カスタマーエンゲージメントサービス コラム

BIツールを導入したものの、
使われなくなった...!
組織にBIツールを定着させてフル活用するための方法

  • マーケティングアナリティクス部
  • 角 紗花

近年、データを活用した経営を推進するために、多くの企業がBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの導入検討や利活用を進めています。BIツールは、企業内に散在する様々なデータを集約・分析し、わかりやすく可視化することで、迅速かつ的確な意思決定に繋げる強力なツールです。
しかし、BIツール導入後、しばらくすると、「限られた一部の担当者のみに利用が偏る」、さらには、「まったく利用されなくなる」といった重大な課題が生じるケースも少なくはありません。
こうした課題を解決するヒントとして、本稿では、「BIツールを組織に定着させ、積極的な利活用を促すための具体的な取り組み」や、「TOPPANが提案するBIツール導入の新たなコンセプト」についてご紹介します。
組織のデータ活用力向上や、データドリブン経営を実現したい方は、ぜひご一読ください。


<目次>
1.BIツール導入・利活用におけるよくある課題
2.BIツール活用課題の解決に向けた3つの方向性
3.TOPPANが提案するBIツール導入の新たなコンセプト
4.BIツール定着のための具体的なアクションマップ
5.TOPPANのBIツール導入・利活用支援サービス


1.BIツール導入・利活用におけるよくある課題

BIツールの導入にあたり、経営層やマネジメント層は、「BIツールがデータから答えを見つけ出してくれる」、「多くの担当者が活発にBIツールを使い続けてくれる」、故に、「BIツールの導入で組織のDXが促進される」といった期待を持たれることが多いでしょう。しかし、実際には、以下のような課題が生じるケースが多発しています。

・グラフィカルにデータが可視化されるものの、眺めるだけで終わってしまう
・可視化されたデータから、具体的な意思決定やアクションに繋がらない
・その結果、せっかくBIツールを導入したのにも関わらず、次第に誰も使わなくなっていく


このような状況が生じる背景には、「BIツールを導入しさえすれば、社内に自然とデータ利活用の文化が浸透していく」といった、誤った認識が存在していると考えられます。


2.BIツール活用課題の解決に向けた3つの方向性

BIツールの利活用を組織に定着させるためのアプローチとしては、主に以下の3つの方向性が考えられます。TOPPANでは、3つ目にご紹介する「(3)BIツールを活用したくなるような状況をつくる(自発的アプローチ)」に対して重点的に取り組むことが、根本的な課題解決に繋がると考えています。

(1)BIツールの活用を必須とする状況をつくる(強制的アプローチ)

【具体的な施策例】
・Excelなどの既存帳票を廃止し、すべての情報をBIツールに一本化する
・BIツールのアクセスログを監視し、その利用状況を管理職や監督者へ報告する

【期待される効果】
・BIツールへのアクセスは維持される

【想定される懸念】
・担当者に対して、データに対する苦手意識や業務上のストレスを生じさせる恐れがある

(2)BIツールを活用するように働きかける(啓発的アプローチ)

【具体的な施策例】
・インセンティブを設けたBIツール活用コンテストを実施する
・社内資格制度をつくり、BIツールの利活用レベルに応じて資格を付与する

【期待される効果】
・すぐにでも取り組むことが可能であり、盛り上がりをつくることができる

【想定される懸念】
・その後の継続的な利活用を維持し続けることができない可能性がある
・一部の担当者のみの参加に偏り、社内で二極化する恐れがある

(3)BIツールを活用したくなるような状況をつくる(自発的アプローチ)

【具体的な施策例】
・データ分析に対する担当者のリテラシーを高める
・データに基づいて意思決定を行うような組織風土を醸成する
・データ分析やBIツールに関する社内コミュニティを形成する

