コラム

需要が高まるシャンプーなどのサシェ(小袋)、充填面の課題と委託のポイントとは? 事例と共に紹介

近年、高価格商品が人気を集めるシャンプーやコンディショナー。それに伴い、サシェと呼ばれる小袋包装のトライアル品(有料品含む)の需要も高まっています。

一方で、メーカー側の課題となっているのはサシェの充填作業です。ボトル商品とは異なる充填機を整備せねばならず、設備投資費の観点から他社に委託を検討する企業は少なくありません。本コラムでは、充填を委託する際の注意点やメリットについて解説します。


多様化・高価格化するヘアケア市場

日本では従来、ドラッグストアなど小売店で販売されるシャンプーは手ごろな価格なものが人気を博していましたが、2010年代中ごろから、ノンシリコーンシャンプーが台頭。生活者の価値観が多様化し、今はノンシリコーンシャンプーに加え、植物由来の成分を主とするボタニカルシャンプー、有機栽培の植物由来成分からなるオーガニックシャンプーなど、さまざまな種類が選択肢に上がるようになりました。美容師自身が開発もしくは美容室でしか購入できない「サロン系」と呼ばれる商品も加わり、生活者のニーズも多様化しています。

そのトレンドを反映するかのように、2019年第1四半期(1~3月)から2023年第4四半期(10~12月)にかけて、シャンプー&コンディショナーのボトル商品の平均価格は約8%の上昇を記録しています。

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シャンプー&コンディショナーのボトル商品の平均価格の推移(調査データ:QPR/株式会社マクロミル、集計期間: 2019年1月~2023年12月)QPRをもとに当社にて試算

加えて、生活者のニーズが高まっているのがサシェ(小袋)と呼ばれるトライアル商品です。「サシェタイプの100人あたりの購入金額」も同期間で約2倍に。シャンプー/コンディショナーは香りや仕上がり感など好みが別れる要素が多く、消費者としても「失敗」するリスクを避けるために、トライアルで使ってみてから購入するという傾向が強まっています。

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シャンプー&コンディショナーのサシェタイプの100人あたりの購入金額の推移(調査データ:QPR/株式会社マクロミル、集計期間: 2019年1月~2023年12月)QPRをもとに当社にて試算

一方、ボトル商品に加え、サシェ商品への対応に苦慮するメーカーは少なくありません。課題になるのは、製品を容器に入れる充填作業です。

そもそもシャンプー・コンディショナーを含む化粧品の充填機は、製品自体の粘度、容器の形状によって設計や構造が異なります。同じシャンプーでもボトルとサシェでは充填機が異なるというケースが考えられます。

しかしながら、多くのメーカーではサシェは主力商品ではなく、あくまでも「トライアル」。生産規模と設備投資費の費用対効果を考え、充填作業を他社へ委託するケースが多く見受けられます。

充填委託先を選定する際のポイント

充填委託先を選定するときに気を付けるべきポイントを整理してみましょう。

1.免許や許可の保持

シャンプー/コンディショナーなどのヘアケア化粧品(薬品)の製造・充填包装には、化粧品製造業許可・医薬部外品製造業許可などさまざまな免許が必要になります。それぞれ希望要件や作業に関する免許や許可をとっているかを確認しましょう。

2.品質・衛生管理が体制の確認

製品の品質を維持したまま充填作業ができる体制・環境が整っているか。衛生管理を高レベルで維持できているかも、委託選定の重要なポイントです。

3.希望要件の作業か可能か

前述のとおり、内容物や容器などによって充填機の設計は異なります。希望要件が叶うかは選定の際の大前提です。

4.製造・物流拠点との地理的な距離

昨今は、物流業界の人財不足問題やサステナビリティ、BCP(事業継続計画)といった観点から、製造拠点や納品先に近い拠点での充填作業のニーズが高まっています。

しかし、これらのポイントを踏まえながら、メーカーが自ら委託先を探すことは困難を極めます。

希望要件に合わせ、TOPPAN独自の品質管理基準をクリアした拠点を提案

TOPPANでは、シャンプー/コンディショナーの包材資材などの提案からパッケージデザインはもちろん、充填が可能な製造場所の提案を含めた実績を多数持っています。

製造場所は、TOPPAN独自の品質管理基準をクリアしたパートナー拠点のみです。さらに定期的に監査を行い、パートナー企業に継続的な環境改善を行ってもらっていることもあり、品質維持のための姿勢をお客さまから支持いただいています。設備に加えて、充填作業においても、お客さまからの「仕様書」に示された規格のとおりに製造することを保証しています。

また、前述のとおり、充填は容器によって設備が異なるため、「異形」と呼ばれるオリジナルデザイン容器の充填は対応できる企業が限定されます。TOPPANはこれまでの実績から対応可能な製造場所を提案できるほか、異形容器のデザイン面も相談可能。容器の型は従来使っていたものを応用できるケースもあり、その場合は型代などの費用を抑えることができます。加えて、小売店で陳列する際のPOP・什器のデザインや設計から製造までトータルで提案します。

充填作業受託の事例

こちらでは、実際にTOPPANが充填作業を受託したお客さまの事例を紹介します。

【オーセル様「オアシス リポソームプレミアムシャンプー お試しパウチ」事例紹介】

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福岡県を拠点とする化粧品メーカー、株式会社オーセル様。さまざまある商品のなかでも、特にシャンプーやコンディショナーといったヘアケア用品が人気です。「お試しパウチ」の需要が高まる一方、自社ではサシェ(少量パウチ)充填の設備を所有されていないため、充填の委託を検討されました。

他社も含めて検討されましたが、広範囲にパートナー拠点を持つTOPPANの企業規模や実績に対する信頼から、最終的にTOPPANを選定いただきました。

オーセル様にとっては初めての外部委託であったため、サシェのサイズや梱包に関しても、TOPPANが一から寄り添いながら品質管理の取り決めを行いました。これまでの実績に基づくTOPPANの知見をもとに、数値で取り決めるべき品質保証項目をリストアップし、細かな要求事項にも対応できる委託先をご紹介することができました。

オーセル様工場長からは「仕上がりに満足しています」といった言葉をいただき、特に品質管理面においてTOPPANが知見に基づきリードした点を評価いただきました。同商品のリピート受注のほか、現在は軟包装やプラスチック容器などの提案を行うなど、新たな価値の提供に向けて取り組んでいます。

異形サシェ・紙サシェにも対応可能

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TOPPANでは、オーセル様の事例で使われた一般的な四角形状のサシェのほか、シャンプー・コンディショナー・トリートメントの3つが連なっている「3ステップサシェ」や前述の異形サシェ、紙素材で作られた紙サシェなどの充填作業も対応可能です。

特に紙サシェは、商品やサービスのサステナビリティが重視される現代において、需要が高まりつつあります。商品がオーガニックやナチュラル志向である場合、ブランディングの観点から紙サシェを選択されるケースも多く見られます。

また、商品の包装に関しても、充填と同拠点で作業できるケースも多く、陳列の際に必要なPOPのデザイン作成も可能です。ぜひ、お問い合わせください。

2024.10.22