コラム

介護施設の見守りとは?
目的から課題を解決する見守りシステムまで一挙解説!

介護施設における業務の一つ「見守り」は、深刻な人手不足などの課題を背景として効率化が求められています。
そのような中、希望が見出されているのが、見守り支援システム・ロボットの活用です。

今回は介護施設における見守りの目的や注意点、課題、課題解決策となる見守り支援システム・ロボットやその導入効果をご紹介します。

<目次>

■介護施設の見守りとは
 1|見守りの方法
■介護施設における見守りの目的
 1|転倒や誤嚥などの事故を防ぐ
 2|急な体調不良に備える
 3|利用者のADLを引き出す
■介護施設における見守りの注意点
 1|行動の先読み・想定による事前予防策を怠らない
 2|監視されていると感じさせないようにする
■介護施設の見守りの課題
 1|人手不足による常時の業務負荷で見守りが困難
 2|夜間巡視における見守りの負荷が高い
 3|見守り機器への利用者の不満
■介護施設の見守りの課題を解決する見守り支援システム・ロボットとは
 1|見守り支援システム・ロボットとは
 2|見守り支援システム・ロボットの機能
■見守り支援システム・ロボットの具体例
 1│見守りカメラ
 2│センサーマット
 3│バイタルセンサー
■見守り支援システム・ロボットの導入効果
 1|ロボット代行による業務の効率化
 2|不測の事態の抑止
 3|ケアの質の向上
■まとめ

ー介護施設の見守りとはー

介護施設の見守りとは、介護職員が利用者のそばにつき、利用者の安全を守るために、必要な援助がいつでも行えるようにすることを指します。

介護職員は常に利用者の様子や言動を観察してリスクを徹底予防し、安全な生活を確保することが重要です。

見守りは、介護施設の業務の中でも重要度の高い業務といえます。

見守りの方法

一般的な見守りの具体的な方法としては、下記のようなものが挙げられます。

・前もって各利用者の心身機能や動作能力を理解し、常に利用者の行動予測をする
・事故や急変時の対応を予習して準備しておくこと
・何か特別な変化があればその都度職員同士で情報共有を行い、安全防止に役立てること
・見守り支援システム・ロボットの導入により、業務効率化を図ること    など

それぞれの施設にあった見守り方法で、利用者の見守りを強化して安心安全を提供することが求められます。

ー介護施設における見守りの目的ー

介護施設において、見守りは次のような目的で行われています。

転倒や誤嚥などの事故を防ぐ

利用者の中には、生活の中における転倒や転落、食事の際の誤嚥などのリスクがある方もいることから、それらのリスクを常に把握し、利用者の様子や言動を観察して、安全な生活を提供する必要があります。

例えば、転倒リスクのある方に対しては、介護職員による見守りを徹底していることで、事前に離床介助等で事故を防ぐことができます。

急な体調不良に備える

持病などの基礎疾患を持っている方もいるため、急な体調不良が起きる恐れがあります。
特に体調が不安定なタイミングでは、より見守りが強化されています。

利用者のADLを引き出す

見守りは、ただリスクを予防するだけでなく利用者のADL向上にも役立ちます。
ADLとは「Activities of Daily Living」の略で「日常生活動作」と呼ばれるものです。
日々の起床から着替え、食事、トイレなど、最低限必要な動作を指します。

要介護度の判断基準ともなるため、ADLを向上させることが、利用者のQOL向上にもつながります。

ー介護施設における見守りの注意点ー

介護施設で見守りを行う際には、注意点があります。

行動の先読み・想定による事前予防策を怠らない

見守りは、その都度、利用者を見守るイメージがありますが、それだけではなく、利用者の行動を先読みして事前にリスクを予想することも重要です。

例えば、歩行器を使用しながら歩いている利用者を先読みし、障害物となるものを取り除いておいたり、角のある場所では角に当たらないように緩衝材をつけておくなどすることが考えられます。

監視されていると感じさせないようにする

見守りでよく問題となるのが、見守りに対して利用者が監視されていると感じてしまうことです。
だからといって、見守らなければ、事故の回避などができません。
利用者の尊厳や自立のことも考えて慎重に行う必要があります。

ー介護施設の見守りの課題ー

介護施設の見守りでよくある課題をご紹介します。

人手不足による常時の業務負荷で見守りが困難

人手不足によって、常時、介護職員の業務が手一杯になっていることは多くの施設に共通しています。
日中に利用者の食事やトイレ、衣服の着脱、掃除や洗濯などを行いながら、見守りまで行うことがむずかしいケースもあります。

夜間巡視における見守りの負荷が高い

夜間に各居室を訪室する夜間巡視によって見守りを行う施設は多くありますが、負荷が高いという課題はよくあります。
近年は、夜間業務の不可が高いだけでなく、夜勤をするスタッフが不足していることも課題になっています。

また、利用者を起こしてしまったり、監視されているかのように思わせてしまったりする不安もあります。

見守り機器への利用者の不満

見守り機器を導入して見守りを効率化する試みが行われていますが、心拍数などの測定のために体に装着するものは、利用者にとって負担になるケースもあります。
非接触で睡眠状態や心拍数を計測できる見守りシステムの検討も必要といえます。

