コラム

コンパクトサイズのメリットって?
使い勝手の良い空中ディスプレイ
“ La⁺ touch™ ”

  • 新事業開発本部
  • 第二開発部3チーム
  • 代工 康宏

コンパクトは正義です。
近年、ディスプレイ技術は大幅に進化しており、より小型で高解像度の画面を実現することが可能になっています。
また、イベントやプレゼンテーションなど、様々な場面で使用しやすいポータブルサイズのディスプレイは、ビジネスシーンで重宝されます。
“ La⁺touch™”は必要な時に必要な場所に手軽に持ち運ぶことができ、片手で持ちながら操作が可能なのです。


【目次】
1. 軽量薄型筐体のメリット
2. センサとのマリアージュ
 >ブレンデッドな光学方式
 >透過型の静電容量方式はシングルモルト
3. センサの選択で広がる利用シーン
4. 今後に向けて


1. 軽量薄型筐体のメリット

大は小を兼ねるという言葉がありますが、機器に接続する端末のようなヒューマン・マシン・インターフェースでは、スペースの有効利用等からコンパクトであることが一つのメリットとなります。一般的な空中ディスプレイをご覧になられた方の中には、筐体がオーバーサイズと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?TOPPANでは、独自設計によりコンパクトな筐体を実現した空中ディスプレイ“ La⁺ touch™ ”の開発を行っています。
現在、都市部を中心に省スペース化のニーズが高まっている背景もあり、限られたスペースを有効活用できる製品として、La⁺touch™は注目されています。La⁺touch™の活用により、様々な環境でインタラクティブな展示や広告を行なうことが可能となります。


2. センサとのマリアージュ

“ La⁺ touch™ ”は、表示素子、光学素子、空中像が並行で配置され、一般的なディスプレイと同様のレイアウトを採用。筐体のコンパクト化を図りました。

また、筐体のコンパクト化を実現するためには、筐体に組み込むセンサの選定も重要でした。これまで掲載したコラムでも、「“ La⁺ touch™ ”は多方式のセンサと親和性が高い」ことを述べました。本コラムでは、センサ方式として、二つの方式を代表例にとり “ La⁺ touch™ ”のセンサの親和性の高さに関して説明します。

代表的なセンサ方式として光学(赤外線)方式と透過型の静電容量方式を取り上げます。また、一般的な空中ディスプレイとの比較を交えて説明いたします。

>ブレンデッドな光学方式

光学方式は、TOF(Time Of Flight)センサを例にとります。TOFセンサは光の飛行時間を計測し対象物(ここでは指)の距離情報を取得するものです【図1.】。二次元的な情報を得ることが可能です。

TOFセンサの検知領域は、表示システムから投影される空中像とほぼ同一面になるように設置します。【図2.】はTOFセンサを用いた表示システムの構成です。一般的な空中ディスプレイ【図2. 左】では、筐体の光学素子が設置される面にTOFセンサを取り付けることで投影される空中像と検知領域の位置を合わせます。

“ La⁺ touch™ ”では、センサの取り付けには投影される空中像との位置を合わせるために突き出し部分が必要となります【図2. 右】。ですが、筐体自体のサイズの増加は微々たるものです。一般的な空中ディスプレイに対してコンパクトさは十分確保できていることがお判りいただけると思います。TOFセンサに関しては、一般的な空中ディスプレイ、“ La⁺ touch™ ”共に親和性は高いと言えます。

図1. TOF(Time Of Flight)センサ原理
図2. 左:一般的な空中ディスプレイ(直交リフレクタアレイ)表示方法、右:TOPPAN空中ディスプレイ" La⁺ touch™ "表示方法

>透過型の静電容量方式はシングルモルト

透過型の静電容量方式では、ホバーセンサを例にとります。ホバーセンサの原理について簡単に説明します。指先がホバーセンサに近づくと電界の一部が指先側に移り、ホバーセンサの電極で検知する電界が減少し、静電容量も減少します。この容量減少を捉えて、指先の位置を検出するものです【図3.】。三次元的な情報の検知も可能です。二次元的な情報の検知とは異なるため、活用方法によっては操作性の向上が期待できます。

【図4.】はホバーセンサを用いた空中ディスプレイの構成を示したものです。一般的な空中ディスプレイから投影される空中像は光学素子面から斜めに表示されます【図4. 左】。ホバーセンサを使用する場合、空中像と平行に取り付けなければなりません。このため、光学素子上方のこれまで何もなかった空間にホバーセンサを実装しなければなりません。このためシステム全体を見ると更に大きなスペースが必要となります。これでは、一般的な空中ディスプレイとホバーセンサの親和性は高いとは言えません。

一方、“ La⁺ touch™ ”は、ホバーセンサを光学素子の表面に取り付けるだけでいいのです【図4. 右】。筐体サイズの増加はほぼ皆無でコンパクト. “ La⁺ touch™ ”とホバーセンサの親和性は非常に高いと言えます。

図3. ホバーセンサの原理
図4. 左:一般的な空中ディスプレイ(直交リフレクタアレイ)表示方法、右:TOPPAN空中ディスプレイ" La⁺ touch™ "表示方法

3. センサの選択で広がる利用シーン

“ La⁺ touch™ ”は、各センサ方式と親和性が高いことを説明しました。特にホバーセンサと親和性の高い空中ディスプレイは、空中像を筐体と平行に投影する“ La⁺ touch™ ”のみと言えます。

例えば、ホバーセンサ搭載の“ La⁺ touch™ ”では、ガラス越しに操作も可能になります(利用者は、ガラスの手前に空中像(及び検知領域)を認識します)。油はね、水、粉体の飛散が発生する環境や、筐体内の細かなほこりや異物の侵入を嫌う高い衛生管理が必要な環境等では、“ La⁺ touch™ ”を隔離した空間に設置することで使用できます。

TOPPANでは光学方式と透過型の静電容量方式の各方式センサを搭載したモデルをご用意しております。
・7インチモデル(TOFセンサ搭載)
・12インチモデル(ホバーセンサ搭載)


4. 今後に向けて

空中ディスプレイは、空中で操作するため触覚を感じることはありません。このため、操作性・操作感が従来のタッチディスプレイに及ばないと感じる場合もあります。ですが、筆者には空中ディスプレイにおいては、最適な感覚フィードバック手法があると感じています。「TOPPANだからできる」使いやすい操作性・操作感向上に向けて研究開発を推進していきます。

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2024.04.04

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