パッケージデザインの作り方のポイントやコツ、注意点を解説
パッケージデザインで商品の魅力を最大限に伝えるには、いくつかのポイントやコツを押さえた作り方をする必要があります。また、景品表示法や食品表示法といった法律についても理解し、違反しないよう細心の注意を払いましょう。
そのため、パッケージデザインの適切な作り方や注意点を踏まえ、しっかりとしたノウハウを確立することが重要です。本記事では、パッケージ作成時に明確にするべきポイントや、作成のコツ、注意点などを紹介していきます。
商品パッケージ作成時に明確にしたい5つのポイント
消費者の購買意欲が高まるパッケージデザインには、次の5つのポイントを意識することが重要です。
明確にしたい重要な要素 | 内訳の例 |
誰に売るのか(ターゲット) | ・氏名:佐藤 加奈子(女性) ・年齢:28歳 ・居住地:東京都江東区 ・職業:Webマーケター など |
どこで売るのか(販売チャネル) | ・ECサイト ・実店舗 |
商品の特徴(セールスポイント) | ・原材料の成分名や配分量 ・「しっとり・ふわふわ」といった使用感 など |
他社商品との違い(差別化ポイント) | ・ブランドイメージ ・製品の機能性や付帯サービス ・顧客サービス ・流通チャネル |
商品で一番伝えたいこと(個性・魅力) | ・「累計10万本突破」 ・「関西限定」 など |
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
誰に売るのか(ターゲット)
パッケージデザインでは、商品を利用するターゲットが特に重要な要素となります。不明瞭なターゲットのままパッケージを作成しても、なかなか商品の購入には至りません。
とはいえ、商品を企画するうえで、すでにある程度のターゲットは絞り込めているはずです。そこからさらに、対象者の年齢や性別、職業、趣味といった要素をなるべく多く洗い出し、ペルソナ(想定する顧客像)を設定します。
以下はペルソナの設定例です。
商品パッケージにおける効果的な色味や配色は、性別や年代によって大きな差があるといわれています。たとえば、20代の女性であればパステル・ビビッド系が好まれるといった具合です。そのため、なるべく詳細にペルソナをイメージし、嗜好の傾向をデザイン面に反映しましょう。
どこで売るのか(販売チャネル)
ECサイトで販売する場合と、実店舗で販売する場合では、パッケージデザインの方向性に大きな差が生まれます。
ECサイトであれば、スマートフォンの小さな画面でも映えるデザインのほうが消費者の目を引くでしょう。
一方、実店舗の場合は消費者が商品を手に取れるため、手軽さや持ち運びやすさが重要です。また、同じデザインでも陳列方法によって見え方が異なります。実際に店舗へ足を運び、平置きなのか吊り下げなのかを検討したり、どのような競合製品があるのかを確認したりすると良いでしょう。
商品の特徴(セールスポイント)
パッケージには、魅力的なセールスポイントを記載することが大切です。セールスポイントが効果的なものであれば、消費者の購買意欲は大きく高まるでしょう。
商品の特徴を明確にするには、開発担当者や顧客へのヒアリング・アンケートなどが効果的です。上手く言語化できない場合は、セールスコピーの制作を外注するのも良いでしょう。
他社商品との違い(差別化ポイント)
商品パッケージには、セールスポイントだけではなく、競合製品との違いを明記しましょう。差別化ポイントが明確になると、数ある商品のなかで違いがわかりやすくなり、消費者から選ばれる可能性が高まります。競合製品に不満を抱いていた消費者の課題を解決できれば、乗り換え需要も多く出るでしょう。
次の4つの軸に着目すると、自社独自の強みを効率良く把握できます。
●ブランドイメージ
●製品の機能性や付帯サービス
●顧客サービス
●流通チャネル
商品で一番伝えたいこと(個性・魅力)
商品パッケージのキャッチコピーには、自社商品の個性や魅力など、最も伝えたい内容を盛り込みましょう。キャッチコピーは、商品パッケージ全体で特に消費者の目に留まりやすい箇所だからです。
たとえば、「累計10万本突破」といった形で、人気の高さを訴求するのも一案です。そのほか、「関西限定」など、希少価値を訴えかけて消費者の心理に変化をもたらすのも良いでしょう。
パッケージデザインの作り方のコツ
ここでは、効果的なパッケージデザインのコツとして、以下の5つの項目を紹介します。
