【会談記事】オプテージさま(後編)
デザイン変更で更新率が3倍に!UD診断で見えた“お客さま目線”のDMとは
前編「手間も費用もかかるのに、あえてDMを送るメリットとは?」でご紹介したように、内製でDMを制作していると「このデザインでお客さまにしっかり伝わっているのだろうか?」と、不安になることがあるかもしれません。この悩みを解決するソリューションの一つが、トッパンフォームズ(現 TOPPANエッジ)の「UD診断サービス」です。
引き続き後編では、診断結果を基にDMデザインをどのようにリニューアルし、いかなる成果を上げることができたかについてお話を伺いました。
ゲスト
株式会社オプテージ
前ご担当者
コンシューマ事業推進本部 コンシューマ事業戦略部 マーケティング推進チーム
高木 潤さん
現ご担当者
コンシューマ事業推進本部 お客さまサポート部 テクニカル運用チーム
中瀬 瑞規さん
インタビュアー
トッパン・フォームズ株式会社
前営業担当
伊藤 彰
現営業担当
佐藤 百合香
※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。
【DM施策概要】
「eo光ネット」のオプションサービスである、セキュリティ対策ソフト「ウイルスバスタークラウド月額版 for eo(以下、ウイルスバスター)」は、お客さまご自身で年に1回、プログラムのバージョンアップ作業を行っていただく必要があります。
しかし、Eメールやポップアップ通知でお知らせするだけでは反応が鈍く、多くのお客さまが最新のセキュリティに対応できないという課題を抱えていました。そこで、Eメールに加え、DMを送付してバージョンアップの重要性を伝え、お客さま自身で更新作業を促す取り組みを行っています。
診断結果を受け、表紙デザインを全面リニューアル!
佐藤:まずは、表紙デザインをリニューアルさせていただきましたね。
高木さん:はい。目線が行きやすいところに「無料」というお得情報を配置し、それをきっかけに見てもらえるようにしました。
それから、私がデザインしたDMはポップアップ画面のキャプチャを大きく載せていたのですが、具体的なセキュリティリスクが伝わるイラストに変更しました。「こんなに恐ろしいことが起こるのか!」とお客さま自身が自分事として感じていただけるよう、個人情報流出や金銭的被害といったリスクの警鐘を促しながらも、ポップなデザインでお客さまへの不安を増大させ過ぎないデザインがポイントですね。
佐藤:このアイデアは、過去のDM大賞受賞作品の中にあった、自治体から送付した健康診断の案内のデザインを「受診しない場合の健康リスク」にフォーカスして受診率が上がった、という事例からヒントを得ています。
また、当初は女性のイラストでご提案していたのですが、オプテージさんへヒアリングを進めていくうちに「ウイルスバスター」のメインターゲットはシニア層の男性ということが分かったので、より自分事と捉えてもらえるようイラストを変更した経緯もありました。
高木さん:中面も画面キャプチャをただ横に並べていた作業フローのデザインを、全体を大きくステップ1とステップ2に分け、詳細を縦に並べるなど見直していただきました。表紙をめくってまずは「無料バージョンアップのお願い」が表れ、次に具体的なフローへ視線が流れる順番にするなど、色の使い方や情報量と合わせて、ページをめくる動きと視線の流れに関しても、ずいぶんと試行錯誤しました。
佐藤:最近はWebサイトにおけるランディングページやスマートフォンが普及し、多くの方が縦組みデザインに慣れ親しんでいます。教科書も縦組みで見開き完結するレイアウトが多いですので、多くの方にとって読みやすいデザインでもあります。
裏面デザイン変更で、コールセンターへの入電数が2割削減!
