コラム

パウチ充填をOEMで委託する際に見るべき5つのポイント|ビューティーケア用品編

シャンプー、コンディショナー、ヘアオイルなどのビューティーケア用品は、実際に使用感を確かめてみたいユーザーが多い商品です。そのため「試供品サンプルのような小分けパウチを準備して、売り上げの向上やリピート率の向上につなげたい」と考える販売者様が多くいらっしゃいます。ところが、そういったパウチ充填を外部委託する際の注意事項については、情報が乏しく判断がしにくいのが現状です。

本記事ではビューティ-ケア用品のパウチ充填について、OEM委託する際のポイントを解説します。


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パウチ充填をOEMで委託する3つのメリット

化粧品の製造や充填のOEM委託は、市場規模が年々拡大しています。産学官で構成する「化粧品産業ビジョン検討会」が2021年に策定した「化粧品産業ビジョン」によると、国内化粧品受託製造の市場規模は右肩上がりの成長を見せており、2019 年度には3,352 億円に達しました。

国内化粧品市場のメーカーシェアを見ると、シェアの5割を上位10社が占める一方、残りの5割の市場を推計2,990社が占めています。競争の激しい化粧品市場では、他社よりも早いサイクルで商品を開発・製造・販売できるスピード感が求められています。

そうした状況の中で、「製造」のOEM委託と同様に、「充填」のOEM委託も盛んに行われています。

「充填」においてOEM委託がよく選ばれているのは、以下のようなメリットがあるからです。
1.自社内に製造・調合設備がなくても製造・販売できる
2.時間をかけずに準備をすることができる
3.最適なパウチの提案をしてくれる
この3点について、詳しく見ていきましょう。

1.自社内に製造・調合設備がなくても製造・販売できる

充填には、充填専用の機械設備が必要です。とくにパウチへの充填作業は難易度が高く、内容物の粘度、成分、容量やパウチ自体の構造に合わせて充填ノズルなどの器具を選定し、充填ラインを設計する必要があります。また、内容物によっては防腐剤が少なかったり菌に弱かったりと、クリーンルームや菌検査の設備なども重要になる場合があります。

また、まだ商品が検討段階であるようなケースは、自社内に充填用の機械設備を導入するのは難しいといった声が聞かれます。

パウチ充填をOEM委託すれば、自社内に製造・調合設備がなくても、パウチ品の製造や販売が可能です。

2.時間をかけずに準備をすることができる

たとえば小容量のパウチをごく少数準備する場合であっても、かなりの作業量となります。パウチ充填には小分け充填作業のほか、化粧箱への箱詰めや複数商品の組み合わせ作業、ラベル貼付などのこまごまとした作業が多く、手作業でそのすべてを行うには相当な手間がかかります。

作業人員の手配や教育も必要です。また、ラベル貼付や外箱包装を行うには「化粧品製造業許可(包装・表示・保管)」の取得が必要となります。

パウチ充填をOEM委託することで、商品セットなどを手作業で行う手間を省き、短期間で準備を行うことができます。

3.最適なパウチの提案をしてくれる

パウチの包装資材の材質、容量、パッケージデザインなども事前に決定しなければならない項目ですが、具体的な要件を決定するには知識や経験が必要です。パウチの種類によっては充填設備の対応・非対応が異なったり、作業手順が変わったりするため、充填設備についての十分な知識が要求されます。パウチの幅や高さ、形状が内容物に合っていない場合は、液漏れが起きたり充填後の見栄えが悪くなったりする恐れがあります。また、薬機法で記載が義務付けられている記載事項が、すべて記載できるようなパッケージサイズの選定が必要です。

パウチ充填をOEM委託すると、豊富な経験をもつ担当者より、最適な包装資材や製造工程の提案を受けることができます。


ビューティーケア用品のパウチ充填をOEMで委託する際に決めておくべきこと

OEM委託先を絞り込む際には、充填を委託する商品についての情報をあらかじめ整理しておくと、スムーズに問い合わせや打ち合わせが進みます。企業によってはヒアリングシート等が準備されている場合もありますが、一般的には下記のような項目をヒアリングします。

● どういった用途で使用するか
● 大まかなサイズや重さ、形状
● 内容物・資材の支給方法
● 製造する時期・数量

自社内だけでは決めかねる項目については、OEM委託先からも最適な提案を受けることが可能です。各項目について解説します。

どういった用途で使用するかの決定

サンプル用途なのか販売用途なのかといった商品の用途を決定します。また、商品コンセプト、使用用途(身体のどの部分に使用するか等)、成分や質感(スクラブなど充填で考慮すべき成分が配合されているか等)といった商品に関する情報は可能な限り整理し、パッケージへの印字内容を精査しておくとよいでしょう。

