コラム

IPコラボとは?
コラボのメリットや実施の流れを解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

IPコラボが売上向上や認知拡大に役立つと聞き、関心を持つ企業も多いのではないでしょうか。実際、多くの企業やブランドがIPコラボを活用し、成果につなげています。

本記事では、IPコラボの概要や実施するメリット、具体的な進め方について解説します。成功させるためのポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


【この記事で分かること】
・IPコラボをするメリット
・IPコラボを実施する流れ
・IPコラボを成功に導く重要なポイント


IPコラボとは

IPコラボとは、企業やブランドが他社の知的財産(IP: Intellectual Property)を活用し、共同で商品開発やプロモーションを行う取り組みのことです。ここでいうIPには、漫画・アニメ・ゲームなどの作品やキャラクター、ロゴ、ブランドなどが含まれます。

例えば、アニメやゲームの人気キャラクターを活用し、アパレルメーカーや食品メーカーがコラボ商品を企画・販売するケースが挙げられます。

もともと、「IP」という言葉はゲーム・アニメ業界におけるキャラクターなどのアイデアや創作物を指しており、一般的にはそれらのキャラクターなどと企業がタイアップした商品やキャンペーンのことを「IPコラボ」と呼びます。

近年、IPコラボ商品やキャンペーンはさまざまな場面で目にするようになり、企業のマーケティング戦略の一環としても積極的に活用されています。


IPコラボのメリット

IPコラボは、企業やブランドにとって多くのメリットがあります。ここでは、IPコラボがもたらす具体的なメリットについて詳しく解説します。

●認知拡大・新規顧客の獲得
●話題性の創出
●ブランドイメージの向上
●売上の増加

認知拡大・新規顧客の獲得

IPコラボの大きな魅力は、自社単独では届かなかった顧客層にリーチできる点です。例えば、老舗ブランドが若年層に人気のIPとコラボすることで、これまで接点のなかった若い世代に商品を知ってもらうきっかけとなり、新規顧客の獲得につながります。

また、人気キャラクターとタイアップした商品は、キャラクターファンの注目を集めやすく、短期間で広範囲に認知が広がる傾向があり、結果としてブランド全体の認知度向上に大きく寄与した例もあります。

さらに、コラボ商品は店頭でも目を惹きやすく、普段は関心を持たない層にも手に取ってもらいやすくなるため、幅広いターゲットにアプローチできる点もメリットといえます。

話題性の創出

人気IPとのコラボは話題性が高く、宣伝効果にも優れています。特に、魅力的なコラボ商品はSNSなどでファンによって拡散されやすく、トレンド入りすることも珍しくありません。

キャラクターとコラボしたキャンペーンでは、ファンが自主的にSNS投稿を行うケースが多く、企業が大規模な広告を打たなくても自然な形で宣伝効果を生みやすいです。このように、IPコラボは高い熱量を持つファンの口コミによって、短期間で製品やブランドの知名度を高めることが可能です。

ブランドイメージの向上

IPコラボを通じて、企業は自社ブランドの強化やイメージアップを図ることができます。人気キャラクターが持つ世界観や好感度を活用することで、自社商品の魅力を引き立てるだけでなく、企業そのもののイメージアップにつなげることが可能です。

特に、キャラクターの持つポジティブなイメージがブランドに重なることで、お客さまに親しみやすさや信頼感を与えやすくなります。また、有名人を広告に起用する場合と比べ、不祥事や炎上といったリスクが少ない点もIPコラボの大きなメリットです。

売上の増加

IPコラボは商品の付加価値を高め、売上の向上にも貢献します。限定デザインの商品やコラボ限定グッズは、ファンにとってコレクションしたくなる「特別」な存在となり、普段以上に購買意欲を刺激する効果が期待できます。

例えば、コラボ期間中に異なるデザインの商品を複数展開することで、熱心なファンは「すべてコンプリートしたい」と考え、結果として一人あたりの購入点数や売上単価が向上する可能性があります。こうした戦略をうまく活用することで、短期間で大きな売上増加につなげることが可能です。


企業によるIPコラボ例

IPコラボはさまざまな業界で活用されており、以下のようなユニークな取り組みが行われています。

●漫画キャラクター × 小売店
→人気キャラクターをデザインした限定商品の販売や、オリジナルグッズが当たるキャンペーンを実施し、ファンが企業に親しみを抱くように導いた

●アニメ映画 × 飲料メーカー
→国民的アニメのキャラクターをあしらった限定パッケージの商品を発売し、売上が数倍増加した

●キャラクター × ファッションブランド
→キャラクターのイラストやロゴを取り入れたTシャツ、スニーカー、ジャケットなどのアパレルアイテムを展開し、SNSで話題となった

