えることから、大幅に手間を省くことができます。
TOPPANの高精度OCRサービスでは、独自のOCRシステムと校正システムにより、精度の高いテキストデータを生成します。txt、PDF、HTML、Excelなど、多彩なデータ形式に変換できるため、テキスト化後の業務効率化にも寄与します。
また広報部門では、整理されていない紙資料がロッカーや倉庫に眠っているという課題も抱えがちです。TOPPANでは広報資料のデータベース化のお手伝いも可能です。
まとめ
ファクトブックは、メディア関係者や投資家向けの便利かつ重要なPR資料です。日頃から発信しているニュースリリースなどでは伝えきれていない自社の詳しい情報を載せたファクトブックを作成しておけば、あらゆるシーンで活用できるでしょう。
またファクトブック作成の取り組みは、作成に必要になる社内資料の見直しと精査、テキスト化を行う絶好の機会です。
社内の紙資料のテキスト化については、ぜひTOPPANの高精度OCRサービスにお任せください。
TOPPANの高精度OCRサービスでは、ファクトブックやプレスリリースの高精度なOCRデータ化を実現できるのはもちろん、広報資料のデータベース化も可能です。実際に、多くのプレスリリースや社史のデータ化のご依頼をいただいております。ぜひともお気軽にご相談ください。
2025.03.07