コラム

Treasure Data×TOPPAN
2つの協働事例から紐解く、
日本企業のデータ利活用の課題と
解決策とは?[後編]

TOPPANと協働パートナー各社の対談で、日本企業のデジタルマーケティングの課題解決と未来を探るシリーズ。トレジャーデータ株式会社 Business Development Div.でSenior Manager of Partner Allianceを務める門脇亮介氏をお迎えした第1回の後編では、協働プロジェクトから日本企業におけるデータ利活用の共通課題を紐解き、両社が提供する価値についてご紹介します。
※所属企業名・部署名は2022年6月時点


スピーカー紹介

トレジャーデータ株式会社
Business Development Div.
Senior Manager of Partner Alliance
門脇亮介氏
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部 マーケティング事業部
デジタルマーケティングセンター コミュニケーションデザイン本部
カスタマーマーケティング部 4T
主任 溝口貴大

日本企業に共通するマーケティングDXの「3つの落とし穴」とは?

―協働プロジェクトでの経験を踏まえ、日本企業のデータ利活用で共通する課題とは?

門脇氏:当社のサービスはさまざまな業種・業界のお客様にご利用いただいていますが、共通するのはこれまで事業部ごと、あるいはグループ企業ごとにデータが生まれ、利用ツールも体制も異なるというサイロ化が起こっていて、社内の人的リソースも不足しているということです。
それ故にデータをビジネスに活用しにくい、できないといった課題を抱えています。

溝口:おっしゃる通りですね。当社ではお客様に、「マーケティングDXにおける3つの落とし穴」とご説明しています。
①システムが分断・個別最適化されていることで、運用負荷が高く施策がスケールしない「タコツボ問題」。
②デジタルチャネル(+ツール)を活用方法がわからない、導入の仕方がわからない「スキル問題」。
そして、③複数の業務を兼務しており、マンパワーがなく、業務を回転させられない「キャパシティ問題」です。

門脇氏:①では、ExcelやAccessなどで取りまとめたデータをBIツールで可視化したい際に、データの粒度が異なっていることでうまくいかず、共通的に可視化できないといったことが起こります。あるいは、営業データはSFAで処理できているがマーケティング領域は膨大なデータ量があり、とても処理しきれない、といったこともよく起こります。

②と③については、事前の設計が重要です。自社として何を目標として何がやりたくて、そのためにどんなツールが必要なのかを見極める際、それにはどのようなプロセスがあり、それを実行するにはどのような人材が必要かも含めて検討しなければならないのですが、内製にこだわると事前の検討が不足し、その結果、実行フェーズでうまくまわせなくなくなる、というケースは少なくありません。

特に日本の大企業では数年周期で異動が発生しますので、それまでのスキルやナレッジが後任の方にうまく継承されないケースも多いです。

溝口:確かに日本企業は構造的に、スキルやナレッジ、キャリアを積み上げにくい側面はありますね。人の異動だけでなく組織の改編でリセットされてしまうこともありますから。

門脇氏:そのため、データ活用は事業部単独ではなく、CoE(センターオブエクセレンス)の観点で組織を横断する取り組みを継続的に行うための基盤を整えて、全社最適の活動と捉えて実行する必要があります。でなければ本来、省力化のための活動だったはずが社内調整などに多くの工数がかかる、といった本末転倒なことになりかねません。


顧客課題を乗り越えるための双方の役割と強み

―トッパンから見て、Treasure Data CDPはどのような点が強みなのでしょう?