●見た目の美しさだけでなく使いやすさを意識する
●商品パッケージにメッセージを盛り込みすぎない
●トレンドを意識したデザインを取り入れる
●商品の魅力を表現できるパッケージ素材を選ぶ
●商品にリンクした配色を意識する
見た目の美しさだけでなく使いやすさを意識する
商品やサービスだけでなく、商品パッケージにも使いやすさという要素が存在します。たとえば、次のような要素は商品パッケージの使いやすさに大きく影響します。
●商品パッケージとしての持ちやすさ・携帯性
●商品パッケージをスムーズに開封できるかどうか
●開封口の視認性の高さ
●ゴミとしての捨てやすさ・再利用の可否
商品パッケージの利便性は、性別や年齢、体格などで個人差が現れやすいといえます。そのため、誰もがスムーズに安心して商品パッケージに触れられるよう、ユニバーサルデザインの観点から設計することが理想的 です。
商品パッケージにメッセージを盛り込みすぎない
パッケージデザインを作る際は、非常に小さい限られたスペースのなかにメッセージを挿入しなければなりません。小規模なスペースにあまりにも煩雑なメッセージが入っていると、アピールポイントがぼやけ、かえって消費者を遠ざけてしまうでしょう。
特に、最も消費者の目に触れる商品パッケージの前面は、セールスポイントや差別化ポイントなど、訴求すべき内容が多くなってしまいがちです。そのため、絶対に伝えるべき点と、なくても問題がないものを取捨選択し、メッセージを必要最低限に絞り込みましょう。
また、小さい文字は太文字にしたり、カラーコントラストを合わせたりと、テキストを読みやすくする工夫も大切です。
トレンドを意識したデザインを取り入れる
近年のトレンドを上手くパッケージデザインに反映すると、流行に敏感な消費者の注目度を高められます。SNSでの拡散も期待でき、商品の売れ行きに好影響を与えます。
トレンドを効率良く把握するには、GoogleトレンドやYahoo!リアルタイム検索などのツールを利用するのがおすすめです。秀逸なパッケージデザインを表彰する「日本パッケージデザイン大賞」を参考にするのも良いでしょう。
トレンドには、流行りの商品や言葉だけでなく、消費者の価値観や行動傾向も含まれています。2024年1月時点であれば、「ジェンダーフリー」「SDGs」などに対する意識が高まりつつあります。これらをデザインに取り入れることで、ブランディングの効果も期待できるでしょう。
商品や企業の魅力を表現できるパッケージ素材を選ぶ
板紙やパール紙、樹脂など、商品パッケージには多様な種類の素材が存在します。素材にこだわると、見た目や手に取ったときの触感で特別感を演出できるほか、触感によりメッセージを伝えられる場合もあります。
たとえば、ある大手食品メーカーは、ケチャップボトルの紙パッケージの開発に着手しました。これによりリサイクル可能なボトルを実現し、「持続可能な社会の実現」という強力な企業メッセージを外部に発信しています。
商品にリンクした配色を意識する
商品パッケージの色味は、消費者の五感や食欲などに強い影響を与えます。たとえば味覚の場合、黄色は酸味を、赤は辛味を連想させる色です。また、ブラックやゴールドは高級感、スカイブルーは爽やかな印象があるように、色によって与える印象が異なります。
商品のイメージカラーに関連する形でパッケージの配色を考案すれば、企画者が意図した印象を消費者に与えられるでしょう。結果として消費者の購買欲を刺激し、商品の売上に大きく寄与する可能性があります。
商品パッケージのデザインを作成する方法
商品パッケージをデザインする際は、専門会社に委託するか、自社独自で作成するかの二通りの手段があります。それぞれメリットとデメリットが存在するため、自社の状況と踏まえて、適切なほうを選びましょう。
デザイン会社などの専門会社に委託する
商品パッケージを作成する人員やノウハウが不足している場合、デザイン会社などの専門会社に依頼するのがおすすめです。
専門会社はデザインに関する高度なノウハウを持っており、質の高い商品パッケージを制作できる可能性が高まります。
ただし、外部に制作を依頼する以上、理想的なデザインを完全に再現できない可能性もあります。そのため、なるべく具体的なアイデアを出したうえで、委託先の担当者と入念な打ち合わせを行いましょう。
自社で作成する
