コラム

紙パックでジュースの常温保存を実現できる技術とは?導入メリットも紹介

目次
・・・ 常温保存の難しさとは
・・・ 常温保存のメリット
・・・ 紙パックで常温保存を実現する技術とは
・・・ カートカンの導入事例の紹介
・・・ まとめ


近年、環境への配慮と効率的な資源利用が重視される中で、ジュースをはじめとする飲料の保存方法にも変革が求められています。特に、エネルギー消費を抑えつつ品質を維持できる常温保存には、多くのメリットがあります。この記事では、常温保存の難しさ、そのメリット、そして紙パックを用いた常温保存を実現する最先端技術について、具体的な事例とともに詳しく解説します。

常温保存の難しさとは

飲料の品質を維持するためには、温度管理が非常に重要です。特にジュースや果汁飲料のような製品は、温度変化に非常に敏感であり、少しの温度の上昇や下降でも味や風味が損なわれる可能性があります。例えば、ジュースが適切な温度で保管されていない場合、その自然な甘さや酸味が変化し、最終的に消費者の満足度を下げることにつながります。このような品質の劣化は、製品の鮮度と直接関連しており、消費者にとっては購入の決定要因の一つです。

常温保存の際には、室温の変動だけでなく、湿度や光などの外部条件も考慮する必要があります。湿度が高くなる夏場や、直射日光が当たる場所では、ジュースの品質はより早く劣化し始めます。これらの条件を一年中適切に管理することは、特に広範囲にわたる流通を持つ製品にとって、大きな課題となります。

さらに、細菌やカビといった微生物の増殖も、常温保存において重要なリスクファクターです。従来の包装方法では、これらの微生物から製品を保護するために、防腐剤の使用や冷蔵保存が一般的でした。しかし、防腐剤を使用しない自然で健康的な製品へと消費者のニーズが高まる中で、包装技術においても新たな解決策が求められています。

常温保存のメリット

常温保存技術の導入は、飲料産業において革命的な変化をもたらす可能性があります。この技術がもたらす最大のメリットの一つは、冷蔵や冷凍設備への依存度を大幅に低減できる点。冷蔵設備は、製品を最適な状態で保つために不可欠ですが、その設置と維持には高額なコストとエネルギーが必要となります。これらの設備にかかる費用は、特に小規模生産者や新規参入者にとって大きな障壁となることがあります。しかし、常温保存が可能になれば、これらのコストを大幅に削減し、より多くの企業が市場に参入しやすくなるでしょう。

さらに、常温保存技術は、製品の流通と販売においても大きな利点をもたらします。製品が常温で安定して保存できることにより、流通プロセス中の温度管理に関する制約が少なくなり、輸送や保管の柔軟性が向上。これは、特に地理的な制約や気候条件によって冷蔵輸送が困難な地域への製品供給を容易にします。また、製品の保存期間が延長されることで、廃棄率の低減にもつながり、経済的なメリットだけでなく、食品廃棄という環境問題に対する解決策としても有効です。

さらにエネルギー消費の削減は、常温保存技術のもう一つの重要なメリット。冷蔵や冷凍設備の稼働は、大量のエネルギーを消費し、その結果として二酸化炭素排出量が増加します。常温保存により、これらの設備の使用を減らすことができれば、エネルギー効率の向上と温室効果ガス排出量の削減に大きく貢献することが可能です。これは、企業が環境保護に貢献しながら、持続可能なビジネスモデルを構築する上で非常に価値のあるアプローチです。

結論として、常温保存技術の導入は、コスト削減、流通と販売の柔軟性向上、環境保護への貢献という、製造業者、小売業者、消費者、そして地球環境に対して、多面的なメリットをもたらします。この技術は、飲料業界だけでなく、広範囲にわたる食品産業においても、新たな可能性を開くことになるでしょう。

