コラム

SDGsの目標達成に、
IoTの技術はどう役立つ?
IoTで実現可能なことや
業種別の活用事例を解説

IoT活用は、SDGs目標達成にも通じる取り組みです。しかし実際に、SDGsとIoTにはどのような関連があり、現場でどのようにIoT技術が活かされているのでしょうか。

この記事では、IoT導入を検討しているご担当者様に向け、SDGsとIoTの関連性や、IoTでできること、業種別の活用事例などを紹介します。ぜひお役立てください。


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SDGsとは

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った言葉です。読み方は「エス・ディー・ジーズ」で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

SDGsでは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、17の目標を定めており、その下に具体的な169のターゲットが決められています。

企業がSDGsに取り組む必要性

なぜ企業はSDGsに取り組む必要があるのでしょうか。その要因の1つとして考えられるのが、「企業・ブランドイメージの向上」です。

SDGsに取り組むことで、生活者をとりまく地球環境の保全や社会での暮らしやすさに寄与することができるため、社会課題へ貢献している企業だという認識につながり、企業イメージの向上に効果的です。投資家のなかには、SDGsにどのように貢献しているかで、投資先を選定するケースもあるほどです。

SDGsは国際目標として広く周知されており、日本国内に限らず、世界中の多くの企業がSDGsに取り組んでいます。

外務省が掲げたSDGsの8つの優先課題と具体的施策の例の1つに「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」があり、企業に対してSDGsへの取り組みがより一層求められています。


IoTとは

IoTは「Internet of Things」の頭文字をとった言葉です。読み方は「アイオーティー」で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。

IoTとは、あらゆるモノがインターネット経由で通信し、さまざまな情報やデータを伝達することを意味します。IoTを活用すれば、離れたモノの操作や遠隔監視、モノ同士でのデータの送受信などが可能です。

IoTとIT・ICTとの違いとは

IoTと混同されやすい言葉に、ITとICTがあります。ITは「情報技術」、ICTは「情報通信技術」を意味します。

先述のとおり、IoTはあらゆる「モノ」がインターネットにつながる技術です。ITはパソコンやスマートフォンなどの機器や、その機器の中で動作するアプリケーションやシステムのプログラムなどを意味します。
ICTは、ITと同義で使われることも多いですが、IT技術の活用という意味合いも含み、例えばSNSなどによる情報の共有や、IT機器を活用した観光案内などの技術活用を指します。

IoTが注目される理由

近年、スマートフォンの利用が拡大し、IoTサービスを企業が提供しやすくなったことを背景に、業務効率化や生産性向上が期待できるIoTに注目が集まっています。

IoT機器は膨大なビッグデータの収集が可能になるため、日本や企業が抱える労働力不足やコスト削減など、さまざまな課題解決につながる可能性が期待されています。


SDGsとIoTの関連性

SDGsとIoTには、どのような関連性があるのでしょうか。主な関連性について解説していきます。

「Society5.0」の推進

日本では、SDGsと連携する「Society(ソサエティー)5.0」の推進が提唱されています。「Society5.0」とは、現実空間と仮想空間を融合したシステムによって、さまざまな社会問題の解決や経済発展などを実現する人間中心の社会です。

IoTやAIといったデジタル技術の活用は、「Society5.0」を実現し、暮らしやすい社会を推進するうえで、欠かせない要素と考えられています。また、内閣府の科学技術政策でも、「Society5.0」の推進は、SDGsの目標達成に通じると明記されており、経済発展と社会問題の解決の両立を実現させる役割が期待されています。
そのため、「Society5.0」はSDGsの目標達成を実現するにあたり、戦略の中心的な存在といえます。

IoTはSDGsの目標達成のために不可欠な技術の1つ

IoTをはじめ、AIや「第5世代移動通信システム」を意味する5Gなどの次世代技術の活用は、「Society5.0」を実現し、さまざまな社会課題を解決する可能性があると考えられています。

付加価値が生まれる産業社会の実現は、先述したSDGsの優先課題の1つである「成長市場の創出」にもつながります。

未来志向の社会の基盤をつくるためには、IoTやデータ活用で付加価値を生み出せる、次世代技術の存在が不可欠です。


IoTで実現可能なこと

IoTで実現可能な事柄を解説します。

モノの遠隔操作ができる

離れた場所にあるモノを遠隔操作できることは、IoTの代表的な機能です。例えば、外出先からスマートフォンでエアコンや照明などの家電を操作できます。

電源のオン・オフといった単純な操作だけでなく、温度や明るさの強弱など、細かな設定まで調整可能です。生活を便利にするための用途として利用される機会が多い点が特徴です。

離れていてもモノの状態を確認できる

IoTでは、離れた場所からモノを操作するだけでなく、モノの状態も確認できます。例えば、遠隔地から室温を確認し、エアコン操作で室内環境を管理できます。

また、利用頻度や利用時間など、モノや人の状態を把握し、アクションにつながる重要な情報をリアルタイムで得ることで、ユーザーニーズを把握することも可能です。

モノの動きを検知できる

モノや人の動きを検知するセンシング機能とIoTを組み合わせれば、モノの周辺環境をリアルタイムで確認できます。

この技術を活用すれば、モノの周辺環境の状況や計測値、人の動きなどで異常が発生した場合、適切かつ迅速な対応をすることが可能です。

小さな変化を見逃さず、現在の状態を推測しながら、スピーディーな対応につなげられます。

モノ同士の連携ができる

IoTでは、インターネットに接続した複数の機器を連動して、自動で動作させることが可能です。

先述した第5世代移動通信システム「5G」が実用化され、高速通信が可能になったことで、接続できるデバイス数が圧倒的に多くなりました。

例えば、スマートホームやスマートビルディング、自動運転車などのIoT機器を5Gに接続することができます。


SDGsの目標達成につながるIoT活用のメリット

IoTを活用してSDGsの目標達成を目指すことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なメリットを解説します。

