サービス・地方創生

自動同時通訳技術が
     ビジネスを変える

コロナ渦で急速に普及したオンライン会議により遠隔地との会議が容易になった結果、外国人との会議が容易になりました。また、新型コロナウィルスによる影響もひと段落し、対面での外国人とのビジネスミーティングも増加しています。
このような状況の一方で、実は外国語をビジネスレベルで習得している日本人は必ずしも多いとは言えない現状があり、外国語で行われる会議は業務上の大きなハードルとなっていると言われています。
TOPPANはこれまで、ビジネスシーンでの言語課題を解決すべく、長文や文書を正確に翻訳する「PharmaTra™」や「FinTra®」といった自動テキスト翻訳システムを提供してきました。それに加えて、音声を読み取って翻訳する自動音声翻訳領域においても様々な多言語コミュニケーションサービスを展開してきました。しかしながら、従来の自動音声翻訳技術である「逐次翻訳技術」ではミーティングなどの連続した長い会話に対応することができず、ビジネスシーンでの自動音声翻訳の活用は限定的となっていました。
このような課題を解決すべく開発された画期的な会議用翻訳システムが「MeeTra™」です。
「MeeTra™」は最新の「自動同時通訳技術」を用いることで、シームレスでスピーディーなな会話翻訳を実現することに成功しました。これにより課題となっていたミーティング等のビジネスシーンでの外国語対応をサポートすることが可能となり、自動翻訳の活用範囲を大きく広げることができると考えています。

自動同時通訳技術とは

従来、主に利用されてきた自動翻訳は、発話者が一区切りの発話を完了したところで、ボタンタッチや無音の時間を認識して訳出する逐次翻訳技術でした。しかし、発話完了後に訳出が始まるため、翻訳結果の確認に時間がかかり、話者は翻訳のタイミングを意識しながら発話しなければなりませんでした。自動同時通訳技術は、人間の通訳者が行う同時通訳を機械的に実現し、自動で発話を適切な単位に区切り翻訳することを可能にする新しい技術です。話者の発話が終了する前から、発話の一部を訳出することを繰り返すため、翻訳されて相手に伝わるまでの時間を大幅に短縮できます。

自動同時通訳技術|TOPPAN

自動同時通訳のメリット

自動同時通訳技術は自分が話した言葉をシームレスに翻訳することができますが、加えて相手が話した言葉を同時通訳の形ですぐに確認することができるのが特徴です。日本人は外国語を話すこと以上にヒアリングすることが苦手だと言われています。ヒアリングが苦手だと外国語を話すことができても、「何を話しているのかがわからない」ため、そもそも意思疎通が難しくなってしまいます。これまでの自動翻訳技術は話者が発話を手動で区切る逐次翻訳であったことから、話す側の言語を翻訳することにフォーカスされていた面もありました。自動同時通訳技術は認識と翻訳を常時行っていることから、いつ話すかわからない相手の発話についてもそのタイミングに関わらず読み取り翻訳することが可能となります。自動テキスト翻訳システムが外国語文書の翻訳速度を大幅に向上させ、ビジネスにおける翻訳負荷を軽減させたように、自動同時通訳も外国語のヒアリングにかかっていた負荷を大幅に軽減することにより、効率や効果を高めることが期待できます。

自動同時通訳技術開発の背景

総務省が2020年3月に「グローバルコミュニケーション計画2025」を発表しました。この計画は、「世界の言葉の壁をなくす」をミッションに掲げ「グローバルで自由な交流の実現」「ビジネス力の強化と真の共生社会の実現」「日本のプレゼンス向上」をビジョンとし、自動翻訳を「逐次翻訳」から「同時通訳」へ進化させることを目標としています。この計画を背景に実施される総務省の委託研究「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」にTOPPANは研究代表として参加し、研究開発や社会実装を主導してきました。

自動同時通訳技術の活用領域

自動同時通訳技術はこれから様々な場面での活用が期待されています。
・限られた時間により多くの情報を伝えることが必要なセミナーやシンポジウム・展示会
・ランダムに発言が行われる会議や打ち合わせ
・詳細な説明が必要な訪日外国人への観光ガイド
・企業や店舗での商品説明やプレゼン
・外国人への教育や自治体での窓口説明
・工場での技術説明や作業指示
など

スタンドアローン同時通訳サービス「MeeTra™」とは

自動同時通訳技術は常時音声を認識していることが特徴ですが、それにより自動翻訳稼働部へかかるシステム負荷は従来の逐次翻訳と比較して大幅に増加します。このためクラウドサービスとして販売する場合、サーバー維持にかかる費用が大きく、ユーザーへの提供価格が極端に高くなってしまうという課題がありました。この課題を解決し最新技術をいち早くユーザーに届けるために開発されたのがMeeTra™です。
MeeTra™は、インターネットなどのネットワークに接続せずノートパソコン1台の端末のみで稼働する「スタンドアローン方式」を採用した自動同時通訳サービスです。利用者それぞれに対して適正なサーバー環境を設定することで費用の増大を抑えた使い放題のサービスを実現しています。加えて、オフライン環境での利用も可能となることから、電波やネットワークがない場所や、秘匿性の高い会議での利用にも適しています。

MeeTra™の使い方

①「対面利用」
付属のマイクを用いて対面での打合せに利用することが可能です。相手との間にPCをセットするだけで、相手の外国語を日本語に翻訳するとともに、自分の日本語を外国語に翻訳して相手に伝えることができます。

②「オンライン会議での利用」
オンライン会議では、相手の外国語を日本語に翻訳することができます。自動同時通訳による即時性を重視した翻訳結果と、文章として正確性を高めた議事録にも活用できる翻訳結果の2つを表示することで、速度と正確性を両立しています。オンライン会議を業務PC
で行う場合には、音のみをMeetra™のPCに転送して同時通訳することができます。

自動同時通訳技術|TOPPAN

大阪・関西万博での利用と実証

TOPPANは「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に協賛し、同時通訳技術を含む自動翻訳システムを提供します。それに先立ち各地で実証を行っています。
<実証例>
海外からの講演者や来場者が多く訪れる講演やシンポジウムなどにおいて、登壇者の発話内容をAI技術によって自動同時通訳した結果を、会場の大型スクリーンや参加者のスマートフォンに字幕表示することで、参加者の情報格差を削減することを目指しました。登壇者の発話音声をマイクから取得し、音声情報をテキスト化。同時通訳エンジンが翻訳した後に翻訳内容の字幕を生成し、字幕配信ユーザインターフェースを生成し会場大型スクリーン・参加者スマートフォン画面に翻訳結果の字幕を表示するという流れで実施されました。
この実証を通じて、「登壇者およびシンポジウム参加者へ通訳内容を表示するユーザインターフェース」「登壇者およびシンポジウム参加者へ通訳内容を提供する運用体制」の2点を検証しました。このような実証を行うことで、自動同時通訳のユーザビリティを高めていきます。

自動同時通訳技術|TOPPAN

自動同時通訳技術の未来

総務省「グローバルコミュニケーション計画2025」では、2030年までにビジネス・国際会議等でのシビアな交渉でも利用可能な同時通訳を目指すとされています。PCのスペック向上も同時に期待されるため、自動同時通訳技術は今後さらに普及していくことが予想されます。自動同時通訳の普及により言語の壁が少なくなり、ビジネスを中心に、国際化がさらに進むことと思います。TOPPANはこれからも自動翻訳を通じてDigital & Sustainable Transformationを推進していきます。

自動同時通訳技術|TOPPAN

2024.07.01

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