コラム

介護ロボット補助金の概要を解説!
申請方法まで紹介

近年、日本では介護ロボットの導入と活用が推進されています。利用者の自立支援や介護者の負担軽減などに役立てられており、日進月歩でその開発が進んでいます。

しかし、現場への導入を検討している場合に、コスト的な負担が大きい課題に直面しているケースも少なくありません。そのような課題を受け、国や自治体は、介護ロボット補助金制度を設けています。今回は、介護ロボット補助金の種類や申請方法などを解説します。


<目次>

■介護ロボットとは
 1│介護ロボットの種類
■介護ロボット補助金とは
■補助金対象機器の導入事例
■介護ロボット補助金の種類
 1│国による補助金
 2│自治体による補助金
■介護ロボット補助金の申請方法と注意点
 1│申請方法
 2│注意点
■まとめ


ー介護ロボットとはー

介護ロボットとは、ロボット技術を用いて、利用者の自立支援や介護者の負担軽減を実現する介護機器のことを指します。

厚生労働省の定義によれば、ロボットとは、情報を感知する「センサー系」、判断する「知能・制御系」、動作する「駆動系」の3つの要素技術を持つ知能化した機械システムとされています。

介護ロボットの種類

介護ロボットの種類は、厚生労働省と経済産業省が「ロボット技術の介護利用における重点分野」として定めた下記の6分野があります。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●6分野
(1)移乗介助
介助者のパワーアシストを行う装着型のスーツのように、介助者が装着することで移乗介助の際に腰の負担を軽減するなどの介護ロボットです。

移乗介助の画像

(2)移動支援
移動支援には、シルバーカーのような高齢者の外出をサポートし、荷物を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器などがあります。

移動支援の画像

(3)排泄支援
排泄物の処理にロボット技術を用いて、設置位置が調整可能なトイレや、排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導するなどの機器が該当します。

排泄支援の画像

(4)見守り・コミュニケーション
・センサーや外部通信機能を備えた機器のプラットフォーム
・在宅介護向けの転倒検知センサー
・高齢者とのコミュニケーションロボット
などの種類があります。

見守り支援ロボットの例として、ベッドマットレス下に設置し、利用者の睡眠の質・心拍相当数・呼吸相当数・入離床をリアルタイムで検知し、解析するものもあります。

見守り・コミュニケーションロボットの画像

(5)入浴支援
ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器を指します。

入浴支援の画像

(6)介護業務支援
介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、高齢者の必要な支援に活用できる、介護記録や複数機器の統合アプリケーションなどが該当します。

介護業務支援の画像

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
近年は、このような介護ロボットの開発や導入に期待がかかっています。しかし、介護ロボットが必要な介護現場においては、コストの面でその対応がむずかしい課題に直面しているケースも多いといわれています。


ー補助金対象機器の導入事例ー

介護ロボット導入補助金は、介護ロボット全般の導入が対象となっていることが多いですが、年次や自治体によっても補助金の条件が様々です。
各自治体のホームページを調べる、または窓口に最新情報を問い合わせてみることをおすすめします。
ここでは、過去の事例で補助金対象となったケースをご紹介します。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
●「ICT 活用促進事業補助金」を活用し、1/2 の補助金を受けて導入
ある福祉施設では、自立支援型介護見守りロボットを8 台導入しました。
導入の際は東京都のICT 活用促進事業補助金を申請したことで導入の1/2 の補助金を受けることができました。
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000765226.pdf

●老人保健施設にて3/4 の補助金を受けて移乗サポートロボットを導入
ある介護老人福祉施設では、愛知県の介護ロボット導入補助金を活用し、施設に2 台の移乗サポートロボットを導入しました。主に、職員の身体的負担軽減を目的とし、導入されました。
参照:https://www.pref.aichi.jp/soshiki/korei/robottojisseki.html

●本体とWi Fi 環境設備の導入に補助金を活用
福岡県のある老人保健施設では、施設内の居室に離床を検知するセンサーと居室の状況をリアルタイムに把握するためのモニターを導入しました。導入の際は介護ロボット導入支援補助金を活用し、本体とWi Fi 環境設備費用の3/4 の補助金を受けることができました。
参考:https://www.techno aids.or.jp/robot/jirei2022book/original.pdf
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

上記の例で挙げたように、介護ロボットの機器本体以外にも、Wi Fi 環境を整えるための工事費や、システムとの連動に必要なソフトウェアの導入も対象となる場合がございます。


ー介護ロボット補助金とはー

現場への介護ロボット導入課題の助けとなるのが、介護ロボット補助金です。

国はロボット技術を産業界に導入することを強く推し進めていますが、介護業界においても導入、利用できるよう、ロボット開発そのものや、現場への導入の金銭的な負担を減らすため、補助金や助成金などを用いた支援をしています。

その背景には、次世代における日本の製造業が、欧米に遅れを取らないようにする目的のほか、少子高齢化・人手不足などの現状課題を解決したいとう考えがあります。

特に介護業界では、介護スタッフなどの人手不足や介護者の身体的負担を軽減することを目的として、介護ロボットの導入が促進されています。
技術を導入して効率化を図ることだけに留まらず、高齢者、介護者共に実際に使ったときに便利に感じる現場ニーズを満たすものが注目されています。

また、介護ロボットで介護者の負担を軽減できれば、魅力ある職場づくりにもつながるため、新たに働き手も集まってくると考えられます。

介護ロボット補助金は介護現場を変える一助となるでしょう。


ー介護ロボット補助金の種類ー

介護ロボット補助金は、国と自治体による2種類に分けられます。主なものをご紹介します。

1.国による補助金

●ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
通称「ものづくり補助金」と呼ばれる補助金制度で、中小企業などを対象に、生産性向上に資する革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。介護ロボットの導入に際して申請できる可能性があります。

