B2B企業のマーケティング部門の
次のミッションは、データ統合だ

- ビジネストランスフォーメーションセンター
- 内田智宏
B2Bデジタルマーケティングの狙いは、リード獲得、顧客とのエンゲージメント強化、ブランド認知度向上などを通じ、売上額を向上させることにあります。
しかし、大半のB2B企業において、特に大企業において、全体の売上額に占める割合は極めて低く、マーケティング部門の貢献が小さく評価されがちです。
それゆえ、営業部門との協力・連携(リソース)、経営層からの理解・応援(予算)が十分に確保できず、二進も三進もいかないとの声も多数お聞きしています。
この状況を打破するためには、直接的な貢献であるマーケティング由来の売上額だけではなく、間接的な貢献も視野に入れる必要があります。
それは、マーケティングデータをはじめとしたデータ統合と公開です。営業部門や経営層へのデータ公開を通じ、マーケティング部門の存在意義を高めることで、さらなる協力や応援を得ようということです。
このコラムでは、B2B企業におけるデータ統合と公開の可能性について解説いたします。

B2B企業におけるデータ統合とは
一般的にデータ統合とは、様々なソースからデータを収集し、一貫性のある形で統合・整理するプロセスを指します。
B2B企業においては、マーケティングデータ、顧客データ、販売データなど、多岐にわたるデータが、マーケティングオートメーションツール、CRMなど、様々なシステムに分散して保存されています。
これらのデータを統合することで、企業全体でデータを共有し、より効果的な意思決定やビジネスプロセス改善に繋げることが可能となります。データの可視化を実現するという意味では、BIツールとの関連性も高いと言えるでしょう。
■B2B企業における一般的なデータ項目例

データ公開による間接的な貢献例(TOPPAN)
マーケティングデータ・営業データ・企業データを統合し、公開することで、様々な示唆を提供することが可能となります。TOPPANの具体的な事例を2つご紹介いたします。
得意先別 潜在ニーズ見える化ダッシュボード
1つ目は営業に提供している「得意先別 潜在ニーズ見える化ダッシュボード」です。
自分が担当している得意先名を入力すると、その得意先の方たちが、TOPPANのどのサービスを閲覧したのか、どのコンテンツをダウンロードしたのか、どんな問い合わせをしてくださったのかを網羅的に知ることが出来ます。
営業が知っている得意先情報と照らし合わせることで、得意先内に隠れたニーズがあるか、どのようなサービスに関心があるかを類推することが出来、案件発掘活動の一助になると思っています。

得意先統合ダッシュボード
2つ目は、「得意先統合ダッシュボード」です。
このダッシュボードは、ツールごとに分散された得意先を一意に特定してLBCの企業情報と紐づけることにより、あらゆる顧客情報の可視化を実現するものです。これにより顧客の解像度が上がり、精度の高い活動が行えるようになります。
【得意先統合ダッシュボードイメージ】

なぜ、TOPPANがデータ統合に至ったのか?
TOPPANがデータ統合に取り組んだ理由は多くあるのですが、その一つをご紹介すると、以下の図にある通り、われわれが提供するサービスと得意先、業界が強固に結びつきすぎていて、チャンスロスが多いからです。
■TOPPANのお得意先と事業部の関係

それを解決するための第一歩として、ONETOPPAN PLATFORMを開発し、誰とだれが、いつ、どこで、どのような接点をもち、受注につながったのか(つながらなかったか)を明らかにしようとしたということです。究極的な目標は、「いま、このお得意先には、このサービスが売れるはずだ」という高確度なリコメンドを実現したいと考えています。先にご紹介した「「得意先別 潜在ニーズ見える化ダッシュボード」はその一環です。
■ONE TOPPAN PLATFORM 全体像

最後に
データ統合は、決して容易な取り組みではありませんが、その効果は計り知れません。マーケティング部門の皆様が中心となって、データ統合を成功させ、データドリブンなマーケティングを実現しましょう。
2025.03.10