OEM委託先ではそれらの情報に基づき、包装資材の種類などの提案を行います。

大まかなサイズや重さ、形状の決定

1包あたりのサイズや重さ、形状を決定します。容量だけではなく、パウチの幅や高さであったり、スタンディングタイプにするかスパウト(キャップ)付きのタイプにするかなど、パウチ形状についても検討します。

OEM委託先ではパウチのサイズや重さ、形状の情報に基づき、最適な包装資材の種類や充填設備に必要な器具の洗い出し、充填ラインの設計などを行います。

内容物・資材の支給方法の決定

化粧品の内容物(バルク)や包装資材について、支給方法を決定します。具体的には、バルク輸送の方法や荷姿(ドラム缶、1tコンテナなど)、包装資材の受け渡し方法(お客様からの支給か、他企業様からの資材搬入か)などを決定します。

OEM委託先では内容物や包装資材の支給方法に基づき、充填工場での受け入れ態勢や充填方法のイメージを固め、充填ラインの設計などを行います。

製造する時期・数量の決定

サンプル配布または商品販売を予定している時期とロット数を決定します。OEM委託先では製造時期や数量の情報に基づき、製造工場から充填工場へのバルク輸送や包装資材手配などのリードタイムを考慮しながら、全体スケジュールを調整します。


パウチ充填をOEMで委託する際の基本的な流れ

パウチ充填をOEM委託する際の流れは、一般的には以下のような形となります。
1.ヒアリング
2.拠点・作業工程の設計
3.提案・見積り
4.監査対応
5.契約、作業開始

ヒアリング

OEM委託を希望する作業内容についてのヒアリングを行い、必要となる項目を整理します。具体的なヒアリング項目の例は、下記の通りです。

● 内容成分
● 用途
● 1包あたりのサイズや重さ、形状
● 内容物や包装資材などの支給方法
● スケジュール
● 予算など

上記に加え、商品コンセプトや販売ターゲットもヒアリングを行い、要望がある場合は最適な包装資材やパッケージデザインなどの打ち合わせも実施します。

拠点・作業工程の設計

ヒアリングした内容を基に、要件を満たす充填拠点を検討します。その際には、製造工場からの距離ができるだけ近い場所を拠点として選定します。また、衛生管理のレベルや作業手順の効率性などについて、ご要望に沿った最適な作業工程を設計します。

提案・見積り

最終的な仕様やロット数を決定し、作業拠点・作業工程の設計内容や概算の見積り金額を盛り込んでご提案を行います。商品充填から商品包装作業に至るまでの流れをお客様と確認し、最終イメージを固めます。

監査対応

外部委託先となる工場について、ご契約前に製造品質基準を満たしているか確認するため文書監査、充填作業査察などを行います。委託先にもよりますが、実際に作業現場を訪れて行う監査のほか、オンラインでの監査対応を行っている企業もあります。

契約、作業開始

ご契約後、開始時期を打ち合わせにて決定し、充填作業を開始します。


パウチ充填をOEMで委託する際に見るべき5つのポイント

パウチ充填をOEMで委託する際には、満足度の高い提携ができるように、以下のようなポイントに気を付けながら委託先を選定することをおすすめします。

1.最適な包装を提案してくれるかどうか
2.最小ロット数がいくつからか
3.関連法規を熟知しているかどうか
4.十分な実績があるかどうか
5.担当者とのコミュニケーションが円滑に行えるか

1.最適な包装を提案してくれるかどうか

化粧品は、成分の効能効果が高いものであると同時に、ユーザーに手に取ってもらえるパッケージデザインであることが大変重要です。パッケージのデザインの良し悪しは、商品の売れ行きを左右すると言われています。また、最近のユーザーはデザインだけではなく、環境にも配慮した包装であることを重視しています。プラスチックの使用量を減らして紙素材に切り替えたり、中身を最後まで使いきれるような構造にするなど、SDGsに配慮したパッケージはブランドイメージを高めてくれます。専門的な知識を持っている人から積極的に意見をもらうことで、商品の完成度は変わります。

