コラム

<eSports column VOL.1(後半)>
注目されるe スポーツのマーケティング効果

  • eスポーツ/Game キャスター/MC
  • 株式会社Focus代表取締役 & ポノスマーケディレクター
  • トンピ?氏

前回は「e スポーツの盛況とスポンサー企業」について、eスポーツキャスターとして大会などで活躍する「トンピ?」さん。直接プロゲーマーやユーザーと接する機会の多い彼に、記事前半ではeスポーツの盛り上がりやスポンサー企業についてお聞きしました。

後半となる今回の記事では、直接プロゲーマーやユーザーと接する機会の多い彼に、具体的なプロモーション手法や効果、教育におけるゲームの存在、さらにeスポーツの展望などをお聞きしました。


eスポーツは、コストをかけずにマーケティング効果を 上げられることも

――どういったマーケティング手法がありますか?

「プレイヤーや大会とスポンサー契約をする方法がありますが、タイトルに注目することも大切です。今流行っているeスポーツのコンテンツって、実は画像や映像をゲームの中に取り込めるようになっています。例えば、ステージのマップの中に製品の情報を入れることもできます。何がすごいかというと、そのステージで遊ぶことによって、プレイヤーが全員その商品を目にするところです。電車のモニターや渋谷の屋外広告って大きなお金がかかりますが、そういったことをしなくても、ゲームをやっている若い層に100%商品を見せることができるのが強みです。」

――プロモーションを検討する上で留意すべきことは?

親和性を考えることが大切です。若者たちに訴求したいという目標があればeスポーツは相性がいいと思うのですが、電子コンテンツでないものなどは、eスポーツと絡めた時に効果があるのかきちんと考えておく必要がありますね。“eスポーツバブル”ではないですが、eスポーツと絡めれば何でも盛り上がるんじゃないかと考える人もいると思います。ただ、そこは見識のある人に一回相談してほしいと思っています。」

ゲームを通して得られる体験は社会に出た時に活かされる

――eスポーツは若者をどのように動かしていると考えますか?

eスポーツの大きな効果として、若者たちが活躍できる場が増えてきていることが挙げられます。「eスポーツによって若者たちが活躍できる場が増えてきています。eスポーツの高校選手権ができたり大学の部活ができたり、活躍の場がなかった学生さんが人目に付き、すごいことをしたという実績が認められるようになってきています。学校として応援しているところも増えてきていますし、学校を応援している企業もすでにあるんですよ。

親子大会も近しいと思います。親子のコミュニケーションの場であり、注目されるような場でもあります。このようなムーブメントがマーケティングに活かされています。」

――トンピ?さんは教員免許をお持ちですが、教育目線で感じることは?

「小学校ではプログラミングの授業が必須になっていて、電子的なプログラムに触れることが増えています。ゲームをしているとプログラミングの最初の部分がクリアされるんですよ。Aボタンを押したら「決定」とか、これってプログラミングの頭の部分なんです。「〇〇をすることによって〇〇が発生する」というプログラムを構築することを、はじめから理解できるんです。

一般的にゲームをしていない人に比べて、課題解決に対する能力がとても高い。それは社会に出た時にも活かされます。またゲームをプレーすることによって、プログラミングに対する抵抗がなくなってくるので、教育現場において優秀な成績を収める子が多いと思います。だから現場の先生にもゲームに触れてもらいたい。例えば人気ゲームのことが分かれば、生徒たちの人気モノになれますし、話も聞いてくれるようにもなる。授業も聞いてくれる。先生たちにもそういうことを知ってほしいですね。」

かつてはゴルフ、これからはeスポーツ。 社内外の関係を構築する存在へ。

――海外と比較するといかがですか?

「日本のゲーム文化ってファミコンから始まってるんですよ。でも海外の場合はパソコンから始まってるんです。はじめからPCにインストールされているゲームですね。そもそもの入り方が違うんです。eスポーツの主軸のゲームはパソコンゲームが多い。PCゲームでは日本は勝てないというのは、バックボーンが違うんですね。

また韓国では国が奨励してアスリートという扱いになっていたり、米国では76%の高校が人気タイトルの部活を持っているんです。しかも、日本でいう教育委員会が正式に部活として認定していて優勝すると活動資金ももらえます。そういうものは日本には一切ないので、日本でも取り入れていくべきだと思います。」

――eスポーツの今後の将来像をお聞かせください。

海外からの日本に対する評価が高まっていて、日本のチームとキャンプをしたいという海外チームもあるほどです。eスポーツは海外からの文化ですが、日本のプレイヤーが世界に飛び立っていくんじゃないかと思っています。

プロでなくても、若い人たちが年上の人とコミュニケーションを取る手段になってくると思います。かつてのゴルフのように、会社の上下関係もゲームを通して密になってくるのではないでしょうか。また今は社会人リーグなどもあって、社外の人たちとのコミュニケーションツールにもなっています。会社と会社がeスポーツで繋がって、新しいビジネスが生まれることも多くなると思います。」

〔トンピ?氏の信念〕

10年も前からeスポーツに携わるトンピ?さん。彼がいつも胸に抱いているのが「ヒーローを生み出したい」。プレイヤーを評価し、讃え、世の中に広めていき、1人でも多くのヒーローを生み出していきたいと言います。この先10年後、20年後にはeスポーツが世の中でさらに重要な存在になり、多くのヒーローが誕生していることは疑いようがないのではないでしょうか。

2021.12.16

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