メタバース関連

Matterportを活用した販路開拓の事例

ソーシャルディスタンスが求められたコロナ禍には、オンラインやVR(仮想現実)を用いたイベント参加や不動産内見が一気に普及しました。
そして今注目されているのが、360度の3DVR撮影を活用した「Matterport(マターポート)」です。

オンライン内見よりも詳細に物件を確認できるのはもちろん、誤差がほぼない正確なスケール感で物件を見学できるのがMatterportの大きな魅力。人件費やCG制作費のコストカットにもつながることで、不動産業界ではMatterportを取り入れる会社が増えています。

そこで本記事ではMatterportの基本的な情報に加えて、活用事例などから不動産内見に取り入れるメリットなどを解説します。
業務の効率化を図るためにぜひ参考にしてください。


■CGによるVRとMatterport活用の違い

「CGによるVR」と「Matterport(マターポート)」は、どちらも専用ゴーグルやモニターを通して見る点は同じなので、何が違うのかと疑問に思う方も多いかもしれません。
一見同じようなサービスに思えますが、それぞれ明確な違いがあります。

1つ目の違いは“空間の作り方と見え方”です。
CGを用いたVRは、メタバースのような仮想空間に近いイメージです。
現実世界には存在しない空間や、完成前の建築物の内観や外観をバーチャルツアーで体感することができます。

一方でMatterportは、現実世界にある建物や空間を360度撮影が可能な3Dスキャンカメラで取り込み、実写ベースで再現するため、実際にその場を訪れているような、CGでは表現できないリアルさを体感できるのが特徴です。

そして2つ目の違いは“作成にかかるコスト”です。
VRではその空間にあるものをCGで1つ1つ作成するため、多額のコストがかかってしまいます。物件数が増えればその分制作費もかさむため、1点ものの物件を多く取り扱う不動産業界では、コストに見合わないケースがあることも事実です。

それに対してMatterportは、物件を撮影したデータからバーチャル空間を作れるため、制作工程はあまり多くありません。初めに専用のカメラ機器さえ用意すれば制作費用も抑えられるため、長期的な目で見るとコストカットにもつながります。

Matterportのバーチャル空間がどのようなものなのかは、『デジタルツイン・ワールドトリップ®』でぜひご体験ください。

■企業のショールームとして導入した事例

企業のショールームとして導入した事例 イメージ

Matterportが実際にどのように活用されているのでしょうか。ここからはTOPPANによるMatterportの活用事例を、3章にわたって紹介していきます。

まずは、企業のショールームにバーチャル空間を導入した事例の紹介です。
NTT西日本が開設した共創空間「LINKSPARK(リンクスパーク)」では、拠点とする大阪オフィスを、名古屋、広島、福岡の3地点を訪れた顧客が遠隔体験できるように、Matterportを活用した「デジタルツイン・ワールドトリップ®」を導入しました。

システムの導入によって、遠隔地のユーザーはデジタルツイン化された大阪拠点をアバターキャラクターを使っていつでも見学可能に。さらにライブ接続機能を使えば、定点カメラや分身ロボットによって映し出されたショールーム内をライブ体験することもできます。
カメラを装着した社員に指示を出しながらショールーム内を見学できるので、まるで現地を訪れているかのような感覚を味わえます。

■海外へ販路拡大のための製造地紹介として活用した事例

近年、商品を買うにあたって、「どのような工程で作られているのか」「どのような人が作っているのか」など、“商品製造へのこだわり”を重視する方が増えています。
その意識を購買意欲へとつなげるために、国内はもちろん、言語の壁がある国外顧客からの需要も考慮し、Matterportを用いて酒蔵の紹介を行いました。

製造現場の見学にMatterportを利用するメリットは、

・導入コストの低さ
・制作期間の短さ
・臨場感の高さ
・見学時間の自由さ
・スタッフの対応負荷の軽減

などが挙げられます。

MatterportはCG制作と比べて安価かつ短期間で導入でき、写真を用いることでCGよりも臨場感を楽しめるのが魅力です。見学者は好きな時間にアクセスできるので、早朝や深夜はもちろん、海外見学者も時差を気にすることなく酒蔵を見学できます。

また、現地スタッフも見学の対応が不要になるため、スケジュール調整や案内の対応負荷を減らせる点もメリットです。そして「デジタルツイン・ワールドトリップ®」ならではのポイントは、酒蔵をデジタルツイン化するとともに、自動ガイド機能によってアニメアバターと一緒に酒蔵を見学できるようにしたことです。製造工程はもちろん製造者の匠の技を見学者に訴求し、購買意欲が高まるよう工夫をこらしました。

求めるターゲット層に合わせて紹介方法やアバターのデザインを変えて訴求できる点は、空間をデジタルツイン化する利点のひとつです。
不動産内見についても、希望に合わせて案内人のアバターを選べるようにすれば、顧客の安心感にもつながるでしょう。

