リーダーインタビュー

TOPPANの
デジタルマーケティング事業と
求める人財像

TOPPAN株式会社(以下、TOPPAN)では、情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーションセンターを中心に、デジタルマーケティング分野のビジネス拡大を加速させています。メーカー、流通、自動車、保険、不動産、金融など多岐に渡る業界の大手企業と取引があり、クライアント数は400社を超えます。最近では出版社のDX支援を担う新会社を共同設立するなど、ビジネスは新たな領域へと広がっています。

事業の中核は、Web広告やMA(マーケティングオートメーション)ツールを駆使して顧客の獲得から育成までを支援する「パフォーマンスマーケティングサービス」、社内のさまざまなデータを「顧客」軸で集約し、LTV(顧客生涯価値)を向上するCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム/プライベートDMP)の開発・構築・運用支援を提供する「データテクノロジー&プラットフォームサービス」、コンタクトセンターなどサスティナブルなCXチャネルを提供する「カスタマーエンゲージメントサービス」の3つのサービスです。さらに「Cam!Labo」「らくレシ」などTOPPANオリジナルのキャンペーンASPサービスや、AIを活用したターゲティング、Web広告自動配信サービスの提供など、独自の強みも数多く持ちます。

こちらではビジネストランスフォーメーションセンターの責任者である梅川より、当社のデジタルマーケティング事業の全体像と提供価値、求める人財像についてご説明します。

※人財:TOPPANでは、激しい環境変化を克服し、永続的な発展を目指す企業にとって「人」は「財産」であるとの考えから「人財」と表しています。

梅川 健児(うめかわ けんじ)

情報コミュニケーション事業本部
ビジネストランスフォーメーションセンター長

1992年入社。事業開発、スペースデザイン、セールスプロモーションなどの担当を経て、2006年にCRM専門会社である㈱BrandXing(ブランドクロッシング)に参画。CRMコンサルティング、マーケティング戦略立案を推進。2011年TOPPANに帰任後、CRM部門を担当。サービスを拡大し、現在はデジタルマーケティング事業の推進に奔走中。

TOPPANがデジタルマーケティングな「理由」

TOPPANというと印刷=紙のイメージかもしれませんが、昔から"コミュニケーション"にまつわるさまざまな事業を展開している企業です。私自身、入社して最初に配属されたのは博覧会などの事業企画や博物館、プラネタリウムなどのスペースデザインを企画実行する仕事でした。その後もずっとマーケティング畑で、入社して30年になりますが、印刷に関わったのは1年だけです。

大前提として、TOPPANには商材ありきではなく、得意先の「お困りごと」の解決に向かって仕事をするという姿勢があります。かつてはコミュニケーション手法といえば紙でしたので、TOPPANの事業主体も紙の印刷でした。デジタルマーケティングもクライアントのニーズの高まりを受けて、かなり昔から力を入れてきました。

もともとTOPPANには、独自データとマーケティングのノウハウという強みがありました。これはDM発送業務で個人情報を扱い、顧客分析データを蓄積してきたのが由来です。単に印刷して発送するだけではなく、クライアントの依頼で送るコンテンツを考えるケースも多くありました。効果を高めるためには顧客の年齢、性別、購買特性などを踏まえて訴求する情報を変えたり、タイミングを変えて反応率を上げたりする必要もあります。こうして「One to Oneでのコミュニケーション」の企画実行力を養いました。そしてそこにマーケティング設計能力やデータ分析技術、IT技術を組み上げて事業を拡大してきたのが、TOPPANのデジタルマーケティングの歴史です。

TOPPANがデジタルフィールドで提供する「価値」

ひとことで言えば、「クライアントの"個客中心"のマーケティング活動を、伴走型で支援する」ということです。

いま、あらゆる企業がデジタルマーケティングに注力していますが、その本質的な目的はデータを活用してもっとお客様を知り、効率的、効果的にお客様一人ひとりによりよい、最適なサービスを届けることにあります。デジタルマーケティングを実行するためのツールやサービスを提供する会社は世の中にたくさんありますが、多くの企業は社内に知見が足りない、人手が足りないなどの理由でうまく推進できない、という課題を抱えておられます。

その課題解決のために、TOPPANではマーケティングのプランニングから運用を行うチームと、仕組みを開発するチームをセットにして、340名ほどの規模で活動しています。デジタルマーケティング実行のための基盤(プラットフォーム)などの仕組みの構築から、必要なツールやサービスの導入、社内組織の立ち上げ、エージェンシー的にクライアントのマーケティング業務を代行したり、顧客情報をお預かりしてOne to Oneの"仕掛け"を提案することもあります。導入時のコンサルだけにとどまらず、しっかりとPDCAを回し、運用に至るまでを「チームで伴走型」で支援する点が、TOPPANがお客様に提供するユニークな価値です。

もう一つの提供価値は、我々の代表的なサービス「お買い物アプリ」のように、CRMをベースにクライアントのブランドで利用できる電子マネー決済サービスなどを活用して、Web広告やe-mail、アプリによるプッシュ通知といった"集客"部分から、"出口"となる決済までをワンストップでカバーする点です。そのため、ECサイトの黎明期から10年を超える長期の取引を続けるクライアントは少なくありません。

