【オンライン会談】
サンリン株式会社さま(前編)
紙面展示会で目標成約137.5%を達成!新型コロナ禍で再認識したDMの可能性
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、新しい生活様式や働き方がスタンダードになり、企業と顧客とのコミュニケーションの在り方にも変化が訪れました。この渦中において、各企業が最善のアプローチ法を探る中、従来行っていた集客型展示会をダイレクトメール(以下DM)での紙面展示会、Webでのバーチャル展示会へと転換し、目標成約金額137.5%達成、大幅な経費削減といった成果を挙げられたのが、長野県に拠点を置くエネルギー総合商社・サンリン株式会社さまです。
トッパンフォームズ(現 TOPPANエッジ)がお手伝いさせていただいたのは、住宅設備機器や太陽光発電・家庭用燃料電池、住宅リフォームなどの商品を掲載した、パンフレット型のDM制作。今回は、DMとWebを併用した展示会施策の経緯からその成果に加え、初の紙面展示会から見えた顧客との新たなコミュニケーション方法などについて、本施策を担当されたサンリンの溝口さんと長谷川さんに、弊社の今井と相田がお話を伺いました。
新型コロナウイルス感染拡大の情勢を考慮し、オンラインでのインタビューを実施しました。
ゲスト
サンリン株式会社
環境事業本部 リフォーム部
副部長
溝口 将之さん
環境事業本部 リフォーム部
課長代理
長谷川 良樹さん
インタビュアー
トッパン・フォームズ株式会社
営業担当
相田 健太朗
企画販促統括本部 販売促進本部 メディア推進部 デジタルメディアグループ
今井 尋
※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。
【DM施策概要】
毎年、支店ごとに地域のお客さまを招いて感謝祭を開催されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響により、リアルでのイベントを中止。代替施策として、DMでの「紙面展示会」とWebサイト上での「バーチャル展示会」を組み合わせて実施することになりました。DMは、画像の差し替えや多くの情報が掲載可能な「 サイドジップメール 」をご採用いただきました。
多くの商品を見て選び、体験できる「DM+バーチャル展示会」を
溝口さん:2019年まではお客さまに直接足を運んでいただく商品展示会を開催しておりましたが、新型コロナウイルス第1波のピークを迎える2020年4月ごろから「今年の開催は難しいかもしれない」と感じていました。他社の動向を耳にすることもあり、これまでの展示会に代わる何かをはじめないといけないという話は、社内でもずっと出ていました。
相田:弊社にご相談いただいたときには、すでにDMで紙面展示会を行うという方向性は決まっていましたよね。
溝口さん:そうですね。若手社員から熱心な意見が出て、相田さんに相談しました。社長に提案したときも、わりとトントン拍子で。これまでにない新型コロナ禍という状況で、初めての試みだからこそ、積極的に挑戦してみようということになったんです。
今井:社内から、不安に思う意見が出ることはなかったのでしょうか?
溝口さん:同業他社で同じようなことを実践しているという話もなく、最初は「それで結果が出るのかな」という声もありました。DM制作を進めている間も不安がまったくなかったわけではなくて、成功するかどうかは手探りの状態でしたね。
今井:今回は紙面展示会DMとあわせて、Webでのバーチャル展示会も行っていますよね。最初にDMを企画されて、Webを併用することになった経緯を教えていただけますか。
溝口さん:これまでのリアルな展示会は、お客さまと対面でご説明し、商品を実際に見て、触れていただけることが最大の魅力でした。やはりその魅力に近いものを発信したい想いがあって、商品がアピールできる動画を作りたいと考えたんです。ただ、当社のお客さまは60~70代の方が多いので、Webに偏らず、DMだけでもしっかりと商品をご理解いただけるようにしないといけない。紙とWebの両方を大切にしたうえで、同時進行することは初期段階から決めていました。
数々の要望をかなえた、冊子型DM「サイドジップメール」
相田:本施策では、弊社の大判DM「サイドジップメール」をご採用いただきました。
溝口さん:展示会というのは、一度にたくさんの商品を見てお客さまの好みに合うものを選んでいただくもの。その状況を紙面で再現しようとすると、どうしても商品掲載数が多くなってしまいます。相田さんから冊子型の「サイドジップメール」をご紹介いただいたときには、素直に「使ってみたいな」って思いましたね。
相田:以前、別のDMを担当させていただいたときに、表紙画像の差し替えや顧客属性に合わせたデザイン変更など、一部対応できないことがありましたよね。そのときのご要望にも応えられて、多くの情報を掲載できるDMとなると、「サイドジップメール」が最適だなって思っていたんです。
溝口さん:あと、注文やお問い合わせ用の返信はがきが必須だったので、手で取り外せるキリトリ線付きはがきがあったのも「サイドジップメール」を選んだ理由のひとつですね。
相田:今回のDMでは、11支店別に表紙・背表紙のデザインを変更したり、「サンリンでんき」ご契約の有無によって特定のページの情報を差し替えたりしていますよね。
溝口さん:セミナーで学んだり、トッパンフォームズさんからの提案をいただいたりする中で、顧客データに基づいて個別DMを送るのが最近のトレンドだと知り、ぜひやってみたかったんです。このバリアブル印刷は、当社でも初の試みです。
相田:サンリンさまの顧客データを活用し、宛名印字や発送作業を弊社で担当させていただくのも初めてでした。これまでは支店ごとに手作業でチラシを封入し、宛名ラベルを貼り付けて発送されていると伺っていたので、業務効率化にもつながったとのご感想をいただくことができ、良かったです!