自社にデザイナーが在籍している場合は、自社でパッケージデザインを作成するのも選択肢の一つです。社内で企画から制作まで一気通貫で行うため、スムーズな情報共有を図りやすく、理想的なデザインに仕上がる可能性が高まります。外部に委託する場合に比べ、制作費を安く抑えられるのもメリットです。
とはいえ、パッケージデザインには高度なノウハウが必要です。企画・制作者には、単なるデザイン力だけでなく、顧客ニーズに対する分析力やトレンドへの適応力などのスキルも求められます。プロの知見を活かしたほうが効果的なデザインに仕上がりそうな場合は、一部の業務を専門会社に委託するのも一案です。
商品パッケージ制作時の注意点
パッケージデザインで最も注意すべき点は、食品表示法や景品表示法などの法律面です。法律に違反すると、最悪の場合は業務停止命令や商品回収などの罰則を受け、ブランドイメージを損なう可能性があります。
ここでは、法律の観点から商品パッケージ制作時の注意点を解説します。
誇大表示に注意する
商品に関して誇大表示を行うと、景品表示法違反に該当する可能性があります。商品の品質や内容を偽って表示する、または過大な景品類の提供をほのめかした場合、景品表示法に抵触する可能性があるため、充分に注意しましょう。
パッケージデザインにおいて法に抵触する恐れのある表示の例として、以下の2点を紹介します。
●優良誤認表示:
実際は一部に輸入原料を使用しているにもかかわらず、「国産のみの原料を使用」と表記するなど、内容よりも優良な商品だと偽って表示
●有利誤認表示:
「いまだけ半額」と表示しているにもかかわらず、本来の販売価格はその金額の倍に設定しているなど、実際よりも有利な取引だと偽って表示
参考:
景品表示法|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/
著作権・商標権侵害に気をつける
すでに商品化されているデザインを無断で使用することはもちろん、一部を切り取る、組み合わせるといった行為も著作権侵害にあたります。また、商標権登録されている写真やテキストを無許可で使用すると、商標法違反になるので注意すべきでしょう。
パッケージデザインでは、競合他社のデザインを参考にする場合もあり、内容が似てしまうケースも珍しくありません。著作権・商標権侵害が心配な場合は、ローンチ前に専門家に依頼してアドバイスを求めると良いでしょう。
参考:
著作権法|総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/basic_legal_03.html
商標制度の概要|特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai08.html
表示内容は正確に記載する
商品パッケージに記載する商品名や原材料名、消費・賞味期限、保存方法などは、正確な表記を心がけましょう。特に食品の分野では、表記方法に誤りがあると、食品表示法に抵触する恐れがあります。
たとえば、食品表記法では、社会通念において一般的な名称や、客観的な試験によって合理性が証明された消費・賞味期限などを記載しなければなりません。
参考:
食品表示法等(法令及び一元化情報)|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
「review-it! for Package」で商品パッケージの校正を効率化!
ここまで、パッケージデザインの作り方を紹介しました。商品パッケージは作成して終わりというものではなく、その後の校正が非常に重要です。しかし、一文字ずつのチェックや管理工数の煩雑化など、校正時にはさまざまな課題が生じがちです。
このような際には、商品パッケージの校正作業を効率化するツール「review-it! for Package」が役立ちます。
「review-it! for Package」を活用すると、Excelの原稿とPDFの制作ファイルを照合し、誤記載をアラートするので、校正業務の効率化・負荷軽減が期待できます。また、修正が入る度にPDF同士を比較し、変更点だけを確認することで校正負荷を大きく削減します。
完成したパッケージ原稿は、他部門や関係者間にオンラインで回覧が可能です。複数人で同時に校正もできるため、作業スピートも大幅にアップするでしょう。
以下のページで詳細を紹介していますので、「パッケージの表示ミスによるリコールを防ぎたい」「見落としの不安を軽減したい」という方は、ぜひ内容をご覧ください。
2024.03.15