コラム

脱アルミパッケージのメリットとは?アルミ代替素材で環境負荷軽減

ー 従来のバリア素材を代表するアルミニウムの現状

軽くて強く、錆びにくいうえに、数々の特性を持つアルミニウム。その優れた特性は多くの製品に生かされ、性能向上に役立っています。軟包装の分野でもアルミは高いバリア性と遮光性を持つため、多くの包装資材に使われており、欠かせない素材となっています。

アルミはその性能によって新しい産業分野での需要が近年高まっており、特にEV向けリチウム電池の外装材用途として高い成長率を誇っています。

その反面、製造時に高い電力消費を伴うことから中国市場での電力制限の影響などで供給面の逼迫が近年顕著となっており、価格高騰が起きている状況です。また、製造時の高い電力消費のため、LCA上、環境負荷の高い製品となっています。アルミの需要が高まる一方、このようなデメリットにより、脱アルミへの重要性が高まり、アルミの代替素材への期待も高まっています。


ー 環境負荷軽減が期待される脱アルミとは

アルミ素材を日常生活の中で意識することはそこまで多くありませんが、食品や医療品の多くにアルミ素材が利用されています。アルミ素材はその特性上、湿気や熱、光などの影響から内容物の劣化を防ぎ、品質を保持する機能があります。このようなメリットから、レトルト食品をはじめ、日常生活の多くの製品でアルミ素材の利用が広がりました。

一方、アルミは製造時のCO₂排出量も多く、環境への負荷が大きいことから、脱アルミを進める企業も出てきています。近年ではこれまでアルミが利用されていた食品でも紙パックへ移行するなど、脱アルミの取り組みも多様化しています。また食品の分野に限らず、医療や化粧品などの分野でも脱アルミの取り組みは進んでいます。

環境への配慮が高まる中、新たに様々な素材のパッケージが登場してきていますが、一方でアルミ素材同様の高い遮光性や品質保持能力をもったアルミ代替素材の実現にも期待が集まっています。


ー アルミ代替として採用が広がるTOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」

バリア性だけではなく環境負荷軽減や、非金属であることによる使用用途の広がりなど、多くのメリットがあるバリアフィルムの一例として、ここではTOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」についてご紹介します。

「GL BARRIER」はTOPPAN独自の透明蒸着加工技術とコーティング技術を活用した、世界最高水準のバリア性を持つ透明バリアフィルムを中心に、多様なバリエーションをラインアップしています。

「GL BARRIER」はベースとなるフィルム(PET,PP,PE,ナイロン)などの上に、バリアコート層と無機蒸着バリア層(アルミナもしくはシリカ)が積層されています。独自開発のコーティング層と高品位の蒸着層を組み合わせた多層構造により、印刷やラミネートなどの後加工適性にも優れ、安定したバリア性を発揮します。


ー アルミにも匹敵するバリア性をもつハイバリアグレード

「GL BARRIER」の中でもハイバリアグレードとしてアルミ箔代替に使用されているグレードが「GX-P-F」となります。「GX-P-F」は水蒸気透過度及び酸素透過度において高いバリア性により、内容物保護をしながらアルミにはない特徴を有しており、商品の付加価値向上や品質向上、環境負荷低減に繋がる包装設計が可能です。

例えば、家庭用プリンターのインクカートリッジの外装材での活用事例では、これまでアルミを使用した4層構成の包装材を使用していましたが、「GL BARRIER」のハイバリアグレード「GX-P-F」を活用することにより、使用するフィルムを4層から3層にすることができました。これにより、インクの蒸散を防ぐというバリア性を維持しながら脱アルミと合理化を同時に実現することができました。

また、透明包材へ切り替えたことにより中身が確認できるため異品種混入を防ぐことができるという点も評価されています。


ー リサイクル材を活用し、より環境配慮に優れたグレード

SDGsの広がりにより環境負荷を低減し、地球環境をまもる製品づくりが企業価値向上の一つの手段となっています。これに伴い、パッケージにもCO₂排出量の低減や持続可能な材質の採用など、環境への配慮が強く求められるようになりました。

しかし、アルミは原料の鉱石(ボーキサイト)採掘をはじめ、輸送・製造など複数の過程があり、パッケージの素材となる前に多くのCO₂を排出します。これに対し「GL BARRIER」を採用した場合、製造時のCO₂排出量を大幅に低減させることができます。

「GL BARRIER」には、さらに環境適正に優れたグレードとして「メカニカルリサイクルPET GL」があります。「メカニカルリサイクルPET GL」はベースの基材に使用済みPETボトルをメカニカルリサイクル※した再生PET樹脂を含むフィルムを使用しており、循環資源の活用が可能です。

例えば、フロア用掃除シート個包装の採用事例では、アルミを使用していた4 層構成の仕様から、「メカニカルリサイクルPET GL」を活用することで2 層構成に変更することができました。これにより、バリア性はそのままに総プラスチック使用量の削減と循環資源の活用が可能となり、環境に配慮したパッケージとして評価されました。

※メカニカルリサイクル・・・使用済みPETボトルを粉砕・洗浄した後に高温で溶融・減圧・ろ過などを行い樹脂内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染すること


ー さまざまなシーン・用途で利用される「GL BARRIER」

TOPPANのバリアフィルム「GL BARRIER」はこれまで食品から日用品、工業用品にまで多く採用されており、商品によって異なる使用用途や要求品質に対応するため、酸素・水蒸気バリア性に優れた製品を豊富にラインアップしています。

2022年4月には「GL BARRIER」シリーズに遮光性を有する「GL-ME-RC」が新たに登場しました。「GL-ME-RC」の開発により、品質保持のため遮光性が必要な医薬品や食品にも、高いバリア性と環境適性を併せ持つ「GL BARRIER」の使用が可能になりました。

また、「GL BARRIER」は軟包材だけではなく、紙パックやラミネートチューブなどさまざまなパッケージスタイルに活用することができます。

製造拠点は国内だけでなく、米国(ジョージア州)にもあり、世界規模で優れた品質の製品を安定的に素早くお届けできる供給体制を構築しています。本サイトのCONTACTページにて、個別のご相談やサンプルのご提供を承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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2023.11.10

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