佐藤:デザインリニューアルのもう一つの目的が、コールセンターへの入電本数を減らすことでしたよね。
高木さん:はい。そのために、裏面デザインは情報の掲載順序を大きく変えました。これまでは、問い合わせ先となる電話番号を一番上に大きく載せていました。それを見たお客さまは当然「分からなければ電話しよう」と思われますし、実際にバージョンアップ期限が近づくとコールセンターに電話が集中していました。
そこで、電話番号とWebサイトのユーザーサポートページの紹介の掲載順序を入れ替えました。Webサイトへの誘導を大きく表示し、電話番号を小さくしたところ、Webサイトの訪問数が増えて入電数は下がりました。入電が集中してつながりにくくなることを回避できましたし、コールセンターの担当者からも「お客さまから『(DMは分かりやすくて)良かった』というお声を頂戴した」との反応も聞いています。
中瀬さん:リニューアルを行ったことで、更新率は前年比の3倍(17%→51%)に跳ね上がり、コールセンターへの入電数は2割減りました。これは、多くのお客さまがDMを見ながらご自身で更新できたということですし、つまりは最新のセキュリティリスクに対応したインターネット環境のお客さまが増えたということで、お客さまサポート部としての目的は達成できましたね。
もっとお客さまに寄り添えるDMを目指して
伊藤:現在は中瀬さんがDM制作を担っていらっしゃいますが、最新版にはどのようなアイデアが反映されていますか?
中瀬さん:お客さまは工程が多いと「まだあるのか…」と思い、最後まで完了せず途中で諦めてしまう方もいらっしゃいますので、最新版では“なるべく短く” を心掛けています。例えば、インストールページの短縮URLを作成し、すぐにアクセスできるようにしました。
また、URLをどこへ入力すればよいのかという最初の部分でつまずかれているお客さまがいらっしゃることを知りましたので、「Webブラウザー(Google Chromeなど)を開き、アドレスバーにURLを入力する」という、代表的なブラウザーを立ち上げる作業をファーストステップに付け加えました。
高木さん:このステップをあえて載せたのは、私が実際に対応したお客さまの中に、URLをWebブラウザの検索ボックスではなくメールソフトの検索ボックスに入力されていたという経験があったからです。DMは作ってみて、実際に反応をもらわないと分からない部分もたくさんありますね。実際のお客さまはどう行動するか、そのお客さま起点に立つことが大切だと猛省しました。
中瀬さん:URLを入力する手間を省くためQRコードを載せる案もあったのですが、このDMはスマートフォンへのインストール方法ではなく、パソコン(Windows版)へのインストール方法を案内したものですので、DMを隣に置いて作業を進めていただくことを想定し、最終的には外しています。裏面の電話番号をどの程度露出させるのかについても、DMの役割をしっかり考えて判断するのが、これからの課題でもあります。
日本はどんどんペーパーレス化が進んでいます。しかし、メールやポップアップ通知だけでは動かず、DMを手にして初めて自分事にしてくださる層が、それなりの規模で一定数いらっしゃいます。営業目的のDMではなく、セキュリティ対策ソフトに関する重要なお知らせですので、これからもプロバイダーとして分かりやすいDMをお届けし、お客さまのインターネット環境をしっかり守って差し上げる必要があると考えています。
デザインが評価され、全日本DM大賞で銅賞受賞!
佐藤:媒体としての役割を意識したこのDMが評価され、第34回全日本DM大賞銅賞を受賞されました。その喜びの声をお聞かせください。
中瀬さん:お客さまに手に取って見ていただき、行動していただくためにはどのようなデザイン、どの程度の情報量が適切かということを知らなければ、恐らく感覚的に作ってしまっていただろうDMを、UD診断による科学的根拠・実績ベースに基づいて作成できました。その成果物がきちっと評価され、賞を頂けたことはうれしいですし、取り組んでよかったです。これからも頑張っていこうと思います。
高木さん:担当していた当時、自分が作ったDMの良しあしが分からないまま1人で作って発送し、「効果はどうだったのかな」とモヤモヤしていたところ、UD診断で客観的に評価してもらえたのが良かったですし、素直にうれしいですね。現在はお客さまサポート部を離れましたが、また別のDMに携わる機会もあります。今回の取り組み内容、DMデザインの大切さとDMの役割について、社内で情報共有したいと思っています。中瀬さんの手掛けたDMが今後もっと良い成果を出してくれると期待しています。
佐藤:弊社も引き続きそのお手伝いをしてまいります。本日はありがとうございました。
※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。
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2020.05.14