コラム

賃貸物件のスマートホーム化の
ポイントは?
注意点やおすすめのIoT機器を解説

IT技術の急速な進化やIoT機器の普及によって、賃貸物件の差別化を図る施策の一つとして、スマートホーム化が注目されています。スマートホームでは、IoT技術の活用による快適で効率のよい暮らしを実現できます。

賃貸物件でスマートホームの需要が高まる背景を押さえたうえで、スマートホーム化による効果や注意点、おすすめのIoT機器などについて解説していきます。


<目次>

■賃貸物件におけるスマートホームの需要が拡大
 一人暮らしの世帯の増加
 ホームセキュリティへの関心の高まり
■賃貸物件のスマートホーム化がもたらす影響・効果
 競合との差別化による入居率アップ
 入居者の満足度向上・退去率の低下
■賃貸物件をスマートホーム化する際の注意点
 Wi-Fi環境の整備が必要
 セキュリティの強化が必要
■賃貸物件のスマートホーム化でおすすめのIoT機器
■まとめ


■賃貸物件におけるスマートホームの需要が拡大

スマートホームとは、IoT機器の活用によって住宅設備や家電をインターネットでつないで、利便性や快適性を向上させた住まいをいいます。

賃貸物件のスマートホーム化では、IoT機器やスマートフォンのアプリを導入し、インターネットでつなぎます。具体的には物件によって異なりますが、IoT機器であるスマートロックやカメラ付きインターホン、スマートリモコン、エアコンや照明、電動カーテンレール、給湯器のリモコンなどを設置。スマートフォンのアプリやスマートスピーカーから、これらの機器を操作できる環境を構築します。

賃貸物件におけるスマートホーム化の需要は拡大傾向にありますが、その背景として主に次の2点が挙げられます。

【スマートホーム化の需要拡大の背景】
● 一人暮らしの世帯の増加
● ホームセキュリティへの関心の高まり

一人暮らし世帯が増加しているため、セキュリティ対策や外出時のペットの見守りのニーズから、スマートホームの需要につながると考えられます。また、実際にホームセキュリティへの関心が高く、スマートホーム化によって実現できるセキュリティ対策もあります。

一人暮らしの世帯の増加

日本は人口減少時代を迎えています。しかし、総務省統計局が公表する「令和2年国勢調査」によると、2000年からの5年ごとの世帯人員別の世帯数は、1人世帯は右肩上がりで増加しています。

一人暮らし世帯は、一人で暮らすという不安感や不在になる時間が多くなりがちなため、空き巣や強盗、性犯罪などへの備えとして、セキュリティ対策を重視したいところです。また、外出時にはペットの様子を見たいといったニーズもあります。そのため、一人暮らし世帯の増加には、こうしたニーズに対応できるスマートホームの増加につながっていくと考えられます。

ホームセキュリティへの関心の高まり

日本は諸外国と比較して治安がよいといわれてきましが、ホームセキュリティへの関心が高まっていることも、スマートホームが注目される要因の一つです。

ALSOKが2013年に20歳~49歳の働く未婚女性を対象に実施した「ストーカーに関するアンケート調査」で、無料・安価であれば実施したい対策として、「ホームセキュリティを導入する・導入されている家に住む」は29.0%と、約3割が希望しているという結果となっています。

スマートホーム化によって、外出先からスマートフォンのアプリで住まいの状況を確認できるため、セキュリティ対策となります。スマートロックが設置されていると、外出先からスマートフォンのアプリで鍵の開閉状況を確認し、鍵の閉め忘れを防げるほか、ピッキング対策としても有効です。

室内にカメラを設置している場合には、外出先から室内の状況の確認やお子さまなどの見守りができます。あるいは、スマートフォンと連動するカメラ付きインターホンが設置されている場合は、外出先から不審者を確認し、応答するといった対応がとれます。


■賃貸物件のスマートホーム化がもたらす影響・効果

経営する賃貸物件をスマートホーム化することによる影響や期待できる効果として、次の2点が挙げられます。

【スマートホーム化がもたらす影響・期待できる効果】
● 競合との差別化による入居率アップ
● 入居者の満足度向上・退去率の低下

コストを上乗せしてもスマートホーム化された賃貸物件住みたいと考える人がいるため、競合物件と差別化できる要素となり、入居者のアップにつながります。また、スマートホームではIoT機器の活用による利便性の高い暮らしが送れることから、入居者の定着が期待できます。

