コラム

新時代デジタルプリントが切り開く!
少部数でも高品質な写真集の印刷を実現する技術とは

  • TOPPAN CREATIVE編集部

数百部の小部数でも、高品質な写真集を作りたい。これまでなかなか叶わなかったその要望に答えられる、そんなデジタル印刷の新時代が到来しているのはご存知ですか?当コラムではその新時代についてご理解いただき、さらに個人のクリエイターの方はもちろん、法人で写真集などの作品集製作にたずさわる担当者のみなさんにもおすすめしたい、ハイクオリティなデジタル印刷サービスをご紹介します!



不可能を可能にする新時代のデジタル印刷

(写真:山岸伸(左)、佐藤倫子(右) 撮影:南雲暁彦 出典:玄光社「コマーシャル・フォト2021年2月号」)
TOPPANの「TOPPAN FINE DIGITAL PRINT(以下TFDP)」は、その名の通りに圧倒的な品質を追求した新時代のデジタル印刷サービスです。実際にどのあたりが圧倒的で新しいかの話に入る前に、商業印刷において2大印刷方式となっている「オフセット印刷」と「デジタル印刷」の違いや、その最新事情の話から始めさせてください。印刷業界に明るくない方はもちろん、そうした話は知っているよという方も答え合わせのつもりでお付き合いいただけると、あらたなデジタル印刷の時代の到来をより実感いただけるはずです。

インキのついた印刷用の“版”をゴムや樹脂製のローラーに転写し、さらに用紙に付着させる「オフセット印刷」は、本を作るための印刷方式として知られています。最初に時間をとって版作りさえしてしまえば、そこからは鮮やかな大量印刷が短時間で可能に。版を使い倒して大量に刷ることでコスト削減にもつながるため、部数の大きい書籍や冊子を扱う出版業界で、特に重宝されています。

対して「デジタル印刷」は、“版” を必要としない印刷方式です。版が無いということは、修正対応もデータを直せば終わり。印刷ごとに内容を変えることもでき、少量印刷でのコストもかなり抑えられるなど、オフセット印刷と違って小回りが効くのが特徴です。一方、用紙サイズ選択の自由度や、標準となる4色印刷による色調がオフセット印刷には劣るので、これまで印刷業界では、用途や目的によりどちらかを使い分けるのが半ば常識となっていました。たとえば写真業界では、写真家が個展で展示する写真のように1点のみで足りる場合は、インクジェットのデジタル印刷で刷るのが一般的。問題はそれを写真集にしたいとなった場合で、これまでデジタル印刷では満足なクオリティが出せませんでした。オフセット印刷ではどうかというと、個展販売用の写真集のような数百冊の製作レベルではコストが合わずで、結局写真集の製作自体をあきらめざるをえなかったという話は、以前から聞いています。

ですがここ最近は、技術の進歩でデジタル印刷の表現力が飛躍的に高まり、オフセット印刷に劣らない色調表現がデジタル印刷でも可能になってきています。その上で少量印刷でもコストが上がらないとなれば、つまり小部数の写真集製作もあきらめずに済むわけです。まとめると、技術のめざましい発展により、オフセット印刷との役割分担がデジタル印刷の側から塗り替えられはじめているというのが最新の事情になります。このあとは、その最新事情の上で、弊社の「TFDP」がさらなる新時代を切り開こうとしているという話を続けます。


デジタル印刷サービス「TFDP」について聞く

前置きが長くなりましたが、いよいよここからが本題です。TOPPANでは、「TFDP」を「これまでのデジタル印刷では難しかった、高品質な写真集やアートの作品集が少部数でも製作できるサービス」と定義。個人のクリエイターだけでなく、美術館や博物館、写真家協会、美大、広告クリエイティブ業界、そしてもちろん出版社の方々にもお使いいただくことで、作品集製作の可能性を広げられたらと考えています。数百部単位の写真集がデジタル印刷でも高品質に製作できるという新しい価値観を、「TFDP」はもはや当たり前のものにしようとしていると言うこともできるでしょう。

デジタル印刷のサービスとしては後発ながら、どうして他の追随を許さない品質を「TFDP」が実現できているのかといえば、それはシンプルに印刷機と用紙にこだわっているから。印刷機については以下のインタビューでご確認いただくとして、用紙については、その印刷機のパフォーマンスを最大限に引き出す「ヴァンヌーボ LT-FS」を採用しています。そしてそのクオリティを下支えしているのが、熟練の技を持つトッパンの印刷技師たちです。ここからは、「TFDP」のプリンティングディレクターであるTOPPANの高本晃宏と小島勉の2人にその魅力や可能性について大いに語ってもらいましょう。