【期待される効果】
・組織全体にデータやBIツール利活用の文化を根付かせることができる
・組織のデータドリブンレベルを底上げすることができる

【想定される懸念】
・地道かつ長期的な取り組みとなる


本章の冒頭でも述べた通り、BIツールを組織に定着させ、積極的な利活用を促すには、「(3)BIツールを活用したくなるような状況をつくる(自発的アプローチ)」に取り組むことが最も重要です。


3.TOPPANが提案するBIツール導入の新たなコンセプト

これまで、導入したBIツールの利活用が次第に減少し、誰も使わなくなってしまう事態を防ぐためには、担当者が自ら進んで「BIツールを活用したい」と思えるような状況づくりに取り組むことが重要であるということを述べてきました。
それに合わせて、BIツールそのものについても「データを通じて担当者に気付きやきっかけを与えるツールである」という認識へと転換させていく必要があります。
従来、BIツールは、「あらゆるデータを可視化した情報集約ツール」と認識されることが多かったと思いますが、TOPPANでは、「担当者のデータへの興味・関心を高めるためのツール」と位置付け、BIツール導入の新たなコンセプトとして提案しています。

BIツールを活用することで、担当者に新たな気付きやきっかけを与え、さらに担当者がBIツールを積極的に活用するという、好循環のサイクルを生み出すことが重要です。

BIツールを中心とした、組織全体のデータドリブンレベル向上

データへの興味・関心が高いエバンジェリスト的な担当者を起点に、コミュニティの形成へと繋げ、BIツールを中心として、社内での「データ仲間・共通言語」を創り出し、その輪を広げていくことで、組織全体のデータドリブンレベルの向上を図ります。


4.BIツール定着のための具体的なアクションマップ

「BIツール社内運営」と「データ利活用社内風土」の2つの要素によって、BIツール活用の好循環を生み出し、組織にBIツールの定着を促します。
それぞれの要素について、BIツールの社内展開フェーズごとに実施すべき具体的な取り組みを整理し、アクションマップとしてまとめると、以下のようになります。

「BIツール社内運営」に関する取り組み

【初期導入フェーズ】
「社内ポータルサイトの構築」を行い、利用者の意欲や疑問に対する受け皿を準備します。

【本格展開フェーズ】
「BIツールコミュニティの育成」を行い、BIツール社内浸透の起点をつくります。

【安定運用フェーズ】
「BIツール好事例の社内共有」を行い、コミュニティの輪を広げていきます。

また、すべてのフェーズを通して、「BIツール利用者へのヒアリング/ダッシュボード改善」および「BIツールやダッシュボードに関する有益な情報の配信」を行い、BIツールの運用が活発に行われていることを示します。

「データ利活用社内風土」に関する取り組み

【初期導入フェーズ】
「データ利活用社内教育」を行い、データに対する担当者のリテラシーを高めます。

【本格展開フェーズ】
「データ利活用エバンジェリストの育成」を行い、データ利活用社内風土の起点をつくります。

【安定運用フェーズ】
「データ利活用好事例の社内共有」を行い、データ利活用社内風土をより強く根付かせていきます。


5.TOPPANのBIツール導入・利活用支援サービス

TOPPANでは、単にBIダッシュボードを構築するだけでなく、本稿でご紹介したような、「組織の文化や風土づくり」を考えながら、構築・運用をトータルで支援しています。

また、BIツールの定着化に向けては、以下のような支援も行っております。


・データ分析やBIツールに関する研修/レクチャー/ハンズオン
・社内教育コンテンツの作成
・ポータルサイト/ヘルプサイト/コミュニティサイト等の作成支援
・トレンドやトピックス、事例の定期的な発信
・社内コミュニティイベントでの講演
・常駐/訪問での 1 on 1 実践型業務課題解決トレーニング
・各部門のキーマンを集めたマインドチェンジワークショップ



BIツールの導入や利活用についてお悩みの方は、ぜひ、TOPPANまでお気軽にご相談ください。

2025.09.08