コラム

セットアップオフィスとは?
運営の課題と最適化戦略を解説

「内装や家具があらかじめ整えられていて、すぐに業務を始められる」——そんな利便性の高さから注目を集めているのが「セットアップオフィス」です。近年では、スタートアップや移転を検討中の企業を中心に導入が進み、働き方の多様化とともにその需要はさらに高まっています。

本記事では、セットアップオフィスの基本的な定義や他のオフィス形態との違い、導入のメリットとされる初期費用の削減、デザイン性の高さ、ハイブリッドワークとの親和性などを解説。加えて、運営上で生じやすい課題や、課題をどう乗り越えて最適化すべきかについても紹介します。スムーズな導入と運営のヒントとして、ぜひ本記事を参考にしてください。


セットアップオフィスとは

セットアップオフィスとは、すでに内装工事が完了し、オフィス家具や通信設備などが整った状態で貸し出されるオフィススペースです。一般的な賃貸オフィスでは契約後に自社で内装工事やオフィス機器の導入を行う必要がありますが、セットアップオフィスではそれらの手間が省けるのが大きな特徴となります。

デスクやチェア、会議室用の家具、インターネット回線、空調設備など、ビジネスに必要な基本的な設備がすでに整っているため、契約後すぐに業務を開始できる即戦力型のオフィス形態といえるでしょう。特に創業間もないスタートアップ企業や、迅速な事業拡大を目指す企業にとって、時間と初期投資を抑えられる点が魅力となっています。

セットアップオフィスと他のオフィスの違い

セットアップオフィスは他のオフィス形態と明確な違いがあります。
以下の表を参照しながら、それぞれの特徴を理解しましょう。

居抜きオフィスとの大きな違いは、前テナントの業種に左右される可能性がある点です。セットアップオフィスは貸主側が汎用性の高いデザインで提供するため、どの企業でも使いやすい環境が整えられています。

セットアップオフィスの種類

セットアップオフィスには、提供される設備の充実度によって主に2つの種類に分けられます。

フルセットアップオフィスは執務席を含むすべての内装・什器・家具が設置されているため、PCなどの業務用機器を持ち込むだけで即座に業務開始が可能です。

一方、ハーフセットアップオフィスは会議室やフォンブース、ラウンジなどの共有部のみが整備され、執務席のレイアウトやデスク・チェアは入居企業が用意する形態となります。

この違いにより、企業の規模や予算、カスタマイズの希望に応じて最適な選択ができるでしょう。


セットアップオフィスの需要が高まっている背景

近年、セットアップオフィス市場は急速な拡大を続けています。サンフロンティア不動産株式会社の調査によると、東京23区内では2023年5月末時点で1,056件のセットアップオフィスが供給されており、同社が市場シェア58.1%を獲得するなど、その規模の大きさが明らかになっています。この背景には、企業のオフィスに対するニーズの変化があります。

セットアップオフィスの需要が高まっている主な要因として、以下の点が挙げられます。

・初期費用・移転コストの削減が可能
・デザイン性が高くブランディングに有効
・リモートワーク・ハイブリッドワークの普及

特にスタートアップ企業からのニーズが高く、創業10年未満の利用者が半数を超えています。これらの企業にとって、限られたリソースを効率的に活用できるセットアップオフィスは、事業成長を支える重要な選択肢となっているのです。

初期費用・移転コストの削減が可能

セットアップオフィスが注目される最大の理由は、大幅なコスト削減効果にあります。通常のオフィス移転では、内装造作費や原状回復工事費などの初期費用が発生しますが、セットアップオフィスではこれらのコストを削減できます。また、移転プロジェクトに必要な社内リソースも軽減され、本来の業務に集中することが可能になります。

特にスタートアップやベンチャー企業のように、ヒト・モノ・カネのリソースが限られている企業にとって、初期投資を抑えながら質の高いオフィス環境を手に入れられる点は大きな魅力となっています。