競合との差別化による入居率アップ

スマートホーム化は競合物件との差別化できる要素となるため、入居率のアップにつながることがメリットとして挙げられます。

スタイルアクトが2021年にスタイルアクトが実施した「首都圏の賃貸物件居住者スマートホームニーズ調査」では、スマートホーム機能付き物件であれば追加コストを支払う人の割合は58%と6割近くを占め、追加支払い額の平均は5,844円でした。

この調査結果から、立地や広さ、築年数、家賃などが同条件の物件ではスマートホーム化された賃貸物件が選ばれる可能性が高いといえます。さらに、IoT機器の導入コストを多少上乗せしても、スマートホーム化された賃貸物件であれば選ばれることが推測できます。

入居者の満足度向上・退去率の低下

スマートホーム化によって入居者の生活の利便性がアップするため、満足度の向上から退去率の低下につながることも期待できます。

スマートホームでの暮らしの例を挙げると、朝、起きる時間に合わせてカーテンを開けたり、照明やテレビをつけたりすることが可能です。家の鍵が閉まっているか気になったときには、スマートロックの施錠状況をスマートフォンから確認できます。

あるいは、スマートフォンのGPS機能を利用して、夏の暑い日には住まいの周辺に着いたときにエアコンがつくように設定しておくと、帰ったときには涼しく快適な環境になっています。

その他にも、スマートホームによって取得できるデータを活用することによって健康管理をはじめとしたさらなる生活の質向上を目指すことも可能です。
例えば IoTの仕組みを持つTOPPANの「cheercle®︎(チアクル)」は、洗面所の床に体重や体脂肪、肌温度などを取得できるセンサーを埋め込み、人が立つだけで、洗面所のミラーに計測された数値を表示することができます。手持ちのスマートフォンでもミラー表示と同じ内容が確認できるため、自ら健康管理を身近に行うことができます。

こうしたスマートホーム化による暮らしの利便性・快適性の向上は、入居者の定着につながると考えられます。


■賃貸物件をスマートホーム化する際の注意点

経営する賃貸物件をスマートホーム化するにあたって、次の2つの注意点があります。

【スマートホーム化する際の注意点】
● Wi-Fi環境の整備が必要
● セキュリティの強化が必要

賃貸物件をスマートホーム化するには、IoT機器をつなぐためのWi-Fi環境を用意します。また、不正アクセスによる被害を防ぐため、セキュリティ対策の強化が重要となります。

Wi-Fi環境の整備が必要

賃貸物件をスマートホーム化するにあたって必須となるのは、さまざまなIoT機器をインターネットでつなぐためのWi-Fi環境です。スマートホームは通信量が多くなるため、安定した固定回線である光回線を引いてWi-Fiルーターにつなげるのが基本になります。

また、Wi-Fiルーターは同時接続台数や電波の届く範囲、通信速度などを考慮して選ぶことが大切です。

セキュリティの強化が必要

賃貸物件のスマートホーム化を行う際には、セキュリティ対策の強化も必要です。IoT機器への不正アクセスによって、個人情報が抜かれるほか、マルウェアと呼ばれる悪意のあるソフトウェアに感染し、サイバー攻撃の踏み台に悪用されるリスクもあります。

スマートホームを安全に運用するには、市場に出回ってからある程度の実績のある機器を選ぶのがポイントです。また、ファームウェアやソフトウェアはセキュリティの改善が行われているため、最新版にアップデートしていくことが大切です。Wi-Fiルーターのパスワードなどを変更するのも、セキュリティ対策として有効です。


賃貸物件のスマートホーム化でおすすめのIoT機器

スマートホーム化に活用できるIoT機器にはさまざまなものがあります。賃貸物件のスマートホーム化で、導入するのがおすすめのIoT機器として、以下が挙げられます。

【スマートホーム化におすすめのIoT機器】
● スマートロック
● スマートリモコン
● スマート電球
● スマートスピーカー
● IoTミラー

スマートロック

スマートロックとは、スマートフォンなどのデバイスに専用のアプリを入れて、玄関ドアの施錠・開錠をするシステムをいいます。スマートロックにはオートロック機能がついているのが一般的で、鍵の閉め忘れを防げます。また、外出先からスマートフォンのアプリで、施錠・開錠の状況を確認することも可能。近づくと自動的に開錠するハンズフリー機能がついたスマートロックもあります。

