【会談記事】オンライン相談への遷移率が約4倍アップ!
「パーソナライズド動画」が一人ひとりへの効果的なアプローチを可能に

「世界が進むチカラになる」をパーパスに掲げ、日本を代表する都市銀行である三菱UFJ銀行さま。
金融を通じて、顧客と社会に貢献することを目指されています。
2024年1月から新NISAが始まって個人による資産運用が活発化するなか、継続的な顧客獲得に向けてさまざまな施策を試されています。その一つとして今回新たに導入したのが、顧客一人ひとりの状況に合った動画を表示できる「パーソナライズド動画」です。
今回は本ソリューションを導入した経緯やその効果などについて、三菱UFJ銀行の導入時のご担当である事務企画部の河野さんと、現在のご担当のカスタマーサービス推進部の丸山さん、そしてTOPPANエッジの藤田と近藤で当時を振り返りました。

株式会社三菱UFJ銀行 事業概要:金融業及びその他付帯業務 従業員数:31,756名(2024年3月末現在、単体) 「パーソナライズド動画」導入時期:2025年1月 |
オンライン相談の認知度向上と同時に、資産形成の潜在ニーズを掘り起こしたかった
藤田:三菱UFJ銀行さまにおかれまして、TOPPANエッジは通知物全般やWebサイト・アプリ開発などはもちろん、法令対応にて必要となる事務局やコンタクトセンターの代行運営など、幅広くご支援させていただいております。
そうしたなかで2024年10月、減少傾向にあったオンライン相談の件数を上げるための施策についてご相談をいただきました。
河野さん:来たるべきセカンドライフに向けて、多くのお客さまが「金融のプロにお金の相談をしたい」というニーズがある一方で、オンライン相談の存在はまだ十分に知られていません。それと同時に、お金の相談に対する心理的な抵抗も根強くあり、Webページにアクセスしたとしても実際にオンライン相談まで至るケースはごく限られていました。

藤田:これまで貴行ではオンライン相談の認知度向上のために具体的にはどういう取り組みをされていたのでしょうか。
河野さん:Eメールやプッシュ通知などを活用していました。ただ、文字だけでは訴求できる内容に限界がありました。さらに最近はフィッシングサイトなどへ誘導する偽メールの影響などもあるからか、Eメールを送っても開封率が低く、ニーズの検証はもちろん訴求施策の改善にも苦戦していたのです。
藤田:オンライン相談を利用してもらうには、サービス自体のアピールだけでは不十分だともお考えでしたよね。
河野さん:おっしゃる通りです。オンライン相談の件数を上げるには、資産形成の重要性を伝えつつニーズを喚起することが不可欠です。私たちとしては、一貫した訴求戦略の構築に取り組む必要があると考えていました。
藤田:新NISAが始まってしばらく経ったこともあり、資産形成に関するニーズはやや落ち着いた印象がありますが、実際いかがでしょうか。
丸山さん:確かに相談件数は落ち着いていますが、新NISAの枠に余裕があるお客さまはまだまだ多く、利用促進の余地は十分にあると考えています。私たちが訴求したいと考えていたのは40~60代のお客さま。退職金を受け取る時期が見えてきて、資産形成をより真剣に考えている層の方々でした。

近藤:そこでTOPPANエッジの数あるサービスのなかからご紹介させていただいたのが「パーソナライズド動画」でした。このソリューションは、視聴者の名前、属性、購入履歴、興味関心などのデータを基に、一人ひとりに最適化された動画コンテンツを作成・配信するサービスです。動画内にそれぞれに合った情報を組み込むことで、視聴者に特別感を与え、エンゲージメントを強化します。

※ 画像はイメージです。本事例のパーソナライズド動画の画面とは異なります。
河野さん:ご紹介いただいた「パーソナライズド動画」は、動画で双方向コミュニケーションを取りながらお客さまごとに内容を可変させていくことで、一人ひとりに対してより深くニーズを喚起できそうだと期待が持てました。
それに加えて、お客さまがどの程度動画を視聴しオンライン相談まで至るか、どの段階で離脱するかなどのデータを捕捉・分析することで、その後の利用促進策の高度化を図れるのではないかと思い、導入を決定したのです。
藤田:ありがとうございます!加えて、2024年10月に郵便料金が値上げしたことで、貴行のプロモーション活動には大きなインパクトがあったとお聞きしていました。今回「パーソナライズド動画」を活用したデジタル施策で、DM発送へ頼りすぎない新たな情報の届け方を構築できれば、貴行の業務改善やコスト削減へさらに貢献できると考え、ご提案させていただいた次第です。

