コラム

LCAによる客観的評価をビジネスの力に。
CO₂排出量削減に貢献するパッケージとは

CO₂排出量の削減などによるカーボン・ニュートラルとサステナビリティの実現に向け、あらゆるビジネスは、具体的で実効性のある取り組みを展開するフェーズに入っています。そして、市場が求めているのは「エコなイメージ」ではなく、客観的な評価基準によるエビデンスです。

このコラムでは、CO₂排出量削減の客観的評価となるLCA(Life Cycle Assessment ライフサイクルアセスメント)を用いたパッケージ開発のポイントと事例をご紹介します。


ー CO₂排出量削減はパッケージに必須の「機能」に

脱炭素社会の実現、あるいはカーボン・ニュートラルは、世界全体の目標です。いまや、事業活動を通じたCO₂排出量の削減に向けた具体的なアクションを起こすことが、あらゆる企業にとっての責務となっています。

そして多様なプロダクトを包み保護するパッケージについても、プラスチックなど石油化学資源の使用量を削減するといった取り組みを通して、そのライフサイクルにおけるCO₂排出量を削減することが一つの「機能」として求められるようになりました。

これは、今後の社会において求められる企業が扱うプロダクトには、脱炭素社会の実現に貢献しうるパッケージが不可欠であることを意味しています。

では、パッケージはどのようにしてCO₂排出量の削減に貢献することができるのでしょうか。

バリアフィルムの使用

バリアフィルムとは、アルミ箔の代替としても利用される、高いバリア性能を持つフィルムです。

これまで、レトルト食品などに使用されるパウチはアルミ箔仕様が主流でした。しかし、アルミ箔ができるまでには原料の鉱石(ボーキサイト)採掘をはじめ、輸送・製造など複数の過程があり、パウチの素材となる前に排出されるCO₂も無視できません。

バリア性能を備えたフィルムで代替すれば、アルミ箔製造にかかるCO₂排出量を削減することが可能です。

バリアフィルムを使用したパッケージは、製造・加工にかかるCO₂排出量についても、アルミ箔を使用した場合に比べて大幅に削減。さらに食品の場合は電子レンジでの調理も可能となるため、湯せん調理が必要なアルミ構成のパッケージと比較して調理時のCO₂排出量も抑えることができます。

プラスチック使用量の削減

紙素材、または紙とプラスチックの複合素材を活用することで、プラスチックのみの場合と比べてパッケージ製造にかかるCO₂排出量を削減することができます。

あるいは、パッケージの製造工程や材料を最適化してプラスチック容器を薄肉化。プラスチック使用量を減らすことで、加工・成型時のCO₂排出量の削減を図ることも可能です。


ー 国際規格のLCAによる評価で、客観性を担保

パッケージに関わるCO₂排出量は、どんな方法で評価・算定することができるのでしょうか。その方法が「LCA(Life Cycle Assessment ライフサイクルアセスメント)」です。

LCAとは原材料(資源採取から原材料製造まで)から、製品の製造、使用、リサイクル・廃棄など、製品のライフサイクル全体にわたって、使用する資源や、排出する環境負荷を定量的に評価するしくみです。

環境への配慮や意識が高まる中、LCAは環境に配慮した製品開発において重要な指標となりつつあります。LCAによる評価は、製品開発だけでなく、企業の環境配慮への取り組み方針など策定するうえでも重要な評価指標となります。

国際標準化機構(ISO)による環境マネジメントに関する国際規格の中で、ISO規格(14040シリーズ)が定められており、国際的に使用されています。

製品に関わるCO₂排出量を「見える化」するLCA

LCAを用いると、製品のライフサイクル全体におけるCO₂排出量を算定し「見える化」することも可能です。具体的には、LCAでは原材料の採掘から製品の廃棄までの過程において、どの段階でどの程度CO₂が排出されているかを算出し、環境負荷を評価することができます。

これにより、製品のライフサイクルのどの段階においてCO₂排出量を減らすことができるのか、あるいは効率的に削減できるのかを具体的なアクションとして検討できるようになります。

脱炭素社会の実現に向けたアクションを起こす

脱炭素社会の実現に向けた製品づくりにLCAを活用するためには、ライフサイクル全体を俯瞰して考えることが重要です。

たとえばサプライチェーンにおいては、パッケージの素材や製造方法を現状よりもCO₂排出量が小さい仕様に置き換えることで、全体のCO₂排出量の削減につなげることができます。つまり自社で手がける過程が部分的だとしても、その効果はサプライチェーン全体に波及し、脱炭素社会の実現に向けた具体的なアクションとなるのです。

