コラム

〈eSports column VOL.1(前半)〉
eスポーツの盛り上がりに対するスポンサー企業の動向

  • eスポーツ/Game キャスター/MC
  • 株式会社Focus 代表取締役&ポノスマーケディレクター
  • トンピ?氏

日本においてもe スポーツ の認知度は急速に広がり、 注目が集まっていることは周知の事実ですが、その盛り上がりを体感できている方は少ないかもしれません。
現在は特にZ 世代と呼ばれるデジタルネイティブな若年層において、プレイヤーや視聴者を含むユーザー数が爆発的に伸びています。この驚異的な時代の流れから、 e スポーツ大会を一つのメディアプラットフォームとして注目し、スポンサー契約する企業が急増しています。
今回はe スポーツの大会で実況を務めるなど、 e スポーツの現場感を肌で感じている「トンピ?」さんにインタビュー。前半では e スポーツの盛り上がりや、どのような企業がスポンサーとして参入し、プロモーション活用しているかなど、 メディアとしての e スポーツの盛況ぶりをお聞きしました。


eスポーツファンは、ただプロのプレイを観ているだけではない!

――まずは、トンピ?さんの活動内容を教えてください。

「eスポーツキャスターを主軸として活動。技性のあるゲームタイトル、いわゆるeスポーツ大会で実況などをしています。そのほか、スマートフォンゲームのマーケティングディレクターや不動産会社の広報顧問をしていたり、芸能事務所には弟子2名を所属させています。またPCや周辺機器を安全・安心に運べるバックパックも2年くらい前から販売しています。

eスポーツキャスターをやりながらゲーム会社でのお仕事をしつつ、モノやコンテンツを広めるようなアドバイザーという立ち位置でお仕事をさせていただいています。自分でもeスポーツの“千手観音”と自負しています。」

――多彩な活動の中でも、今回はeスポーツキャスター関連にフォーカスしてお聞きしたいと思います。eスポーツの盛り上がり具合についてはどのように感じていますか?

「eスポーツ関連の活動を始めて10年ほど経つのですが、10年前は“eスポーツ”という言葉ではなく“オンラインゲームの大会”という表現でした。そこから、海外の文化や、面白いタイトルがどんどん日本に入ってきて“eスポーツ”という言葉がじわじわと日本の中でも大きくなっていきました。

大会の模様を配信した場合、5年くらい前は同時接続数で1万人いったら「すごい!」と言われていたのですが、最近ではあるゲームの世界大会の日本語配信で同時接続が6万人~7万人まで伸びました。日本のチームも参加していたのですが、日本時間の深夜2時くらいでこの数値は驚きです。

ゲーム自体も変わってきました。バトルロワイヤルの場合、80人~100人くらい集まって戦うんですよ。かつては5人対5人くらいですよね。このバトルロワイヤルが流行ったことによって、より多くの人を巻き込んで大会が行われるようになり、視聴者も増え、プレイヤーも増え、大会の規模も大きくなったというのが、この10年を通して肌で感じていることです。まとめると『めっちゃ盛り上がっています!』」

――ユーザーはeスポーツのどんなところに魅力を感じていると思いますか?

「見る側の人は、プレイヤーが目標に向かって頑張っている、それを応援するところに魅力を感じていると思います。それこそスポーツ観戦などと同じで、みんなで一体になって応援しています。推しの選手・チームがいたりするのもスポーツと同じです。またスポーツには、ケガを乗り越えて活躍したといったバックストーリーがありますよね。eスポーツも同じで、苦難を乗り越えたバックストーリーなどたくさんあります。視聴者は、ただプロのプレーを見ているだけではなく、その裏にあるストーリーに感銘し、心の底から応援している。だから熱いのではないでしょうか。その結果eスポーツの魅力がより大きくなっていき、企業さんが入ってこられたり、見る方も倍増しているんだと思います。

プレイヤーにとっての魅力は、練習して、その成果として大会の結果に繋がるわけですが、勝つ、勝ち続けるという経験を味わいたい人が多いです。また課題解決能力が高い人たちの方が実力を伸ばしてくる傾向にありますが、純粋に、自分たちが掲げた課題がクリアできることに楽しさを感じている人もかなりいます。」

スポンサーの半数は eスポーツと関連のない企業

――盛り上がりを増しているeスポーツですが、ここ最近、スポンサー契約は増えていると感じますか?