また、TOPPANはこうした現状の課題解決に加えて、お客様に新たな価値も提供します。一例ですが2020年10月にTOPPANは講談社、サイバー・コミュニケーションズと3社で「コンテンツデータマーケティング(CDM)」の会社を設立しました*。出版社がコンテンツビジネスで培った膨大なデータとノウハウを独自のAI(人工知能)テクノロジーで解析。一人ひとりに最適な広告を配信するなどの手法で、コンテンツと読者との出会いを個別最適化して、さまざまなソリューションを提供します。出版社は出版する本の量自体は減少していても、コンテンツの量は以前よりも増加しています。またライツ事業は以前より規模が大きくなり、グローバルに展開されています。そのような原石をうまくデジタルに乗せてビジネスをするということを、当社も一緒になってやっていこうとしています。これは我々にとってもこれまでの受託ビジネスから一歩進み、DXでコンテンツ事業を展開する新たなステージだと捉えています。

*参考:凸版印刷「講談社、TOPPAN、サイバー・コミュニケーションズ、コンテンツ事業のDX推進にむけて合弁で会社設立」

TOPPANが求める「人財像」

お客様のデジタルマーケティング活動を伴走型で支援するためには、多様なスキルを持った人財が必要です。

プランナーと呼ばれる職種群は、マーケティング活動全体の設計や、その活動で発生するデータや業務を設計します。エンジニア職種群は、フロントエンド・バックエンド・インフラなど、領域ごとのエンジニアの事を指し、マーケティング活動を推進するための基盤の開発を行います。それ以外にも、データを分析するアナリスト、デジタルメディア・Web・MA(マーケティングオートメーション)・コンタクトセンターなど、デジタルな顧客接点を運用するデジタルオペレーター、さらにCX(カスタマー・エクスペリエンス)を充実させるために、メディア体験・チャネル体験・ブランド体験を専門的に設計・運用するCXデザイナーがおります。そして、これらのメンバーを束ねるプロジェクトマネージャーといったポジションがあります。

TOPPANはこれらの人財をクライアントのニーズに合わせてチームを編成し、プロジェクトを推進します。求める人財像は当然、これから各ジャンルの専門領域のスキルを持った人、ということになるのですが、もう一つ、重要なファクターがあります。

それは、「互いの能力を尊重し合い、チームで動く意識を持った人」ということです。当社が請け負うプロジェクトは規模が大きく、また運用まで伴走型で支援しますから期間も長くなり、社内外の多種多様な、異なったスキルを持った多くの人と一緒に働きます。その間では状況が変化し、途中から当初プランとはまったく違うプロジェクトに変容することもあります。そのため、「自分はこの領域のプロだから、ここだけしかやらない、できない」と主張する人では周囲が困ってしまいます。逆に、自分にはまだない領域のスキルを広げようとする人や、もっと深堀することで貢献度合いを高めようとする人には、面白くて最適な職場だと思います。TOPPANには、デジタル領域はもちろん、オフラインまで含めたマーケティングの専門家がたくさんいますから、吸収する意欲のある方にとっては刺激的です。

そしてTOPPANは、データやマーケティングのスペシャリストだけでなく、クライアントに寄り添い、主体となってプロジェクトを担う「主人公」を求めています。いま所属している会社の組織で、ある特定のパートだけを受け持っている人や、短期間のプロジェクトでコロコロ人が入れ替わるとか、個人商店式スタイルで自身のキャリアデザインに不満や物足りなさを感じている人は、TOPPANならまったく違う体験ができると思います。

ビジネストランスフォーメーション
センター長・梅川が考える
「転職とキャリアパス」

私は2006年に博報堂、日本IBM、DAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)と4社で設立した「BrandXing」というCRMマーケティング*の専門会社に出向しました。立ち上げ期から参画し、顧客データに基づいたマーケティングを設計する仕事を経験しました。まったくカルチャーの違う4つの会社から人が集まる組織ゆえに最初はなかなか足並みが揃わず苦労も多かったのですが、同時に、多様な価値観やスキルを持った人たちと同じ目的に向かって働く楽しさや大切さを学びました。ですから、我々の組織ではそうした多様な人たちを受け入れて、刺激し合える環境づくりを大切にしています。また、プロジェクトを通じて知り得た、新たなジャンルの職種へのチャレンジも歓迎しています。

実を言えば、私は「デジタル」マーケティングという言葉が好きではありません。なぜなら、マーケティングの目的はクライアントの収益を拡大することであり、デジタルはその手法の一つに過ぎないからです。もちろん、デジタルでデータを活用することはその目的達成を確実なものにするとても有効な手段ですが、デジタルが未知の領域ではなくあたりまえとなった現在では、もはや「デジタル化するだけ」では顧客や消費者の心はつかめません。

デジタルの世界に閉じるのではなく、オフラインの領域も含めてお客様の目標達成に貢献する。サービスやパッケージありきではなく、お客様のお困りごとの解決策を一緒になって考え、汗を流して寄り添う姿勢を貫く。それこそがTOPPANの強み、存在価値であり、またお客様から支持されている理由なのだろうと考えています。

ものすごく変化が激しい時代、自分が今やっている仕事だけに閉じているのはもったいないですし、将来へのリスクも伴います。違う価値観やスキルを持った仲間たちと一緒に、プロジェクトを通じて自分自身の価値を研鑽しながら、お客様の課題解決と共に新たな価値を提供する。こうした志に共感する方は、ぜひお逢いしてみたいです。

*CRM(Customer Relationship Management)マーケティング:顧客情報を分析し、消費者1人1人に合った戦略を考えるマーケティング手法。