ユーザーの心理変化を分析。最適なアプローチを提案
河野さん:導入が決まると、まずは訴求対象となるお客さまのペルソナを明確にするため、属性やご相談内容などのデータを整理しました。また、社内にあった提案用資料を基に、動画のストーリーラインも検討しました。
その結果、今回は「一定の資産をお持ちである40~60代の既存顧客」へターゲットを絞り、Eメールに加えて特別感を持たせるDMを発送することに決めました。年代が上がるほどEメールを開かない傾向がわかっていたので、そのあたりも考慮しましたね。
藤田:送付対象となるお客さまの層をうかがったうえで、TOPPANエッジ側主導でカスタマージャーニーを作り上げていきました。
タイトなスケジュールでしたが、再三にわたり三菱UFJ銀行さまとは認識合わせをさせていただきました。ユーザーの心理的変化を分析し、それに基づいたアプローチを構築する必要がありましたが、常に迅速なフィードバックをいただけたおかげで細かいチューニングが可能となりました。
河野さん:私たちには既にある程度のイメージがありましたので、TOPPANエッジさんにはそれをベースにブラッシュアップしていただき助かりました。
近藤:さらに、三菱UFJ銀行さまは情報セキュリティについて、国内でも有数の厳格な基準を定められている企業です。そのため、今回の施策で動画内にどのような個人情報を付与する想定なのかなどの確認を細かく取りながら進めました。
TOPPANエッジ側では、必要な機能面や今後の類似施策への拡張性、三菱UFJ銀行さまの既存Eメール配信システムを見越したURL生成ロジックの取り込みなどを考慮し、設計・開発を進めています。また、セキュリティ面も十分に考慮し、独自ドメイン(MUFGドメイン)に適合したプログラムも併せて実装させていただきました。

藤田:開発期間、そしてテスト期間とタイトなスケジュールでした。特に、異なるシステムとの接続による影響が懸念されるITb(Integration Test B:外部システムとの結合テスト)や、全体の動作確認を行うST(System Test:総合テスト)の実施には注意を払う必要がありました。
そのため、一部日程の調整やUAT(User Acceptance Test:ユーザー受け入れテスト)を当日中にお願いするなど、無理なお願いをせざるを得ないこともありましたが、その節は多大なお力添えをいただき、本当にありがとうございました!
双方向コミュニケーションで平均遷移率が4倍にアップ
藤田:全国約5万人の既存顧客に向けて、セカンドライフ・シミュレーションができる「パーソナライズド動画」の2次元コードを掲載したはがきとEメールをお送りしたのは、2025年1月末でしたね。お客さまの反応はいかがでしたか。
丸山さん:この新たな認知拡大施策を開始して初めてのタイミングであったのと、効果検証期間も限られてはいるのですが、オンライン相談予約ページへの平均遷移率が、これまでのEメール経由と今回お送りしたEメールで比較すると、約4倍にアップしました。
近藤:良かったです!効果があったことで、新たに見えてきたことはありますか。
丸山さん:今回、Eメールと併せて「紙のDM(ダイレクトメール)」であるはがきも使用しました。デジタル化が進む世の中とは逆行するようですが、紙のDMを送付したお客さまの方がシミュレーション動画の視聴率が高くなったという結果があり、紙媒体の有効性を再認識しました。今後は店頭でチラシを配布するなど、他の紙媒体の活用も検討しています。
近藤:一般的に「Eメール」よりも「紙のDM」の方が開封率は高いとはいわれていますが、今回のように開封から動画視聴への導線がスムーズなEメールに比べても、やはり紙のはがきの方が反響があったのですね。
今回の「パーソナライズド動画」のどのような点が今回の成果につながったとお考えでしょうか。
丸山さん:シンプルな質問に回答し、自身の資産状況を入力するだけでセカンドライフに向けたシミュレーション結果がわかるという手軽さが、お客さまにとって良かったのではないでしょうか。
結果に基づき、お客さまごとに適した提案メッセージが表示されるという興味を引き付ける構成や、オンライン相談予約へのスムーズな導線設計などのおかげで、今回の成果につながったと感じています。
藤田:「パーソナライズド動画」では、配信先ごとに動画内のどこまで視聴したのかがわかりますが、その点はいかがでしたか?
丸山さん:シミュレーション動画を最後まで視聴される方が多かったですね。動画は訴求ポイントを整理しやすく、情報も多く盛り込めるので、より効果的なアプローチが可能でした。
今後は遷移率向上のために、より効果的な導線を検討していきたいですし、更なる活用方法も検討していきたいです。

藤田:最後にTOPPANエッジへ期待することがあれば、お聞かせいただけますか。
河野さん:今回「パーソナライズド動画」を使用した認知拡大案をご提案いただいたように、さまざまな事例をご存じの貴社ならではの技術・視点からのサポートを今後もぜひお願いしたいです。

近藤:そうですね、デジタル施策で挙げるとすれば、メタバース空間でお客さまから相談していただけるサービスや、生成AIを活用したFAQ対応、+メッセージアプリなどを活用したダイレクトコミュニケーションなどの新たなチャネル活用のほか、さまざまなソリューションのご提案が可能です。これらの施策は顧客エンゲージメントを強化し、企業の収益向上や課題解決に大きく貢献できるものです。
藤田:はい。これからも三菱UFJ銀行さまの課題へ寄り添い、さまざまな解決策をご提案していきますので、お気軽にご相談いただければうれしいです。
河野さん:こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
藤田:本日はどうもありがとうございました!
※所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
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2025.04.25