インタビュー・会談

【会談記事】オプテージさま(前編)
手間も費用もかかるのに、あえてDMを送るメリットとは?

関西電力グループの情報通信事業を展開する株式会社オプテージさま。関西地方の方にとっては、インターネット接続サービス「eo(イオ)光ネット」でおなじみかもしれません。

オプテージさまでは「eo光ネット」のオプションサービスであるセキュリティ対策ソフトのバージョンアップを促すDMを社内で作成していましたが、更新率の低迷に悩んでいらっしゃいました。そこで、トッパンフォームズ(現 TOPPANエッジ)は「UD診断サービス」をご紹介。ユニバーサルデザインの観点からデザインのリニューアルをお手伝いさせていただきました。新しいDMは更新率が前年比300%となり、第34回全日本DM大賞で銅賞受賞という評価を受けることができました。

前編では、今までDM制作を行ってきた際の工夫やご苦労されたこと、そしてUD診断を受けた感想などについて、当時リニューアルを担当された株式会社オプテージの高木さんと現在DM制作を担当している中瀬さんへ、トッパンフォームズ営業の伊藤と佐藤がお話を伺いました。

ゲスト

株式会社オプテージ

前ご担当者
コンシューマ事業推進本部 コンシューマ事業戦略部 マーケティング推進チーム
高木 潤さん

現ご担当者
コンシューマ事業推進本部 お客さまサポート部 テクニカル運用チーム
中瀬 瑞規さん

インタビュアー

トッパン・フォームズ株式会社

前営業担当
伊藤 彰

現営業担当
佐藤 百合香

※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。

【DM施策概要】

「eo光ネット」のオプションサービスである、セキュリティ対策ソフト「ウイルスバスタークラウド月額版 for eo(以下、ウイルスバスター)」は、お客さまご自身で年に1回、プログラムのバージョンアップ作業を行っていただく必要があります。
しかし、Eメールやポップアップ通知でお知らせするだけでは反応が鈍く、多くのお客さまが最新のセキュリティに対応できないという課題を抱えていました。そこで、Eメールに加え、DMを送付してバージョンアップの重要性を伝え、お客さま自身で更新作業を促す取り組みを行っています。


プロバイダー会社が、わざわざ手間のかかるDMを送付する意味とは?

佐藤:今回のDMは契約者の方へ、更新手続きの方法をご案内する内容となっています。
セキュリティ対策ソフトは期限切れのタイミングに、Eメールやポップアップ通知で更新のお知らせが届く印象があります。

株式会社オプテージ 高木さん

高木さん:私たちが提供するeoは、お客さま起点という軸で、プロフェッショナルとしてお客さまのお困りごとを解決することはもちろん、これから必要になりそうなことまで考えてサポートすることを私たちの強みとし、お客さまを支えていきます。
3年前、私はお客さまサポート部に異動し、お客さま起点の取り組みの一つとして、「ウイルスバスター」がサポート期限切れとなる前にバージョンアップ作業の手順をお伝えする業務を引き継ぎ、後任を担当しました。

佐藤:それまではDMを送付されていなかったのですか?

高木さん:弊社独自の取り組みとして数年前からDMを送っていました。とはいえ、他のプロバイダー会社にもない取り組みであったため、参考にできる他社事例もありませんでしたし、何より私自身にもDM制作の知見や経験がありませんでした。
そこで、「こういう説明があると便利だろうな」とパワーポイントを使いながら、手探り状態のまま自分でレイアウトし、細かいデザイン部分のみデザイナーに整えてもらって完成させていました。後日、「ウイルスバスター」の担当者さんにDMをお見せしたところ、「こんな取り組みを実施していただいているんですか!」と驚かれましたよ(笑)。

中瀬さん:DMというカタチで手に取っていただくことで自分事となりやすいので、お客さまも「これは、更新しないといけない!」と感じてくださるようですね。

高木さん:DM制作には手間や費用もかかりますが、それ以上にやるメリットがあると思っています。というのも、バージョンアップ期限が近づくと、Eメールやポップアップ通知をご覧になったお客さまからの電話がコールセンターへ集中します。残念ながら電話がつながらなかったお客さまはガッカリされますし、不安を感じられるでしょう。しかし、DMを見ながらお客さまご自身でバージョンアップ作業ができると、電話の数も減ります。このDMは、「コールセンターの電話がつながらない」というクレームを防ぐための施策でもありますね。

ご自身でDMを作成される中、工夫されたことは?