■Matterportから製作したデジタルツインの活用事例

ここからは、不動産、ライブコマース、観光地におけるMatterportから製作したデジタルツインの活用事例を紹介します。

不動産販売×メタバース

マンションや一戸建て住宅をデジタルツイン化することで、現地にいるかのような感覚で不動産を内見することができます。物件のみならず周辺環境まで撮影しておけば、現地でしか知り得ない近隣環境もオンライン上で確認できる点がメリットです。

顧客は好きなときにブラウザ上で物件を内見できるので、現実味が低いCGVRやスケジュール調整が必要なオンライン内見の両者の課題をクリアできます。

スケジュール調整が必要ですが、アバターライブを用いれば物件の映像を顧客に見てもらいながら商談を進めることも可能です。

ライブコマース×メタバース

ライブコマースは、YouTubeやInstagram、FacebookなどのSNSのライブ配信機能を使って商品を販売する方法です。配信者がライブ配信のなかで商品を紹介し、視聴者が紹介された商品を購入します。中国ではすでに大きな経済効果を生み出しているため、日本でも今後普及していくことが予想される新しい販売戦略です。

Matterportから製作したデジタルツインのライブコマースでは、視聴者が商品の詳細を確認できるように、商品情報や購入先を埋め込めるタグ機能を利用します。これにより視聴者は、ライブ配信を見ながらも実際に店舗を訪れているような感覚で商品を選ぶことができます。

また、前章で紹介した酒造場見学と同様に、空間のデジタルツイン化によってアニメキャラのアバターを用いた商品紹介なども可能です。

観光PR×メタバース

近年、メタバースを用いた観光PRを取り入れる観光地が増えていますが、Matterportから観光地をデジタルツイン化をすれば、メタバース以上に現実的な空間を提供できます。

さらに「デジタルツイン・ワールドトリップ®」を取り入れることで、チャット機能を使って他者とコミュニケーションも可能に。
旅行先の下見としてはもちろん、よりリアルな風景を届けることで旅行意欲の喚起につながります。

テレビで取り上げられた観光地は賑わう傾向にあります。人は、観光地を写真や仮想空間で味わうだけではなく、その場を実際に訪れてみたいと思うものです。Matterportを通して見た景色に感動し、現地を訪れるきっかけになることでしょう。

■Matterport導入により得られる効果

Matterport導入により得られる効果 イメージ

事例を紹介するなかで、Matterportがどのように活用されているのかおわかりいただけたと思います。しかし気になるのは、導入によって得られる効果ではないでしょうか。
最後に、Matterportの導入により得られる効果を3つお伝えします。

具体的なイメージを持てるようになる

現実世界の建物や室内、風景を撮影するMatterportには、リアルな空間が写し出されます。しかし写真と大きく異なる点は、Matterportにはウォークスルー機能があることです。顧客はさまざまな視点から空間を疑似体験できるため、購買意欲にもつながるでしょう。

また、この利点は人気の低い物件への営業コストカットにもつながります。
Matterportを通して見学した物件に顧客が興味を示さなければ、物件の詳細説明の手間が省けるため、購入や入居が期待できる物件にのみ、時間を費やすことができます。

スキャンの誤差が少ない

Matterportは撮影スキャンの精度がとても高く、その誤差はわずか1%以内。
つまり空間全体を、ほぼそのまま再現できるということです。写真やオンライン内見で起こりやすい、室内の広さや体感イメージの乖離を避けることができます。

物件使用中であっても内見が可能に

工場のオンライン見学や不動産の内見は、工場の稼働やメンテナンス、ほかの顧客が内見中などで案内できない時間が必ず出てくるものです。

しかし空間をデジタルツイン化できるMatterportであれば、現場の状況にかかわらず見学や内見が可能です。顧客の希望に合わせて見学や内見を実施できるため、スケジュール調整のしやすい点も魅力と言えます。

とくに不動産では「すぐに物件を見たい」という顧客も少なくありません。そういったニーズに応えられるのも、Matterportならではのメリットです。

■Matterportを導入するなら

Matterportを導入して空間をデジタルツイン化すれば、顧客の購買意欲はもちろん、内見や見学への喚起にもつながります。

とくに多くの物件を取り扱う不動産業界では、業務効率化や経費削減のために積極的に取り入れていきたいシステムと言えるでしょう。

Matterportを導入して空間をデジタルツイン化すれば、接客を自動とリモートと切り替えられるので、すぐに物件を内見したい方には自動で、会話をしながら見学したい方にはリモート対応すれば、“担当者の温かみ”も伝わります。

TOPPANが提供する遠隔体験サービス『デジタルツイン・ワールドトリップ』は、CGベースの他社よりも安く、かつ短い納期で納品が可能です。
まずはMatterportで作ったバーチャル空間をぜひご体験ください。

<執筆者>
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子どもに「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、不動産、
火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。

2024.04.12

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