デザイン性が高くブランディングに有効

セットアップオフィスは、プロがデザインした質の高い内装が特徴です。企業のブランディングやPR効果が期待でき、対面での採用面談においても好印象を与えることができます。従業員にとっても、デザイン性の高い環境で働くことで日常のエンゲージメント向上につながります。

通常であれば多額の費用と時間をかけて実現するデザイナーズオフィスを、手軽に利用できることから、企業イメージの向上を図りたい企業からの需要が高まっています。また、魅力的なオフィス環境は人材採用においても競争力を高める要素として重視されています。

リモートワーク・ハイブリッドワークの普及

2020年を機にリモートワークやハイブリッドワークが普及したことで、オフィスに求められる機能も変化しました。セットアップオフィスには、フォンブースや共有ラウンジなど、新しい働き方に対応した設備が整っています。これにより、ストレスなくオンライン商談を行える環境や、出社人数に応じて柔軟にスペースを活用できる機能性を提供しています。

企業は出社とリモートワークを組み合わせた働き方において、より効率的で快適なオフィス環境を求めており、こうしたニーズに応えるセットアップオフィスの需要が拡大しています。


セットアップオフィスの運営における課題と対策

セットアップオフィスの運営における主要な課題として、以下の点が挙げられます。

・初期投資負担の大きさ
・差別化の必要性と競争の激化
・テナント回転率への対応

初期投資負担については、オーナー側で内装工事や家具・什器の調達を行うため、通常の賃貸オフィスと比較して1.5~1.7倍程度の賃料設定となります。この高い初期投資を回収するためには、長期的な視点での運営戦略が必要です。

差別化においては、エリアの特性やそこで求められる顧客のニーズを詳細に把握することが鍵となります。汎用性の高いデザインでありながら、競合物件との明確な違いを打ち出す必要があります。

テナント回転率の課題では、スタートアップ企業は成長速度が速く、人員規模が短期間で変動しやすいため、数年後の再移転を想定している企業が多いことが挙げられます。

こうした状況において、以降で説明する「nomachi」でオフィスの利用状況を可視化することで、次の移転・レイアウト変更に備えた定量データが収集可能となります。移転時の座席数や会議室数の検討材料として活用できるため、テナントの多様なニーズに対応するための柔軟性を実現できます。データ分析による運営最適化は、セットアップオフィス成功の重要な要素といえるでしょう。

『nomachi』が実現するセットアップオフィスの最適化

セットアップオフィスの運営最適化において、『nomachi』は革新的なソリューションを提供します。

混雑状況のリアルタイム可視化により、テナントのユーザー体験が大幅に向上します。小型センサーを活用することで、会議室や共有スペースの利用状況を正確に把握し、リアルタイムで空席情報を提供できるようになります。これにより、テナント企業の従業員は効率的にスペースを活用でき、ストレスのない働き方を実現できるでしょう。

センサー技術を活用した正確な利用状況把握では、サイコロセンサーやテーブルセンサー、人数計測センサーなど、利用シーンに応じた多様なセンサーから選択が可能です。これらのデータを分析することで、オーナーはテナントの実際のニーズを定量的に理解し、次回の移転時における座席数や会議室数の最適な設定に活用できます。

導入の手軽さも大きな魅力となっています。通信環境の準備は不要で、電源に接続するだけで利用開始できるため、大規模な工事を必要としません。月額レンタルプランにより初期費用を抑えながら、最短2週間で導入可能です。短期間で効果測定ができるため、セットアップオフィス運営の改善サイクルを迅速に回せるようになります。


まとめ

セットアップオフィスは迅速な入居と初期費用削減を実現できる魅力的な選択肢である一方、運営面では初期投資負担や差別化、テナント回転率への対応といった課題があります。
これらの課題解決には、『nomachi』のようなICT技術を活用したデータ分析が有効です。混雑状況の可視化や利用状況の正確な把握により、テナントのニーズに応じた運営最適化が可能となります。
オフィス移転を検討する企業は、セットアップオフィスの基本的なメリットだけでなく、運営者の取り組みや提供される付加価値も含めて総合的に判断することが重要でしょう。

2025.08.08

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE
      関連サービス SERVICE