「増えていると思います。スポンサー契約については、5Gなどインターネットと関連したものが多くマッチングしているのではないかと思います。通信会社の中には自社で大会を開いて、プロモーションというかたちでプレイヤーやお客さん、視聴者を巻き込んで、自分たちの顧客を作っていこうとしているところもあります。

eスポーツを応援するという意味では、どこでも参入できると思っています。例えば、最近だと温泉旅館のスポンサーなどもあるんですよ。まず大会で温泉旅館の名前が出ます。さらにeスポーツにはオフシーズンがあるのですが、プレイヤーに来てもらってSNSで発信してもらいます。そんな一石二鳥な取り組みも行われています。また親子大会があったのですが、その景品が花火大会の特等席でした。スポンサーのあり方、やり方は無限大にありますので、参入企業は増えていると思います。」

――スポンサー企業は現在まだeスポーツと関連の高い企業が多いですか?

「例えば海外だとクルマの会社は、ほぼスポンサーとして参入しています。レーシングゲームかというと全然クルマとは関係のないゲームなんですよ。クルマって今、若い人たちの購入がどんどん下がってきているんですね。そういったところを打破するために若年層に向けて、先にブランドや名前を知ってもらって、『そういえばあの大会のスポンサー、あの会社だったな』って思うだけでも購入のきっかけになるんです。

クレジットカードなども1回契約したら、基本的にその会社のカードを使い続けますよね。これをeスポーツの課金とかで使えますよとアピールをするだけで、契約数がとても増えるんですよ。若い時からブランドを知ってもらって、一生涯使ってもらうというビジネスモデルまで行けるようなモノやコンテンツを持っている会社であれば、どんどん入ってくるべきだと思います。

現状のスポンサー企業はeスポーツに関連する企業とそうでない企業の比率は、1対1くらいだと思います。ふとんメーカー、銭湯、家具のお店などゲームとは関係のないところですでに入られてきていますね。」

――具体的にどのような企業であれば、eスポーツとの親和性が高いと考えますか?

「例えば、ご高齢の方に向けたものや主婦に向けたものは刺さりづらいと思います。果物の皮むきや包丁などは親和性がなさそうです。未来を見据えるのであれば、暗号資産の会社などは今後入ってくると思います。賞金の受け渡し方法が今とても複雑で、5年前の大会の商品を受け取れていない人もいるんです。そういったことが起きないシステムがあれば賞金の受け渡しもスムーズにでき、選手のストレスもなくなるので今のうちから口座を開設させておくことによって、そこを使い続けると思うんです。

あとは銀行ですね。もっとeスポーツに対して前のめりに取り組んでも損はないと思います。キャッシュレス化が進む中でeスポーツとの親和性も高く、ゲームに課金するという文化もあるからです。暗号資産などの会社と銀行が組んだりするのも、面白いかもしれませんね。」

- まとめ -
取材記事前半ではe スポーツの現在や ファンが熱狂し盛況している理由、スポンサー 企業の参入状況 についてお伺いしました。
一般的なスポーツのアスリートと同様に、プロゲーマーのバックグラウンド・ストーリーが人々に感動を与え・魅了させており、盛況ぶりはさらに飛躍的に増えていく見込みです。
それにより、スポンサーとしての企業参入も増加している状況で、参入の方法やメリットは無限大であることから、異業種企業のスポンサー契約の比率も徐々に増えています。
後半ではどのようなプロモーション手法があるのか、そしてe スポーツの将来像などをお聞きしています。ぜひ記事後半もお役立ていただければと思います。

2021.12.02

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