自治体のSNS活用ポイントをご紹介 〜
炎上対策など注意点も
近年、企業がSNSをマーケティングに活用する取り組みが活発になっていますが、自治体においても同様に活用が進んでいます。すでに成果を出している自治体も多く、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、自治体においてSNS運用が求められる背景から活用メリット、ポイントや注意点、活用事例をご紹介します。
自治体においてSNS運用が求められる背景
SNSとは、「Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)」の略称で、登録したユーザー同士が交流することをメインの目的とするコミュニティサービスです。友人や家族同士はもちろん、会ったことのない人とも、同一の趣味や興味関心を通じて交流することができます。
代表的なSNSには、X(旧Twitter)やInstagram、LINE、YouTube、Facebook、TikTokなどがあります。
近年は企業がマーケティングやPRに活用することが増えており、SNSの公式アカウント上で情報発信をしたり、ユーザーと交流をしたり、広告を配信したりしています。
近年、自治体の間でもSNS活用が進んでいます。住民に伝えるべき生活に関わる情報の発信だけではなく、観光で訪れる人向けの情報を発信したり、ユーザーとのコミュニケーションを行ったりしています。
自治体でSNS活用が進んでいる背景として、次のようなことが挙げられます。
●SNSによる情報収集の一般化
インターネットが普及した後、スマートフォンの利用も広がり、個人一人ひとりがスマートフォンを利用してインターネットを利用することが定着しました。そして検索による情報収集と共に、人との交流という意味合いからSNSの利用も進みました。近年はSNSにおいても情報収集が活発に行われるようになってきています。SNSで情報発信を行うことは、多くのユーザーの目にとまる可能性があります。
●SNS活用による地域活性化の事例増加
自治体にとって、地域創生、地域活性化は大きな課題の一つです。そうした課題解決のために、自治体の中には、SNSを活用して地域の情報を画像や動画と共に魅力的に発信するところが増えています。実際に地域活性化に成功した事例も増えてきたため、その成功例に倣おうと、多くの自治体が活用を進めています。このことから、自治体がSNSを運用する必要性は増してきていると言えます。
自治体がSNSを活用するメリットとは
自治体がSNSを活用するメリットをご紹介します。
●気軽に世界中の人々に情報発信ができる
SNSの大きな特徴の一つに、拡散性の高さがあります。特に利用者数の多いSNSは世界中にユーザーを抱えており、自治体の地域情報に興味関心を寄せているユーザーから、地域の存在すら知らないユーザーまでさまざまな層にアプローチできる可能性があります。
日本だけでなく、世界中のユーザーに対して、予算の負担が少なく、手軽に情報発信を行うことができる点は、一番のメリットと言っても過言ではありません。
●双方向のコミュニケーションがとれる
SNSでは、広く情報発信するだけでなく、投稿へのコメントなどを通じて双方向のコミュニケーションをとることができる点もメリットです。Webサイトや広報紙のような一方的な情報発信とは異なり、ユーザーからの生のリアクションを目の当たりにできたり、文字によるやりとりが行えたりすることは、自治体にとって今後の情報発信や施策の参考になります。
●地域の魅力をさまざまな角度から伝えられる
SNSは文字だけでなく画像や動画も駆使して情報を伝えられることから、地域情報を発信する際には、魅力を伝えやすいといえます。画像だけではわかりにくかったことも動画を用いることで臨場感が伝わり、「訪れてみたい」と思ってもらいやすいでしょう。
SNS運用を進める際のポイントや注意点をご紹介
自治体がより実りあるSNS運用を進めるためのポイントや注意点をまとめました。ぜひ参考にしてください。
●運用目的を決めておく
SNSの運用を開始する前に、運用目的をしっかりと決めておくことが重要です。ただ何となく「他の自治体が行っているから」「地域のことを知ってもらいたいから」などの漠然とした理由で始めても、多くの自治体が出しているような成果は見込めません。 例えば「観光客を○%増加させるため」、「移住相談を○件増やすため」など具体的な目的と目標値を決めて、それに向けた投稿や更新頻度などを決めることで、意義のあるSNS運用につながります。
●投稿担当者が守るべき基準やガイドラインを定めておく
SNSを運用する際に注意しなければならないのは、手軽に発信できることや拡散性の高さから、ちょっとした投稿が問題になりやすいことです。意図的ではなく、知識のなさから失敗することもあるため、あらかじめ投稿担当者が守るべき基準やガイドラインを定めておき、投稿前にチェックするような運用体制をとることが有効です。
例えば、公の秩序または善良の風俗に反する内容や、第三者を誹謗中傷し、名誉や信用を傷つける内容、虚偽や事実と異なる内容などは投稿禁止の旨を定めておき、投稿前にチェックするフローを確立しておくと良いでしょう。
●事前に炎上対策案や対応フローを検討しておく
投稿した文章について意図しない受け取り方をされてしまい、炎上することがあります。炎上とは、火が勢いよく燃えるかのように批判的なコメントがネット上に殺到することをいいます。炎上は自治体や地域のイメージダウンにつながってしまうため、SNS運用の目的とは正反対の事態となってしまいます。
基準やガイドラインの制定や投稿担当者への周知などの予防策を徹底するほか、万が一炎上が発生した際に迅速な対応ができるよう、フローを検討しておくのをおすすめします。
SNSを上手に活用している自治体の例
自治体ではすでに成功事例が多く生まれています。その中から3つの事例をご紹介します。
●多くのフォロワーを獲得した事例
ある自治体は、ほぼ毎日SNSを更新しています。特に地元のキャラクターと観光協会のスタッフが観光スポットをめぐり、その様子を写真や動画付きで紹介する投稿シリーズは人気を博しています。これらが功を奏し、同一エリアの自治体の中でもトップのフォロワーを獲得しました。
●相談件数を増加させた事例
ある自治体は、移住促進PRムービーを制作してSNSで発信したところ、再生回数200万回以上を記録し、大きな話題を生みました。さらに、この動画を公開したことで、移住相談件数は公開前の4.5倍になりました。
●写真やハッシュタグをうまく活用した事例
ある自治体は、写真投稿がメインのInstagramをうまく活用しており、地域の季節ごとの美しい風景写真などを投稿しています。
また「ハッシュタグ」と呼ばれるトピックを分類するために投稿文に記載するキーワードがありますが、そのハッシュタグに当該地域名を含めたものを指定してユーザーに発信を促すことも行っています。これらの施策の結果、移住者や観光客の増加に良い影響が出ているようです。
まとめ
自治体によるSNS活用が進んでいる背景やメリット、具体的な活用事例などをご紹介しました。すでに成功事例も増えていることから、うまく活用することで有意義な成果につながると考えられます。
SNS運用において大きな懸念事項である炎上への対策については、万全に整えておくことで、より積極的にSNSを活用していけるでしょう。
2024.09.13