株式会社オプテージ 高木さん、中瀬さん

高木さん:過去弊社からお客さまに送付したDMでは、バージョンアップ作業が複雑だと誤解されないよう、
1:ポップアップ画面の表示
2:ボタンをクリック
3:画面に従って作業を行い完了
といった、「かんたん3ステップ」であることをアピールしていました。

しかし、その内容では伝わりきらなかったようで…、コールセンターのお問い合わせがかなり増えてしまいました。

佐藤:ご自身でDMを制作されていた当時、何か気付かれたことはありますか?

高木さん:DMに掲載した作業手順は「1:ポップアップ画面の表示」から始まっているのですが、そもそも「ポップアップ画面が出ていない」ことが原因で作業につまずかれているお客さまがいらっしゃることに、後から気付きました。その画面は5日に1回しか表示されないため、うっかり消してしまうとしばらく表示されないのです。
そこがお客さま起点に立てていなかったなと思い、翌年のDMはWebサイトからソフトをインストールするステップから載せるように改良しています。作業手順を詳しく載せたことで、更新率は17%から51%へアップしました。

UD診断を受けてみたいと思ったきっかけは?

トッパンフォームズ 伊藤、佐藤

伊藤:当初オプテージさんからは、DMではなくEメールに関するご相談を受けていました。とある話の流れから、ユニバーサルデザインでコミュニケーションツールの改善を行う「UD診断サービス」をご紹介したところ、「私がデザインしたDMを何とか改善できないでしょうか?」とお話しくださったのが、DM制作へ携わらせていただくきっかけでしたね。弊社の関西オフィスにあるLABOLIS WESTにもお越しいただきました。

高木さんより、感覚的になりがちなデザインクオリティーをUD診断による客観的な数値で評価してほしい、そして、コールセンターへ入る電話の本数をDMの効果で減らしたいという課題をお聞きし、「これはトッパンフォームズとして、何とか力になって差し上げたい!」と思ったのです。

高木さん:私はDMを作る専門家ではないので、「お客さまにとって、本当にこれでいいのかな?」と手探り状態で制作していました。そんなとき、LABOLISのUD診断で科学的分析ができることを知り、どう改善できるのか非常に興味を持ち、トッパンフォームズさんへご協力をお願いしたのです。
例えば、私がデザインしたDMは注意喚起のため赤と黄色を多用していたのですが、このままでは色覚障がいのあるお客さまへの配慮ができていないと指摘を受けました。このカラーユニバーサルデザインという観点は全くなかったので、とても大きな気付きでしたね。

また、情報を詰め込みすぎて視認性が落ちていないかなど、問題点を“見える化”してもらえたのはありがたかったです。業務担当者が一人で作ると「お客さまにしっかりとご案内したい!」と、文字をたくさん書き込んでしまいがちです。「読みやすい / 読みづらい」というラインを、感覚値ではなく数値で示してもらえたのが良かったです。

中瀬さん:高木さんからDM制作を引継いだとき、「文字量が全体の○○パーセント以上だと読まれないですよ」と科学的に診断してもらったことを知り、「DM制作にはそのような視点が必要なんだな」と感じました。


後編の「デザイン変更で更新率が3倍に!UD簡易診断で見えた“お客さま目線”のDMとは」では、診断結果を受けてデザインのリニューアルを行い、どのような成果を上げることができたかについてご紹介します。


※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。

2020.05.08

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