パフォーマンスマーケティングサービス コラム

【事例】霧島酒造株式会社
手順書の動画化で教育期間を大幅に短縮
DXで焼酎製造現場の進化を目指す

宮崎県都城市で本格焼酎を造り続けて100年以上の歴史を誇る霧島酒造。本格芋焼酎「白霧島」「黒霧島」をはじめ、新商品「“Sho-Chu !” KIRISHIMA No.8(キリシマ ナンバーエイト)」など創業以来、品質にこだわった安心安全な焼酎造りを続けています。

同社はビジネス動画編集クラウドサービス「VideoBRAIN」を活用、製造現場の手順書を動画化することで、教育期間を大幅に短縮。さらに、ベテラン社員の負担軽減や情報共有の効率化を実現しました。簡単な操作性やクラウドベースの利便性に加え、操作方法のレクチャーや継続的な運用にあたってのサポートといった伴走支援により、効果的な活用が可能となり社員の意識変革も進展。DX推進を通じて、さらなる教育環境の整備や情報共有力の向上を目指しています。


同社Webサイト/TOPページ
霧島酒造 Webサイト/TOPページ https://www.kirishima.co.jp/

今回は、プロジェクトを主導された同社 ボトリング本部 GX課 課長 豊丸賢吾様に、お話を伺いました。


導入サービス:ビジネス動画編集クラウドサービス「VideoBRAIN」
ご利用開始:2022年9月~


目次
1.<背景・課題>紙と口頭からの脱却 — 抱えていた教育と情報共有の壁
2.<選定>誰でも簡単!VideoBRAINが選ばれた理由
3.<導入プロセス>コスト懸念を乗り越えた挑戦 — 手順書動画化プロジェクトの始動
4.<成果>教育期間の短縮をはじめ、さまざまな効果を実感
5.<今後・期待>さらなるDX推進へ — さらなる教育と情報共有の進化を目指す


1.<背景・課題> 紙と口頭からの脱却 — 抱えていた教育と情報共有の壁

- 豊丸様の社内でのお立場をお聞かせください。

私は長く、生産現場でオペレーターを務めてきました。近年は社内のDX推進の役割を担っており、製造現場のデジタル化からのトランスフォーメーションや、人材教育などを推進する立場です。2024年度からは私を筆頭にDXを推進する係が立ち上がり、今回のVideoBRAINをはじめさまざまなツールを活用して、業務の改善、プロセスの見直しなどを行っています。

- 従前の課題および導入の経緯をお聞かせください。

前述の通り、当社はIoTによる業務のデジタル化を進めていますが、これまでのやり方を抜本的に変えるトランスフォーメーションというところまでは至っていません。特に製造現場では、情報共有や人材教育において紙の文書や口頭ベースがまだまだ多く、効率化したいと考えていました。

当社は13の生産ラインがあり、そこで用いられる作業手順書や作業標準書と呼ばれる文書が、1ラインにつき30種ほどあります。さまざまな機械ごとの操作手順書、各機械担当者の動きのルールの手順書、さらに生産開始、検査など工程ごとの手順書もあり、細かなものも含めると累計で500~600種ほどに上ります。

教育ではそれらの文書を用いますが、高校を卒業したばかりの若い社員などは製造機械を触った経験もありませんし、社内や業界の専門用語なども多く、写真とテキストの文書では、なかなか理解しづらい点が課題でした。

そこで、これら教育の手順書を動画化できないかとの声が5年ほど前からあり、検討を進めていたのですが、どのようなツールを用いればよいのか、さらにはどのように撮影し、どう編集して表現すべきかなど分からないことが多く、悩んでいました。

そんな時に新聞広告でVideoBRAINを知り、2021年にTOPPANに問い合わせしました。TOPPANと当社は以前から容器包装資材などでお付き合いがあり、最近はIoTや業務のデジタル化など、ソリューションについて相談する機会も増えてきていました。


2.<選定> 誰でも簡単!VideoBRAINが選ばれた理由

- VideoBRAIN を選定された決め手について、お聞かせください。

3か月ほどデモ版を試用して、導入を決めました。私は趣味で動画を作った経験があるのですが、一般的な動画編集ソフトと比べ、VideoBRAINは操作がとても簡単で驚きました。豊富なテンプレートに沿って簡単に動画を作ることができ、先に仕様を決めておくことで、撮影した素材と説明のテキストを入れ替えるだけで、デザインやフォーマットなどに統一性を持たせた手順書ビデオが量産できると感じました。

また、動画制作は編集時や完成後のファイル容量が大きく、保存するデータ容量が肥大化する懸念があったのですが、VideoBRAINはクラウド上で編集できるので、ストレージなどを用意する必要がない点も、安心でした。

さらに、伴走型のカスタマーサクセス支援があり、目的や成果の明確化、操作説明、定着化に向けてなど、さまざまなアドバイスが定例ミーティングで受けられることも魅力でした。

動画編集機能の多彩さや価格だけを比べれば、専用ソフトウェアの方が優れている点もありますが、機能や操作が複雑な分、動画作成や技術の習得にも時間がかかりますし、制作業務も属人化してしまいます。その点、VideoBRAINは実務の傍らで10~15分程度で簡単に、そして数多くの動画を作成したい当社のニーズにピッタリでした。

素材へのこだわりの詳細ページ
素材へのこだわりの詳細ページhttps://www.kirishima.co.jp/knowledge/material/

3.<導入プロセス> コスト懸念を乗り越えた挑戦 — 手順書動画化プロジェクトの始動

- 導入後にご苦労された点や、導入後に注力されている点はございますか?