DMからWebへ。より深い情報提供を目指す連携を実践
今井:このDMの表紙には各支店の社員さん方の集合写真を使い、お客さまに合わせて差し替えています。人の顔が見えるDMってとても素晴らしいなって思いました。
長谷川さん:リアルの展示会は、お客さまと当社のつながりを再認識していただく場でもあったんですが、今回は実際にお会いできないので、まず社員の顔を出したいと考えました。あと、知っている人が表紙に写っていると捨てづらいかな…と(笑)。その効果は分からないですが、DMを開いてもらったり、手元に残してもらったりするきっかけにはなったかと思います。
今井:このDMは紙面展示会だけでなく、 QRコードからバーチャル展示会や商品説明動画への誘導ツールという役割も持たせていますよね。
長谷川さん:限られた紙面内に多くの商品を掲載すると、どうしても説明不足になる懸念があって。なるべく多くの商品にQRコードをつけて、説明動画を見てもらえる機会を増やしたいと考えました。メーカーさんからの提供動画だけでなく、当社社員が登場して説明する動画もたくさん作ったんです。
今井:この動画は今後も活用できますし、大きな財産になりましたね。
長谷川さん:そうなんです。できれば動画ももっと準備して、すべての商品にQRコードを掲載できれば良かったのですが、スペース上難しくて。しかし、掲載する商品点数も多い中、相田さんには本当に丁寧にご対応いただきました。
相田:ありがとうございます。ビルトインコンロや太陽光発電、リフォームまで、多彩な商品カテゴリーだったので、見たときの印象がバラバラになってしまわないよう、最初のレイアウト設計には正直苦戦しました(笑)。
長谷川さん:もうちょっと商品数を絞って写真を大きくした方が良かったのか、逆に商品点数を増やして細かな構成にすれば良かったのかといった検証もできればと思っているので、レイアウトやデザイン面でもいろいろ教えてください。
DM発送後の停滞期にDMを再活用し、訪問営業を強化
今井:DM送付から約1カ月後に、同じDMを増刷していただいていますね。
長谷川さん:はい。送付から10日~14日ほどたつとお問い合わせ件数が減ってきていたので、なにかできることはないかと考えました。新型コロナも多少収まっていた時期だったので、DMを商品パンフレットとして持参し、訪問営業を始めたんです。
相田:結果として、最初のDM発送からしばらく時間が空き、反応が落ち着いた時期に訪問営業をできたことが、今回の成功にもつながっていますよね。
長谷川さん:そうですね。急遽行ったことだったので、DMは同じものを使い、表紙に特典ラベルを貼付しました。次回は第2弾DMとして、違う体裁のものを検討してもいいのかなとも思っています。
相田:2021年になって緊急事態宣言も再発出されましたし、必ずしも訪問営業ができる環境ではなくなってきているのも事実。私も今後の停滞期に何ができるか、第2弾のDM制作を意識したご提案をさせていただきたいと考えています。
コストダウン・業務削減とともに、目標成約金額137.5%を達成
相田:紙面展示会、バーチャル展示会の共催の結果、目標問い合わせ件数は92%の達成率に対して、目標成約金額の達成率は137.5%と大きく想定を超えられています。1件あたりのご成約金額が想定よりも多かったのでしょうか。
溝口さん:そうですね。両展示会に加えてフォローの訪問営業を徹底したことで、ご購入商品のランクアップや、単品から複合商品への変更などがあったのではないかと考えています。さらに、トイレや化粧台のリフォーム、太陽光発電、蓄電池といった高額商品の受注も想像以上でした。
今井:おうち時間が増えたことで、家の快適性を重視する方が増えたのかもしれませんね。
溝口さん:第1波後の反動消費を含め、そういった世の中の流れもあったと思います。特に今回は DMでいろいろなジャンルの商品を掲載できたこともあり、「これを買うから、こっちも買ってみよう」といった訴求もできたのではないでしょうか。商品パンフレットとして、ご高齢の方でも見やすいデザインにしていただいたので、その点も今回の成功につながっているのではないでしょうか。
相田:ありがとうございます!
