インタビュー・会談

【お客さまインタビュー】
嗜好性データの活用によりメルマガ滞在時間が1.4倍に。ペルソナマッチングソリューションが描く新たな顧客像。

「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念のもと1918年に創業したシチズン時計株式会社(以下、シチズン時計)さまは、日本を代表する時計メーカーとして、100年以上にわたり時計づくりを続けてきました。
光を電力に換えて動く「エコ・ドライブ」などの技術を駆使し、高い「精度」「品質」「デザイン」「ホスピタリティー」を提供する「The CITIZEN(ザ・シチズン)」や先進技術と洗練されたデザインを特徴としたメンズウオッチブランド「ATTESA(アテッサ)」、実用性と上品さを兼ね備え、働く女性から高い支持を得ているレディスウオッチブランド「xC(クロスシー)」といった人気ブランドを送り出しています。

長い歴史があり多彩なブランドを持つ時計メーカーゆえに、お客さまの属性も幅広い層におよびます。B to B to C企業であるため顧客の特性を把握できる情報の取得が難しく、顧客解像度の向上に課題を抱えていたシチズン時計さまに、TOPPANエッジは「ペルソナマッチングソリューション」をご提案、新商品紹介のメールマガジンを使ってトライアルを実施していただきました。
トライアルの結果どのような検証結果が得られ、どのような発見や気づきがあったのか、時計事業の国内完成品腕時計の販売領域におけるデータ分析・活用を担当するデジタルイノベーション部 データ戦略課に所属し、今回のトライアルをご担当いただいた武笠さんと近葉さんにお話を伺いました。

左から、今回インタビューにお答えいただいた武笠さん、近葉さん
左から、今回インタビューにお答えいただいた武笠さん、近葉さん

シチズン時計株式会社
・資本金:32,648百万円
・従業員数:14,150名(連結)2025年12月31日時点
・事業概要:各種時計類及びその部分品の製造及び販売並びに持ち株会社としてのグループ経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査、グループ技術開発及び知的財産の管理その他経営管理など
・ペルソナマッチングソリューション導入時期:20257


ペルソナマッチングソリューションとは

企業の顧客セグメントにTOPPANエッジ独自のセグメントをAIで紐づけ、様々な施策に活用できるように顧客情報をアップグレードするソリューションです。新規獲得施策の効果向上、顧客傾向理解によるLTV※1向上、アプローチのパーソナライズ、コンテンツの改善などにより、企業の顧客解像度の向上に貢献します。

※1 lifetime value=生涯顧客価値

お客さまとの「関係づくり」のために

―今回のトライアルの舞台となった「MY CITIZEN」とはどのようなサービスなのでしょうか?

武笠さん:時計は長くお使いいだだくものですので、商品の保証や修理といった購入後のサポートを目的とした「オーナーズクラブ」という、弊社の中では高価格帯に位置する商品をお買い上げいただいたお客さま向けのサービスは以前からありましたが、更により広くお客さまとのつながりを持つためのシステムを作れないだろうかと構想をはじめ、2019年に開始した会員プログラムが「MY CITIZEN」です。「MY CITIZEN」に会員登録して対象商品をご登録いただくと、保証の延長といった特典のほか、新商品やキャンペーン情報の載ったメールマガジンなどの会員限定サービスを受けることができます。

事業企画センター デジタルイノベーション部 データ戦略課 課長 武笠 智昭さん

近葉さん:対象商品には、会員プログラムの説明と登録用のURL、QRコードを掲載した「MY CITIZEN 案内カード」を取り扱い説明書とあわせて同梱し、会員登録のお願いをしています。こうした施策においては企業側がお客さまから得るメリットに視線が行きがちですが、本来の目標は、ご購入いただいた時計を良い状態で長く愛用していただけたり、次に時計をご購入される際にはまたCITIZENを選んでいただけるような関係づくりだと思っていて、LTVの向上といった成果はそうした関係を築いた結果として付随してくるものだと考えています。「MY CITIZEN」の立ち上げ以降、より多くのお客さまとの接点を持つことができるようになりました。

事業企画センター デジタルイノベーション部 データ戦略課 近葉 善さん

武笠さん:「MY CITIZEN」で会員さまに発行しているメールマガジンは、ありがたいことにかなり良いCTR※2スコアを得ています。メールマガジンは決して目新しいものではありませんが、私たちにとって既存のお客さまとのつながりを保ち、深めてゆくための大事なコミュニケーションツールだと思っています。それゆえに課題もありました。

※2 Click Through Rate=配信したメールの総数に対して、本文に設置されたURLリンクがクリックされた割合


「嗜好性セグメント」とのマッチングにより高まる顧客解像度

―どのような課題があったのでしょうか?