ー介護施設の見守りの課題を解決する見守り支援システム・ロボットとはー

介護施設の見守りにまつわる課題を解決する一助となるのが、見守り支援システム・ロボットです。

見守り支援システム・ロボットは介護スタッフの負担軽減に繋がりつつ、利用者のことを見守れるものがあります。

こちらでは見守り支援システム・ロボットについて解説します。

見守り支援システム・ロボットとは

介護施設向けの見守りシステム・ロボットは、主に利用者の居室にシステムと連携したカメラやセンサーを設置し、それらを通じて利用者の様子や状態を介護職員に伝えるものです。

厚生労働省が公表している、令和3年における全国の介護施設・事業所における介護ロボットの導入概況によれば、「見守り支援機器」を導入している施設は「入所・泊まり・居住系」施設において30.0%でした。

見守り支援システム・ロボットの機能

見守り支援システム・ロボットには、利用者の様子をカメラで映しながら見守る機能、センサーによって利用者の危険な動きを察知して異常検知と通知を行う機能、心拍数や血圧などのバイタルデータを取得して通知を行う機能などがあります。

例えば、居室を映して遠隔から見守るカメラ、ベッドに入ったり出たりするのをとらえるセンサーマット、ドア開閉の検知と通知を行うドアセンサー、バイタルデータを取得できるスマートバンドやスマートウォッチなどがあります。

ー見守り支援システム・ロボットの具体例ー

先で例を挙げた見守り支援システム・ロボットの具体例について、代表的な3 つをご紹介いたします。

見守りカメラ

見守りカメラは遠隔から人を見守ることができる監視カメラの一種です。
通常インターネットに接続されており、見守りカメラを通す映像はパソコンやスマートフォンで確認することができます。介護施設では主に次のような目的で使用されます。

1.安全確認
施設内の高齢者が転倒したり、体調を崩したりした場合にすぐに対応できるよう、24 時間映像を監視します。
また、見守りカメラが動きを感知して通知を送る機能を活用することで、夜間などスタッフが目を離している時間でも安全を確保することが可能です。
2.行動記録
見守りカメラの映像は記録されるため、高齢者の日常の行動パターンを把握したり、何か問題が起きたときの詳細な状況を確認するために使用されます。
3.家族への情報提供
家族が遠隔から高齢者の様子をチェックできるように、見守りカメラの映像を提供する施設もあります。

センサーマット

センサーマットはマットに組み込まれたセンサーが人の動きを検知することができるものです。
介護施設では床やベッド、イスなどに設置することで人の動きを検知することが一般的です。介護施設では主に次のような目的で使用されます。

1.転倒防止
介護施設では、高齢者の転倒を防ぐためにセンサーマットが利用されます。
ベッドや椅子からの立ち上がりを検知して、介護職員にすぐに警告を送ることで、早期に介助ができ、転倒事故を防ぐことができます。

2.徘徊対策
認知症の高齢者が徘徊することを防ぐためにも、センサーマットが用いられ

バイタルセンサー

バイタルセンサーは心拍数や呼吸数、血圧などの生体情報を測定し、記録する機器のことを指します。
現在では、医療現場や自宅での健康管理として使われることも多いですが、介護施設では主に次のような目的で使用されます。

1.安否確認
バイタルセンサーを利用することで、利用者の生体情報をリアルタイムで把握することが可能になります。例えば、心拍数や呼吸数の異常を検知すれば、すぐに対応することができ、一命をとりとめる可能性も向上します。

2.健康状態のモニタリング
バイタルセンサーを用いることで、利用者の健康状態を継続的にモニタリングすることができます。これにより、異常が発生した際にはすぐに対応することが可能となります。

ー見守り支援システム・ロボットの導入効果ー

見守り支援システム・ロボットは、課題の解決につながる、次のような導入効果が期待できます。

ロボット代行による業務の効率化

ロボットが介護職員の業務を代行することにより、精神的・肉体的な負担が軽減するでしょう。
例えば、夜間にベッドから出て転倒する恐れのある利用者がいた場合に、カメラやセンサーを設置することで夜間巡視の際に訪室することなく室内の状況を把握できるようになります。

異変時には通知を受けられるため、すぐに対応することが可能です。

不測の事態の抑止

カメラやセンサーによる検知やバイタルデータ取得などにより、素早く異変を察知することができるため、事故などの不測の事態の抑止にもつながります。

ケアの質の向上

ベッドマットレス下に敷くセンサーマットなどを備えた見守りシステムを導入すると、利用者の睡眠状況を遠隔で把握することができるため、訪室時に利用者を起こしてしまうことも防止できます。

またカメラや装着するものではなく、センサーであれば監視されている不快感を軽減できると考えられます。
これらのことから、利用者の快適性や尊厳や自立へ配慮した対応が可能になります。

また介護職員の負荷が減ることで、より多くの利用者への配慮が可能になるため、ケアの質が向上します。

ーまとめー

介護施設における見守りの概要から課題、課題解決策までご紹介しました。見守り支援システム・ロボットは最適なものを導入することで、ケアの質を向上させることができる有意義な成果につながります。

TOPPANでは、バイタルや睡眠状況がわかる見守りセンサーを備える介護見守りシステム「Sensing Wave」をご提供しております。

ベッドマットレス下に設置し、利用者の睡眠の質・心拍相当数・呼吸相当数・入離床をリアルタイムで検知し、解析する介護見守りシステムです。

夜間の訪室回数の削減やトイレ誘導のタイミング最適化といったスタッフの業務効率化のサポートや利用者のケアの質向上につなげることが可能です。詳細はぜひサービスページをご覧ください。

2024.03.18

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