OEM委託先を選択する際は、商品のコンセプトや製造リードタイムなどの要望を汲み取り、最適な包装の提案をしてくれるかどうかを確認してください。

2.最小ロット数がいくつからか

対応してくれる最小ロット数が自社で想定しているよりも大きい場合は、余剰在庫の保管が必要となるケースも考えられます。消費期限が短い商品の場合には、最悪の場合処分が必要になる在庫も出てくる可能性があります。

OEM委託先を選択する際は、対応してくれる最小ロット数がいくつであるかを確認し、柔軟な調整が可能かどうかを吟味した方がよいでしょう。一般的には小ロット対応を依頼すると作業単価は高くなりますので、コスト面でのバランスが保てるかどうかもあわせてチェックしてください。

3.関連法規を熟知しているかどうか

薬機法などの関連法規を熟知していない委託先だと、法律に違反する危険性があります。化粧品の場合は皮膚に直接使用するため、関連法規に沿った製造を行なっていない商品は、消費者の健康被害につながる可能性があります。法律違反を犯してしまった場合は、販売停止や製品回収など、企業イメージを大きく損なうトラブルにつながりかねません。

少なくとも化粧品の取り扱い免許である化粧品製造業(一般)、化粧品製造業(包装・表示・保管)などの必要な免許を保有し、充填作業や梱包、保管を問題なく行える拠点であるかどうかを確認する必要があります。また、ISO9001(品質マネジメントシステム)、化粧品GMP(ISO22716)などの認証を取得しており、薬機法で定められた要求事項を理解して品質管理を行っている委託先を選ぶようにしてください。

4.十分な実績があるかどうか

パウチ充填のOEM受託実績が十分にあるかどうかを確認しましょう。自社が充填委託しようとしている商品と同種の商品、同様の作業フローの実績が望ましいです。企業の公式ホームページやパンフレットで情報収集をするほか、問い合わせ窓口に自社が希望する委託内容を伝え、類似の実績がある場合には詳細を教えてもらうとイメージがより掴みやすくなります。

類似実績を問い合わせる際には、取引先企業名や取り扱い商品種別だけではなく、生産管理方法や収支管理、従業員スキル管理など、管理体制がわかるような情報も可能な限り集めましょう。

5.担当者とのコミュニケーションが円滑に行えるか

ヒアリングでまとめた要件や打ち合わせ中に新たに出てきた要望について、発注側と受注側とですぐに情報共有できる関係が理想的です。担当者との意思疎通がうまく行えると、商品イメージのブラッシュアップや納期の最適化が進み、結果的にOEM委託の満足度は高くなります。

OEM委託先を選択する際は、担当者とのコミュニケーションが円滑に行えるかどうかを確認しましょう。


パウチ充填をOEMで委託できる「TOPPAN Packaging」

TOPPANのパッケージソリューション事業は、包装資材を長年扱ってきた実績を基に、最適なパッケージデザインのご提案やパッケージに合わせた充填先のご案内を行います。品質管理、生産の最適化、包装資材設計、配送手配、商品プロモーションなど、工程の上流から下流までワンストップで対応いたします。

ビューティーケア関連のパウチ充填はお任せ

粘度や形状がさまざまなビューティーケア用品であっても、化粧品パウチ充填の実績が豊富なTOPPANであれば、要件に応じて適切なご提案が可能です。化粧品及びシャンプー・コンディショナーの取り扱い免許を保有し、全国に多数の拠点を確保しているのが強みです。高度な衛生管理で商品の品質を損なわず、最適化された作業工程で確実に充填作業を実施し、商品コンセプトをお客様に余すことなく伝えます。TOPPANのトータルパッケージングサービスを、ぜひご体験ください。

食品などのパウチ充填も可能!

食品の場合は消費者の口に入る商品となるため、生産環境の衛生管理にはさらに厳密さが要求されます。TOPPANは、液体だけではなく粉体の食品も取り扱い実績が豊富なため、安心してお任せいただける生産環境をご提案することが可能です。弊社独自の厳しい監査基準を満たしているパートナー工場の中から、適切なパウチ充填工場をご案内いたします。


まとめ

本記事では、ビューティーケア用品のパウチ充填をOEM委託するメリットや委託の基本的な流れ、委託先選定にあたって確認すべきポイントについて解説しました。ビューティーケア用品のパウチ充填は、化粧品類の充填の中でも難易度が高い作業です。OEM委託が初めての方はどのようなことに気を付ければよいのかがわかりづらく、戸惑うことも多いかと思います。本記事の内容をご参考にしていただきながら、信頼できそうなOEM委託先を探してみてください。

2023.09.28

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