コラム

ノンソルラミネートとは?
概要やメリットを徹底解説!

近年は、環境を配慮した生産が求められる中、パッケージの素材選びや印刷・加工方法にも環境に配慮した生産方式を取り入れることが一般的になってきました。パッケージによく採用されている加工方法であるラミネート加工にも、より環境に配慮したグリーンな生産方式である 「ノンソルラミネート」があります。
今回は、ノンソルラミネートの概要からメリット、ノンソルラミネートとデジタルプリントを組み合わせるメリットをご紹介します。


1.ノンソルラミネートとは?

ノンソルラミネートとは、ラミネート加工方法の一種です。

ラミネートとは?

ラミネートとは、パッケージに機能を持たせるため、印刷したフィルムと機能性フィルムを貼り合わせることです。多数の機能が必要な場合、ラミネートを複数回行い積層させます。
ラミネートにより付与できる機能の例としては、酸素遮断性、湿度遮断性、遮光性、耐衝撃性などがあげられます。長期保存や中身の保護を目的に食品や日用品のパッケージなどにおいてよく利用されます。

ノンソルラミネートとは

ノンソルラミネートとは、「ノンソルベントラミネート」の略で、「無溶剤(non-solvent)」を意味し、有機溶剤を使用しないラミネート方式のことです。
 
ラミネート工程において、現在よく用いられているドライラミネートという方式では、有機溶剤を溶かしてフィルムに対して均一に塗工します。有機溶剤を使用するのは、フィルムを貼り合わせる接着剤だけでは粘度が高く、均一に塗工できないためです。
その後、乾燥工程を経て、有機溶剤を蒸発させて接着剤だけにして、第2基材と貼り合わせます。乾燥させる工程を含むため、ドライラミネートと呼ばれています。
 
一方、ノンソルラミネートでは熱可塑性(熱を加えると軟らかくなり、冷却すると硬くなることを繰り返す性質)のウレタン系接着剤を使います。有機溶剤を必要としないことから、光化学スモッグや人体への悪影響の原因となる揮発性有機化合物(VOC, Volatile Organic Compounds)を排出せず、また残留溶剤による内容物の品質低下の懸念もありません。
 
さらに、乾燥工程が不要なため電力消費が抑えられることでCO₂排出量削減にもつながります。
このようなことから、ノンソルラミネートは環境に配慮されたグリーンな生産方式といえます。


2.ノンソルラミネートを使用するメリット

ノンソルラミネートを使用することにより、次のようなメリットが得られます。

●従業員の安全衛生向上
ノンソルラミネートでは有機溶剤を使わずに済むため、有機溶剤からのVOC排出がゼロとなり、ラミネート工程に携わる作業者への影響がなくなります。企業にとっては従業員の安全衛生向上につながるでしょう。

●CO₂削減による環境配慮が可能
環境に配慮した経営が求められる昨今、ノンソルラミネートは有効な選択肢となります。従来のドライラミネートで必要だった乾燥工程が不要であるため、電力消費量の削減につながり、 CO₂排出量の削減が期待できます。
 
●残留溶剤のない安全なパッケージ製造
有機溶剤を用いたラミネート方式を採用したパッケージには、ラミネート時の乾燥不良により、有機溶剤が残留してしまう恐れがあります。ノンソルラミネートなら、残留溶剤のない安全なパッケージを製造可能です。


3.ノンソルベントラミネーション(ノンソルラミネート)×デジタルプリントでより環境への配慮を!

ノンソルラミネートをTOPPANのデジタルプリントと組み合わせることで、より環境に配慮されたパッケージ製造が可能になります。 
TOPPANのデジタルプリントサービスでは、アルミチャック・アルミパウチといったアルミパッケージ印刷において、ノンソルラミネートと組み合わせることが可能です。

デジタルプリントとは?

デジタルプリントとは、液体トナーなどを利用し、デジタルデータから直接用紙へ印刷する方法です。通常のグラビア印刷はデジタルデータを製版・刷版し、その版を用いて印刷しますが、デジタルプリントなら版無しで印刷できるので、製版コストが不要となります。
廃棄ロスの削減、電気使用量の減少、CO₂排出量の削減にもつながるため、環境に配慮したプリント方式といえます。
 
グラビア印刷に比べて、小ロット・短納期・内容の異なる可変印刷に向いており、軟包装パッケージ・ラベル・紙器・パンフレット・ポスター・POP・什器など幅広い用途に対応できます。

デジタルプリントとは?

デジタルプリント×ノンソルラミネートのグリーン印刷方式とは?

デジタルプリントとノンソルラミネートを組み合わせることで、従来のグラビア印刷とドライラミネートを組み合わせる方法と比較し、 CO₂排出量を約13%カット(※)し、VOC低減を実現します。

CO₂排出量を約13%カットし、VOC低減を実現します。

※当社算定値。グラビア印刷・ドライラミネートを使用して製造したアルミ構成のパッケージとデジタルプリント・ノンソルラミネートを使用して製造したアルミ構成のパッケージとの比較。 CO₂排出量の算定範囲はパッケージに関わる①原料の調達・製造、②製造、③輸送、④リサイクル・廃棄。
※ CO₂排出量の削減可否は包材サイズやロットなど生産条件よって変わります。


4.ノンソルラミネート使用事例

環境に配慮されたパッケージのノンソルラミネートで、実際に製作されたパッケージをご紹介します。

●株式会社オンザマーク様 「TOKUBOフィナンシェ」

株式会社オンザマーク様 「TOKUBOフィナンシェ」

温度で変わる新食感フィナンシェの「TOKUBOフィナンシェ」。
同社では元々無地袋にシール貼りのパッケージでしたが、高い印刷品質・小ロット印刷で多品種展開が可能・ノンソルラミネートで環境に配慮したパッケージ印刷が可能な点を総合的に評価いただき、フィナンシェのパッケージにご採用いただきました。
以前よりデザイン性が高くブランドイメージを体現するパッケージができたこと、ラベルシール貼りの人手不足が解消したこと、パッケージ制作コストを削減できたことなど、環境課題以外にもさまざまなメリットをご実感いただけているとの事です。

●株式会社カラーズ様 「きなり しっとりやわらかジャーキー」シリーズ

株式会社カラーズ様 「きなり しっとりやわらかジャーキー」シリーズ

「きなり」は、愛犬にも飼い主さまにもおやつでしあわせな時間を過ごしてほしい、そんな願いを込めて作られた国産の愛犬用おやつブランドです。素材のこだわりやブランドイメージを最大限表現するためマットPETでの仕様を希望されておりましたが、これまでの技術では環境配慮が難しい材質構成でした。
しかし、TOPPANのデジタルプリント×ノンソルラミネートソリューションを活用したパッケージでこれらの課題を解決することができ、商品コンセプトとマッチしつつ環境にも配慮したより良いパッケージを実現させました。


このTOPPANならではの環境に配慮したグリーン印刷方式にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

2023.12.12

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