業務効率化にも効く「TFDP」

高本晃宏
私は現在、TOPPANの「グラフィック・アーツ・センター(以下GAC)」に所属しています。お客様の印刷に対する様々なニーズにお応えするために、色や品質、加工、視覚効果など様々な観点から、最適な印刷表現を提供していくなかで、グラビア印刷による雑誌や、コミックスやイラスト集、グラフィックデザイナーの作品、企業カレンダーなどのオフセット印刷にプリンティングディレクターとして携わってきました。

そうした実績もあり、「TFDP」のプロジェクトにプリンティングディレクターの立場で関わることになりました。主な仕事の内容は統括的なマネジメント業務。これまでの経験と知識を活かしながら、お客様1人1人と印刷スケジュールや費用の調整を行うことで、最適な印刷プランをご提案します。弊社は、お客様にとって作品集を製作しやすい環境が整っていると思いますし、GACには以前から「少部数で作品集を作りたい!」というご要望も寄せられていましたので、それに「TFDP」でお応えできているのはうれしい限りですね。

その一方で、「TFDP」は小ロットで作品集を作りたい個人のクリエイターにだけ有益なサービスではありません。出版社はもちろん、美術館や博物館、美大などの美術系の学校、写真家協会、広告クリエイティブ業界などで高品質な印刷物を作りたいと思われている方々にもぜひ利用していただきたいのです。たとえば、大規模なキャンペーン企画を進めるにあたって大量の印刷物だけでなく、少量の印刷物が必要だとします。従来は、それぞれの生産の得意な工場に別々に依頼しなければならなかったかもしれませんが、我々にご依頼いただければ、両方を高品質のままワンストップで作ることができます。すなわちそれは、「TFDP」でお客様の印刷業務の効率化にも貢献させていただけると言っていいと思います。

いま私は、もう1人のプリンティングディレクターである小島としっかり連携を取りながら、「TFDP」のさらなる可能性を広げていきたいと考えています。ぜひご期待ください!


「TFDP」でクリエイターの想いを実現したい

小島勉
高本と同じプリンティングディレクターとして、「TFDP」のプロジェクトチームに参加しています。主な担当は、全体のトーンや色調補正のディレクション。2000年からインクジェットによるアートプリント製作「プリマグラフィー」に携わり、写真、イラスト、文化財といったさまざまなジャンルの製作を担当してきました。そうして積み重ねた経験が、「TFDP」のプロジェクトにも活かされていると思います。

その「TFDP」を説明する上で欠かせないのが、デジタル印刷の標準である4色印刷はもちろん、最高で7色ものインキにも対応できる「HP Indigo 12000 HD デジタル印刷機」です。私がこの印刷機と出会ったのはいまからおよそ2年前。まだ「TFDP」のプロジェクトが始まっていない頃、とある写真集の製作を任されたのがきっかけでした。「写真集をデジタル印刷機で作りたい!」というクライアントの要望に応えるため、ものは試しと使ってみたところ、CMYKの色域を35%自動的に広げてくれる「ColorUP!」という機能が十分な効果を発揮してくれました。写真集もとても色鮮やかに仕上がり、関係者からは軒並み高い評価をいただきました。そのポテンシャルは、「デジタル印刷方式の可能性を広げられるに違いない!」と期待してしまうに十分なもので、その期待が間違っていなかったこともすでに証明されているとも思うので、いまは充実感を感じながら、日々の製作に魂を燃やしています。

プリンティングディレクターとしてのやりがいですか?そう聞かれていちばんに思い浮かぶのは、クリエイターの方と直接話をしながらモノづくりができることです。製作時のエピソードをうかがいながら、作品集が完成するまでのお手伝いをさせていただくのも面白いですし。「TFDP」ならクリエイターの思いを作品に反映させることもできるので、私自身も毎回仕上がりが楽しみでしかたありません。現在の製版現場では珍しいサービスだとも言えますが、その存在をより多くのクリエイターや関係者の方々に知ってもらうことで、弊社の後輩たちにも引き継げたらとも考えています。自分と同じように彼らが「TFDP」の魅力に夢中になり、それがクリエイターや関係者の方々により良いサービスを提供し続けることにつながると信じています。つまり、「TFDP」のそうしたポテンシャルにも期待しています!
(インタビュー出典:株式会社玄光社「コマーシャル・フォト2021年2月号」)

まだまだ広がりそうな「TFDP」の可能性

TOPPANにご依頼いただければ、彼らのような印刷業界のプロに相談しながら製作を進めることができます。はじめての作品集を「TFDP」で作りたいという方も、ぜひ安心してご相談いただけたら。


また、写真やイラストを柱とする商業出版社の「玄光社」と弊社とのタッグにより、2021年の春から個人向けの作品集出版サービスである「ARTBOOKS」もスタートしています。まだまだ可能性を秘めている「TFDP」。国内ではじめてデジタル印刷の事業化に成功したTOPPANだからこその、こだわりのデジタル印刷サービスの今後にもぜひご期待ください!

2021.07.29

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