コラム

SSCとは?概要やBPOとの違い、メリット・デメリット、成功のポイントを解説!

近年、SSC(シェアードサービスセンター)という言葉をよく耳にするようになりましたが、どのようなサービスなのか、いまいちつかめていないという方もいるのではないでしょうか。BPOとはどのように違うのかも気になっているかもしれません。
今回は、SSCの概要からBPOとの違い、SSCで集約できる業務、メリットとデメリット、成功に導くポイントをご紹介します。


■SSC(シェアードサービスセンター)とは

SSCとは「Shared Services Center(シェアードサービスセンター)」の略称で、グループ企業や企業内の事業部ごとの間接部門が担う「サービス」を「シェア(共有)」して「センター」に集約する経営手法を指します。「シェアードサービス」と略して呼ばれることもあります。

サービスを1ヶ所に集約して、間接業務を一括して行うことで、業務の効率化やコスト削減を目指します。

集約する間接部門は、主に人事部、経理部・財務部、総務部、法務部、データセンター(システム運用部門)などのコーポレート機能やオペレーション業務を担う部門となります。

●SSCとBPOの違いとは

SSCは、BPO(Business Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と比較されることがあります。BPOは、業務プロセスを外部の専門業者に委託することで、業務改善を目指すアウトソーシングの一種です。

SSCも、グループ企業内にアウトソーシングすると言っても良いため、BPOと似ているところがあります。

しかし両者の大きな違いとして、SSCがグループ企業内などの内部での業務集約である一方、BPOは外部の企業に委託するという点が挙げられます。

またBPOは、部門全体の業務を委託することも、一部を委託することもあり、委託する業務内容も問いません。一方、SSCはグループ企業内に間接部門を集約して効率化やコスト削減を図るという目的であることから、各間接部門をまるごと集約するという点が前提となります。

■SSCで集約される業務

SSCを実施する際に、よく集約される業務について内容を見ていきましょう。

●総務・労務
総務・労務の業務は、主に施設管理や備品・消耗品の管理が挙げられます。
例えばオフィスの施設管理や、PC、複合機、電話機などの各種機器の管理、デスクやチェアなどのオフィス家具の管理などをSSCが担うことが多くあります。

●経理・財務
経理・財務部門の業務は、一般会計や決算、財務などが該当します。
一般会計処理などについては、ある程度型が決まっているため、SSCで取り扱いやすい業務であることからよく対象業務となります。一方で、管理会計や内部監査などの専門性が高く、自社独自の内容を多く加味する必要がある業務はSSCの対象業務からは外れることが多くなります。

●人事
人事部門が担う、従業員の給与や賞与の計算業務、社会保険などの管理、人事評価の企画や管理、新規採用や雇用の管理といった一般的な業務がSSCの主な対象業務になります。

■SSCで業務を集約するメリットとデメリット
SSCを進めて業務を集約することには、メリットとデメリットがあります。それぞれ確認していきましょう。

【メリット】

●集約によるコスト削減
SSCの最大の目的であり、メリットとなるのがコスト削減です。例えばグループ企業それぞれに存在する経理部門を一つに集約すれば、人員やスペース、設備などのコストを削減することができます。SSCに集約された経理部門において、少ない人員で業務を遂行できれば、経営資源を有効活用することができるので、よりメリットが大きくなります。

●品質の統一化
SSCによって業務を集約すると、従来はバラバラに行われていた業務が統一化されます。すると、各所に点在していたノウハウやスキルも1ヶ所に集まり、精査されることになります。すると、自然と業務品質の向上につながることが期待できます。品質は向上した状態で統一化されるため、品質に課題があった場合には、より大きなメリットがあると考えられます。

また、業務の属人化が進んでいる場合には、業務の標準化にもつながるというメリットも得られるでしょう。

【デメリット】

●集約の初期コストが嵩む
SSCはコスト削減が目的でありながら、初期の導入コストは大きいものになることは覚悟しなければなりません。
また、工数も多くかかります。グループ企業の各部門ごとの業務フローを洗い出す労力とともに、集約する作業には専門的な知識を持ち、グループ企業の特性に関する知見や経験も併せ持つ人材が求められるでしょう。その意味で人的コストも増すかもしれません。

さらに業務によってはシステム開発や新規導入が必要になることもあるため、開発費や導入コストもかかる可能性もあります。

●場合によっては業務の対応スピードが落ちることも
SSCに業務が集約されることで、各業務については効率化しても、各グループ企業の従業員が問い合わせや相談をしたいといった場合に時間を要することもあります。また、従来は容易に実施できていたイレギュラーな対応も、SSC化することで対応がむずかしくなったり、時間を要したりするようになる恐れもあります。

このように業務の対応スピードが落ちることもある点はデメリットといえるでしょう。

■SSCを成功に導くポイント

SSCを成功させるためには、主に次のポイントを押さえて実施することをおすすめします。

●SSCの導入目的・導入計画を明確にする
SSCを導入する際には、その目的を具体的かつ明確にすることが重要です。多くの場合にSSC導入の目的はコスト削減にありますが、どの部門の業務をどのくらいコスト削減したいのかなど、具体的な目標値とともに目的を明確にすることが必要です。曖昧なまま導入しても、結局、効果が出ない恐れがあるためです。

導入には初期コストがかかる大掛かりな実施となることが多いため、導入計画も綿密に定めておくことをおすすめします。

●デメリットが顕在化したときの解決策をあらかじめ検討しておく
先述のように、SSC導入後に、かえって業務スピードが落ちてしまう恐れもあります。そうならないためにも、あらかじめデメリットが顕在化したときの解決策を検討しておくことが大切です。

例えば、経理部門へ従業員が何らかの申請を行う業務で、特殊なケースがあり、遅延が起こりうると予想される場合に、あらかじめ予防策として、情報共有を行っておくなどすれば、SSC化されても業務フローに組み込まれ、スムーズに業務が進むでしょう。

このようにして事前準備を万全にしておくことで、無駄なコストが発生するのも予防できると考えられます。

■まとめ

SSCは、グループ企業などにとってコスト削減や業務効率化につながる方法として注目されている有効な手法です。導入の際には、ぜひ今回ご紹介したメリットとデメリット、ポイントを踏まえて実施するのをおすすめします。

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2023.11.16

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