武笠さん:我々データ戦略課では顧客セグメントを設定し、セグメント別にメールマガジンを打ち分けるという施策を実施していました。しかし「MY CITIZEN」のデータは、男性か女性か、年齢はどのくらいかといった属性で分けたお客さまが、いつどんな時計を何本購入登録されているかというデータでしかないため、顧客理解を深めようと思っても、弊社の腕時計の、デザイン、機能、大きさなどの情報からのクラスタリングによって得られた「小ぶりなデザインを好まれる方なのではないか」「高機能な時計に魅力を感じていらっしゃる方なのではないか」というレベルの理解に留まっていました。例えば「Kii:(キー)」というアクセサリー性の強いブランドがあるのですが「xC(クロスシー)」のラインナップ内にもアクセサリー性の強いモデルはあるのです。そうしたブランドの交差をどう捉えてセグメンテーションするかといった課題がありました。いずれにせよ「時計・ブランドによってお客さまを分類する」という状況でした。それでも一定のCTR改善は図れていましたが、更なる顧客解像度向上へ何ができるのか悩んでいました。

近葉さん:シチズンでは長期ビジョンとして「シチズングループビジョン2030」を策定し、「豊かな未来(とき)をつなぐ/Crafting a new tomorrow」というビジョンを定めています。そこではシチズンが、世の中に安心、信頼そして感動を届ける存在になれるように努めていくことが語られています。安心や信頼については、100年以上の歴史で培われたものがありますが、「感動」を考えた時、メールマガジンひとつをとっても、全てのお客さまに同じものを発信し、一様な感動を届けることは徐々に難しくなってきていると考えております。お客さまの持つ価値観や、感動のポイントはどこにあるか、といったところに接することができれば、顧客解像度も大きく向上するのではないかと感じていたのですが、弊社独自のデータだけではなかなかその領域に手が届かなかったのです。

―それでTOPPANエッジの「ペルソナマッチング」に興味を持たれたのですね?

武笠さん:はい。ペルソナマッチングの説明資料を読んで「嗜好性セグメント」というこれまでの弊社のデータ戦略には無かったワードにまず興味を持ちました。TOPPANエッジさんによる7,000人におよぶ独自調査※3により構築された嗜好性クラスターごとの特徴レポートには、価値観や購買判断ポイントといったこれまで弊社では推測が困難だった要素が盛り込まれていました。そうした要素と弊社の顧客セグメントをAIによりマッチングすることで新しい顧客像が描けるのではないかと期待して、弊社の機械式腕時計の人気ブランド「Series 8」新商品紹介メールマガジンを使ってトライアルを実施することにしました。

※3 TOPPANエッジでは20代から60代までの約7,000人への「デザイン表現の嗜好」「プロダクト嗜好」「ライフスタイル」「価値観」などの調査データから生活者の嗜好の実態や構造を多角的に洞察し、複雑で多様な「好きになる要因」を13に分類し体系化しています。


想定していなかった新たなクラスターも

―ペルソナマッチングソリューションの結果提供されたクラスターをご覧になってどのように感じましたか?

武笠さん:納得感のあるクラスターと全く想定していなかったクラスターがありました。長い歴史のあるシチズンという時計メーカーに私自身長く勤務している中で「この時計を選ばれて、保証を延長されているこの年代の方ならばこのクラスターだろうな」という自分なりの考えは形作られているのですが、そこにスッと腹落ちするケースがあった一方で、率直な第一印象としては「本当にこんな属性のお客さまっているの?」と疑問に思ったクラスターもあった、ということです。

―そうしたクラスターは施策対象から除外したのですか?