●事業再構築補助金
新型コロナウイルス感染症の影響から、需要や売り上げの回復が長期化するなか、中小企業などの事業再構築を支援するため、事業再構築に意欲のある中小企業などの挑戦を支援するものです。
募集枠が複数あり、枠によって要件は異なりますが、機械装置・システム構築費といった費用も補助対象となるため、介護ロボット導入経費も申請できる可能性があります。

2.自治体による補助金

各自治体は、独自の条件で介護ロボット導入時の支援事業を行っています。

例)
●東京都「次世代介護機器導入促進支援事業」
介護従事者の身体的負担の軽減や業務効率化といった、介護環境の改善のために次世代介護機器を導入する際や、見守り支援機器を導入する際必要となる通信環境整備もあわせて補助する事業です。
(1)次世代介護機器導入支援事業、(2)次世代介護機器導入推進事業、(3)見守り支援機器及び通信環境の一体的整備事業の3つの事業が設けられています。
※次世代介護機器とは:ロボット技術の応用により、利用者の自立支援や介護者の負担軽減の効果を有する機器を指します

【令和5年度(2023年度)の例】
(1)次世代介護機器導入支援事業
補助対象者:施設・居住系サービス、在宅サービス
補助内容例➀:移動支援・排泄支援・見守り・コミュニケーション・介護業務支援の機器
補助額➀:1台あたり60万円、補助率は2分の1
補助内容②:移乗介護・入浴支援の機器
補助額②:1台あたり133万4千円、補助率は4分の3

(2)次世代介護機器導入推進事業
補助対象者:施設・居住系サービス
補助内容➀:移動支援・排泄支援・見守り・コミュニケーション・介護業務支援の機器
補助額➀:1台あたり60万円、補助率は4分の3
補助内容②:移乗介護・入浴支援の機器
補助額②:1台あたり133万4千円、補助率は8分の7

(3)見守り支援機器及び通信環境の一体的整備事業
補助対象者:特別養護老人ホーム(定員30人以上) および併設される老人短期入所施設、介護老人保健施設 ・認知症高齢者グループホーム
補助内容➀:見守り支援機器
補助額➀:1台あたり60万円、補助率は2分の1
補助内容②:見守り支援機器の導入に伴う通信環境整備
補助額②:1,500万円(法人合計額)、補助率は2分の1

●千葉県「千葉県介護ロボット導入支援事業費補助金」
千葉県では、千葉県内に所在する介護保険法に基づく指定、または許可を受けた民間の介護サービス事業者向けに、介護ロボットを導入する際に補助金を交付する事業を行っています。

【令和5年度(2022年度)の募集の例】
補助対象者:千葉県内に所在する介護保険法に基づく指定または許可を受けた民間の介護サービス事業者
補助内容:要件をすべて満たす介護ロボットの購入、レンタルまたはリースに係る経費、見守り機器の導入に伴う通信環境整備にかかる経費など。
※要件:日常生活支援における、移乗介護、移動支援、排泄支援、見守り・コミュニケ―ション、入浴支援、介護業務支援のいずれかの場面において使用され、介護従事者の負担軽減効果のあるもの、など(一部抜粋)
補助額:補助対象経費の2分の1(千円未満は切捨)
補助上限額は、移乗介護・入浴支援ロボット1台につき100万円、それ以外のロボットは1台につき30万円。見守り機器の導入に伴う通信環境整備は 1事業所につき150万円。


ー介護ロボット補助金の申請方法と注意点ー

介護ロボットの補助金申請は少し複雑になっています。
事前に手順を確認しておかないと、締切前に焦って用意して不備が発生するということになりかねません。
ここからは、介護ロボット補助金の申請の流れと、申請時の注意点をご紹介します。

1.申請方法

介護ロボット補助金は、主に次のような流れで申請します。

・介護ロボット導入の見積もり
・事業計画書の提出
・採択通知
・交付申請・交付決定
・補助事業実施(介護ロボット導入・運用)
・実績報告
・確定検査(交付額の決定)
・補助金の請求・支払い
・事業化状況報告など

まず導入したい介護ロボットの見積もりやスケジュールを決めます。申請用の事業計画書を作成して申請し、採択されればその計画通りに事業を行います。実績の報告後で検査が入り、補助金が支払われます。

2.注意点

注意したいのは、補助金の交付決定の通知を受け取った後から介護ロボット導入を行うことです。すでに導入している介護ロボットに対しては補助対象となりません。そのため、先行導入はできませんので注意しましょう。

また、事業計画を報告する場合には、運用時に計画を変えないことが条件です。検査が入りますので、事業計画通りに運用しましょう。

補助金が支払われた後に、使用状況の報告を怠らないことも重要です。


ーまとめー

介護現場に携わる事業者の方々にとって、介護ロボット導入は多様なメリットを生み出せる取り組みです。介護ロボット補助金をうまく活用しながら、理想の導入を実現してください。

TOPPANでは介護ロボット補助金対象の「Sensing Wave」という見守り介護ロボットをご提供しております。ベッドマットレス下に設置するシート型生体センサーであり、バイタル情報や睡眠の質を非接触で取得します。

クラウド型のため、専用サーバーやアプリケーション等は必要なく、施設外からでも情報が確認できるため、利便性向上に役立ちます。

詳細に関しては、サービスページをご覧ください。

2023.08.28

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE
      関連サービス SERVICE