ファンエンゲージメントとは?
高める手法と施策事例
- TOPPAN CREATIVE編集部
スポーツ業界で働いている方であれば、ファンエンゲージメントという言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。ファンエンゲージメントとは、ファンとの強固な関係性を指します。
ファンエンゲージメントは、スポーツの観戦者数やグッズ販売収益を向上させるための重要な要素です。ファンエンゲージメントを高めるためには、ケーススタディを通じて具体的な施策をイメージする必要があります。また、適切な手順に則って戦略立案やコンセプト設計などを行うことで、より効果的な成果が現れやすくなるでしょう。
本記事では、ファンエンゲージメントの意味や代表的な手法、施策立案時の手順を解説します。スポーツ業界における3つの事例も紹介していますので、施策を考える際にぜひ役立ててください。
ファンエンゲージメントとは?
ファンエンゲージメントとは、自社やブランドと、ファンとの間に生まれる、強固な関係性を表す言葉です。ファンとの密接な関係性を構築するファンマーケティングの一環で、主にスポーツ分野でよく使用されています。
ファンエンゲージメントが向上すると、試合観戦の頻度が高まり、結果としてチケットやグッズ販売などによる収益性が高まります。ファンの数が増えることで選手のモチベーションも高まるため、スポーツチームや団体にとって重要な施策の一つだといえるでしょう。
ファンエンゲージメントを高める手法
ファンエンゲージメントを向上させるには、次のような手法が活用できます。
● SNSを活用したコミュニケーション
● ファン向けのモバイルアプリの提供
● NFT(所有証明が明確なデジタルデータやコンテンツ)の販売
SNSはチームとファン、選手とファン、ファンとファンといった形でコミュニケーションを取りやすく、ファンエンゲージメントの代表的な手法の一つです。チームや選手から一方的に情報を発信するだけでなく、ファンからの質問や疑問に丁寧に回答したり、ユーザー参加型のイベントを企画したりすると効果的です。
また、近年は、デジタルデータやコンテンツにブロックチェーン技術を活用したNFTが流行の兆しを見せています。ゲームやコレクションに使える選手カードを作成するほか、メモリアル動画を提供するような形で、独自のコンテンツを発信できます。
スポーツ業界のファンエンゲージメント施策事例
ファンエンゲージメントを高めるには、すでに施策を実施しているスポーツ業界の事例を参考にするのがおすすめです。ここでは、3つの事例をそれぞれ見ていきましょう。
PLAY THE PLAY(スポーツファン向けNFT)
PLAY THE PLAYは、博報堂DYメディアパートナーズが運営するNFT発行プラットフォームです。2023年9月時点において、Jリーグとその1チームである川崎フロンターレとの提携により、NFTを活用した動画コンテンツを提供しています。
PLAY THE PLAYを利用すれば、ファンは試合の興奮や感動をおさめた唯一無二のコンテンツを保有でき、チーム・選手との強固な絆を育んでいきます。NFTとして第三者に譲渡・交換する際のみ、コンテンツを有料化することで、マネタイズにも成功しています。
2020AFFスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)
2020AFFスズキカップは、ASEANサッカー連盟(AFF)が2年に1回開催している、東南アジアを対象としたサッカーの国際大会です。
この大会の放映権とスポンサーシップ権を販売するSPORTFIVE社は、ファンとのつながりを強化するため、SNSを活用してコンテンツの量と質を向上させました。
具体的には、グラフィック作成ツール「PressBox Graphics」のデザインチームと協働し、高品質なコンテンツを使ってキャンペーンや広告を展開。この施策が見事に当たり、SNS上でのファン数が、2018年の220万人から350万人へと増加しています。
SportVU(NBA)
NBA(全米プロバスケットボール協会)は、「SportVU」というシステムによって試合中の選手の動きをデータ化し、ビッグデータ解析として活用しています。コート上に設置された6台のカメラが、毎秒25回の間隔で選手とボールの位置を追跡する仕組みです。
その結果は、試合会場に設置されたスコアボードや、自宅などで観戦中のファンのスマートフォン上などにリアルタイムで表示されます。試合のより詳細な情報がわかりやすくなることから、ファンに対する体験価値向上につながる施策の一例だといえるでしょう。
ファンエンゲージメント施策の実行ステップ
ファンエンゲージメントの向上に向けた施策を行うには、次のような手順で準備を進めると良いでしょう。
1. 現状把握
2. 最適なフローの設計
3. 仕組みの設計
4. 手法の立案・実行
ステップ1.現状把握
既存のファンがどのようなニーズや課題を抱えているのか、まずは現状を客観的に把握しましょう。現状実施している施策を洗い出し、既存ファンのニーズとの相違点を探ることも重要です。独自のアンケート作成やリサーチ会社への外注などの手法を駆使して、ファンの満足度を測定しましょう。
ステップ2.最適なフローの設計
カスタマージャーニーマップを作成し、施策を実施する際のフローを設計します。マップ上に、「試合前・試合中・試合後」といったファンの行動ステージを記載し、フェーズごとに想定されるファンの感情や思考、行動傾向などのインサイトを明確にすることが重要です。
ステップ3.仕組みの設計
ファンとつながりを持つためのチャネルを設計します。WebサイトやSNS、モバイルアプリなど、どのような接点を構築するのか、既存ファンの行動傾向を分析しながら検討しましょう。また、同じようなSNSでも、プラットフォームによってユーザー層や機能性などが異なるため、それぞれの特徴や強みを理解することも大切です。
ステップ4.手法の立案・実行
カスタマージャーニーの行動ステージ別に、具体的な施策を考えていきます。この際、KGI(最終目標)やKPI(中間目標)を設定することも重要です。具体的な数値を踏まえた目標を設定することで、施策の成果を客観的に検証しやすくなります。
まとめ
スポーツ業界でファンエンゲージメントを高めると、チーム・選手・ファンとの間に良好な関係が芽生えます。結果として観戦者数が増えれば、選手のモチベーションアップやチームの売上向上につながります。そのためにもケーススタディを通じて施策のブラッシュアップをしたり、適切な手順に沿って施策を実行に移したりすることが大切です。
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2024.02.01