オフショアBPO(海外BPO)とは?
メリットから選定のポイントまで解説!
海外企業に業務委託・アウトソースするオフショアは、主にITシステム開発の分野で活発に行われてきました。近年はさらに業務の幅も広がっており、日本企業の多くはオフショアを利用しています。またBPOという視点からオフショアを利用する動きも出てきています。これからオフショアBPO(海外BPO)を導入しようと検討している場合には、ぜひ基礎知識を備えておきましょう。
今回は、オフショアBPO(海外BPO)の概要からメリット、オフショアBPOサービス選定のポイントをご紹介します。
■オフショアとは?
オフショアとは、オフショアリングとも呼ばれるビジネス手法です。「オフショア=offshore」という言葉は「off(離れる)」と「shore(沖)」から沖合を意味しますが、ビジネスにおいて使われる場合、「自国の沿岸から遠く離れた地域」といった意味合いから、「海外」のことを指しています。
オフショアは海外に全部、または一部の業務を委託することを指し、アウトソーシングの一種です。ただし、自社の子会社に業務を任せることもオフショアと呼ぶことがあります。
オフショアの先駆けは、米国企業がインドにオフショアを行ったことといわれています。その後、日本企業もその流れを受け、IT系の業務のほか、データ入力やバックオフィス業務、コールセンターなど幅広い業務の委託が行われています。
●オフショアの例
オフショアの代表的な例として「オフショア開発」があります。これはシステム開発や運用・保守・管理業務などを海外企業にアウトソースする手法です。主な目的は、需要が高まり続けているシステム開発業界において、増大する開発コストを削減することにあります。
この例のように、オフショアでは自国よりも人件費の低い他国に業務を委託することで、コストを削減する狙いがあります。
現在、日本企業が実施している主なオフショア先は、中国をはじめ、ベトナムやインド、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどが挙げられます。
システム開発のみならず、多様な業務についてオフショアが行われているのが現状です。
■オフショアBPO(海外BPO)とは?
オフショアの一つの形態として、近年はオフショアBPOが注目されています。
●オフショアBPO(海外BPO)とは?
オフショアBPOとは海外BPOとも呼ばれるビジネス手法で、海外企業へBPOを実施することを意味します。
そもそもBPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の頭文字を取った言葉で、企業が業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託することを意味します。
●アウトソーシングとの違い
BPOはアウトソーシングの一種ですが、アウトソーシングとは異なる意味があります。アウトソーシングは、単に外部に業務を委託するといった意味合いに留まりますが、BPOの本質は「外部委託」ではなく「自社の業務改善・業務の効率化」にあります。
つまりBPOは、自社にノウハウがない業務や、コア以外のノンコア業務を外部に委託することで、自社の業務改善・業務の効率化を目指す手法といえます。
BPOはアウトソーシングと比較して、中長期的にコア業務への集中による生産性向上や、企業の成長・イノベーションなどを目指す意味合いが強いといえます。
オフショアBPO(海外BPO)は、オフショアと同様に海外企業に業務を委託しますが、海外企業にノンコア業務を委託することでコスト削減を図りながら、同時に業務改善や生産性向上を目指す取り組みといえます。
■オフショアBPO(海外BPO)を活用するメリット
企業がオフショアBPO(海外BPO)を活用するメリットとしては、次のことが考えられます。
●BPOコストの削減につながる
BPOは国内でも活発に行われていますが、日本企業へのBPOと比較してオフショアBPOでは人件費が下がるため、BPOサービス料の削減が期待できます。わかりやすくいえば、日本企業に委託するより海外企業に委託したほうが安価に業務改善や生産性向上の成果を出せるということです。
もちろん、業務品質の課題はありますが、近年はエンジニアスキルや業務スピードは日本と変わらないレベルにまで至っているといわれていることから、BPOの成果を出せる可能性は十分にあります。
●海外市場向けのビジネス展開がスムーズになる
海外市場を視野に入れたビジネスであれば、オフショアBPOを活用したほうがスムーズに展開できることもあります。例えば、海外向けシステムを開発する場合、インターフェースが英語や中国語などの外国語でリリースすることになりますが、言葉の面で翻訳が不要になるなど、利便性が高くなります。
●日本語による意思疎通の問題も少なくなってきている
オフショアというと、真っ先に不安になるのが、言葉やコミュニケーションの問題と思われます。しかし先述の通り、最近ではオフショア先の全体的なレベルが上がってきており、日本語能力も高くなっているといわれています。そのため、従来よりも意思疎通にかかわる不安は少なくなってきているといえるでしょう。
■オフショアBPO(海外BPO)の選定ポイント
オフショアBPO(海外BPO)を選定するには、次のポイントを押さえることをおすすめします。
●作業品質の担保ができるか
オフショアBPOに限らず、国内BPOでも同様のことですが、作業品質の担保ができるかどうかの確認は重要なことです。そもそもBPOの目的は業務改善や生産性向上などであることから、業務品質を下げることは本望ではありません。BPOの意味もなくなってしまいます。
海外企業では、文化の違いから認識合わせから行う必要があるでしょう。国内BPOよりも十分に事前の確認を行うことをおすすめします。
●海外特有のリスクがないか
海外企業のレベルが上がってきているとはいえ、ビジネス的な慣習や文化の違い、法的規制、時差などハードルとなるものはいくつかあります。海外BPO特有のリスクはないかどうかは入念に洗い出しておくと良いでしょう。
例えば、納期の遅延やコミュニケーションロスは往々にして起き得ることです。
相手が日本企業であれば、外部委託でも電話やメールなどのオンラインのやりとりをすれば連絡は容易かつスムーズにいきます。一方、海外企業に委託する場合は、時差の関係から連絡や情報共有に時差が生まれることがあり、通常より時間がかかる場合があります。それにより納期の遅延につながったり、コミュニケーションロスを生み出したりすることは避けなければなりません。
●国内回帰する際のリスクや期間がどのくらいか
オフショアBPOを一定期間利用した後、何らかの理由で国内回帰する可能性もあります。それを見越して、どんなリスクが考えられるか、引き継ぎ期間はどのくらいかかるのかをしっかりと事前に想定しておくことをおすすめします。
例えば、BPOを契約するときに、解約に関する規定や契約の満了期間内に業務引き継ぎの完了が可能かなどを十分に確認しておきましょう。
■まとめ
オフショアBPO(海外BPO)は、今後も需要が高まっていくと考えられます。ぜひポイントを押さえて、有意義なBPOを実現させてください。
TOPPAN BPOは、パートナー企業と連携してオフショアBPOのご提案も可能です。その他にも、さまざまな業務を幅広くお任せいただくことが可能ですので、まずはご相談ください。
特に強みとするのは、豊富な実績と共に、お客さまの課題解決のための自社ソリューションを多様に備えていることです。有意義なBPOをお考えの方におすすめです。
2024.02.16