また、スマートロックは賃貸物件の経営者にとっても、利便性の高いツールです。スマートロックによっては、ワンタイムパスワードが発行できるため、内覧の際に鍵の受け渡しをする手間が省け、内覧業務を効率化できるというメリットがあります。

ただし、電池式のスマートロックで電池切れを起こしているケースや、スマートフォンの充電が切れている場合には、通常の鍵でしか開けられなくなる点に注意が必要です。トラブルを防ぐために、入居者に対して周知を図っておくことが大切です。

スマートリモコン

スマートリモコンとは、赤外線リモコンに対応する家電をスマートフォンや対応するスマートスピーカーで操作するためのデバイスです。スマートリモコンの設置によって、IoT機器ではないエアコンやテレビ、照明などの家電をまとめてスマートフォンなどで操作できるようになります。

スマートフォンのアプリから操作すると、Wi-Fi などのインターネット通信を通じてスマートリモコンに指示が伝わり、スマートリモコンから赤外線通信で各家電に指示が送られる仕組みです。温度や湿度のセンサー機能やシーン機能を搭載したスマートリモコンなら、「○度になったらエアコンをつける」「朝6時にテレビと照明をつける」といった設定をしておくこともできます。

スマートリモコンと家電の赤外線通信は、壁などの障害物があると遮断されてしまいます。そのため、複数の部屋に対応できるようにするには、部屋ごとにスマートリモコンの設置が必要です。

スマート電球

スマート電球とは、スマートフォンなどのデバイスから操作できるLED電球です。対応するスマートスピーカーで音声操作が可能なタイプもあります。

スマート電球は点灯・消灯だけではなく、調光や調色もできるタイプもあり、シーンによって明るさや光の色を切り替えられます。また、タイマー機能のあるタイプは消し忘れが防止できるのが便利です。点灯する時間を設定できるスケジュール機能のついたタイプは、目覚まし代わりにも役立てられます。

スマート電球は照明器具に取り付けて使用するため、口金サイズが合う器具を設置しておく必要があります。一般的な口金のサイズはE26で、小ぶりな電球はE17です。

スマートスピーカー

スマートスピーカーとは、AIアシスタントの搭載によって音声認識・音声操作が可能なスピーカーをいいます。スマートスピーカーは、声による指示で天気やニュースの読み上げ、検索エンジンを使った調べ物、音楽の再生のほかIoT家電の操作できるツールです。

スマートスピーカーを導入すると、スマートフォンのアプリを使わずに音声で、照明をつけたり、エアコンの温度を下げたりできるため、家事など何かをしながら家電の操作ができるのが便利です。たとえば、「○○をかけて」といって音楽を流したり、「テレビをつけて」といった指示で家電を操作したりできます。

スマートスピーカーの導入にあたっては、スマートリモコンなど他のIoT機器と連携できるか、確認が必要です。

IoTミラー

IoTミラーとは鏡の裏側にディスプレイが組み込まれており、タッチパネルで操作可能な鏡のことを指します。鏡をタッチするだけで体温、体重、血圧などの健康管理を行うことができるものや、気温やニュースを手軽にチッェックできるものなどがあります。

TOPPANでは、毎日の健康管理が手軽に行うことができるIoT住宅健康管理システム「cheercle」を提供しています。


まとめ

賃貸物件はスマートホーム化によって、競合物件と差別化できる付加価値をつけられます。スマートホームでは、さまざまな家電や住宅設備がインターネットにつながるため、便利で快適な暮らしを送れます。空室となった住戸など、一部の住戸のスマートホーム化からはじめ、反応をみて広げていくといった導入方法もあります。

TOPPANの「cheercle(チアクル)」は、スマートホームの健康管理を実現するサービスです。洗面化粧台のミラー の前に立つだけで、体重や体脂肪、肌温度等を取得し、ミラーやスマートフォンで身体データを見える化し確認することができます。今後、スマートフォンや ウェアラブル端末とのデータ統合、日々のデータを基にした健康レポーティング、医療相談や遠隔医療サービスとの連携など予定しており、健康管理を進化させる要素をさらに増やしていきます。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

2024.08.28

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