溝口さん:社員の顔を出した表紙のインパクトも大きかったようで、訪問営業のお声がけの際に「あのDM届いているよ」と覚えていてくださったり、訪問時にも話が盛り上がってご注文につながったりしたケースもあると聞いています。
今井:新型コロナの影響で、積極的な訪問が難しい時期でもあったかと思いますが、今回のDMがお客さまとの接点を途切れさせない要因になれたんですね。
溝口さん:さらに、今回の施策の大きなメリットとして社員の業務削減がありました。リアルの展示会は土日開催なので休日勤務になってしまいますし、通常業務に加えて会場設営やメーカーさんとの商談などが増えたりすることで、労務管理の負担も大きかった。今回はそれがほぼ必要なくなりましたからね。それでいて過去の展示会よりも大幅にコストダウンできましたし、今回制作した動画は今後の営業活動にも活用できます。費用対効果はとても高かったと認識しています。
顧客との新たなコミュニケーション方法の発見
今井:これまで対面接客がメインだったと聞いていますが、お客さまとのコミュニケーションにも変化はありましたか?
溝口さん:今まで展示会にお越しいただけていなかったお客さまや、新規のお客さまからの問い合わせがとても増えました。初めての試みだった DMの返信はがきでの注文や問い合わせはご高齢の方の反応がとても良く、逆に若い方は最初から最後までメールでのやりとりをご希望されるなど、新しくつながりを持てたお客さまがたくさんいます。
長谷川さん:会場に足を運ばずに、場所関係なく注文できるのが良かったのかもしれないですね。あと、DMにお問い合わせ特典を付けた効果も出たのかと思います。
今井:ご成約特典とは別に、お問い合わせ特典で千円分の商品券がもらえるというのは、かなり太っ腹ですよね。
長谷川さん:例年の展示会では来場特典を用意していた経緯があって、DMを見て興味を持ってくださった方になにかしたいという想いがあったんです。会場費などがいらずコスト削減が見込めていたので、その分、お客さまにしっかり還元しようと予算を大きく算出したところはありますね。
溝口さん: DMを見たお客さまからのお問い合わせだと、すでに興味がある商品が決まっているというのも大きな発見でした。通常だと、当社からお客さまの希望をヒアリングすることで商談がはじまりますが、紙面展示会ではそこがいらない。商談の過程がかなり短縮できるんです。
相田:その浮いた時間で、お客さまとより深くお話ができたり、より多くのお客さまとの接点が持てたりするようになるんですね。
溝口さん:そうなんですよ。そういった点での気づきはたくさんありました。今回の取り組みは、同業界内でも迅速な対応でしたし、DMもWebも丁寧に制作しているというのがメーカーさんにも伝わったようで、「さすがですね」といったうれしい言葉もたくさんいただきました。「DMからWeb・動画へ」という導線が当社とお客さまとの新たな接点になり、これまでの強みである営業力も活かしていくことで、今後さらに良いものを生み出せる可能性を感じています。
後編「 DMとデジタルの新活用も!企業と顧客の絆をさらに深めるアプローチ法 」では、今後もさまざまな目標を掲げるサンリンさまにご提案する、課題解決へのアイデアや事例などをご紹介します。
※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。
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2021.03.09