紙パックで常温保存を実現する技術とは

紙パックを用いた常温保存技術は、飲料業界に革命をもたらす可能性がある革新的な解決策です。この技術の核心にあるのは、無菌充填技術、特殊なバリア材料の使用の2つです。これらの技術を組み合わせることで、飲料製品を細菌や外部環境から守りながら、長期間の常温保存を実現しています。

無菌充填技術は、製品が包装される前に、容器とその内容物を無菌状態にするプロセスです。このプロセスにより、製品内に細菌やその他の微生物が侵入するリスクが極めて低くなります。これは、飲料の安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

紙パック内部に使用されるバリア材料は、酸素や光の透過を効果的に防ぎます。酸素や光は、飲料の酸化や風味の劣化を引き起こす主な要因の一つ。バリア材料はこれらの要素を遮断し、製品の鮮度と品質を長期間保持します。このバリア技術は、飲料が長期間にわたってその味と栄養価を保つことを可能にします。近年では、レトルト食品を安心・安全に電子レンジでそのまま温められるバリアフィルムも登場し、消費者の利便性向上にも貢献しています。

バリア材料にはアルミ箔やTOPPANが開発したGL FILM(透明バリアフィルム)などがあります。中でもTOPPANのGL FILMを活用した紙パックは簡単にリサイクルできることが特長で、環境負荷を軽減することが可能です。

これらの技術の組み合わせにより、紙パックでの常温保存は、飲料の品質を維持しながら、環境負荷を低減し、製造および流通コストを削減するという複数のメリットを提供します。ジュースやその他の飲料製品に適用されるこれらの技術は、消費者にとってより安全で、環境に優しく、経済的にも魅力的な選択肢をもたらします。紙パックを用いた常温保存技術の発展は、食品包装業界における持続可能性への新たな一歩を示しているのです。

カートカンの導入事例の紹介

タカラスタンダード株式会社様

用途:ショールーム用オリジナルカートカン®緑茶

タカラスタンダード株式会社様は、キッチン・洗面・浴槽・給湯機器等を製造・販売しており、全国約170ヵ所にショールームを展開している住宅設備機器メーカー。そんな同社のショールームではウェルカムドリンクとしてウォーターサーバーを活用されていましたが、コロナ禍での感染症対策の観点からお客さまに安心して提供できる飲料を検討する中、TOPPANのカートカン®にご興味をお寄せいただきました。

採用のポイント
・お客さまオリジナルのデザインを印刷できる
・紙という素材による環境訴求がタカラスタンダード株式会社様のSDGsに対する会社姿勢を示し、ブランディングの強化ができる

カゴメ株式会社様

用途:通販限定野菜ジュース「つぶより野菜」カートカン®

カゴメ株式会社様のロングセラー野菜ジュース「つぶより野菜」には、長年にわたってカートカン®をご採用いただいています。カゴメ株式会社様の「つぶより野菜」は、野菜そのものを食べているような満足感が得られ、たっぷりの野菜を手軽においしく摂取できる通販限定の野菜ジュースです。2014年発売の「つぶより野菜」のブランド立ち上げ時から容器としてTOPPANのカートカン®にご興味をお寄せいただきました。

採用のポイント
・紙製容器のナチュラルなイメージとこだわりの国産野菜を使った野菜ジュースとの親和性があること
・紙容器だからこその口当たりとリサイクルできることで環境配慮の訴求ができる
・他にない円筒形の紙製容器のため通販限定の市販されていない特別感のあるブランディングができる

まとめ

紙パックを用いたジュースの常温保存技術は、食品保存の新たな地平を開きます。この技術により、製品の品質を保ちながら、コスト削減、販売チャネルの拡大、環境保護といった多方面での利点を享受できるようになります。

特に、TOPPANが開発したGL FILM(透明バリアフィルム)を使用した紙パックは、持続可能な社会に向けた重要な一歩と言えるでしょう。これらの技術の更なる発展と普及により、食品産業における常温保存の可能性が広がっていくことが期待されます。

2024.06.14

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