●キャラクター × コスメブランド
→キャラクターのイメージカラーを活かした限定コスメを展開し、新規顧客の獲得につなげた

IPコラボは業界を問わず幅広く活用されており、企業のブランド力強化や新たな市場の開拓に大きく貢献しています。

TOPPANでは、ロングセラーアイス「ピノ」と人気IPコンテンツ「PEANUTS」のコラボを支援した実績もあります。


IPコラボを実施する流れ

IPコラボを成功させるには、一連のプロセスを慎重に進めることが重要です。ここでは、IPコラボを実施する流れについて、次の1〜6の手順で解説します。

1.コラボするIP候補の選定
2.版権元との交渉・契約締結
3.コラボ企画の具体化・制作
4.プロモーション準備
5.コラボキャンペーンの実施
6.効果測定と分析

1. コラボするIP候補の選定

まず、自社のターゲット層に適したIPをリサーチし、候補を絞り込みます。ターゲットの年齢層や趣味にマッチしたアニメ作品や、自社ブランドの世界観と親和性の高いキャラクターを選定することが重要です。

次に、候補となる各IPの魅力を分析し、自社の商品コンセプトと合致するかを検討します。コラボの打診後、版権元の許可が得られても、原作者の判断でNGとなる場合があるため、複数の候補を用意しておくとスムーズに進められます。

2. 版権元との交渉・契約締結

IPの版権元に対してコラボの提案を行い、具体的な条件交渉に移ります。版権元とは、ライセンスを管理する権利者のことです。

具体的には、利用許諾を得るための条件出しや、ライセンス料・契約金額の見積もり確認を行い、双方でコラボ内容の方向性をすり合わせます。交渉がまとまり次第、正式に契約を締結します。

契約書にはコラボで使用できるキャラクターやロゴ、利用媒体などの実施範囲、ライセンス期間、ロイヤリティ料率など、細かな取り決めが明記されます。

3. コラボ企画の具体化・制作

契約締結後、コラボ商品の開発やキャンペーン内容の具体化を進めます。コラボ企画ならではの魅力を引き出すため、商品デザインやプロモーション施策の詳細を綿密に企画します。

ここで重要なのが、版権元や原作者などIP側との緊密なコミュニケーションです。キャラクターの世界観や設定を損ねないように配慮し、デザインや表現内容に関して版権元から細かな監修を受ける必要があります。

4. プロモーション準備

コラボ商品やキャンペーンの内容が固まったら、発売・発表に向けたプロモーション計画を策定します。

IPコラボの効果を最大化するためには、さまざまな宣伝チャネルを活用することが重要です。具体的には、プレスリリースや公式サイトでの告知、SNSアカウントでの情報発信、テレビCMやWeb広告の展開、店頭ポスターの掲示などが考えられます。

また、ファンの熱量を高めるため、コラボ記念イベントを企画することも有効です。IPコラボはファンの盛り上がりが鍵となるため、特にSNS施策に注力すると良いでしょう。

5. コラボキャンペーンの実施

準備が整い次第、定められた開始日から、コラボ商品の販売やタイアップキャンペーンを開始します。キャンペーン期間中は、販売状況やSNSでの反響をチェックし、必要に応じて追加施策を講じることが大切です。

この期間は、ファンとのエンゲージメントを深める好機でもあるため、問い合わせ対応やSNSでの積極的なコミュニケーションを行うことが重要です。迅速な対応が、IPコラボの成功に大きく影響します。

6. 効果測定と分析

キャンペーン終了後は、成果を振り返り、今後の施策に活かします。売上データや集客数、SNSのエンゲージメント指標(いいね・シェア数)、キャンペーン応募数などの定量的なデータを分析し、成功要因や課題を洗い出します。

また、お客さまやファンから寄せられた反応やフィードバックを収集し、ブランド認知度や好感度の変化、販売促進効果を評価します。それらのデータをもとに、次回のコラボに向けた改善点を整理し、社内で共有することが重要です。


IPコラボを成功させるポイント

IPコラボは、ブランドの認知度向上や新たな顧客層の獲得につながるマーケティング手法です。しかし、成功させるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

ここでは、IPコラボを成功させる次の5つのポイントを解説します。

●コラボ相手との親和性を重視する
●ファンの期待に応える
●スケジュールに余裕を持つ
●タイミングを逃さず話題性を最大化する
●費用対効果をシミュレーションしておく

コラボ相手との親和性を重視する

IPコラボの成功には、自社ブランドとの親和性が重要です。世界観やイメージが近い、あるいはお互いの強みを補完し合えるIPを選ぶことで、自然な相乗効果が生まれやすくなります。

