コラム

介護で転倒を予防するには?防止対策と高齢者が転倒する原因を解説

■高齢者の転倒はなぜ危険?
■高齢者が転倒する原因
 1|加齢による身体機能の低下
 2|病気や薬の影響
 3|運動不足
■介護で高齢者の転倒を予防するには?
 1|バランスの良い食生活
 2|運動
 3|生活環境を整えることも重要
■【高齢者が転倒しやすい場所別】防止対策
 1|リビング・居間
 2|玄関
 3|廊下・階段
 4|寝室
 5|浴室
 6|外出先
■高齢者の転倒防止には介護見守りシステム「Sensing WaveⅡ」がおすすめ 4
■まとめ


高齢者の転倒は重大な事故につながる危険性があり、介護する上で予防策を講じることが重要です。
本記事では、高齢者が転倒する原因と、食事や運動、生活環境の整備など転倒を予防する具体的な方法について解説します。

また、リビングや浴室など高齢者が転倒しやすい場所ごとの対策や、介護見守りシステム「Sensing WaveⅡ」のご紹介もしていますので、転倒予防に役立てていただければ幸いです。
高齢者の安全と自立した生活を守るために、ぜひ参考にしてみてください。

ー高齢者の転倒はなぜ危険?ー

高齢者の転倒は大きな危険を伴います。
加齢によって筋力や骨密度が低下するため、転倒した際に骨折などの重大なケガにつながりやすいのです。
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、介護が必要になった原因の第3位が「骨折・転倒」で、全体の約14%を占めています。

転倒によるケガが原因で、そのまま寝たきりや要介護状態になるリスクが高いのです。
内閣府の報告でも、高齢者の転倒事故の危険性について注意喚起がなされています。

高齢者が転倒すると、以下のようなリスクがあります。

・骨折や頭部外傷などの大ケガ
・入院や安静期間の長期化による更なる筋力低下
・寝たきりや要介護状態への移行
・認知機能の低下
・外出への不安から活動量が減少し、健康状態が悪化

転倒は高齢者の心身に大きな影響を与え、QOLの著しい低下につながります。そのため、日頃から転倒予防策を講じることが非常に重要なのです。

ー高齢者が転倒する原因ー

高齢者の転倒には、次のようなさまざまな要因が関係しています。

・加齢による身体機能の低下
・病気や薬の影響
・運動不足

ここでは、それぞれの原因について解説します。

加齢による身体機能の低下

高齢になるにつれ、筋力や柔軟性、バランス感覚などの身体機能が徐々に衰えていきます。これによって転倒のリスクが高まるのです。

具体的には以下のような変化が起こります。

・筋力の低下により、姿勢を保持したり体勢を立て直したりすることが難しくなる
・関節の可動域が狭くなり、思うように体を動かせなくなる
・感覚機能の低下で、足元の状況を正確に把握できなくなる
・瞬発力の低下により、つまずいた時に踏ん張れなくなる

このような身体機能の低下は、高齢者の転倒原因として大きな割合を占めています。
加齢に伴う変化を理解し、日頃からケアしていくことが転倒予防につながるのです。

病気や薬の影響

パーキンソン病や脳血管疾患などの病気、服用している薬の副作用によっても転倒リスクが高まることがあります。例えば以下のような場合です。

・パーキンソン病による体の震えや固縮で、バランスを崩しやすくなる
・脳血管疾患の後遺症で、麻痺などの運動障害が起こる
・降圧剤などの薬の副作用で、ふらつきや立ちくらみが起こる

高齢者は複数の病気を抱えていることが多く、数種類の薬を服用しているケースも少なくありません。
病気や薬の影響を把握し、主治医とよく相談しながら転倒のリスクを下げていくことが大切です。

運動不足

加齢とともに体を動かす機会が減り、運動不足に陥りやすくなります。
運動不足は筋力低下を招き、転倒リスクを高める大きな要因となります。

運動不足が続くと以下のような悪循環に陥ります。

・筋肉量が減少し、体を支える力が弱くなる
・関節の動きが鈍くなり、スムーズな動作ができなくなる
・全身の調整力が低下し、バランスを崩しやすくなる
・活動量が減ることで、更に筋力や体力が落ちていく

逆に、適度な運動を続けることで筋力を維持し、転倒のリスクを下げることができます。
年齢に合わせて無理なく体を動かす習慣をつけることが、転倒予防の鍵を握っています。

ー高齢者の転倒を予防するには?ー

高齢者の転倒を予防するためには、以下のような方法が有効です。

・バランスの取れた食事で、骨や筋肉の健康を維持する
・適度な運動により、筋力やバランス感覚を保つ
・生活環境を整え、転倒リスクを取り除く

ここでは、栄養面と運動面でのアプローチ、そして生活環境の整備について詳しく見ていきましょう。

バランスの良い食生活

転倒予防には、骨や筋肉の健康維持が欠かせません。そのためには、バランスの取れた食生活が重要です。特に以下の栄養素を意識的に摂ることが大切です。

・カルシウム:骨の主成分。乳製品、小魚、大豆製品などに多く含まれる
・たんぱく質:筋肉を作る材料。肉、魚、卵、大豆製品などが良質なたんぱく源
・ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける。魚、きのこ類 に多く含まれる

これらの栄養素を過不足なく摂ることで、丈夫な骨と筋肉を作り、転倒のリスクを下げることができるでしょう。

運動

筋力やバランス感覚を保つためには、適度な運動が欠かせません。高齢者でも無理なく続けられる運動を選ぶことが大切です。例えば以下のような運動が転倒予防に効果的です。

・ストレッチ:関節の可動域を維持し、ケガを防ぐ
・筋力トレーニング:下肢や体幹の筋肉を鍛えることで、バランスを保ちやすくする
・バランス運動:片足立ちなどで平衡感覚を養う
・ウォーキング:下肢の筋力維持と全身持久力のアップを図る

