コラム

NFTが持つ課題や法的な問題とは?
事例を交えて解説します!

近年、デジタル化が急速に進行していく中、ブロックチェーン技術の登場でNFTが生まれ、よりデジタルコンテンツの価値が高まりました。企業もNFTを活用したビジネスをさまざまなシーンで展開するようになってきたことから、NFTはさらに浸透していくことでしょう。
一方で、NFTを活用していくに当たっては、解決しなければならない課題がまだ数多く存在します。特に法的な問題については議論が活発になっています。
そこで今回は、NFTが持つ課題や法的な問題について、事例を交えて解説します。


NFTの課題について事例を交えて詳しく解説

NFTとは?普及の背景と特徴

NFTとは?

NFT(エヌエフティー)とは「Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)」の略称であり、日本語では非代替性トークンと訳されます。ブロックチェーンを基盤にして生成された、替えのきかないデータのことを指します。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、暗号資産(仮想通貨)の技術として開発されたものです。暗号資産の取引履歴などが格納された複数のブロックを暗号技術によって過去から1本の鎖(チェーン)のようにつなぎ、正確な取引履歴を維持しようとする技術です。これにより、偽造や改ざんが不可能になっています。

NFT普及の背景

ブロックチェーン技術は暗号資産を皮切りに、デジタルアートやメタバースゲームで使われるアイテムなどのデジタルアイテムに所有権を証明するために利用されるようになり、そうした過程でNFTが生まれました。

NFTのデジタルアイテムは所有権が証明されるため、ゲーム内で売却することができるなど、価値を生み出しました。また、NFTアート作品の取引も活発になり、海外では莫大な金額で取引されるなど、これまでのデジタルアートにはなかった大きな革新を生みました。これにより、徐々にNFTが普及しています。

現在、日本では「Web3.0」が国を挙げて推進されています。Web3.0とは、経済産業省の定義によれば「ブロックチェーン上で、暗号資産などのトークンを媒体として『価値の共創・保有・交換』を行う経済」とされています。NFTはそのトークンの一つであることから、今後はさらにNFTの普及も進んでいくことでしょう。


NFTが持つ法的な問題

NFTは普及の一途をたどっている一方で、まだ法的に整備されていないことから、課題が生まれています。NFTが持つ法的な問題にはどのようなものがあるのでしょうか。

NFTに対する所有権は現法上認められていない

NFTには、所有権が確保できるというメリットがありますが、実際の法的な意味での所有権は、日本ではまだ認められていません。

民法においては、所有権の客体となる「物」とは「有体物」を指しています。例えばリアルな物品のアートの場合、リアルな部分は所有権の対象ですが、NFTやそれに紐づけられたデジタルコンテンツは、いずれも「無体物」であるデータなので、民法上の所有権の対象にはなりません。「NFTの所有権」という表現を使う場合、その点を留意しなければなりません。

著作権に関しては議論が継続されている

NFTはアートやコンテンツとして取り扱われることもあり、その著作権について議論されています。しかし現状、NFTは創作的表現ではなく、NFTに著作権は発生しないといわれています。一方で、NFTに紐づけられたコンテンツの多くは、創作的表現に該当することから、著作権の取引になり得るかの議論が続けられています。

NFTは暗号資産に該当するかどうかが未確定

NFTは、暗号資産に該当するかどうかは明確になっていません。例えば企業がサービスを通じてユーザーにNFTの取引を提供する際に、「決済に使える」かのように見えてしまうと、ユーザーに金融商品と誤解される恐れがあります。NFTは現状、金融商品ではないため、その点は十分、注意する必要があります。


NFTを取り扱う企業の課題

NFTを取り扱う企業の課題

今後、企業がNFTを取り扱うサービスを提供する際には、次のような課題があります。

暗号資産を持つことそのものがユーザーにとってハードルが高い

NFTは、暗号資産で購入するのが一般的となっているため、ユーザーはNFTを売買するには暗号資産を持つ必要があります。実際の口座やウォレット開設はそれほどむずかしいものではありませんが、初めての場合は少しハードルが高く感じられるでしょう。そのハードルをいかに下げられるかがポイントになります。

取引コストとして暗号資産のガス代(取引手数料)が高い

ガス代とは、普及している暗号資産において発生する取引手数料です。利用者の増加に伴いガス代の相場が高騰していることもあり、問題視されています。このままではNFTを売買する際のハードルがさらに高くなってしまうため、ガス代への対応が急がれています。

法律の整備ができていない状況でどう対応するか

先述のようにNFTの所有権や著作権などの法に関係する権利については、まだ整備されていないため、企業が独自のルールや規制を設けるなど、どのように対応するかを検討する必要があります。

ハッキングリスクへの対応

世界的に、NFTなど、ブロックチェーンの仕組みを利用しているゲームやプラットフォームへのハッキング被害が相次いでいます。暗号資産は、金銭的に狙われ、盗まれる対象となります。この点は安易に考えず、ハッキングリスクを十分考えた対応が求められます。


NFTの課題に対応した事例

NFTの課題に対応した国内事例をご紹介します。

ポイントでNFTを買えるようにして暗号資産所有のハードルを下げた事例

ある日本企業は、独自のNFTマーケットプレイスを開設した際に、暗号資産の所有ハードルを下げるため、決済には既存の広く使われているポイントを使えるようにしました。これにより、ユーザーは自らが所有するポイントを使ってNFTを売買することができるため、NFTマーケットプレイスへの参加ハードルが下がりました。今後、日本におけるNFTの普及が期待されています。

NFT購入者へコミュニティ参加権を付与できるツールの事例

近年、アイドルやアニメのキャラクターなどのライブやイベントなどの参加権としてNFT購入を条件にするケースが増えています。TOPPANの「HAYACAWA®わん」は、対象のNFT保有者への認証完了後にコミュニティへの参加権を付与できるツールであり、このようなケースをサポートします。本ツールの活用により、NFTを起点としたブランドやアーティストなどのファンが集まるコミュニティを安全に形成することができるようになります。また限定コミュニティを構築することによりNFTの価値向上にもつながります。

さらに運営側の企業は、個人情報の管理負荷を軽減しながらコミュニティの構築が可能になるメリットがあります。利用ユーザーが親しみやすく分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)であることも、企業としては導入しやすいでしょう。


まとめ

NFTはビジネスへの活用の可能性が広がっていますが、クリアすべき課題が多くあります。

一方、課題を解決するためのサービスも増えており、TOPPANにおいてもHAYACAWA®わんをはじめ、今後もさまざまなサービスをご提供してまいります。

サービス詳細につきましては、ぜひ下記のページをご覧ください。

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2024.03.22

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