コラム

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは? 
メリット・デメリットを解説!

近年、製品の原材料調達から製造、販売などを経てエンドユーザーの手に至るまでの全工程を最適化するサプライチェーンマネジメント(SCM)に取り組む企業が増えています。なぜSCMが注目されているのでしょうか。また、メリットやデメリットについても押さえておきたいところです。最後にはSCM導入のステップもご紹介しますので、ぜひ参考にされてください。


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■SCM(サプライチェーンマネジメント)とは

まずはSCM(サプライチェーンマネジメント)の概要から確認していきましょう。

●SCMとは

SCM(Supply Chain Management/サプライチェーンマネジメント)とは、サプライチェーン全工程にわたる流れを管理することで、全体の効率化および最適化を実現する経営管理手法です。

サプライチェーンとはものづくりから販売、消費者に届けるまでの流れ全体を指します。具体的には原材料の調達、生産、物流、流通、販売、エンドユーザーの手に渡るまでの一連の流れです。

その一連の流れには、メーカーや卸売業者、物流業者、小売業者などのさまざまな企業が関わっており、これらの各企業や各部門がリアルタイムでこの供給の連鎖を管理し、情報共有をしながら利益の拡大を目指すのがSCMです。

主に製造業や食品産業、アパレル業など商品を製造して販売する多様な業界で導入されています。

●SCMが注目される背景

近年、SCMが注目されている背景としては、次のことが挙げられます。

・人手不足
国内の少子高齢化による労働力不足は年々深刻化しており、業務効率化や省人化のための自動化や標準化の推進が求められています。そこでサプライチェーン全体に呼びかけ、協力体制を作ることが望まれています。

・EC需要の高まりによる物流負荷増
コロナ禍を契機にEC需要が高まり、物流量が急増しましたが、それによって在庫管理や物流が逼迫しており、サプライチェーン全体の見直しを図ることで流通を効率化する流れが起きています。

■SCM導入によるメリット・デメリットとは

SCMを導入することにより、次のようなメリットとデメリットが生じると考えられます。

【メリット】

●在庫最適化によるミスマッチの解消

SCMを導入することにより、サプライチェーン全体の情報共有が円滑に進みます。これによる効果の一つとして、適正在庫の保持につながる点が挙げられます。メーカーや卸売業者、物流業者、小売業者といったサプライチェーン上のすべての企業において、過少在庫や過剰在庫といった在庫の増減には敏感になっています。なぜなら欠品や遅延は機会損失につながりますし、供給が需要を大幅に超えてしまうとコストと廃棄量の増大につながってしまうためです。

こうした需要と供給のミスマッチを解消することができるという点が、SCMの一つのメリットといえるでしょう。

●需要増減に対する迅速な対応が可能

需要が季節的、突発的な事象によって急激に高まったり、減ったりすることは免れません。そうした事態に対して、いかに迅速に対応できるかが重要です。この迅速な対応はサプライチェーン全体の連携なくしてはむずかしいといえます。システムでサプライチェーン全体の在庫をリアルタイムで管理する仕組みが構築されていれば、事象をいち早くとらえることができ、対応スピードが向上するでしょう。また、日ごろから在庫の最適化が図られていれば、より迅速に対応できるようになります。

●配送のリードタイム短縮

サプライチェーン全体のリードタイム短縮は常に直面する課題ではありますが、特に配送工程におけるリードタイム短縮は、EC需要の高まりを受けて喫緊の課題となっています。いかに配送までの期間を短縮できるかに意識が高まる中、ECサイトとSCMシステムが連携していれば、より迅速に配送まで進むことが可能です。顧客の希望する日時に配送可能になることで、顧客満足度向上やリピート率向上、ロイヤルカスタマーの創出などにつながる可能性もあるでしょう。

 

【デメリット】

●システム導入や外部委託によるコスト増

SCMを実現するにあたって、必要になるのがSCMシステムの導入です。システムの初期導入コストやランニングコストはもちろんのこと、そもそもSCMの仕組みを開発し、構築するまでのプロセスには多額のコストを要するものです。構築までの期間も長期化することが多く、多くの工数も含めた大がかりなプロジェクトになります。そのため、全体的なコストが増大しやすい点は大きな課題です。

また、SCMは第三者の立場で行うほうが効率的な面があるため、外部委託を行うこともあります。その場合は外部委託費がかかります。

●プロセス管理が複雑になる可能性も

SCMと一口に言っても、サプライチェーンの構造はさまざまです。複雑な構造であるサプライチェーンにおいては、特に最適化を図るためのプロセス管理は煩雑になる恐れがあります。プロセス管理が複雑になりすぎると、SCM導入前よりも非効率になってしまうリスクもあります。 

そもそもSCMの実施はむずかしいことを前提に進めていくことが求められます。また、SCMの専門知識のある人材や外部リソースを活用するなどの工夫が必要になるでしょう。

■SCM導入のステップ

SCMをこれから導入するといった場合、どのようなステップで進めていくと良いのでしょうか。一般的に良いとされている導入手順をご紹介します。

1.目的や課題を明確にする

何よりもまず、SCMをこれから何のために構築するのか、どのような課題を解決したいのかを明確にすることが重要です。そしてサプライチェーン全体で共有し、SCMの実現に向けて進めていく体制づくりが求められます。

多くの場合に課題は複数あるため、優先順位をつけることも重要です。また、目的設定と共に目標数値の設定も行いましょう。

2.誰がSCMを推し進めるかを決定する

SCMを推し進める主体となる企業内において、マネジメントを実施する部署、担当者を決めます。そして目的や課題を周知し、部署の目標に据え、活動全般においてその目標に向けて進めていくことが求められます。

3.必要に応じてツールやサービスを選定する

SCMの推進においては多くの場合SCMシステムなどのツールが必要になります。ツール選定はSCMの成否を分ける重要な取り組みとなるため、入念に目的や課題、社内環境に合っているかどうかを確認しながら進めましょう。また、場合によっては管理業務を外部委託することも考えられ、SCMに欠かせない需要予測や分析レポートを提供してくれるサービスもあります。それらを取り入れる場合は最適なサービス選定が必要になります。

4.運用と効果測定でPDCAサイクルを回す

運用開始後は、課題を抽出して解決策を実施していきましょう。またどのくらい目標値に近づいたか、課題解決に至ったかの効果測定を随時行い、最適な解決策を検討することが求められます。このようにしてPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを回すことでSCMを最適化していきましょう。

■TOPPAN BPOは3PLなどの物流サービスでご支援

SCMを推進するにあたって、さまざまなサービスを導入することで最適化を図っていくことができます。

TOPPAN BPOでは、SCMを実現するための物流最適化をご支援しています。

3PLワンストップソリューションでは、企画・製造・保管・配送のすべての物流工程をワンストップでご対応しております。

また、TOPPANの持つ豊富なノウハウをもとに、物流のうち、流通加工を軸としたロジスティクス設計をご提案するロジスティクスソリューションのご提供も行っております。

これらの物流サービスにより、SCMを円滑に進めるお手伝いをさせていただくことが可能です。お困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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2024.03.28

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