具体的には、「そのIPに関する価値観やファンは自社のブランドコンセプトと調和するか」「お互いの強みを引き出し合える組み合わせか」といった点について、入念に検討することが求められます。

仮に、話題性だけを狙って相性の良くない相手と組んでしまうと、「なぜこの組み合わせなのか?」とお客さまやファンに違和感を与えてしまいます。売上やブランド好感度の向上につながらないばかりか、場合によってはイメージダウンを招く恐れもあるため注意しましょう。

ファンの期待に応える

熱心なファンであればあるほど、自分の好きな作品やキャラクターへの愛着が強く、コラボ企画にも高い期待を寄せていることが想定されます。そのため、コラボ商品やキャンペーンのクオリティがファンの期待値を下回ると、失望や批判の声が上がってしまうリスクがあります。

ファンの期待に応えるためには、以下のようなポイントを押さえると良いでしょう。

【ファン心理に響くストーリー】
作品の世界観やキャラクターの物語と、自社ブランドをうまく結びつけたストーリーを作り込むことが大切です。これにより、IPコラボ企画を単なる商品タイアップに終わらせないようにする効果が期待できます。

例えば、下記のようなアイデアです。

●アウトドアがテーマの作品と連携し、キャラクターが実際にキャンプを楽しむエピソードの中で、自社のアウトドア用品を使用する

●モデルや俳優のキャラクターが出演する作品と連携し、コラボブランドのファッションを衣装として着用する

こうした物語性のある企画は、ファンの心に刺さりやすく、ブランドに対するエンゲージメント(愛着や共感)の強化につながります。

【限定感のあるグッズの制作】
コラボキャンペーンを成功させるためには、オリジナルグッズの展開が効果的です。実際に、多くのIPコラボでは、限定グッズの販売やプレゼント企画がセットになっており、ファンの注目を集めています。

特に、コラボ期間中のみ入手できるアイテムや、特別なデザインが施されたグッズは希少性が高く、ファンにとって魅力的な存在です。さらに、こうした限定アイテムはキャンペーン終了後もプレミアムな記念品としてファンの記憶に残るため、ブランドへの好印象を長期的に維持する効果が期待できます。

スケジュールに余裕を持つ

IPコラボには多くの関係者が関わるため、通常のプロジェクトよりも時間を要する可能性があります。特に人気IPの場合、企画の承認プロセスやデザイン確認などに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。

一般的なIPコラボ案件では、企画開始からローンチまで半年以上かかることが多いです。原作の新作公開時期やイベントに合わせる場合は、時期を逆算してかなり早い段階から準備を始める必要があります。時間がかかることを念頭に置き、スケジュールを立てるようにしましょう。

タイミングを逃さず話題性を最大化する

IPコラボの効果を高めるためには、実施のタイミングも見計らう必要があります。特に、コラボするIP側のイベントやリリース時期に合わせた方が、相乗効果を期待できます。

例えば、原作の映画公開や新作ゲームの発売、アニメ放送開始のタイミングに合わせてコラボキャンペーンを展開することで、ファンの盛り上がりが最高潮に達した時期にプロモーションをすることができ、注目度が倍増するでしょう。

実際に、映画公開に連動したコラボ企画はメディアにも取り上げられやすく、ファン以外の一般層にもリーチできるチャンスです。

費用対効果をシミュレーションしておく

IPコラボでは、高額なライセンス料や契約金が発生することもあるため、事前に費用対効果を検討することが不可欠です。

特に、有名IPとのタイアップではコストが高額になりやすいため注意が必要です。予算が限られている場合、費用面でハードルが高くなってしまうケースもあります。

具体的には、キャラクター使用料(ライセンス料)は、売上の数%を支払う契約が一般的であり、さらに一定額のミニマムギャランティ(最低保証料)が必要となるケースもあります。また、コラボ商品の製造コストや追加のプロモーション費用も考慮しなければなりません。

IPコラボではこれらの投資に見合った売上増や宣伝効果が得られるか、事前によくシミュレーションしておくことが大切です。


IPコラボを通して自社ビジネスの可能性を広げよう

IPコラボは、ブランドの認知拡大や新規顧客の獲得、話題性の創出、売上アップなど、さまざまなメリットをもたらします。ただし、戦略なしに実施すると、高額なコストがかかるばかりで、期待した効果を得られないリスクもあります。

IPコラボを成功させるためには、コラボ相手との親和性を考慮し、ファンの期待に応えることが重要です。さらに、十分なスケジュール管理や、最適なタイミングでのキャンペーン展開も話題性を最大化するために不可欠です。

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2025.06.02