コラム

今まで見えなかったものが見えてくる! 介護見守りシステム「Sensing Wave」が訪問看護・介護のさまざまな悩みや不安を解消

少子高齢化が社会課題としてあげられて久しく、加えて生産年齢人口の減少という構成上の問題が深刻化するなかで企業も様々な対応が求められております。
施設系サービスではさまざまなICT機器の活用が試みられています。

しかし、訪問看護・介護の領域では、IT活用やDXがこれまでなかなか進んできませんでした。そのような状況の中、訪問看護・介護におけるデジタル技術の活用を目指し、セントケアDX株式会社(以下、セントケアDX)様が設立されました。
アナログの魅力を最大限に引き出すためのデジタル化とは何か、代表取締役社長谷口様をはじめ、ご担当者の方々にお話をお伺いしました。


セントケアDX株式会社
  代表取締役社長 谷口様(左)
  事業部 係長 水野様(右)
  訪問看護担当 小林様(真ん中)

ーSensing Wave導入の背景とメリットー

《課題》
昼夜逆転をしてしまわれているお客様において、訪問中以外の時間や現役世代の介護者が日中就労され、独居となる時間帯はどのような生活リズムでベッド上にてお過ごしになられているかが分からなかった。

《効果》
ベッド上でお過ごしの状況をSensing Waveで可視化することで昼夜逆転を防止するため、訪問をする時間の見直しやサービス追加の必要性を認識することができた。

《課題》
「夜眠れなかった」と「何度もトイレで目が覚めた」「胸が苦しくて目が覚めた」といったお客様の主訴を基に関係者に報告し、プランの見直しや内服薬の調整が今まで行われていた。

《効果》
Sensing Waveで睡眠の深さやベッドから離床した回数・時間を可視化することができ、参考データとして関係者へ情報提供が行え、夜間のポータブルトイレ設置など見直しに活用することができた。

《課題》
慢性的に介護職・看護職が不足していた

《効果》
Sensing Waveの活用をはじめとしたDX化やIoT機器活用は興味を持っていただけることも多く、想定以上の問い合わせをいただくことができた。

Sensing Waveなどの介護見守りシステム導入をご検討いただいたのはどのような背景からでしょうか。

谷口様:セントケアグループは、2023年3月に創業40年を迎えました。介護業界全体を見渡しても、
これから少子高齢化がさらに進むことで働き手が減ると同時に高齢者が増えていくという未来は確実に訪れます。

このような背景の下、デジタル技術を活用した「新しい働き方」と「新しいケア」の実践という2つのテーマを掲げて、2022年7月に当社を設立しました。

訪問看護はこれまでもエビデンスを中心にサービスを提供してきたのですが、介護分野ではまだまだ担当するヘルパーの経験則や想いを大切にサービス提供を行っているケースも多々あります。
お客様の意向や尊厳を尊重していく上で必要な要素であることは重々理解しています。
ですが例えばベテランのヘルパーが退職するとケアの質にも影響が出てしまうというようなことになりかねません。

そこで、「IoT機器を活用してお客様の状態を可視化することができるようになれば、エビデンスに沿った介護を実現できるのではないか?」、「デジタルを活用すればお客様やご家族の安心感につながるのではないか?」そのような考えに基づき、IoT機器導入の検討を始めました。

Sensing Waveをご採択いただいた具体的な理由を教えてください。

小林様:Sensing Waveの他、同様の2製品を対象に、当社スタッフが実際に自宅でさまざまな事前テストを実施しました。

その中で、特にSensing Waveが優れていた点が「データの見やすさ」。
折れ線グラフで睡眠の深さが時系列で表示されるので、時間別の睡眠状態の推移が一目で把握できます。

加えて、設置が簡単でコンセントをつないで寝具の下に敷くだけですぐに準備が整う点も魅力でした。
当社スタッフは必ずしも機器類の取り扱いが得意ではない者もいますが、テストの際にもスムーズに使い始めることができました。

Wi-Fi機器も付属しているので通信環境の設定などが不要な点も大きな利点でした。訪問看護・介護の場合は、利用場所となる訪問先のネットワーク環境はさまざまです。その点Sensing Waveなら、訪問先の環境に左右されず簡単かつ安定して利用できる点もありがたいところでした。

Sensing Wave導入にあたってどのような準備をされましたか。

谷口様:まず、利用者像を明確にすることから始めました。
初めて訪問看護を利用される方から終末期が近い方まで代表的な5つのケースを想定し、それぞれに適した導入方法を考えました。

そこまでの準備をしてもやはり実際に利用するお客様やケアマネージャーの方、我々にとっても初めてのこと。
ギャップを感じられている場合は、時間をかけてじっくり説明しご納得いただくようにしました。
また、我々としても試行錯誤を繰り返しながらSensing Waveによる「生活状況を可視化」というポイントに絞って、徐々に現場への導入を推進してきました。

