コラム

【事例あり】
新時代のデジタルプリントとは?高品位な少部数印刷を支える技術とこだわり
左:佐藤倫子写真集 no rain no rainbow 右:山岸伸写真集 scene 2017-2020 MARIN TAKEUCHI

  • TOPPAN CREATIVE編集部

デジタルプリントはいま新時代に突入しています。たとえば、高品位ながら小ロット・少部数でも写真集の制作が可能に。そして新常識となるそのデジタル印刷を支えているのは、印刷技術だけではありません。

そうしたポイントを中心に、今回のコラムでは日本を代表する写真家である山岸伸氏とその妻で同じく写真家の佐藤倫子氏に、新時代のデジタルプリントで写真集を制作してみてのお話を伺いました。



高品位かつ小ロットの写真集の制作、あきらめていませんか?

出版社、美術館や博物館、美術大学、写真家協会、広告クリエイティブ業界といった法人で、写真集やアート系の冊子を担当されている方に質問です。

写真などによる高品位な作品集を数百の少部数で制作したい!だけどオフセット印刷ではコストが合わず、一方でデジタル印刷では技術的に難しく、結局制作をあきらめた…これまでそんな悔しい経験をしたことはありませんか?

そしてさらに聞かせていただきたいのが、最近は技術の進歩でデジタル印刷の表現力が飛躍的に高まり、これまであきらめていた類いのそうした作品集の制作が可能になってきているのは、ご存じでしょうか?

その新時代のデジタル印刷の中でも、クオリティでひとつ抜けていると評価を得ているのが、TOPPANの「TOPPAN FINE DIGITAL PRINT(以下TFDP)」です。

こちらはのちほどご紹介する、ポートレイト、特にグラビア撮影の分野で知られる日本を代表する写真家の山岸伸さんのインタビューからの抜粋です。
「在庫を抱えるのはいやだから、部数はいつも悩みます。その点『TFDP』は100部からでも制作できるし、デジタル印刷だから増刷も気軽にできる。印刷の品質もかなりいい出来だと思います」


新時代のデジタルプリントを支えるのは印刷技術だけじゃない!?

700〜800部以下の小ロットでも高品質な作品集が制作でき、オフセット印刷よりも単価を抑えることも可能な「TFDP」を支えているのは、印刷技術の進歩に限りません。

制作スタートからの工程は、主に「クオリティ担保のための設計」「本紙を使った出校での色調確認」「最新の印刷加工機による印刷、製本」「納品」などに分かれますが、中でもまず最初の「クオリティ担保のための設計」において、「TFDP」は他社を一歩リードしているのです。

制作スタートの段階で、弊社のプリンティングディレクターがクリエイターや編集者の方に事前ヒアリングを実施、作品の方向性をすり合わせる作業を必ず行います。

これが最終的なクオリティの善し悪しに大きく関わり、ご納得いただける作品の納品へとつながるのは、作品集の制作にたずさわる法人の担当者の方ならば想像に難くないと思います。


実際TFDPで写真集を作った話を伺ってみましょう

佐藤倫子(撮影:坂上俊彦)

ではここからは、2020年9月の「TFDP」サービス開始のタイミングで、「TFDP」を使って最初に作品集を作った写真家の佐藤倫子さんのインタビューをお送りします。

「私は写真展のプリント制作をいつもTOPPANの小島勉さんにお願いしているのですが、新作の個展の準備をしている時に、デジタル印刷で写真集を作りませんか?というお誘いをいただきまして。これまで個展の図録として写真集を作ったことはなかったのですが、小ロットで高品質という小島さんの説明を聞き、挑戦してみることにしました。

品質にはとても満足しています。『ヴァンヌーボLT-FS』の紙の手触りがしっとりとしていて、写真に潤いやみずみずしさを感じます。これまで出してきた写真集は出版社にお任せでしたが、今回は自分の意見を聞いてもらいながら進行できたので、自分の手で作ったという充実感もありました」

佐藤倫子・さとうみちこ

資生堂宣伝部写真制作部入社。退社後、フリーランスに。独自の撮り方で魅せるクリエイティブスナップ作品で都内を中心に個展・グループ展を開催。主に化粧品などの広告写真を撮り続けてきたことが基本となり、作品でも「美」のある写真を作り続けている。

