介護ロボットが普及しない理由と解決策とは?
介護現場を助け、被介護者も安心感が得られる介護ロボットですが、実際は日本で普及が進んでいないといえます。
今回は、介護ロボットが普及しない理由と解決策をご紹介します。
<目次>
■介護ロボットの普及が進んでいない現状
1|介護ロボットとは?
2|介護ロボットの導入状況
■介護ロボットの普及が進まない理由とは
1|導入コストが高い
2|現場ニーズから離れている
3|介護ロボットに関する情報が少ない
4|現場職員のリテラシーが追いつかない
■介護ロボット普及のための課題解決策
1|「導入コストが高い」課題に対する解決策
2|「現場ニーズからと離れている」課題に対する解決策
3|「介護ロボットに関する情報が少ない」課題に対する解決策
4|「現場職員のリテラシーが追いつかない」課題に対する解決策
■介護ロボット導入のために介護事業者ができること
1|補助金を利用する
2|介護ロボットの活用ノウハウ習得
3|介護ロボットを取り扱える人材の受け入れ
4|相談窓口の利用
5|戦略的に活かす体制づくり
■まとめ
ー介護ロボットの普及が進んでいない現状ー
介護ロボットは介護スタッフの業務負荷軽減や、利用者のQOL向上に繋がります。メリットは多くあるにもかかわらず、日本では普及が進んでいないのも事実です。
まず、介護ロボットとは何か説明した上で、導入状況をご紹介します。
介護ロボットとは
介護ロボットとは、ロボット技術が用いられた利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器のことです。
厚生労働省が示す「ロボット」の定義である「情報を感知(センサー系)」「判断し(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」の3つの要素技術を有する、知能化した機械システムです。
主に介護職の人手不足の問題を解決する一手段として導入が推進されています。
介護ロボットの例としては、見守りセンサー、装着型パワーアシストや歩行アシストカート、自動排せつ処理装置などが挙げられます。
介護ロボットの導入状況
公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」では、事業者向けの介護ロボットの導入に関する問いについて、全事業者数8,742件のうち、80.9%が未導入であると回答しています。
この結果を見る限り、介護ロボットの導入が進んでいるとは言いがたいところがあります。
また介護保険サービス系型別でみると、最も導入が進んでいるのは「施設系(入所型)」の事業者で、介護ロボットの種類別に見ると「見守り・コミュニケーション(施設型)」の介護ロボットの導入率が13.9%と最も高い結果となっています。
ー介護ロボットの普及が進まない理由とはー
介護ロボットの普及が進まない理由には、どのようなことがあるのでしょうか。主な要因を見ていきましょう。
導入コストが高い
福祉用具を導入するのと比較して、介護ロボットはそう簡単に導入を決断できないほど、割高に感じられるところがあるようです。
また高額な機器や設備導入の際には、費用対効果が求められますが、情報不足や成功事例に触れる機会が少ないことから、それほど効果を実感しにくい現状もあると考えられます。
現場ニーズから離れている
操作性や機能面から、現場視点として「あまり導入したいとは思わない」という理由もあるようです。
例えば、介護施設ではさまざまなサービスが提供されますが、部分的には役立っても、他のサービスと折り合いがつかない、設備を保管するスペースがない、被介護者へのホスピタリティが欠けるといった懸念点の方が大きくなると、必要性を感じなくなることが考えられます。
介護ロボットに関する情報が少ない
そもそも介護ロボットについてよく知らなかったり、詳細について知る機会に乏しく、検討段階まで至っていなかったり、自分ごと化できていなかったりすることもあるようです。
情報が少なければ検討にまで至ることはむずかしいでしょう。また身近なところで成功事例がまだ少なく、機能面や安全面など、効果の点で不安が大きいところがあると考えられます。
現場職員のリテラシーが追いつかない
介護ロボットというとイメージされるのが、高度なテクノロジーが使われており、操作や技術に関する専門知識を要するのではないかということです。
実際には介護ロボットによってその知識やスキル習得の必要性は異なりますが、その習得のハードルが高いことが懸念されています。
多忙な現場では、スキルを身につける時間が限られていると感じられることが多いようです。
ー介護ロボット普及のための課題解決策ー
今後、介護ロボットが普及していくためには、課題を一つ一つ解決していく必要があります。そこで、先述の主な課題に対する解決策を挙げます。
「導入コストが高い」課題に対する解決策
導入コストが高いという点については、まず補助金や助成金事業の拡充や認知度向上が挙げられます。導入費用ができるだけ抑えられれば、最初のハードルは超えられます。
一部の自治体では介護ロボット導入に対する補助金・助成金事業を実施しているため、その利用促進が求められます。
さらに、介護ロボット開発・提供事業者が、できるだけ販売価格を下げる工夫をすることが求められます。機能を最低限にとどめたり、開発・生産コストを抑える取り組みを行ったりする努力が必要になるでしょう。
「現場ニーズからと離れている」課題に対する解決策
現場のニーズと合わない課題については、介護ロボット開発事業者が積極的に現場ニーズを汲み取り、軽量化や小型化、使いやすさや被介護者へのホスピタリティの追求などを行うことが求められます。
また開発の初期段階から現場を巻き込んで開発していく取り組みも重要といえます。
「介護ロボットに関する情報が少ない」課題に対する解決策
介護事業者の間で情報が少ないという課題に関しては、介護ロボット開発・提供事業者が積極的に情報発信していくことが求められます。
むずかしそうなイメージが強いと考えられるため、漫画や動画、アニメーションなどを駆使して親しみやすい方法でわかりやすく伝えるといった工夫も必要でしょう。
成功事例は確かに存在するため、事例を積極的に発信していく取り組みも有効と考えられます。
「現場職員のリテラシーが追いつかない」課題に対する解決策
現場職員のリテラシーが追いつかないという課題については、理解度向上のための工夫がポイントになります。
例えば介護ロボット開発・提供事業者が介護ロボット導入や利用方法の研修・セミナーを開催する、導入を検討している介護事業者向けに相談窓口を設置することなどが挙げられます。
ー介護ロボット導入のために介護事業者ができることー
介護ロボット導入のために介護事業者ができることにはどのようなことがあるのでしょうか。主な方法をご紹介します。
補助金を利用する
費用面のハードルがあるとどうしても検討がむずかしくなります。補助金や助成金情報を常日頃から収集し、利用することが現状の対策となるでしょう。
介護ロボットの活用ノウハウ習得
介護ロボットに関する情報をできるだけ多く収集し、事業所内で積極的に情報共有するだけでも変わってきます。
「教育」となるとハードルが高い場合には、徐々に活用方法を共有する機会を設けるようにするのも良いでしょう。
介護ロボットを取り扱える人材の受け入れ
介護ロボットを取り扱うのに必要な知識やスキルを持ち合わせた人材を受け入れることも一案です。そうした人材を中心に知識やスキルが他の職員にも広がっていく可能性もあります。
相談窓口の利用
厚生労働省は「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」として介護ロボットに関する相談を受付する窓口を全国に設置しているため、利用するのもおすすめです。
戦略的に活かす体制づくり
介護事業者が自ら経営戦略として、自発的かつ長期的に介護ロボットを上手に活かすことも重要になってきます。
今後の発展のために、組織として介護ロボット利活用に関するマネジメント体制を構築するなどの体制づくりを行う事業者も出てきています。
ーまとめー
介護ロボットは、国内でまだまだ普及の余地があります。課題を一つ一つクリアしていくことで、介護ロボットの価値がより多くの介護事業者や被介護者に浸透し、普及につながっていくものと考えられます。
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2024.06.12