レトルト食品包装・パッケージの
印刷方法を解説
レトルト食品を製造する際欠かせないのが、食品の包装・パッケージの選定です。また、包装の表面・裏面に施す印刷も重要です。レトルト食品の製造・開発・パッケージや包装のデザイン担当者やマーケターであれば、近年、どのようなものが流通しており、どのような最先端の製造技術や加工技術が用いられているのかはぜひ知っておきたいところです。 そこで本記事では、レトルト食品用の包装・パッケージ、印刷の選び方の基本や、最新の食品パッケージの印刷技術までを一挙にご紹介します。
1.レトルト食品用の包装・パッケージの特徴とは
レトルト食品は、中身は完全に加熱殺菌し、密封することから、保存性に優れ、安全性も高い食品です。
そのレトルト食品の包装・パッケージには、袋状のものを指す「パウチ」、またはトレー状などの成形容器がありますが、中の食品の形状や使用目的、保存環境や保存期間によってそれぞれの包装を使い分けます。例えば液体状・ペースト状で容器から出して食卓に供するカレーやパスタソースは最もかさばらず、温め直しにも便利な袋状の包装が最適です。一方コンビニなどのすぐ食べる前提の商品が並ぶ店舗で販売される商品や、災害用で容器から直接食す必要のあるレトルト食品、テイクアウトなど屋外での使用を前提とした食品包装には、皿やカップなどの形状を保持できる成型容器・包装が向いているでしょう。
レトルト食品の包装・パッケージを考慮する際、もう一点気をつけたいポイントがあります。それはレトルト殺菌工程です。レトルト食品は、機密性のある包装容器に詰めて密封もしくはシールした後、加圧加熱殺菌を行います。加圧加熱殺菌とは、レトルト釜によって高温高圧殺菌を行うことをいいます。特に、100℃以上の高温・高圧で、レトルト釜により殺菌することを「レトルト殺菌」と呼びます。
そのため、レトルト食品の包装・パッケージは、100℃以上の高温・高圧に耐え得る素材や包装資材でなければなりません。
また、レトルト食品用の袋には、一般的に、内側にはポリプロピレンが、外側にはポリエステル等の合成樹脂や、アルミ箔をラミネート加工したフィルムが使われています。空気・水・光を遮断し、密閉することにより、レトルト殺菌及び長期保存が可能です。
2.レトルト食品のパッケージデザイン・印刷手法
続いて、レトルト食品包装・パッケージのデザイン・印刷の手法を確認しておきましょう。実際に内容物を包装する機械設備の機械適性によっては対応ができない場合もあるので、事前にしっかり検討しましょう。現在、主に次の3通りの方法があります。それぞれの特徴をご紹介します。
グラビア印刷で直接パッケージに印刷する
グラビア印刷は、従来からあるパッケージへの印刷方法です。凹版印刷の一種で、細かな濃淡や写真の再現性が高いといった特徴から広く利用されています。一般的にレトルト食品包装については、袋の外側フィルムにグラビア印刷を施した後、ラミネート加工を行います。
しかし、版代がかかることから、小ロットの食品包装製造の場合には不向きといわれています。
無地品に印刷されたラベルを貼る
レトルト食品のパッケージには何も印刷せずに製造し、印刷されたラベルを最終的に商品に貼り付けて出荷する方法です。少数であれば手軽な方法ですが、そうでない場合、ラベル貼りの手間がかかるのがデメリットとなります。また、どうしても他の包装印刷方法と比較し見劣りがするため、マーケティング上不利になる場合もあります。特にレトルト食品はパッケージや包装の見た目で売り上げが大きく左右されるので、よく検討した上でパッケージの印刷や包装手段を選択しましょう。
デジタル印刷で直接パッケージに印刷する
デジタル印刷とは、印刷用の版を使わず、デジタルデータを直接デジタル印刷機で印刷する手法です。しかし、デジタル印刷はインクやトナーが高温の熱や水に弱いため、レトルト食品用の袋での採用は不可能とされていました。しかしTOPPANでは、デジタルプリントによるレトルト殺菌対応パウチが製造できる強密着接着剤「 TOPMER® (トップマー)」の開発により、レトルト食品パッケージへのデジタル印刷ができるようになりました。
デジタル印刷は製版の必要がないことから、小ロット・複数種類のデザインのパッケージ製造が可能となります。小ロット生産のレトルト食品、数種類のパッケージでのテストマーケティングに最適な包装印刷手段です。
3.レトルト食品の包装・パッケージと印刷手法の選び方
レトルト食品の製造にあたって、包装・パッケージと印刷手法をどのように選ぶかは、商品のタイプや手間、コストなどあらゆる点で重要です。そこでレトルト食品の包装・パッケージと、印刷手法の選び方のポイントを紹介します。
製造するレトルト食品の特徴に適したパッケージを選ぶ
レトルト食品の包装・パッケージは、商品の特徴に適したものを選ぶ必要があります。内容物の形状や中身を見せるか見せないかなどによって、容器の形状や、アルミで中身が見えないものか透明で中身が見えるものか、などが変わってくるためです。
デザイン・ビジュアルが実現可能な印刷手法を選ぶ
容器の形状デザインはもちろんのこと、商品の顔となるロゴや写真、商品名などはどのようにデザインするのか、ビジュアルもよく計画する必要があります。このとき、レトルト食品の場合は、高温・高圧にて加熱殺菌することを留意するほか、製品の販売先やブランディング、コスト、ロット数のことを考えた上で、ラベルを貼るのか、印刷をするのかなどを選びましょう。例えば「複数種類のデザイン展開をしたいが、小ロットで済ませたい」という場合にはデジタル印刷を利用するなどです。
4.まとめ
レトルト食品の包装・パッケージや、デザインに関わる印刷の種類は、レトルト食品ならではの製造工程を意識しながら、コストや製造数も踏まえた上で選ぶのがポイントです。
TOPPANのデジタルプリントソリューションは、レトルト食品パッケージにデジタル印刷を施すことができることから、小ロットでオリジナルデザインの製品にも対応可能なソリューションです。
TOPPANのデジタル印刷は130℃×30分のレトルト殺菌に対応しており、耐熱性・耐水性の向上によって、レトルト用途以外にも、内容物が液体・ペースト・重量物など、従来対応できていなかった用途にも、業界で初めてデジタル印刷の活用ができます。
版作成費用が不要であることから、従来の印刷方法よりコストを抑えて製造が行えます。
食品の包装・パッケージの印刷でお困りの場合には、ぜひお気軽にご相談ください。
デジタルプリント関連コラム
2023.04.20