佐藤倫子写真集 no rain no rainbow
2020年9月9日〜13日、ピクトリコ ショップ&ギャラリー表参道で開催された個展の図録として制作された写真集。ロケ地はハワイだが、燦々と輝く太陽ではなく、あまり見たことのないハワイの曇空や、雨で湿った空気感を捉えている。A4・40ページ。

山岸伸(撮影:坂上俊彦)

ご存じの方も少なくないと思いますが、佐藤さんとご夫婦となるのが前述の山岸伸さんです。

先ほどの佐藤さんが制作した写真集は個展会場で販売した以外にも、山岸さんと共催したサイン会でも販売、多くのファンからも好評を得たそう。

同じく「TFDP」で新作の写真集を作り、このイベントで販売している山岸さんにも話を聞いてみました。

「写真集は数え切れないくらいたくさん出していますが、実はその他にも『瞬間の顔』という著名人のポートレイト写真の個展を10年以上続けていて、毎回図録も作っています。

自分で本を作って売るのは本当に大変で、在庫を抱えるのはいやだから、部数はいつも悩みます。その点『TFDP』は100部からでも制作できるし、デジタル印刷だから増刷も気軽にできる。印刷の品質もかなりいい出来だと思います。

ちなみに以前作った写真集のモデルは、僕が数年撮り続けている女の子なのですが、この写真集のために撮り下ろしもしています。意外と気合が入っているでしょう?(笑)

いまは誰でも写真家を名乗れるし、写真集も自分で作れる時代だけど、こういう質の高い写真集を作れるのは、本物の写真家にしかできないことだとも思います」

山岸伸・やまぎししん

広告、ポスター、カレンダー、各レコード会社ジャケット撮影、各出版社写真集、各出版社表紙撮影、グラビア撮影、DVD制作など、多方面で活躍中。最近では写真の魅力を熱く語るトーク番組『山岸伸 世界の光の中で』をYouTubeで配信している。

山岸伸写真集 scene 2017-2020 MARIN TAKEUCHI
2017年に開催された山岸伸氏の写真展のモデルとしてデビューした、竹内まりん。それ以来山岸氏が撮り続けた彼女の写真と、新たに撮り下ろした写真で構成された写真集。この3年間の彼女の成長が楽しめる一冊となっている。A4・40ページ。


新時代デジタルプリントを支えるディレクターのこだわり

この2冊のプリンティングディレクターを務めたのが、トッパングラフィックコミュニケーションズの小島勉です。その立場から見た写真集制作の舞台裏について、さらに詳しく聞いてみました。

「私自身は製版作業もクリエイティブであるべきだと考えていて、具体的には作品に対する作家の思いを理解して紙に落とし込むにはどうすべきかを常に考えるようにしています。今回はお二人の作品を拝見し、自分なりに解釈した色で校正を出し、それを見ながらさらにお二人と話をして、これを2回繰り返して校了としました。

山岸さんの写真ではモデルの肌の表現に気を使いましたし、佐藤さんの写真は、これまでの彼女の作品とはひと味違う、曇った空や湿った空気感をどう表現するかがポイントでした。

実作業では、iPad版のPhotoshopを使ってレタッチや大まかな色作りを行い、最終的にはMacと外部モニターの『ColorEdge』を使い、デジタル印刷機の色をシミュレーションしながら最終的な色を決めています」

デジタル印刷機は色が安定しているので、こうしたワークフローで狙った通りの色が出せるとのこと。またiPadを使うのは、パソコンとペンタブレットよりも直観的に操作できるので、快適かつ効率的に作業できるからだそう。

最後に、小島との共同作業を振り返り、佐藤倫子さんはこう語ってくれています。

「この時の個展と写真集は、これまでの私の作風とはかなり違っていました。新しい自分を見せたので恥ずかしい部分もあったのですが、過去に縛られずに吹っ切れたので、自分でも新鮮さを感じました。

以前から小島さんとは、作品の中身も印刷も大事にした写真集を作りたいよねという話をしていましたが、このタイミングでようやくそれが実現できてうれしく思っています」
(インタビュー出典:株式会社玄光社「コマーシャル・フォト 2021年2月号」)


TFDPのお問い合わせはぜひお気軽に!

「TFDP」が、印刷技術だけではなく熟練の職人の経験やクオリティへのこだわりにも支えられているのが、お分かりいただけたでしょうか?

国内ではじめてデジタル印刷技術の事業化に成功したTOPPANによる「TFDP」に、少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ以下よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

2021.12.23

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