効率化やコスト削減、ヒューマンエラー防止で無駄を減らし働きやすい環境に

工程ごとの稼働時間から各従業員の適性を可視化し、適切な人員配置の実行に活用可能です。

また、棚やパレットラックなどにセンサーを設置すれば、在庫数のデータをリアルタイムに取得でき、ムダな在庫を抱えないビジネスができます。
このような従来は人間が行っていた作業に、IoTを活用した技術を取り入れることで、ヒューマンエラーの抑止や防止も可能です。ヒューマンエラーとは、情報伝達不足や教育、指導不足など人間が原因で起こるミスを指します。

例えば、重量センサーを導入した企業では、予定と異なる重量をセンサーで検知するシステムによって、ヒューマンエラーの抑制に成功しています。

IoTを導入すると、働きやすい職場の実現や業務効率化、コストの削減などにつながるでしょう。

新たなビジネスチャンスが生まれる

IoTを活用すれば、詳細で膨大なデータの取得が可能になります。今までの市場調査では見えなかったような顧客ニーズを可視化できるため、新しい商品やサービスの誕生にもつながるでしょう。

例えば、振動センサーや加速度センサー、温湿度センサーなどから得たデータを分析し、価値あるアクションに落とし込むことで、新しいビジネスチャンスが得られます。


IoT活用の注意点

IoTを効果的に活用するには、注意点も押さえておくことが大切です。ここでは、IoT活用の代表的な注意点を解説します。

セキュリティ対策が必要である

IoTはあらゆるモノをインターネットに接続するため、セキュリティリスクが高まる点に注意しましょう。

特にデータがクラウドサーバーに送信される際、サイバー攻撃によって情報の漏えいが発生するリスクがあることから、ネットワーク環境におけるキュリティ対策の強化が必要です。

その他、通信内容の傍受やIoT機器の乗っ取りなどについても、事前に対策を講じましょう。

通信障害で影響を受ける可能性がある

インターネットに接続しているモノが増加すると、電波干渉のリスクがあります。

電波干渉とは、無線電波を発生する機器同士で電波がぶつかり、正常に接続できなくなる、間違って作動するなど、互いに影響を与える現象です。

また大規模な通信障害が生じ、インターネットが使えなくなった場合も、動作に支障をきたします。


IoTを利用した業種別の活用事例

実際にIoTは現場でどのように活用されているのでしょうか。最後に、IoTを利用した業種別の活用事例を解説します。

物流のIoT活用事例

物流業界において、IoTを含む最新技術を用いたDXは「ロジスティクス4.0」と呼ばれます。

ある物流業者は、医薬品輸送中に品質が低下しないように、厳格な温度管理・位置情報の監視にIoTを導入しています。

例えば、モバイル型の追跡システムを活用した結果、取得したデータをスムーズに引き継げるようになりました。

この取り組みは、平等な医療サービスの提供やコスト削減などに関するSDGsの目標達成に通じます。

製造業のIoT活用事例

製造業では、働き方改革や業務の効率化などに関するSDGsの目標達成に向けて、IoTを取り入れた、さまざまな取り組みが実現可能です。

例えばセンサーや機械を使った、製造工程における故障の早期発見や、作業の自動化などが実現できます。

ある製造業者では、IoTによってデータを可視化し、改善活動の計画や実施、効果検証ができるようになりました。

医療・介護のIoT活用事例

医療・介護の業界は、人手不足が深刻となっており、業務の効率化が課題とされています。

IoT技術を取り入れたウェアラブルデバイスを要介護者や患者に活用することで、心拍・呼吸の確認や、排泄のタイミングの予知が遠隔から可能です。

また、見守りシステムやベッドのセンサーを導入し、ベッドからの離床を検知してリアルタイムで把握することで、介護職員の負担となっていた見守り業務を効率化できます。

このように、人手不足やサービスの質などの課題解決に関するSDGsの目標に、IoTが役立っています。

農業のIoT活用事例

農業は後継者や労働力不足、少子高齢化など多くの課題を抱えており、これらの課題解決の糸口の1つとして、IoTやビッグデータを活用したスマート農業が注目を集めています。

例えば、デバイスで水位や水温をモニタリングしながら、遠隔や自動で管理できるシステムを導入し、業務の効率化を図るケースもあります。

この取り組みは、飢餓や栄養不良、従業員の負担軽減などのSDGs目標に通じます。


まとめ

IoTやAIといったデジタル技術の活用は、「Society5.0」によって実現する、暮らしやすい社会の推進に欠かせません。付加価値が生まれる産業社会の実現は、外務省が掲げたSDGsの優先課題である「成長市場の創出」にもつながります。未来志向の社会の基盤をつくるためには、IoTやデータ活用で付加価値の創出を図ることができる、次世代技術の推進が重要です。

TOPPANでは、SDGs やIoTの基礎知識や最新情報などをコラムや情報誌、セミナーで紹介しています。SDGsへの取り組みやIoTの活用を進める際に、お困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

2023.10.10

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