事例紹介

AI-OCR技術の融合で収納事務にかかる作業の自動化を実現

  • データ化・電子化 /アウトソーシング・省人化 /働き方改革・テレワーク
  • 中野区さま

職員の手を介さなければならなかった収納業務を省力化してコア業務に専念。作業量とコストの軽減を両立。


  • 【課題】
  • ・収納業務における登録や消し込み、補記作業など、職員による手入力に頼らざるをえず、業務負荷が高かった。
  • ・ パンチデータの作成は外部へ委託をしていたが、コストの増額も示唆されていた。
  • ・100種類以上ある書式の異なる非定型の帳票に対応する必要があった。

課題を解決したソリューション

【選んだ理由】
・BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の観点から、業務内容に寄り添った改善提案。
・帳票改善ソリューションによる記入用紙の見直しにより、AI-OCRの手書き文字の認識精度が向上

背景

東京都中野区さまの収納業務は、口座情報の登録や特別徴収納入済通知書(以下、特徴済通)の消込業務など多岐にわたり、多くの労力を費やしていた。

データ入力を行う事前準備として、手書きの口座振替の申込帳票の記載内容をもとにコードに変換するなど、基幹システムのデータレイアウトに合わせて帳票に補記する作業を行っていた。また、特徴済通では100種類以上のフォーマットに対応する必要があった。

手作業のため繁忙期には多くの残業が発生し、担当以外の職員へ応援を頼むなど人海戦術で何とか乗り切っていたが、外部の専門業者へ委託もしていた入力業務についてもその事前準備も煩雑で、コストの増額の懸念も大きかった。

これらの業務がAI-OCRを活用することで改善ができるのではと考え、トライアルも可能な弊社へご相談いただいた。

実施概要

業務の内容を整理すると、混在する主な課題は以下の通り。

・データ化したい文字は手書きと活字の両方がある
・手書きの入力内容をもとにコード変換が必要
・帳票の書式は多岐にわたる

検証した帳票のイメージ

そこで、手書きと活字の両方に対応する京都電子計算のAI-OCR技術「AI手書き文字認識サービス」と、書式が異なり多岐にわたる形状の紙帳票を一つのラインで読み取ることが可能なABBYYジャパンのAI-OCR技術「ABBYY FlexiCapture」の融合で目標を達成できると考え、設計を行った。

データのアップロードからOCR処理、基幹システムへのデータ連携まで問題なく⾏えることを検証するため、トライアルを実施。

※「AI手書き文字認識サービス」はCogent LabsのAI-OCRエンジン「Tegaki」を使用

二つのAI-OCR処理によるデータ化のフロー

「AI手書き文字認識サービス」で⼿書き⽂字認識をし、「ABBYY FlexiCapture」では読み取った情報からマスターを照合してコード変換するなど、⼿作業で⾏っていた業務をワンストップで行える運⽤を実現した。

成果

作業量は約30%の軽減、外部委託コストは25%削減を達成:
BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の手法を用いてお客さまの複雑な業務プロセスをスリム化し、機能の異なるAI-OCRを活用することで業務改善を実現。

トライアル結果での文字認識率は97%:
乱雑な手書き文字や、多種多様なフォント・レイアウトでも正確に読み取れる精度があり、もしエラーがあった場合もフラグ表示させることで直接修正も可能。

手書き帳票のフォーマットの見直しでAI-OCRの手書き文字の認識精度が向上:
弊社が長年培ってきた帳票改善ソリューションのノウハウにより、手書き書類を見直すことでAI-OCRの手書き文字の認識精度を向上。

LGWAN(総合行政ネットワーク)とオンプレミスにより高セキュリティ環境を構築:
京都電子計算の「AI手書き文字認識サービス」は、自治体向けのセキュアな総合行政ネットワークLGWANに対応。ABBYYジャパンの「ABBYY FlexiCapture」はオンプレミスで構築し、高セキュリティ環境を提供。

担当者の異動も見越した運用手順:
おおよそ3〜5年で異動があることの多い自治体職員の状況を踏まえ、初めてAI-OCRを使用する職員でも理解できるよう、帳票ごとに使用手順書を作成。


中野区さまでは、今回の業務で導入した「AI-OCR」による業務改善実現を端緒として、機械に任せられる業務は機械に任せることで、職員にしかできない政策立案や対面での住民サービスなど、コア業務に時間を注ぐべく取り組んでいかれるとのこと。
本施策の汎用性は高く、今後は税務に限らずさまざまな業務で大きな改善効果が期待できるため、幅広い活用も検討されている。

【解決ポイントと実感】
・手書き・活字両方の文字認識と非定形帳票への対応の両立
・作業量は約30%の軽減、外部委託コストは25%の削減に成功。
・担当者の異動があってもスムーズな運用ができる手順を構築。

2023.03.08

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