当初は年間数百万円のコストが高すぎるとの声もありましたが、これからますます人手が不足し、教育に時間をかけられない時代が来ることを踏まえ、教育にかける時間短縮と教育担当者の負荷軽減につながることをアピールして承認を得ました。通常、生産ラインでの教育は、若手社員が独り立ちするのに早くても3か月、場合によっては5か月かかることもあります。本サービスを活用して各種仕様書を動画化することで、その教育にかかる期間を短縮できる。さらには、指導する側のベテラン社員の負荷も軽減できて、付加価値の高い業務に専念できるようになります。

カスタマーサクセス支援の定例ミーティングでは、撮影の仕方や手ぶれ防止のための三脚、ジンバルといった機材についての説明や、自分達が作成した動画に対するアドバイスなどが参考になりました。当社ではiPhoneでの撮影から始まり、現在はGoProも利用して撮影しています。最近では、テクニカルな相談事が増えてきました。

紙の手順書と違い、ビデオであれば細かな動きも見れば伝わりますので、字幕テロップも最低限にして、簡潔に分かりやすくを心がけています。


4.<成果> 教育期間の短縮をはじめ、さまざまな効果を実感

-「VideoBRAIN」導入後によって、どのような効果がございましたか?

導入前は、1ラインにつき30種ぐらいある手順書の中から、3~4のファイルを現場に持ち込んで教育していました。VideoBRAINの導入後は、ポータルサイトに掲載したURLから必要な動画を選んで再生することで、タブレットやスマートフォン1つで指導できる環境が整いました。配信も動画サーバーを用意することなく、イントラサイトにURLを掲載するだけで社内に共有できます。

VideoBRAINは後から修正もしやすいですし、編集ファイルをコピーして似た動画をすぐに作ることもできて、とても便利です。制作した手順書動画は、100本を超えました。前述の通り、以前は製造ライン担当者が独り立ちするまで3~5か月かかっていましたが、動画活用後は教育にかかる期間が大きく短縮しました。

また、当初は1ラインすべての手順書を動画化してみたのですが、その過程で、わざわざ動画にしなくてもよいものや、紙の指示書自体不要なものなど、取捨選択できるようになりました。その意味で、手順書の一本化にもつながっています。VideoBRAINは操作が簡単なので、当初は社内で動画を作成できる人を増やし、各部署で動画を制作する予定でしたが、生産ラインは違うものの、扱う機械や検査機、工程が同じなど、似た部分がかなりあり、部署ごとに動画化を進めると非効率です。現在はDX推進担当に2名の専任を置き、全体最適の視点で俯瞰して、必要なものだけを絞り込んで動画化するようにしています。

FSSC22000やISOをはじめとする認証取得時などの情報共有にも、動画を活用しています。例えば新しい包装資材を使ったラインテストなどを行う場合、かつては企画担当も現場に入り、一緒に立会いをしていましたが、コロナ禍で工場に入れなくなったことをきっかけに、現場の様子を撮影して簡単に編集、動画化して会議で活用するようになりました。動画コンテンツにすることで、他部署の方にも状況が認識しやすく、問題点についての議論が進みやすいと好評です。

私は全体会議など重要な会議と出張が重なり、Webミーティングでも参加が難しい際、報告や提案事項を動画にまとめて提出しています。テンプレートを準備しておくことで、そういった動画も簡単に作成できます。

そして、社員の意識変革も大きな成果だと感じています。これまでの紙の仕様書や手順書が絶対という固定観念が薄まり、まずは早く作れて伝わりやすい動画を活用しよう、という意識が社内に広がってきています。

製造工程紹介ページ
製造工程紹介ページhttps://www.kirishima.co.jp/knowledge/technology/

5.<今後・期待> さらなるDX推進へ — さらなる教育と情報共有の進化を目指す

- 今後、注力したい取り組みなどがあれば、お聞かせください。

VideoBRAINの導入から丸2年が経過し、当初目的である教育時間と負担の削減は一定の効果が得られました。次の段階としては、現場の作業者が何か迷ったり困ったりした時に、QRコードなどを活用してすぐに動画にアクセスして解決できる、必要な情報に社員がアクセスしやすい環境を整備したいと考えています。情報共有にもっと動画を活用したいですし、eラーニング的な、教育の質の向上にも取り組みたいと考えています。

- サービスについてのご評価をお聞かせください。

VideoBRAINはクラウドサービスの利点を生かし、日頃から機能向上の情報をいただいています。当社からの要望も可能な範囲で取り入れていただいており、満足しています。

- それでは最後に、TOPPANへの期待並びにご要望をお聞かせください。

TOPPANは幅広いソリューションをお持ちで、いつも当社にとって最適なサービスをご提案いただいています。さまざまな強みを持つグループ会社もたくさんあるので、今後はさらに連携を強め、当社の発展に寄与していただければと思います。特にDXについては、デジタル化はできてもなかなかその先に進めないでいるとか、デジタル化やデータを活用しようとして逆に工数が増えるといった実態もあるので、そういった課題についても、コンサル的な支援に期待しています。

九州の食文化の紹介ページ
九州の食文化の紹介ページhttps://www.kirishima.co.jp/aji/2011/winter/

取材ご協力者
霧島酒造株式会社 ボトリング本部 GX課
課長 豊丸賢吾様


お客様プロフィール

地元である南九州の自然の恵みを素材に宮崎県都城市で本格焼酎を造り続けて約100年。霧島酒造は地域に根ざし、地域と共に発展する企業として、本格芋焼酎「白霧島」「黒霧島」をはじめ、創業以来「品質」にこだわった安心安全な焼酎造りを続けています。「品質をときめきに」という企業スローガンのもと、「伝統と革新」を成長の糧に、これからも魅力ある焼酎造り、企業づくりを目指します。
https://www.kirishima.co.jp/

2025.01.16