反対に、サプライチェーンのどこかの過程でCO₂排出量が削減されても、他の過程において増加していれば、削減分は相殺され、全体として排出量を押し上げてしまうことにもなりかねません。

こうした観点から、脱炭素社会への取り組みを進めるサプライチェーンにおいては、すべての企業によるCO₂排出量削減へのアクションが不可欠であることが分かります。


ー 「CO₂排出量削減パッケージ」でビジネスの可能性を広げる

CO₂排出量削減への取り組みは、これからの社会に求められる企業の製品として欠かせない取り組みの一つであることは明らかです。

そして自社事業におけるCO₂排出量削減の早期実現は、そのまま企業としてのアドバンテージを確立することでもあります。さらに国際基準に準拠したLCAによる評価を用いることで、客観性が確保され、信頼性の高い取り組みであることが示されます。

このことは、CO₂排出量削減に取り組む最大のメリットといえるでしょう。

しかし、得られる成果はそれだけではありません。

多様な社会的課題の解決に貢献するパッケージに

CO₂排出量の削減という役割を果たしているとしても、パッケージとしての機能はそれだけでは成り立ちません。

CO₂の排出量削減に貢献する素材は、その他の点でも従来の素材と比べて高い機能性を持っています。内容物の保存性を高めることで食品ロスを減らす、素材を単一化することでリサイクル性を高めるなど、脱炭素以外の社会的課題の解決にも役立つパッケージを実現することができます。

CO2排出量削減パッケージが伝えるもの

CO₂排出量の削減をはじめとする社会的課題の解決に貢献するパッケージの採用は、脱炭素社会実現に向けた具体的な取り組みであり、サステナビリティへの貢献に対する企業の責任感を表すものです。

そしてパッケージは、ある種の「媒体」でもあります。その素材や機能性、デザインを通じて、企業やブランドの姿勢や考えが発信されているからです。一つひとつのパッケージが媒体となって、小売店でのディスプレイによるブランド訴求が図られ、さらにはメーカーや商品に対する消費者のロイヤルティ醸成が期待できます。


ー トッパンとCO₂排出量削減パッケージ

トッパンでは、1998年にパッケージのLCA評価を開始しました。現在では主要パッケージ製品の多くについて、原料の調達・製造、パッケージの製造、リサイクル・廃棄など、パッケージのライフサイクル全体を通したCO₂排出量の定量評価を行っています。また、パッケージのCO₂排出量を算定できるクラウドサービスの提供も行っています。

CO2排出量を削減する素材例

パッケージのライフサイクルのうち、特に「原料の調達・製造」「パッケージの製造」フェーズでのCO₂排出量は、素材の代替によって削減が可能です。

従来の素材に代わるものとして、以下のような素材の採用が進んでいます。

■バリアフィルム
 アルミフィルムやプラスチック成形品との代替が可能。単一の素材で形成する「モノ
 マテリアル化」が可能で、リサイクル性も向上。電子レンジによる加熱も可能に。

■再生PET樹脂
 PETボトルをメカニカルリサイクルした再生材。石油化学資源の消費量削減にもつな
 がる。
 ※使用済みの樹脂を粉砕・洗浄した後に高温で溶融・減圧・ろ過などを行い、再び樹
  脂に戻すリサイクル方法

■紙
 単一素材またはプラスチックとの複合素材により、プラスチックフィルムの代替素材
 として利用できる。プラスチック使用量を減らし、石油化学資源の消費量削減にもつ
 ながる。

透明バリアフィルム「GL FILM」

トッパン独自の透明蒸着加工技術とコーティング技術を活用した「GL FILM」は、世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルムです。「吸湿」「乾燥」「腐敗」などの変化から内容物を保護するとともに、アルミ箔の代替として使用することで、パッケージ製造時に発生するCO₂排出量の削減が可能です。

その特性から、各種軟包材/レトルト対応包材、エレクトロニクス包材、医療・医薬品包材、チルド・冷凍食品包材など、さまざまな用途のパッケージにご採用いただけます。

パッケージCO₂排出量算定クラウドサービス「SmartLCA-CO₂®」

LCAによるパッケージのCO₂排出量算定を行いたいが方法がわからないという方や、算出のもとになる情報のメンテナンスに苦労している方もいるでしょう。トッパンでは、パッケージの専門家として長年を掛けて培った算定ノウハウを反映したクラウドサービス「SmartLCA-CO₂®」を提供しています。算定結果は製品のCO₂排出量削減の取り組みの指標として活用いただけます。

2023.09.29

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