溝口:高いシェアに示されるツールとしての完成度と評価の高さはもちろんですが、データの取り込みと外部との連携のイン・アウトが、圧倒的にしやすい点が特に優れていますね。
現在のビジネスにおいてデータは日々、増えることはあっても減ることはありません。従来型のDWHでは一つ新たなデータを連携させるためにシステム開発が必要で、数か月かかることも珍しくありませんでした。

その点、Treasure Data CDPは外部と連携可能なコネクタが日々増えており、新たなシステムやサービスとデータを連携する必要がある際も、設定するだけですぐに使えます。こうした柔軟性と拡張性の高さが、Treasure Data CDPの強みだと感じています。

門脇氏:当社では創業時から、お客様が使いたいものがすぐ使えるようにというポリシーのもと、APIなど外部のシステムやサービスとの連携部分の開発には日々、注力しています。国内でお客様が利用されるツールに関してはほぼ100%対応していると言っても過言ではありません。
特に最近では3rd Party Cookie規制もあり、たとえばFacebookのIDなど、自社保有データの活用ニーズなども高まっています。そうしたニーズを丁寧にくみ取りながら、連携先を増やしていくことが、プラットフォームベンダーとしての責任と捉えています。

―トレジャーデータから見た、トッパンの役割と強みとはどういう点でしょうか?

門脇氏:かつてはデジタルマーケティングを「やる」か「やらない」の二択でしたが、現在は多くの企業が中期経営計画などでデジタル、データの活用を掲げています。
要するに「やる」と決めた上で、「いかにやるか」の段階。その点を担うのが、まさにトッパンの役割ですよね。

この5年ほどの動きを見ていて感じるのが、かつてはデータ活用のための予算元は、情報システム部のIT予算または、マーケティング部の広告宣伝予算でした。ところが近年は、全社の事業予算から捻出されることが増えてきています。これは同時にデータ活用のための基盤作りが部署ごとの施策ではなく、部門横断の全社プロジェクト化していることを意味します。

しかしそれを実行するには、ITとマーケティング、ビジネスをつなぐ役割、それらを共通言語で語れる方が必要になります。そういう方が社内にいる企業もありますが、まだまだ希少性が高い。それがまさにトッパンの役割だと私は思います。

溝口:そうですね。デジタルマーケティングを実行するにはシステムを安定運用させる必要がありますので、マーケティングとITの二つの観点が必要です。トッパンでは私のようなマーケティングのスタッフと、エンジニアのスタッフが体制を組んでプロジェクトを支援しますので、安心してお任せいただけると思います。

―改めて、両社が協働することでお客様へ提供できる価値について、お聞かせください。

門脇氏:改めて、データ統合のプロジェクトは事前のプランニングが重要ですね。それも段階を踏んで、フェーズごとに切り分けておく必要があります。その際には選定から構築にわたって高い透明性と中立性、さらに柔軟性が求められます。
だからこそお客様には、トレジャーデータとトッパンと三位一体で進めていかれるのをお勧めします。

溝口:単に基盤を構築して終わりではなく、施策が実行できてはじめてプロジェクトが成功したと言えるわけですので、データの基盤として最適なプラットフォームを提供されるトレジャーデータと、店頭でのプロモーションをはじめ、施策の実行部分を長く担ってきたトッパンのタッグが、最適だと思います。


これからも両社で新たなデータ活用事例を積み上げ、ビジネスに貢献する真のDXを実現していきたい

―最後に、今後の展開についてお聞かせください。

門脇氏:データを取り巻く環境は、この10年で大きく変わりました。高いセキュリティ要件を求める金融機関や自治体などでもクラウドへの移行が進み、「データの民主化」が広がりました。さらにはコロナ禍で商談がオンライン化し、BtoB・法人営業のフィールドでもWeb会議などのログを活用した商談の見える化、価値化が加速しています。
トレジャーデータでは「Beyond Marketing」というスローガンを掲げて、これまでのマーケティング領域からフィールドをさらに広げてfor Service、for Salesへの展開を進めています。
トッパンとはこれからも協働し、市場に対し新たな価値を提供して行きたいと思います。

溝口:当社としてもデータを主語として、今後はいかにお客様のビジネスにスケールを与えて行けるかが、重要だと捉えています。現状、まだ単なる「デジタル化」に留まっておられるお客様が多いと思いますので、これからもトレジャーデータと共に新たなデータ活用の事例を積み上げて、お客様にビジネスに貢献する真のDX、デジタルトランスフォーメーションを実現していきたいと考えています。

―本日は、ありがとうございました。

2022.06.02

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