武笠さん:いいえ、そうした想定外のクラスターも、このAIマッチングにより生まれた新たな気づきであり可能性です。そこに対してどんな施策を打てばどんな結果になるのか、新しい検証を行うための仮説が立ったという面白さを感じましたので、むしろ前向きに捉えました。

近葉さん:我々の中で培われてきた「この時計を購入されるのはこういうお客さま」というイメージには、自社内で自社データに接してきたことによるバイアスがかかっている可能性もあるわけです。そうした主観に対してペルソナマッチングソリューションから得られた提案は、現状の課題を超えて前進するための新鮮なヒントを与えてくれました。

―クラスタ別のメールマガジンの作成はどのように行ったのですか?

武笠さん:ブランドにはそれぞれコミュニケーションルールがありますのでそれを順守した上で、このターゲットにはこの画像が合うのではないかといった案をいくつか我々で作成し、TOPPANエッジさんからデザインなどのアドバイスをフィードバックしていただき仕上げていく、というプロセスで作成しました。「Series 8」は比較的後発のブランドですので、顧客解像度を上げたいという面からも今回のトライアルにマッチする商品でした。

―結果はどのようなものだったのでしょうか?

武笠さん:従来はメールマガジンの評価としてCTRのみを見ていましたが、TOPPANエッジさんからのご助言を受け、メールの読了率や滞在時間なども見ることにしたところ、滞在時間の中央値は従来比で1.4倍に伸びていました。メールマガジンを読んでくださるお客さまに、もっとCITIZENファンになってほしい、ロイヤルカスタマーになってほしいという目標に向けての効果は感じることができました。もちろん1通のメールマガジンだけで顧客のアクティベートや最終的な商品購入には至らないとも考えていますし、今回の結果を受けて設計上の改善の余地なども見えてきましたので、こういった施策をコンスタントに繰り返していきたいと思います。今回のトライアルを機に、メールマガジン施策の評価方法についても再考する良い機会となったと感じています。

―得られた検証結果を今後どのように活かしていくか、お考えをお聞かせください。

武笠さん:ナレッジを蓄積させ、得られた仮説にある程度妥当性があるとジャッジできたものに関しては、CRM領域だけでなく商品企画や宣伝、販促といった部門とも連携し、より幅広いマーケティング施策への活用につなげていきたいと考えています。
弊社には社内技術展というクローズドなイベントがあります。部品や加工技術などの製造開発系のテーマが中心の交流会のようなものなのですが、先日開催された社内技術展では我々も会場の一角を借りて、データ分析やAI活用といったテーマでマーケティング領域から出展し、そこでペルソナマッチングソリューションについても紹介させていただいたところ、商品企画や宣伝を担当する社員から大変興味を持ってもらえましたので、自部門施策に留まらず、時計事業全体における顧客データ活用戦略を策定し、他部門でのマーケティング施策にも貢献できるよう検討を進めたいと思います。
ペルソナマッチングソリューションも、様々な事例を積み重ねていく中でデータの厚みを増して、よりリッチな解像度をもたらしてくれるようになることを期待しています。いずれはグローバル領域にも活用できるようになるといいですね。


ペルソナマッチングソリューションでは、独自AIの活用により、個人情報や顧客データを用いることなく企業の顧客セグメントにTOPPANエッジ独自のセグメントを紐づけ、様々な施策に活用できるようご支援いたします。提供可能なセグメントは嗜好性セグメント、通知物に関するデジタル意向セグメントに加え、リスク感度セグメントも準備中です。

また、TOPPANエッジでは、データサイエンティストによるデータ分析で得られた知見を最大限に活用した施策戦略立案から、科学的根拠に基づいたクリエイティブ制作、効果検証まで一貫した体制でのサポートが可能です。顧客の特性を把握できる情報の取得が困難で、データレイアウトや個人情報保護の観点からも外部データの利活用が難しく、インハウスデータのみでの施策に限界を覚えているマーケティングご担当者さまは、ぜひTOPPANエッジにご相談ください。

※所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※その他記載された製品名などは、各社の登録商標あるいは商標です。

2026.01.21

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