これらの運動を、年齢や体力に合わせて無理なく行うことが、転倒予防のポイントです。

生活環境を整えることも重要

転倒を予防するには、生活環境を整えて転倒リスクを取り除くことも重要です。具体的には以下のような対策が挙げられます。

・床の段差をなくす、または段差に気付けるよう目立つテープを貼る
・滑りやすい場所には手すりを取り付ける
・照明を明るくし、足元が見えるようにする
・通路には物を置かず、スムーズに移動できるようにする

このように生活環境を整備することで、高齢者が安全に生活できる空間を作ることができます。次の章では、もう少し具体的な転倒防止対策を見ていきましょう。

ー【高齢者が転倒しやすい場所別】防止対策ー

高齢者の転倒事故は、住み慣れた自宅でも起こりやすいものです。ここでは、家の中や外出先など、場所ごとの転倒リスクと具体的な防止策を見ていきましょう。

リビング・居間

リビングや居間では、以下のようなものが転倒のリスクになります。

・電気コードや延長コード
・カーペットの端や敷物のめくれ
・床に置かれた新聞や雑誌
・家具のとがった角

これらのリスク対策としては、以下などが有効です。

・コードは壁際にまとめ、つまずかないように配置する
・カーペットは滑り止めシートで固定し、めくれを直す
・床の上には物を置かず、整理整頓を心がける
・家具の角にはクッションを取り付ける

玄関

玄関では、以下のような点に注意が必要です。

・段差や敷居
・濡れたタイルやコンクリート
・靴の脱ぎ履き

リスク対策としては、以下などが挙げられます。

・段差をスロープにする、目印シールを貼る
・雨天時は、出入り口に滑り止めマットを敷く
・靴の脱ぎ履きは、座って行う

廊下・階段

廊下や階段では、以下のような点がリスクになります。

・手すりのない階段
・滑りやすい床材
・暗がりや急な明るさの変化

これらのリスクには以下の対策が有効です。

・両側に手すりを設置する
・滑り止めテープを貼る、カーペットを敷く
・センサー式の照明を設置し、足元を明るく保つ

寝室

寝室では、以下のような状況で転倒しやすくなります。

・ベッドから立ち上がるとき
・寝具に足を取られる
・夜間のトイレ歩行

対策としては、

・ベッド柵を設置し、立ち上がりの補助にする
・寝具は床に落ちないよう、きちんと整える
・夜間用のフットライトを設置し、足元を照らす

などが効果的です。

浴室

浴室は、水で濡れて滑りやすいため、非常に転倒リスクが高い場所です。

・浴槽の出入り
・濡れた床での歩行

これらのリスク対策は、以下が有効です。

・浴槽内外に手すりを取り付ける
・浴槽内に滑り止めマットを敷く
・床全体に滑り止め加工を施す

外出先

外出先でも、様々な転倒リスクが潜んでいます。

・段差や凹凸のある道路
・店内の滑りやすい床
・エスカレーターや電車の乗降

これらのリスクへの対策としては、以下が挙げられます。

・杖や歩行器を使って、安定した歩行を心がける
・濡れた床や凍結した道は、特に注意して歩く
・エスカレーターでは、手すりにしっかりつかまる

以上のように、場所ごとの特性を理解し、適切な対策を講じることが、高齢者の転倒防止につながります。

ー高齢者の転倒防止には介護見守りシステム「Sensing WaveⅡ」がおすすめー

高齢者の転倒事故を防ぐには、適切な見守りとタイムリーな対応が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、TOPPAN株式会社の介護見守りシステム「Sensing WaveⅡ」です。

Sensing WaveⅡは、ベッドのマットレスの下にセンサーを設置し、居室内にカメラを置くだけで、利用者の状態をリアルタイムで確認できるシステムです。センサーが利用者の心拍数や呼吸数、離床状況などを検知し、異常があればお知らせします。カメラ映像とあわせて状況を把握できるため、適切な対応が可能になります。

この製品の特徴は、何と言っても導入の簡便さです。専用のサーバーやアプリは不要で、既存のPCやタブレット、スマートフォンで情報の閲覧ができます。センサーの設置も、コンセントに挿すだけなので工事は必要ありません。手軽に導入できることから、介護施設での利用に適しています。

また、離床検知の速さも大きな特徴のひとつです。Sensing WaveⅡは、利用者の離床を平均3秒で検知。素早い検知により、離床センサーとしても有用です。

こうした特徴から、Sensing WaveⅡは、介護施設で転倒リスクの高い利用者の見守りを強化したい場合におすすめです。転倒予防や事故対応の改善を目指す介護施設には、ぜひ導入を検討いただきたいシステムです。

ーまとめー

高齢者の転倒は、大きなケガや寝たきりのリスクにつながる危険な事態です。
転倒の原因には、加齢による身体機能の低下や病気・薬の影響、運動不足などがあります。
これらのリスクを減らすには、バランスの取れた食事や適度な運動、生活環境の整備が重要です。

また、リビングや浴室など場所ごとの対策も欠かせません。転倒防止のために介護見守りシステムを導入することで、リスクを早期に発見し、事故を未然に防ぐことができます。
高齢者の安全と自立した生活を守るには、転倒の危険性を理解し、適切な予防策を講じることが求められます。

2024.08.08

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