水野様:システム面では、利用開始に当たって特に難しい部分はありませんでした。
もちろん事前にスタッフへの説明は行いましたが、皆さんすぐに理解してくれて導入時に特に混乱はありませんでした。
各訪問先で実際に使い始めて何か大きなトラブルが発生したということもありません。

ただし、導入前に「睡眠状態を可視化してそのデータを具体的にどう活用するのか」というところをもう少し深堀して考えておけば、データ活用の部分がもう少しスムーズに進んだのではないかと感じます。

具体的にどのようにSensing Waveをご活用いただいているのでしょうか。

小林様:さまざまな活用事例が出てきています。
例えば、夜間はご家族が在宅なのですが、日中独居でどのように過ごされているのか分からないというケースがありました。

ヘルパーが定期的に入っているのですが、到着する前にトイレなどで失禁して汚してしまう状況が何度か発生したので、Sensing Waveで日中の離床状況を可視化。
そして離床してトイレに行く少し前の時間にヘルパーを入れるように時間を調整した結果、その後トイレでの失禁が発生しないようになりました。
ご家族からは、「不在時の状況を可視化したことでサービスをより適切に利用でき、使ってみてとても良かった」とのご感想を頂いています。

さらに細かく睡眠状態を把握して活用した例もあります。
日中深く眠っているときには、夜間に浅眠になってしまうことが分かってきたので、そのようなケースが続く場合はデイサービスを利用いただいて少し刺激を与えることで、夜間ぐっすり眠れるようになった事例もあります。

また、障がいがあるお子様をお持ちのお母さまが、「どれぐらい眠れているのか知りたい」ということでお使いいただいたケースがありました。
特に注意すべき状態は現れていなかったのですが、反対に「ちゃんと夜眠れているんだ…」ということが分かったことでご家族の安心につながった例もあります。

その他にどのような導入効果が現れていますか。

水野様:当初、「ICT機器を在宅で活用する」という習慣がないところからスタートしています。
しかし、Sensing Wave導入により、今まで見えなかったところが可視化できるようになったことで、スタッフの意識も変化してきました。
お客様へ新たな提案をしたり、さらに新たなケアにつなげたりしていけそうだ、という意識を持つようになっています。

谷口様:Sensing Wave導入などのDX推進が、人材採用と定着率の向上に繋がることにも期待をしております。
当社グループでもまだまだ介護職、看護職が不足している事業所もあります。
当社では新しい働き方とケアの実践をビジョンに掲げ、2022年7月から2023年9月の間、合計2拠点で120件ほど面接することができました。
私のこれまでの経験では、1拠点で1カ月1~2件程度が一般的でしたが、単純比較はできないにしてもおよそ3倍に増加しています。

実際に求職者の方からは「さまざまな新しい機器を導入しているところに興味を持った」という話を多く聞いており、特に20代から30代のこれからを担っていただけるような若い世代を多く採用できたのが何より心強いです。

今後どのようにSensing Waveを活用してきたいとお考えでしょうか。

水野様:現在でも、Sensing Waveの他にスマートウォッチや服薬支援ロボットを導入しています。
これからは、上記に加えてさまざまなIoT機器やデバイスなども活用し、それらから得られるデータを統合して、さらに新しい価値を生み出していくようなことにつなげていければと思っています。

最後に訪問看護・介護においてDX推進する際の課題やメリットについて教えてください。

谷口様:介護・看護職のスタッフはICTに対するリテラシーが必ずしも十分でないため、抵抗感を覚えてしまう方も一定数おられます。当然のことだと思います。
私も介護職として10年以上現場にいた人間ですから現場にデジタルを導入することは簡単なことではないと実感をしております。

しかし、今後、介護の担い手が一気に増加していくことは容易ではなく、人の良さ、専門職が専門職として時間を有効的に使うにはデジタル導入が必要な要素です。
当社は、今後もコンセプトをしっかりと打ち出して、そこにチャレンジしてみたいと感じていただけるスタッフを募っていくことが、ビジョンを実現するためには必要だとも考えています。

もちろん、お客様やケアマネージャーの方がおられて初めて当社のサービスも成り立ちますので、その方たちにより役立つ便利なサービスを提供できるように運用していかなければなりません。
DX推進により書類提出のための移動時間や経費の無駄を抑え、同時に生産性を向上させることが可能です。
効率化によって浮いた時間で、お客様との対話時間を増やしたり、より多くのお客様を訪問したりするなど、お客様とのさらなる接点強化につなげていきたいと考えています。

2023.12.27

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