コラム

「モノマテリアル化」とは?リサイクルしやすい環境配慮型パッケージ

環境配慮型のパッケージの需要が高まり、企業が様々な取り組みを実施するなか、選択肢のひとつとしてパッケージの「モノマテリアル化」という方法があります。

パッケージを単一素材から構成することでリサイクル適性を向上させる方法です。

日本では、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の「プラスチック使用製品設計指針」のなかで、製造事業者が取り組むべき事項及び配慮すべき事項の一つに「単一素材化等」すなわちモノマテリアル化が含まれています。

本コラムでは「モノマテリアル化」とは何か、そのメリットや課題、TOPPANのモノマテリアルパッケージの特長を詳しく解説します。


モノマテリアル化とは何か

マルチマテリアルとモノマテリアル

「モノマテリアル」とは、日本語で「単一素材」という意味です。1種類の素材や原料からできているもののことをいいます。例えば、ペットボトルのボトル本体はポリエチレンテレフタレート(PET)という樹脂を原料として100%PETからできており、ペットボトルはモノマテリアル構成であるといえます。「モノマテリアル」に対して、複数の素材や原料を組み合わせてできているものを「マルチマテリアル」といいます。

モノマテリアル化とは

「モノマテリアル化」とは、複数の素材から構成されているパッケージ(マルチマテリアル)を単一素材(モノマテリアル)に置き換えることです。

多くの軟包装は複数の異なる素材のフィルムを貼り合わせて作られています。理由は、素材ごとに持つ機能が異なるからです。例えば、食品用の一般的なレトルトパウチには次の4種類の素材が使われています。

PET/アルミ箔/ナイロン/ポリプロピレン(PP)

PETは耐熱性や良好な印刷適性、アルミ箔は酸素・水蒸気バリア性や遮光性、ナイロンは突き刺し耐性、PPはシール性、耐熱性というそれぞれ異なる機能を持っています。これらを組み合わせることでパッケージとしての機能を発揮しています。

このような背景から、これまでマルチマテリアルで実現していたパッケージに必要な機能をモノマテリアルで実現することは技術的に困難で、従来のマルチマテリアルと同等の機能を持つモノマテリアルパッケージを作ることが課題となっていました。


モノマテリアル化のメリット

パッケージをモノマテリアル化することによるメリットを解説します。

リサイクル適性が向上する

モノマテリアル化により、パッケージのリサイクル適性が向上します。リサイクルをする際には基本的に素材ごとに分別をしなければいけませんが、マルチマテリアルは素材ごとの分離が困難です。それに対して、モノマテリアルはもともと単一の素材からできているので、リサイクルのために分離する工程が必要ありません。そのため、パッケージをモノマテリアル化することによってリサイクルがしやすくなるといえます。

CO2排出量を削減できる

パッケージにアルミ箔を使用している場合、モノマテリアル化により仕様によってはCO2排出量を削減できます。近年、アルミの価格高騰により「脱アルミ」のニーズは高まっています。またコスト面だけではなく、環境配慮の面でも「脱アルミ」が注目されています。アルミニウムは製造時のCO2排出量が多く、ライフサイクルにおける環境負荷(温室効果ガス)が大きいことが理由です。


TOPPANのモノマテリアル技術の特長

TOPPANは、世界トップシェアの透明バリアフィルムGL FILMを軸としたGL BARRIER※で培ったバリア技術とコンバーティング技術を活かして、モノマテリアル化に対応するフィルムとパッケージの開発と製造を行っています。

※ GL BARRIER
「GL BARRIER」はTOPPANが開発した世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルム「GL FILM」を軸とした総合バリア製品ブランドです。「GL FILM」は独自のコーティング層と高品質な蒸着層を組み合わせた多層構造で、安定したバリア性能を発揮します。また多くの優れた特性が高い評価を受け、食品から医療・医薬、産業資材に至る幅広い分野で採用されています。


TOPPANのモノマテリアル化に対応するフィルムとパッケージの特長を紹介します。

包材としての機能が優れている

TOPPANのモノマテリアルパッケージは、単一素材でありながらこれまでマルチマテリアルでしか実現できなかった各種機能を維持できるのが強みです。モノマテリアルパッケージで、マルチマテリアルのパッケージと同等の機能を実現することは極めて困難と見なされてきましたが、TOPPANの技術でこれを可能にしました。高いバリア性を有し、耐熱性、耐水性に優れレトルト殺菌に対応できるグレードや、高水分・液体の内容物にも対応しボイル殺菌も可能なグレードがあり、幅広い用途で使用できます。TOPPANなら、内容物や用途に合わせたモノマテリアルバリアパッケージをご提供できます。

豊富なラインアップ

TOPPANはさまざまな種類のモノマテリアルパッケージ・フィルムを製造・開発しています。国や地域によって使われる包材の素材や品質、リサイクルの仕組みは千差万別です。TOPPANはグローバルに拠点を持ち、国や地域によって異なるモノマテリアル化ニーズを把握しており、さまざまなニーズに対応できるようにラインアップを拡大しています。PETをはじめ、PE、PPなど各種オレフィンフィルムを基材とし、それらにバリア技術を組み合わせたモノマテリアルバリアパッケージを提供します。お客さまのニーズに合わせた素材のモノマテリアルバリアパッケージをご提案できます。


まとめ

環境配慮型パッケージのトレンドのひとつとして注目される「モノマテリアル化」について、メリットとTOPPANのモノマテリアルバリアパッケージの特長について解説しました。TOPPANはモノマテリアル化に限らずさまざまな環境配慮型パッケージを提供しています。お客さまのご希望に沿ったご提案ができますのでお気軽にお問い合わせください。

2023.11.21

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